著者
富永 詩音 呉 健朗 伊藤 貴之 宮田 章裕
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.244-253, 2020-02-15

スマートフォンやタブレットをはじめとする電子端末の普及により,画像や動画などの電子情報の受け渡しは今や日常的に行われるようになった.メールやSNSなどを利用して電子情報を受け渡すためには,送信者は受信者の連絡先を知っている必要があるが,受け渡し相手が初見の相手や,その場限りの相手であると,連絡先を交換することに抵抗を感じるユーザは多いと思われる.この問題を解決するために,我々は,紙をちぎって手渡すことで電子情報を受け渡す方式を提案する.これは,ある紙を2片にちぎり分けたとき,各紙片の破れ目の特徴が合致する性質を利用したアプローチである.
著者
井関 紗代 伊藤 紀節 北神 慎司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<br><br>マーケティングにおいて、顧客の忠誠心を獲得することは必要不可欠である。先行研究では、地域の店舗への忠誠心に影響を与える購買動機が検討され、その購買動機に対して性差が生じることが示されているが、購買時の文脈が想定されていない。本研究では、コンビニエンスストアにおいて、性別と購買動機が、地域の店舗への忠誠心に影響を与えるプロセスを、モデル化し検証した。その結果、女性は男性よりも、多くの品揃えの中から商品を選びたいと考え、目的なしに店内の商品を探求する傾向があることが明らかになった。品揃えを重視する人は情報獲得を重視し, ユニークな商品を探す傾向が強くなることもわかった。また、 商品探求をする傾向の強い人ほど、ユニーク探求, 社会的接触を重視し、利便性を重視しないことも示された。情報獲得、ユニーク探求、利便性、社会的接触を重視する人ほど店舗に対する忠誠心を高めやすいということも明らかになった。
著者
伊藤 昭 崎村 雄一 森本 正一 網中 眞由美 堀 賢 平松 啓一
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.352-357, 2008-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
11

インフルエンザから地球規模で瞬時に拡大するような未知の感染症に至るまで, 感染症に対する病院での万全を期した備えの必要性はますます高くなっている. 特に外来領域は, 病院に対して外部からの感染因子が持ち込まれる入口であることから, 感染症疑い患者に対する迅速なトリアージによる振り分け, 感染制御に配慮した環境作りが求められる. ここでは, 順天堂医院の医師, 看護師を対象にアンケート調査を行い, 外来領域の使用実態, 建築空間の感じ方, 感染制御に対する考え方, 環境・設備機能の改善点を抽出した. 診察室や処置室において感染対策上で問題を感じていること, 外来初診患者の適切な振り分けによる待ち時間の短縮を図ること, 感染症患者専用の診察待合や隔離スペースが必要との回答が得られた. また, 国内・海外の従来事例の比較検討においては, ある程度の隔離スペースを保持するものの, 動線の区分や感染症発生時期以外に有効に運用されているかどうかなどについて不明瞭なケースも多いことが分かった. このような結果から, 感染制御に配慮した外来領域の計画や建設, 環境整備が必要と考えて, 感染制御に最適なトリアージモデルプランを提案する. 通常時から感染症発生時, さらに大流行時といったフェーズ毎にフレキシブルに運用可能な診察ユニットを配置し, 清潔・汚染区域や人・物の動線分離を明確に設定, 感染制御に適した建築・設備面の仕様を示す. 本トリアージプランを実践することは, 機能性, フレキシビリティー, 省スペースといったデザイン上のコンセプトをかたちにするのみでなく, 病院建築において常時, 効率的な運用を図るという観点からも重要であると考えられる.
著者
名野 隆夫 菊地 修一 岩津 勝彦 西部 栄次 鈴木 琢也 佐々木 義智 伊藤 和男 小林 春夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.352, pp.79-86, 1998-10-23
参考文献数
11

本論文はBSIM3v3SPICEモデルによる、高耐圧MOSデバイスのモデル技術について報告する。標準のSPICEモデルは高耐圧MOSデバイスの電圧依存を持つR_d、R_sに対して高精度なモデルを提供しておらず、電圧-電流特性のシミュレーションと実測値との間に大きな差異を生じる。我々はオリジナルBSIM3v3のパラメータの一部に対して本来とは異なる物理的な意味合いを設定しR_d、R_sの電圧依存を表現する技法を考案した。本技法により得たパラメータによる、高耐圧MOSデバイスの電圧-電流特性のシミュレーションと実測値とは非常に良く一致する。提案モデル技法と高耐圧MOSデバイスの動作原理との関係についても検討を行った。
著者
伊藤 純子 香西 みどり 貝沼 やす子 畑江 敬子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.531-538, 2004-10-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

炊飯時に7種類の調味料(食塩,醤油,清酒,食酢,上白糖,カレー粉,トマトペースト)を添加し,米飯の炊飯特性に及ぼす影響について検討した.1) 吸水率は全ての調味料において浸漬後30分間の増加が著しく,調味料の添加により,吸水が阻害される傾向が見られ,特に食塩,醤油,トマトペーストで顕著であった.2倍濃度の調味液に浸漬させた場合,ほぼ全ての調味料において,浸漬初期の段階で濃度に依存して吸水が阻害される傾向があった.食酢浸漬の場合,120分後の吸水率は2倍濃度の方が大きく,長時間の酢酸浸漬に伴って米粒表層のタンパク質が溶出し,水が米の組織内に取り込まれやすい状態になったのではないかと考えられた.2) 加熱吸水率は60°C以上での増加が著しいが,調味料の添加により,吸水が阻害される傾向が見られ,食塩,醤油,トマトペーストで顕著であった.特に食塩は濃度に依存して吸水が妨げられ,逆に食酢は吸水が促進された.また,全ての調味料において加熱直前に添加した方が吸水が阻害されない傾向が見られた.3) 炊飯中の温度履歴は食塩,醤油,清酒,食酢,上白糖を添加した場合,無添加とほぼ同様であったが,カレー粉,トマトペーストを添加した場合,炊飯中の温度上昇が一定でなく,釜内の温度分布も不均一であった.特にトマトペーストは温度の立ち上がりが非常に遅かった.4) 米飯の水分含量は20°C・1h放置後において,清酒と食酢を除くいずれにおいても無添加より有意に少なく,5°C・24h低温保存後では,無添加に比べ食塩,上白糖,カレー粉で有意に少なかった.トマトペーストでは20°C・1h放置よりも5°C・24h放置後の方が有意に水分含量が高く,澱粉の老化に伴う結合水から自由水への変化が大きかったことが考えられた.5) 米飯の硬さは,20°C・1h後では食酢を除く全ての調味料で無添加より有意に大きく,5°C・24h後では上白糖,カレー粉,トマトペーストで無添加より有意に大きかった.米飯の粘りは,食酢において20°C・1h後および5°C・24h後ともに無添加より有意に大きかった.米飯の付着性は,食酢で20°C・1h後,5°C・24h後ともにいずれの調味料よりも有意に大きく,一方上白糖,カレー粉,トマトペーストは5°C・24h後において無添加より有意に小さかった.以上の結果を調味料ごとにまとめると,食塩,醤油は吸水を阻害し,水分の少ない硬い飯になった.清酒は吸水を阻害し,水分量に有意差はないものの,硬い飯になった.食酢は吸水を阻害するものの,水分量,硬さに有意差はなく,粘り,付着性の高い飯になった.上白糖,カレー粉,トマトペーストは吸水を阻害し,水分の少ない硬い飯となり,5°C・24h低温保存後の飯は無添加より硬くて付着性の小さい飯となった.このように本研究では添加する調味料の種類によって炊飯特性が様々に異なり,米飯の仕上がりに影響することが分かった.
著者
伊藤 早苗 朝倉 敬子 杉山 賢明 高倉 実 等々力 英美
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.76-82, 2020
被引用文献数
1

<p>Salt and potassium intake were estimated from spot urine obtained from children and their mothers at public elementary schools in Okinawa Prefecture. Estimated salt intake was 7.8 ± 1.6 g / day for children and 8.9 ± 2.1 g / day for mothers. Estimated potassium intake was 1157 ± 273 mg / day for children and 1580 ± 322 mg / day for mothers. The proportion of those who meet the Dietary Goals of the dietary reference intakes for Japanese (2015 edition) was determined. Only 5.7% of the boys, 13.8% of the girls and 12.0% of the mothers met the Dietary Goals for salt. Only 3.3% of the boys, 0.7% of the girls, 2.0% of the mothers met the Dietary Goals for potassium. There was a significant positive correlation between salt intake of girls and their mothers. In boys, there was no significant correlation with mothers for both salt and potassium intake. It is expected to improve their diet for reducing salt and increasing potassium intake while taking this gender difference into consideration.</p>
著者
小池 春妙 伊藤 義美
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-19, 2015 (Released:2017-03-31)
参考文献数
24

本研究の目的は,自尊感情と自己効力感の精神科受診意図に対する影響を検討することだった。そのため,自尊感情のモデルでは,受診への感情反応を介した自尊感情の受診意図への影響が検討された。自己効力感は,受診行動の容易さと受療行動への自己効力感とに分けて測定され,それぞれの受診意図への影響が検討された。大学生326名に対して,自尊感情,うつ病症例文,精神科受診意図,受診への感情反応,受療行動への自己効力感,受療行動の容易さに関する質問紙調査を実施した。参加者は症例文を病気だと認識できたかどうかで,病気認識群(183名)と非病気認識群(143名)に分けられた。共分散構造分析の結果,(a)自尊感情と自己効力感は精神科受診意図に直接影響しなかった。(b)受診への感情反応を介した自尊感情の受診意図への影響はあったが低かった。(c)受療行動への自己効力感は行動の容易さを介して受診意図に影響していたことなどが示された。以上の結果から,精神科受診率向上のためには,精神科受診に対する否定的態度の改善とともに,受診行動の取り組みやすさの向上も必要であることが示唆された。
著者
伊藤 勇太
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.3-8, 2019-01-25 (Released:2019-01-31)
参考文献数
24

拡張現実感(AR)による映像表示を用いた応用において重要なテーマの一つは,AR映像の現実世界との整合性を保つこと,つまり,バーチャルな映像を現実世界にいかに最適に再現し,ユーザーに提示するか,ということである.本稿では,まず医用画像へのAR応用事例を挙げながらARを概説し,AR表示に欠かせない光学シースルーディスプレイ技術について導入する.ARを活用する上で重要な要件である空間・時間・知覚の整合性の概念を紹介する.紹介にあたって,関連する近年の研究を交えながら,各概念について掘り下げていく.本稿は,特に,AR技術を自身の分野に適用することに興味がある読者を想定している.
著者
荒井 翔子 大橋 学 伊藤 有紀 Uehara Juan Martin 増田 知之 Shoko Arai Manabu Ohashi Yuki Ito Martin Juan Uehara Tomoyuki MASUDA
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019-EC-52, no.9, pp.1-4, 2019-06-03

店舗の環境を創り上げる要素の 1 つに,バックグランドミュージック (BGM) が挙げられる.買い物客の購買意欲を高めるためには,既存の BGM に頼るだけではなく,その店舗にフィットした新しい音環境や音源の開拓が必要である.現在,日本は空前の猫ブームに沸いており,猫の発するゴロゴロ音が人に癒しをもたらすと考えられている.しかしながら,これを実証する科学的根拠はほとんど存在しない.そこで本研究では,猫のゴロゴロ音が人の生理的状態にどのような影響を及ぼすか検討した.ストレス負荷課題をこなした実験参加者に猫のゴロゴロ音を聴かせたところ,ゴロゴロ音を聴いた群の心拍数は,猫への嗜好性を問わず,安静時の基準値よりも有意に低下することが明らかとなった.この結果は,猫のゴロゴロ音にリラックス効果があることを示唆しており,猫のゴロゴロ音が店舗での新規音源となるポテンシャルを秘めていることが明らかとなった.
著者
吉川 昌江 佐久間 長彦 日比 野剛 池内 玲子 佐藤 貴昭 米山 明彦 岩田 誠司 川口 正展 神谷 吉宣 伊藤 純子 藤浪 隆夫
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2-3, pp.203-207, 1994-08-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

The Oxidative modification of low-density lipoprotein (LDL) could contribute to atherosclerosis as a result of its cytotoxic effect, uptake by the scavenger receptor, and its influence on monocyte and macrophage migration. Ascorbate is an important watersoluble, chain-breaking antioxidant in humans.In this study, we examined the effect of ascorbate on the Cu2+-induced oxidative modification of LDL. LDL was incubated for 24 hours with 2.5μM copper (Cu2+) in phosphate-buffered saline (PBS) in both the presence and absence of ascorbic acid (20μg/ml, 25μg/ml, 30μg/ml, and 35μg/ml). Ascorbate significantly inhibited the oxidative modification of LDL, as indicated by both the decreased electrophoretic mobility and the linoleic acid content. Oxidative modification was prevented in a concentration-dependent manner by the addition of ascorbate.Our data suggests that ascorbate may play an important physiological role in protection against the oxidative modification of LDL.
著者
小池 潤 田澤 賢次 並川 宏英 伊藤 佳代子 八塚 美樹 安田 智美 小林 祐子 梶原 睦子 大上 英夫 斎藤 智裕
出版者
富山医科薬科大学看護学会
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.153-160, 2000-04

十全大補湯, 四物湯, 補中益気湯, 小柴胡湯の経口投与は実験的ラット肝転移を抑制し, 十全大補湯と四物湯はマクロファージを, 補中益気湯はNK細胞を活性化するが, これら漢方方剤における活性酸素消去能の特徴を検討した.上記を含めて9種類の漢方方剤を検討したところ, ・O_2^-と・OH(Fenton反応・UV照射)の消去能の総和では小柴胡湯が最も強く, 温清飲, 補中益気湯十全大補湯四物湯人参養栄湯の順であった.更にこれら9種類の構成生薬23種類別における活性酸素消去能の検討の結果, 漢方方剤の特徴として十全大補湯, 四物湯温清飲は・O_2^-を, 補中益気湯と小柴胡湯は・OHを抑える傾向がみられ, ・O_2消去能の高い漢方方剤はマクロファージ活性に, ・OH消去能の高い漢方方剤はNK細胞活性に関与するという可能性が示唆された.
著者
隈元 庸夫 伊藤 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0243, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】 大腿四頭筋の中で内側広筋は特に萎縮しやすく,筋力増強運動に対する反応も遅く,回復しにくい筋といわれている.このため,内側広筋の選択的なトレーニング法確立のため様々な検討がなされており,大内転筋活動を伴った股関節内転運動を行うことが重要とされている.下肢疾患者や臥床者に対する大腿四頭筋の簡便なトレーニング法として,patella setting(PS)は臨床で広く行われている. PSについては多くの報告があり,股関節回旋位に関する検討も散見されるが,いずれも股関節屈曲位や長座位での報告であり,一般に臨床で行われることが多い背臥位でのPS施行における,股関節回旋位の違いによる内側広筋の筋活動を検討した報告はない. 本報告の目的は,背臥位PS時の股関節回旋位の違いが内側広筋の筋活動に及ぼす影響を筋電図学的に検討し,内側広筋のより効果的トレーニング法確立のための一助を得ることである.【対象と方法】 対象は,下肢に整形外科的疾患の既往のない健常者20名とした.測定肢位は背臥位とし,PSは測定下肢のみ施行させた.PSの施行は,股関節内外旋中間位,内旋位,外旋位の3肢位とした.筋電測定には,アニマ社製ホルター筋電計MM-1100を用いた.導出筋は,内側広筋(VM),外側広筋(VL),大腿直筋,大内転筋(AM)とした.各筋の筋活動量は,股関節内外旋中間位でのPS施行時の平均積分筋電値を100%とし,外旋位と内旋位での値を各々正規化し%平均積分筋電値を算出し,これを筋活動量とした.検討項目は,(1)各導出筋の筋活動量,(2)VMとVLの筋活動量の比率値(VM/VL),(3)VMとAMの筋活動量の相関,(4)AMの筋活動量変化によるVMの筋活動量変化に関して,各々外旋位と内旋位について比較検討した.統計学的処理は(1)(2)はWilcoxon t-test,(3)はSpearmanの相関係数,(4)Kruskal-Wallis H-test 後post hoc testとして,Mann-Whitney U-test with Bonferroni correctionにて検定し,有意水準を5%未満とした.【結果と考察】 内旋位と比較し,外旋位においてVMの筋活動量の有意な増加を認めた.VM/VLに関しては,股関節内旋位・外旋位の違いによる有意差は認められなかった.VMとAMの筋活動量の相関については,外旋位では正の相関を認めたのに対し,内旋位では相関を認めなかった.AMの筋活動量変化によるVMの筋活動量変化は,外旋位でAMの筋活動量が増加した群が最も,VMの筋活動量が増加した. Cernyは長座位におけるPSの筋活動を検討し,筋活動もVM/VLも股関節回旋位による有意な差はなかったとしている.しかし,今回の結果から背臥位でのPS時には股関節外旋位で内転筋の収縮を意識することが,VMの筋活動に対してより有効となると考えられた.
著者
伊藤 嘉章 小泉 恵英 木川 りか 原田 あゆみ 白井 克也 志賀 智史 楠井 隆志 河野 一隆 早川 典子 大橋 有佳 渡辺 祐基 川村 佳男 望月 規史 川畑 憲子 森實 久美子 酒井田 千明
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

初年度である今年度は、情報収集を兼ねて多角的に調査を開始した。タイでは、国立の伝統文化財部で現在行われている王室の御座船の修理方法や伝統的人形劇の人形、漆工品、色ガラスを多用した木製品、布製品、石造彫刻等の製作・修理技法のほか、寺院の壁画の修理技法について調査を実施した。インドネシアでは伝統的な影絵であるワヤン・クリの製作技法や機織りによるイカットの製作技法、伝統的な青銅製品(ゴング)の製作技法についての聴き取り調査を実施した。ミャンマーではこの地域に特有な性質をもつ漆工品の調査を行い、ベトナムでは伝統的木製品の修理のための調査のほか、藕糸の製作技法に関する調査を行った。また国内に存在するアジア地域に関連する文化財についても積極的に調査を進めた。中国式寺院の独特な様式をもつ仏像や金工品や、国内で保有しているアジア地域と関連する染織品(藕糸を使用したと考えられる絵画やインド更紗)、韓国の伝統的絵画(綿布に書かれた絵画)の修理方法についての調査、響銅(佐波理)の製作痕の調査、インドネシアのガムランの音色にかかわる構造などについての詳細調査を実施したほか、出土した茶入などの陶器についても製作技法を解明するためにCTによる詳細な構造調査を行った。このほか、修理技法と係る基礎研究としては、アジア地域で伝統的技法に多用されてきた灰汁について文書の修理への利用を念頭に、成分分析と修理対象となる紙に対する影響調査を行った。

1 0 0 0 OA 沢庵

著者
伊藤康安 著
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
1943