著者
林 嘉光 浅野 高行 伊藤 剛 桐山 昌伸 丹羽 宏 正岡 昭
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.466-471, 1994
被引用文献数
3

症例は59歳, 男性。1993年8月より息が吐きにくくなり, 10月下旬には喘鳴, 呼吸困難が出現し, 入院となった。当初, 気管支喘息と診断したが, 気管に痰が詰まった感じと呼気性の呼吸困難が続くため, 気管断層撮影, 胸部CT撮影を実施し, 気管下部の分岐部直上に2cm大の有茎性腫瘤を認めた。可及的な気道確保の目的で, 気管支鏡下高周波スネアで腫瘍頭部を切除した。病理組織診断は神経鞘腫と判明し, 残存する腫瘍に対しては1994年1月11日に根治的手術を行った。手術時, 気管内腔は腫瘍により分岐部より口側へ1から4気管軟骨輪にわたって狭小化し, また膜様部外側へも隆起していた。しかし, 食道を含む周囲組織への浸潤はなく, 腫瘍を含む4気管輪を管状切除し, 端々吻合を行った。経過も順調で術後19日で退院した。
著者
伊藤 和幸 数藤 康雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.31-38, 1996-09-12
被引用文献数
5

何らかの障害や病状の進行により、自分自身による発声や筆談によるコミュニケーションができなくなる障害者が少なからず存在する。このような状況に対するには随意運動が比較的最後まで残る目の動きや瞬きを利用してコミュニケーションをとることが考えられ、現在のところ、瞬きや目の左右の動きを「はい」「いいえ」等としたり、目の開閉をスイッチ入力のON/OFFに利用している例が多い。しかし、視線を入力として利用できる機器があれば、文字盤やメニューボードを直接見つめることで任意の文字やメニューを自由に選択することができ、障害者自身で環境制御等を行ったり、他者とのコミュニケーションを行うことが可能となる。本報告では、被験者が文字盤を見つめる視線を計測・解析し、コミュニケーション機器への入力として使用するにはどのような処理を行えばよいかを検討した
著者
本谷 智宏 並木 武文 伊藤 公一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.628, pp.9-14, 2000-02-17

電磁界解析手法であるFDTD法において, 金属の領域は完全導体としてモデル化することが一般的である.しかし, 導体損失が無視できないような問題ではこのような取り扱いはできない.その場合の効率的な計算手法として, 表面インピーダンス境界条件(Surface Impedance Boundary Condition:SIBC)を用いることが提案されている.SIBCでは, 金属の電気的特性をその表面の電磁界のみで表現し, 金属内部の電磁界を計算しない.このため, 計算負荷の大幅な低減が可能になる.ここでは, 周波数依存性を持つSIBCの定式化を説明し, マイクロストリップ線路等の伝送線路を構成する金属に適用して伝送特性を解析した結果について報告する.
著者
金城 政勝 源 宣之 杉山 誠 伊藤 直人 淺野 玄 金城 政勝
出版者
琉球大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

エマージング感染症の多くの病原体は野生動物や昆虫と共存し、自然界で密やかに感染環を形成している。そこで本研究では、野生動物や吸血昆虫から種々の病原体や抗体を検出して、わが国に既に侵入しているあるいは侵入する恐れのある新たなウイルス性感染症をいち早く補足し、それらの予知法を考察しようとするものである。最終年度である本年度は、岐阜及び西表島での昆虫採集を引き続き行い、それらからのフラビウイルス(日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ脳炎ウイルス及びデングウイルス)遺伝子の検出を試みた。また、蚊由来培養細胞C6/36細胞を用いてウイルス分離も試みた。1)岐阜及び西表島における蚊の採取:本研究期間内において、最終的に20,919匹及び40,423匹の蚊がそれぞれ岐阜及び西表島で採取された。岐阜で採取された蚊のうち最も多かったのはイエカ属(80.0%)で、ハマダラカ属(17.2%)がそれに続いた。一方、西表島では、クロヤブカ属(62.7%)及びヤブカ属(32.7%)の蚊が大きな割合を占めた。2)RT-PCR法を用いた蚊からのフラビウイルス遺伝子の検出:同一のプライマー・セットを用いて日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ脳炎ウイルス及びデングウイルスの遺伝子を検出することができるRT-PCR法により、685プール(1プール50匹、計29,966匹)の蚊からウイルス遺伝子の検出を試みた。しかしながら、目的の増幅産物を得ることができなかった。以上にことから、上記のウイルスは岐阜及び西表島に高度に浸潤していないことが示唆された。3)蚊由来培養細胞を用いたウイルス分離:C6/36細胞に接種した599プールのうち、34プールが明瞭な細胞変性効果(CPE)を発見した。このうち西表島のヤブカ属のプールから分離されたCPE発現因子について各種生物性状を調べたところ、上記ウイルスとは異なるフラビウイルスであることが示唆された。今後、このウイルスの哺乳動物に対する病原性等を詳細に検討する予定である。
著者
喜田 宏 梅村 孝司 迫田 義博 伊藤 壽啓 小笠原 一誠 河岡 義裕 岡崎 克則
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、家禽と家畜のインフルエンザの被害を未然に防ぐとともに、ヒトの新型インフルエンザウイルスの出現に備え、その予防と制圧に資することを目的とする。・動物インフルエンザのグローバルサーベイランスによるウイルス分布の解明2006年秋、日本、モンゴルにおいて採取された渡りガモおよびハクチョウの糞便材料からのウイルス分離を試みた。1,201検体の材料から合計55株のインフルエンザAウイルスを分離同定した。これらの分離株にはH5やH7亜型のインフルエンザウイルスは含まれていなかった。これまでのウイルス分離の成績と合わせると、H1-H16およびN1-N9までの144通りの組合せのうち、133通りのウイルスの系統保存を完了した。・インフルエンザウイルスの病原性決定因子の同定2006年夏、モンゴルの湖沼で死亡野烏が再び発見され、死亡したオオハクチョウおよびホオジロガモの臓器材料からH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが分離された。分離されたウイルスは、2005年中国やモンゴルの野生水禽から分離された高病原性のH5N1ウイルスと8つの遺伝子分節すべてが近縁であった。また、このウイルスに対して哺乳動物が高い感受性を示すことが動物試験から明らかにした。・ベッドサイド早期迅速インフルエンザ診断法の開発A型インフルエンザウイルスH5およびH7亜型抗原を特異的に検出する簡易診断キットを開発した。本キットの有用性を実験感染動物の材料を用いて評価したところ、NP検出キットより感度は劣るが、H5およびH7抗原を特異的に検出でき、ベットサイド診断法として有用であることが確認された。
著者
水野 智士 高木 浩吉 小暮 悟 伊藤 敏彦 甲斐 充彦 小西 達裕 伊東 幸宏
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.12, pp.77-82, 2005-02-05
被引用文献数
5

近年の音声認識、言語理解技術、及びコンピュータ性能の向上によって、音声を用いるインタフェースやタスク指向型の対話システムが利用されるようになってきた。そんな中で、より一般的にシステムが利用されるようになるには、より頑健な言語理解が必要となる。本稿では、より頑健な意味理解を実現するために、音声認識信頼と対話履歴を利用して、ユーザ発話意図の推定を行う手法について記述する。本研究では、言語理解の頑健さを向上させるために、対話履歴において、県名や市町村名など、どのカテゴリについての発話がされたのかを識別する。その識別結果と、認識結果のn-bestを利用して言語理解結果を生成する。これを実現する場合、カテゴリ識別の精度がそのまま言語理解精度に影響する。そこで、ユーザの発話意図を推定することで、カテゴリ識別精度の向上を図り言語理解精度向上を目指した。評価実験を行い、音声認識の1-bestをそのまま利用する言語理解手法よりも提案手法のほうが、言語理解精度が高くなることを示した。The spoken dialogue interface and the task oriented dialogue system has come to be used by improving the speech recognition, the language understanding technologies, and the computer performance. We need a more robust language understanding for the system to come to be used more generally. Our paper deals with speech intent presumption method using the confidence score of speech recognition and dialogue history for robust meaning understanding. This language understanding results are generated by using the speech recognition results (n-best) and the identification results. Thus, the accuracy of the category identification influences the language understanding accuracy. Then, we used the presumption of user's speech intention in order to improve the language understanding accuracy. As the result of evaluation experiment, we show that the language understanding performance used our proposed method is higher than the language understanding method which simply gives priority to the first hypothesis of a n-best.
著者
伊藤 宣則 清水 弘之 吉村 健清 橋本 勉 早川 武彦 篠原 力雄 高塚 直能 徳井 教孝 笠松 隆洋 鈴木 康司
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.427-434, 1997-09-25
被引用文献数
5

Relationship between serum levels of lipid peroxides and carotenoids among the subjects randomly selected from the residents living in T-city, Gifu (GT), T-town, Wakayama (TW), H-city Hiroshima (HH), S-town, Fukuoka (SF), and Y-town, Hokkaido (HY) was investigated cross-sectionally. It was demonstrated that serum levels of β-carotene or cryptoxanthin were higher for GT and HY residents or for WT residents, while serum levels of lipid peroxides estimated by the thiobarbituric acid-reactive substances (TBARS) were lower for GT and HY residents, respectively. Moreover, there were some regional differences that serum levels of carotenoids such as β-carotene were inversely associated with serum TBARS levels for the residents, but not for HH residents with encumbrances of Japanese Americans. Serum TBARS levels were positively and significantly related with serum levels of n-3 unsaturated fatty acids such as icosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid, which were high intake in Japanese, but not significantly with serum levels of n-6 unsaturated fatty acids such as arachidonic acid.
著者
赤林 朗 甲斐 一郎 伊藤 克人 津久井 要
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-40, 1997-09-08
被引用文献数
9

アドバンス・ディレクティブ(事前指示)とは、患者あるいは健常人が、将来判断能力を失った際に、自らに行われる医療行為に対する意向を前もって示すことである。今後の日本の医療現場における患者の意思表示の具体的なあり方を模索するために、人間ドック男性受診者を対象に「治療に関する事前の意思表示」についての知識、経験、意識を問う自記式アンケート調査を行った。有効回答は210部で、81.9%の者が何らかの形で事前の意思表示を示しておきたいと回答した。意向を残しておきたい内容は、終末期の治療方針、病名の告知、臓器提供の意思などについてが多かった。また、意思表示の方法は、だいたいの方針を口頭で家族や知人に伝えておき、代理の決定者は家族または親戚とし、法的整備の必要性はあまり強く意識しない、という回答が多く認められた。最後に今後の日本における患者の意思表示のあり方についての考察を加えた。
著者
伊藤 隆二
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会関東支部会報 (ISSN:13416359)
巻号頁・発行日
no.4, pp.5-8, 1989-12-07

ある特定のイネ品種の細胞を培養して植物体を再生させた場合、その植物体は原品種と同じものになると考えるのが常識であろう。ところがプロトプラストから植物体を再生させる過程において、おそらく突然変異が起こったのであろう、原品種と異なる変異体が生じ、その中から良いものを選び、悪いものを捨てるという、従来の育種の操作を進めることによって原品種と性質の異なる新品種を生むことができたのである。植工研では、わずか3年間でコシヒカリのプロトプラスト培養から新品種を作出し、平成元年2月3日「初夢」の名で農林水産省に品種登録の申請を行った。そこで、この奇妙な方法で新品種を作出した経緯、新品種「初夢」の特性、細胞培養利用のイネ育種の特徴等について述べることとする。
著者
宇田 隆哉 伊藤 雅仁 淡谷 浩平 重野 寛 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.12, pp.133-138, 2002-02-14
被引用文献数
1

本論文は携帯型端末向け電子チケットシステムの提案である。本提案のシステムは商用に耐えうる強固なセキュリティを持ち、既存の携帯電話端末に特別なハードウェアを加えることなく、携帯型端末の機種を問わず電子チケットの発行から使用までを安全に管理できる。利用者は、携帯型端末からチケット発行サーバにアクセスし希望するチケットを購入した後、その携帯型端末画面上に電子チケットを表示し入場ゲートを通過する。本論文では、三次元パターン通信を用いることにより、電子チケットに付加した公開鍵暗号署名を任意の画面解像度を持つ端末上で扱うことを可能にした。本提案のシステムは、イベント会場の入場券や鉄道の切符などに幅広く利用可能である。A digital ticket system for cellular phones is described in this paper. The system has strong security for commercial use and has flexibility to support any cellular phone and PDA. A user can deal with everything related with a ticket such as issue, payment and showing with his cellular phone. He accesses to the ticket issuing server to get a ticket and shows that ticket holding his cellular phone to the ticket reader at an entrance gate. 3-D pattern is used in order to show a ticket, and no adding hardware module is needed. This system can be used for concert ticket, train ticket, etc.
著者
伊藤 孝行 横尾 真 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.602, pp.15-22, 2002-01-18

インターネット上のオークションでは, 不特定多数の人間が商品(財)を販売しており, 商品の質を正確に見極めるのは困難である.例えば, 骨董品が売られていたとしても, その骨董品が本物であるか偽物であるかを見極めることは難しい.もし買い手が, 偽物の骨董品を高い値段で購入してしまった場合, 買い手は, このオークションによって損害を被る.骨董品の質を見極めることができる専門家は, このオークションによって利益を得ることができてしまう.これは, オークションプロトコルが, 財の効率的な配分に失敗していることを意味する.そこで, 本論文では, 専門家に, 自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって, パレート効率的な配分を実現し, かつ, 合理的な参加者が損害を被らないようなオークションプロトコルを設計する.本論文で提案するオークションプロトコルは以下の4つの特長を持つ.(1)専門家にとって真の申告をすることが支配戦略である.(2)専門家の人数に関する仮定の下で, 素人にとっても, 真の申告をすることが支配戦略となり, 反復支配戦略均衡を得られる.(3)反復支配戦略均衡のもとでパレート効率な割り当てを実現する.(4)非合理的なプレイヤが存在しても, その数がある閾値以下ならば, 合理的なプレイヤは損をしない.
著者
伊藤 孝行 横尾 真 松原 繁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.614, pp.11-16, 2003-01-23

インターネット上のオークションでは,不特定多数の人間が商品(財)を販売しており,商品の質を正確に見極めるのは困難である.例えば,骨董品が売られていたとしても,その骨董品が本物であるか偽物であるかを見極めることは難しい.そこで筆者らは過去に,買い手が財の質(例えば本物か偽物か)について正確に判断ができない場合,条件付きの入札が可能なオークションプロトコルを提案した.ここでは,専門家に,自然の選択に関する情報を正しく申告させることによって,合理的な参加者が損害を被らないようなオークションプロトコルの設計に成功した.本論文では,上のような状況において,複数財の組合せに対して入札が可能なオークションを設計する.ここで,専門家が単一の財に関して専門知識を持つ場合と複数の財に専門知識を持つ場合が考えられる.前者の場合でも複雑な問題であるが,後者はより複雑な問題になっている.そこで,本論文では,まず前者の場合のオークションプロトコルを設計する.すなわち,単一の財に関して専門知識と興味を持つ専門家に自然の選択に関する情報を正しく申告させ,素人にとって,真の申告をすることが最適反応戦略になるプロトコルを設計する.