著者
中山 二博 濱坂 卓郎 大勝 貴子 梶原 和美 小椋 幹記 黒江 和斗 伊藤 学而
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.49-57, 2003
被引用文献数
7

近年,増加している成人女性の矯正治療に伴う問題点を調査するため,鹿児島大学歯学部附属病院矯正科では,就業女性の矯正治療モニターを募集した。矯正治療モニターに応募した123名のうち,モニター選考の口腔診査に参加した67名にアンケート調査を行い,矯正治療を受けようと決めた動機と矯正治療モニターに応募した経緯を分析した。矯正治療の動機は,歯並びの見た目が悪い97%,顔貌が気になる66%,歯磨きがしにくい64%などであった。歯並びが気になり始めたのは13〜15歳,顔貌が気になり始めたのは16〜18歳であった。対象の90%は矯正治療の未経験者で,治療を受けなかった理由は治療費が高い82%,治療期間が長い75%などであった。応募の動機は,モニター募集に触発された88%,治療費が減額される78%,大学病院だから安心73%などであった。治療を始めようと思った理由は,モニター募集があったから82%,経済的余裕ができた46%,大人でも治療できると分かった39%などであった。モニター応募者には10代から審美的改善への欲求があった。受療に至らなかった理由として費用,治療期間などのほか,成人は矯正治療できないと考えていた者が3割もあり,矯正治療に対する正確な情報が不足していることが明らかになった。矯正治療モニターの募集が,結果的に成人の矯正治療に関する情報不足の解消と,潜在的治療希望者に受療のきっかけを与えた。
著者
花村 剛 市川 正浩 伊藤 朝香 福山 江里子 太田 啓路 朴芝皓
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.65, pp.35-40, 2004-06-18
被引用文献数
2

現在のコンテンツ制作は、大画面から携帯端末の画面にいたるまで多様な受信端末にあわせて個別に行っており、非効率的であるといえる。そこで筆者らは、高精細コンテンツを、多様な受信端末に合わせスケーラブル変換するアーキテクチャを開発した。さらに受信端末やカテゴリに適したコンテンツの変換(クロップ、縮小)方法について人間工学的検討を行ったので報告する。This research aims to establish a scalable conversion method of video contents according to the video contents or the display capacity of the receiving termihal. We examined the three crop (cut) methods when converting HD videos to QVGA and SQVGA size. The appropriate crop methods for display size were discussed from the results of the user evaluation experiments.
著者
伊藤 喜栄 田口 芳明 矢田 俊文
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.451-458, 2000-12-31

1999年4月24日午後, 関西大学100周年記念会館にて, 経済地理学会関西支部特別例会が開催された.以下には, 小杉 毅氏による問題提起, 伊藤, 田口, 矢田の3氏の報告要旨, 石原照敏, 辻 悟一, 森川 滋, 川島哲郎の4氏からのコメントを中心に討論の概要を掲げる.なお, コーディネーターは, 小森星児氏(神戸山手大学長)が, 司会は加藤恵正(神戸商科大学)が務めた.
著者
伊藤 憲二
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

日本の初期における産業用ロボットに関して次のことが明らかになった。1.日本におけるロボット、機械、そして科学技術の文化的位置づけに関して(1)産業用ロボットが導入された時期の目本は、文化的にロボットを受け入れやすい状況にあったことを確認した。その原因は、第一に、日本の文化・社会における科学技術の位置づけであり、第二に、日本の社会・文化におけるロボットというものに対する見方である。これは相互に関連しており、ロボットが未来の科学技術を象徴すると同時に、戦後日本の科学技術に対するきわめてポジティブな観点が、ロボットに対する見方をポジティブなものにしていた。それは鉄腕アトムなどの大衆文化におけるやはりロボットおよび科学技術に対するポジティブな表象を生み出し、そしてそのような文化表象が科学技術およびロボットに対するポジティブなイメージを流通・定着させていた。(2)文化的要因だけでなく、そのほかに社会的・組織論的要因が働いていた。このこと自体はすでに指摘されていたことであるが、本研究でむしろ着目するのはこのような要因がしばしば隠蔽されていることである。2.産業用ロボットにおけるユーザーの問題に関して(1)産業用ロボットのユーザーがロボットの製作にかかわり、やがてはマニュファクチャラーになるという課程を明らかにした。(2)これに関連して、科学技術論におけるユーザーの問題に対して、ユーザーの捉え方に新しい視点を提示した。ユーザーは必ずしも大衆・消費者ばかりではない、という事である。それを実例をもって示した点は、ユーザーの概念的位置づけと、それに基づく技術のユーザー論において、一つの成果であると考えられる。
著者
伊藤 元之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.23, pp.11-16, 2003-03-06
被引用文献数
2

現在我々は、社内情報システムに関する社内からの問い合わせに答える際に、社内ヘルプデスクオペレータが使用するための、過去の応対事例記録検索システムを作成している。これまで、全文検索システムをベースにシステムを開発してきたが、全文検索では、問い合わせの意味内容を捉えた検索が十分に実現できないという問題点がある。従来型の検索システムでも、(1)語に重要度を導入し、適合度評価の際に重み付けをする、(2)句や節といった構文構造単位の合致度に着目し、そのレベルでの合致性を適合度評価に加味する、といった補完的措置が試みられているが、根本の検索原理が、統計処理であるために、その種の、意味を考慮した補完措置との整合性のコントロールが難しく、安定に精度を上げていくことが難しい。本研究では、ドメインモデルの導入により、意味情報をより安定に利用できる検索システムを実現する方法について検討する。In the field of document search, many full-text search systems have developed by applying various statistical analysis methods. But to establish a truly flexible search system, we must introduce some semantic-based analysis methods to the system. We have now constructed the document search system which prepare for a domain model on which the system interprets input queries.
著者
伊藤 榮子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-21, 2005-03-15

本研究は、幼少期から学童中期までの学習経験が、その後の成長にもたらす影響を知るため、家庭・学校・社会の生活区分の調査項目、現在の人格的特性の自己評価項目を135人の看護短大生を対象に調査した。結果の分析は「はい」70%以上の集団と「いいえ」50%以上の集団に分けて行った。両集団に統計学的に有意差が認められたのは家庭生活であり、学校・社会生活には両集団に鮮明な差はなかった。その結果、以下のことが明確になった。 1.「はい」の集団の家族は、家庭内の規則遵守・習慣形成などで厳しい。忍耐や知的抑制、自己抑制への関心が高い。社会的な伝達機能の育成・知的能力への関心も高く、希望と上昇志向も同様である。2.「いいえ」の集団は「物事の判断は直感に頼る方」であり、感情表出もしないで抑えてしまう可能性がある。この集団の家族は「応答性の質」と「発達の臨界期」を無視する可能性がある。
著者
塚田 和美 伊藤 順一郎 大島 巌 鈴木 丈
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.67-73, 2000-04-01

心理教育が精神分裂病者の家族の感情表出(EE)を低下させ,再発を予防することが,欧米各国で報告されている。我が国の現状に即した心理教育が,同様の効果を持つかどうかを検証することは有意義だと思われる。そこで国府台病院に入院した85例の精神分裂病者とその家族を無作為に介入群と対照群に振り分け,心理教育の効果を検定した。すべての重要な家族員は入院直後,退院直後及び退院9ヶ月後にEEを測定され,介入群の家族は毎月1回,計10回の心理教育を受けた。その結果,介入群の退院後9ヶ月までの再発率は,対照群に比して有意に低下した。また,再発しやすいハイリスクグループである高EEのみの検定でも,同様の結果となった。一方,EEの下位尺度である批判的言辞(CCs)と情緒的巻き込まれすぎ(EOI)については,高CCsが両群とも時間の経過とともに有意に低下したにも関わらず,高EOIは介入を受けなければ低下しないことが明らかになった。これにより,国府台モデルの心理教育はEEの低下と再発予防に有効であることが証明された。
著者
神戸 祐一 伊丹 誠 伊藤 紘二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.41, pp.29-34, 2001-06-22

OFDMを用いた放送波中継SFNは, 局間で信号の送信タイミングを制御して遅延時間をガードインターバルの範囲内に収めることが困難である.また, こういったサービスエリアが重なる地域はサービスエリアの端になるため, C/Nが劣悪となる.そこで本稿では, 中継局において再放送するシンボルに遅延を加え, 異なったシンボルタイミングで送信することで中継波の遅延時間の許容範囲が拡大されることを示す.更に, 受信ではアレイアンテナを用いて, 主局及び中継局からのt信号を分離する.そして, 分離された信号のシンボルタイミングを合わせた後, 合成を行い特性の改善を図る.この提案方式について理論解析, シミュレーションを行い, 従来方式との比較により性能の評価を行う.
著者
小松 洋治 益子 良太 土田 幸広 柴田 智行 伊藤 政美 目黒 琴生 小林 栄喜 吉澤 卓 能勢 忠男
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.10, pp.654-659, 2001-10-20
被引用文献数
6

ウイリス動脈輪前半部未破裂脳動脈瘤クリッピンク手術の認知機能への影響および予後因子を, 連続40症例についてprospectiveに検討した.術前, 術後3カ月にMMSE, 仮名拾いテストを行い, 各検査単独, および総合評価である浜松方式簡易痴呆診断スケールにより認知機能を評価した.認知機能は多くの症例で温存されたが, 継続的障害が2.5〜5.0%に, 一過性障害が7, 5%にみられた.継続的障害に関与する危険因子はみられなかった.一過性障害を含めた検討では, 70歳以上の高齢が有意な因子であった.術前の浜松式非正常, 仮名拾いテスト不合格, 虚血性脳血管障害合併の3因子は, 予後との関連が示唆された.未破裂脳動脈瘤手術成績は, 認知機能の観点からは良好であるるが, 高齢者, 虚血性脳血管障害合併症例, 前頭葉機能低下例では, より慎重な対応が必要である.
著者
金子 正幸 葭原 明弘 伊藤 加代子 高野 尚子 藤山 友紀 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.26-33, 2009-01-30
被引用文献数
6

平成18年度より,地域支援事業の一環として口腔機能向上事業が実施されている.本調査の目的は,口腔機能向上事業が高齢者の口腔の健康維持・増進に与える効果を検討し,今後の事業展開のための指針を得ることである.対象者は65歳以上の高齢者で,基本健康診査を受診し,厚生労働省が示す特定高齢者の選定に用いる基本チェックリストの「半年前に比べて固い物が食べにくくなりましたか」「お茶や汁物等でむせることがありますか」「口の渇きが気になりますか」の3項目すべてに該当する55名である.対象者に対して,口腔衛生指導や集団訓練としての機能的口腔ケアからなる口腔機能向上事業を,4回または6回コースとして3ヵ月間実施した.口腔衛生状態,口腔機能およびQOLについて事業前後の評価を行った.その結果,反復唾液嚥下テスト(RSST)積算時間は,1回目:事前7.5±5.6秒,事後5.6±3.1秒,2回目:事前16.2±9.7秒,事後12.4±6.9秒,3回目:事前25.7±14.7秒,事後19.4±10.9秒と改善がみられ,2回目,3回目について,その差は統計学的に有意であった(p<0.01).口腔機能についてはその他のすべての項目について,統計学的に有意な改善がみられた.本調査より,新潟市における口腔機能向上事業は,高齢者の摂食・嚥下機能をはじめとした口腔機能の維持・増進に有効であることが認められた.
著者
横田 雅也 築地 立家 藤井 愼二 伊藤 大雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.58-61, 2001-01-01
被引用文献数
1

縦横Nますに王将を除く各駒がO(N)枚ずつ配置されている盤面が与えられたとき, 詰み手順があるかどうかを判定する問題を一般化つめ将棋問題と呼ぶ.伊藤らはその計算複雑さがNP困難であることを証明した.本論文では盤面とともに手数の上限を単進数で与えたときの一般化詰め将棋問題がPSPACE完全であることを証明する.