著者
井上 栄一 本間 貴司 佐々木 道康 郷内 武 霞 正一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.199-203, 2012 (Released:2012-07-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1

クリの自家不結実性は,他の果樹のようには完全でないと報告されているが,その自家結実性の程度については明らかになっていない.そこで本論文では,花粉遮断試験とSSR遺伝子座の遺伝解析によって,品種間における自家結実性の変異を明らかにした.花粉遮断試験の結果,調査した51品種・系統の約47%にあたる24種類において結実が確認された.そのうちの5品種とその自家結実実生13個体について,SSR遺伝子座の遺伝を確認したところ‘伊吹’,‘大峰’および‘豊多摩早生’由来の8個体が自殖実生であると推察された.特に,‘豊多摩早生’に関しては着毬率(62.5%)と結果率(33.3%)も他の品種・系統と比較して極めて高く,調査した6個体すべてが自殖実生であることが確認された.一方,‘笠原早生’,‘丹沢’および‘大峰’に由来する5個体は,他家受粉に由来すると考えられた.以上の結果より,クリにおいては品種によっては自家結実が可能であるが,それはごく低頻度であり,基本的には自家不結実であると結論した.しかし,今回用いた品種・系統のうち,‘豊多摩早生’だけは自家結実性と判断した.
著者
中村祐基 中島裕聡 高木正則 山田敬三 佐々木淳
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.863-865, 2014-03-11

近年,大学生の就職活動と企業の採用活動のミスマッチが問題となっている.学生は大企業志向の傾向が強く,普段あまり目につかない業種や中小企業に目を向けて採用先を探しきれていない.本研究では,企業が求める人材像と学生の適性とのマッチング支援を目的とし,就職活動支援システムを提案する.本システムは,学習成果物と学生のスキル向上過程の気づきを記録するeポートフォリオと,企業の採用ページから特徴語を抽出し,その特徴語とeポートフォリオに蓄積された学生の能力(社会人基礎力等)スコアとの適合性に基づいて,マッチング度合を提示する機能から成る.本稿では,本システムの概要とプロトタイプシステムの開発について述べる.
著者
能城 修一 佐々木 由香 鈴木 三男 村上 由美子
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.29-40, 2012 (Released:2021-03-17)

近年,コナラ属アカガシ亜属のうちイチイガシの同定が木材組織から可能となり,それをもとに,関東地方で弥生時代中期から古墳時代の木製品を多数産出した7 遺跡を対象として,アカガシ亜属の木材を再検討した。その結果,この時期を通して鋤鍬にはイチイガシが選択的に利用されていた。海岸に近い神奈川県池子遺跡と,千葉県常代遺跡,国府関遺跡,五所四反田遺跡では,鋤鍬の完成品だけでなく,未成品や原材でもイチイガシとイチイガシの可能性の高い樹種が50 ~ 70%を占めており,遺跡周辺で原材の採取から加工までが行われていたと想定された。それに対し,内陸部の埼玉県小敷田遺跡と群馬県新保遺跡ではイチイガシの利用比率が下がり,イチイガシ以外のアカガシ亜属やコナラ属クヌギ節を鋤鍬に用いる傾向が認められた。もっとも内陸部の新保遺跡では,鋤鍬の完成品だけでなく未成品や原材でもイチイガシ以外のアカガシ亜属とクヌギ節がほとんどを占め,イチイガシの鋤鍬は完成品と未成品が少数しか出土せず,これらは関東地方南部から移入されたと想定された。鋤鍬以外の木製品では,神奈川県や千葉県の遺跡でもアカガシ亜属以外の樹種が70%以上を占め,アカガシ亜属の中でもイチイガシの比率は低い。このように,イチイガシが鋤鍬に限定して選択されていた理由は,イチイガシの木材がアカガシ亜属の他の樹種の木材に比べて柔軟性があり,軽いわりに強度があるためであると想定された。
著者
佐々木 正
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.289-300, 1981-04-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
91

Beginning from a general survey of the characters of polycarbocyclic compounds as one of the possible future ones, the importance and utility of the pericyclic reactions are discussed from a viewpoint of their synthesis and their synthesis is reviewed on the focus of the intramolecular Diels-Alder reactions.
著者
佐々木 かほる
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-11, 2009-03

目的:明治期に生きた津久井磯の個人史から「産婆並びに病人看護婦養成」,「群馬産婆会」の創立に至った所以を明らかにする.方法:津久井磯が群馬県知事宛に申請した「私立産婆学校設立御伺書」,「津久井磯遺徳碑」,当時の新聞,群馬県史,前橋市史,議会文書等からの史料収集,整理,精読し,津久井磯の背景と「産婆並びに病人看護婦養成」および「群馬産婆会設立」との関連を分析する.結果:(1)津久井磯は,自ら校長となり私立産婆学校を開校し,人々に最良の看護が受けられるよう質の向上を目指して産婆自身による教育を行った.このことによって無資格者を少なくした.(2)群馬産婆会を組織し,行政や社会へ産婆の質向上を目指して組織的に働きかけると共に,明治期の職業婦人として先駆的役割を果たした.(3)群馬産婆会を組織し,職業的倫理を広め産婆の社会的地位を高めた.(4)津久井磯は,明治の近代化の真っ直中を生きた人であり,常に社会に目を向け,産婆の身分の確立を目指して挑戦し続けたと言える.寄稿

2 0 0 0 OA 微生物腐食

著者
佐々木 英次
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.475-480, 1997-08-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

A brief overview was done on the mechanisms of Microbiologically Influenced Corrosion (MIC). MIC of steels, stainless steel, copper and aluminum alloys were discussed.
著者
岡澤 香津子 若林 雅人 松岡 慶樹 佐々木 伸一 水越 裕樹 竹原 恵美子
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.83-89, 2013 (Released:2013-09-05)
参考文献数
15

Objective: The present study investigated awareness and knowledge about clinical trials among pharmacists working in the Nagano Hokushin area as well as their contribution to the enlightenment of clinical trial.Methods: A questionnaire survey of clinical trials was conducted to evaluate levels of interest, impressions, sources of information, and knowledge among hospital and community pharmacists.Results: We received responses from 77 hospital and 67 community pharmacists.  The levels of interest in clinical trials were not significantly different between hospital and community pharmacists.  About impressions, hospital pharmacists thought that clinical trials were “a new development.”  Contrarily, community pharmacists thought that clinical trials were “a field that they were seldom concerned with.”  About sources of information, hospital pharmacists found that “study meetings” were the most informative.  More community pharmacists than hospital pharmacists chose “general reports, for example, newspapers and televisions” as a source of information, and similarly more community pharmacists indicated that they had “few opportunities for obtaining information about clinical trials.”  About knowledge, the percentage of correct answers about clinical trials between hospital and community pharmacists was not significantly different.  A higher percentage of community pharmacists than hospital pharmacists answered unknown.Conclusion: Hospital and community pharmacists had different impressions and knowledge about clinical trials probably because of differences in sources of information and its access.  Henceforth, study meetings involving educational material about clinical trials should be held for discussing fundamental knowledge about the methods and structure of clinical trials and for discussing case studies wherein patients consult pharmacists about clinical trials.
著者
田阪 茂樹 松原 正也 佐々木 嘉三
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

神岡鉱山内「茂住」と,福井県「和泉」は,地震にともなう地下水の変化が観測される可能性があり,本科学研究経費で施設整備した観測地点である。岐阜県における地下水中ラドン観測地点はこれらを合わせて,全体で20箇所の観測点となる。平成10年4月から平成11年9月の観測期間において,岐阜県及びその周辺地域の,岐阜県神岡町「割石温泉」,福井県和泉村「平成の湯」,岐阜県養老町の3つの観測地点で,地震に伴う地下水の湯量・泉温・ラドン濃度の変動の観測データを捉えることができた。平成10年8月7日14時頃から長野・岐阜県境で群発地震が発生した。「割石温泉」観測点で,この群発地震の起こる約8時間前に泉温が約1.0℃低下し,湯量も約3週間前から毎分59から55.6lまで減少した。この観測結果は,降雨の影響ではないかと検討したが,群発地震の前兆現象である可能性が高いと結論される。引き続いて,群発地震で最大のマグニチュード5.4の地震が8月16日3時31分に岐阜県飛騨地方で発生した。この地震発生に伴って,湯量が毎分57から79lに急増し,泉温が1.5℃上昇した。ラドン濃度は地震前の減少傾向から,地震後に増加し始めた。また,地震の前後での湯量データの潮汐解析結果から,地震の前後で潮汐成分の位相と振幅に変化がある事が判明した。これは地殻の体積歪みの変化を意味するものである。割石温泉におけるこれらの観測結果は,過去20年間の湯量観測の結果を確認するとともに,今後の地震予知につながる貴重な観測データであると評価される。
著者
平部 正司 善久 竜滋 宮元 裕章 生田 耕嗣 佐々木 英作
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.195-204, 2019 (Released:2019-12-01)
参考文献数
13

5G やBeyond 5G に向けて基地局の大容量化が進み,バックホール,及びフロントホールの大容量化の要求が高まっている.近年,無線通信の大容量化技術としてOAM(Orbital Angular Momentum)モード多重無線伝送が注目されている.本稿ではOAM モード多重無線伝送をミリ波に適用することによりスモールセルのバックホール,フロントホールに向けた100Gbit/s クラスの無線伝送が可能であることを示す.OAM モード多重無線伝送技術について解説し,筆者らが行ったOAM モード多重無線伝送実験結果について解説する.筆者らは等間隔円形素子配置アレーアンテナ(UCA:Universal Circular Array)とDBF(Digital Beam-Forming)技術で構成したOAM モード多重無線伝送実験装置によりE-BAND で屋外伝送実験を行い,8OAM モード多重と偏波多重により256QAM で16 多重の伝送を達成した.
著者
横山 朋子 一杉 正仁 佐々木 忠昭 長井 敏明 今井 裕 徳留 省悟
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.107-111, 2005-09-19 (Released:2017-04-27)
参考文献数
9

獨協医科大学口腔外科で外科治療を必要とした未成年患者のうち、母親がエホバの信者であった3人を対象にインフォームド・コンセントの過程および治療経過を参考に、輸血の可否を決定する際の望ましい対応法について検討した。15歳と17歳の患者は本人の意思にもとづいて、それぞれ輸血を承諾した。また、9歳の患者は十分な判断能力があると思われ、本人および母親の希望で非観血的治療を行った。未成年者が意思決定を行う際に、親の影響を受けることは十分に考えられるが、本人の判断能力の有無を見極めるには、年齢のみでなく患者との十分なコミュニケーションにもとづいて慎重に行うことが重要である。未成年者においても、判断能力がある場合には本人の意思を尊重すべきである。また、判断能力が不十分な場合や患者の意思が確認できない場合には、保護者の意思を最大限に尊重しながら、倫理委員会や複数の医師の判断で輸血の可否を決定することが望ましいと思われた。
著者
河野 康一 佐々木 光信 嘉藤田 進 片桐 聡 深谷 正道 藤井 大輔 宇都出 公也
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.156-162, 2012-06

本年(2011年),当社より発売したがん保険の新商品「Days」においては,がんに対する放射線治療の給付要件「50グレイ以上の照射で,施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする」から「50グレイ以上の照射で」(以下,総線量50Gy規定と記載する)の規定を廃止した。本規定はもともと1981年に作成された「疾病・手術に関する全社統一約款」において,当時のがん治療の実態から手術給付金の一つとして設けられたものであった。その後,放射線治療は多様化・個別化しており,現在では,臨床と保険給付要件との間に乖離が生じている。当社では,がん保険の新商品の発売に当たり,現在のがん医療の実情に合わせた保険とすべく約款内容の検討を行った。総線量50Gy規定の廃止もその一つである。本規定の廃止は,本邦のがん保険においては当社が初めて行ったものであり,歴史的にも意義の深いものと考えられるので,ここに報告する。
著者
佐々木 彩恵子 野崎 章仁 才津 浩智 宮武 聡子 松本 直通 熊田 知浩 柴田 実 藤井 達哉
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.405-407, 2017 (Released:2017-12-12)
参考文献数
8

COL4A1はⅣ型コラーゲンのα1鎖をコードする遺伝子で, 孔脳症や裂脳症の原因となる. 我々は, 孔脳症・裂脳症を認めず, 多彩な頭部画像所見よりCOL4A1関連疾患の診断に至った1例を経験した. 症例は21歳女性. 正期産で仮死なく帝王切開で出生した. その後精神運動発達遅滞と小頭症を認めた. 7カ月時にWest症候群を発症した. 頭部画像検査で脳室周囲の白質病変, 側脳室拡大, 小脳萎縮と脳内石灰化を認めた. 原因確定はできず, 痙直型四肢麻痺として経過観察となった. 19歳時にラクナ脳梗塞を発症し, 上記画像所見に加えて微小脳出血および脳動脈瘤も判明した. 虚血性病変と出血性病変を伴っていたことより, COL4A1関連疾患の可能性を考慮した. 遺伝カウンセリングを行い, COL4A1遺伝子解析を行った. 新規なc.2504G>A (p.Gly835Glu) 変異をde novoに認め, COL4A1関連疾患と確定診断した. 原因不明の麻痺例の中にCOL4A1関連疾患が存在する可能性がある. また常染色体優性遺伝疾患であるため, 診断の際には遺伝カウンセリングが重要である.
著者
渡辺 勝久 北出 利勝 廖 登稔 佐々木 和郎 北小路 博司 石丸 圭荘 大山 良樹 木下 緑 岩 昌宏 山際 賢 大藪 秀昭
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.154-159, 1993-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

顎関節症は開口障害, 顎関節の疼痛, 関節雑音を主症状とする疾患で, 近年, 若年者を中心に増加の傾向にある。顎関節症は髄伴症状として, 鍼灸治療の適応である頭痛, 頸肩部の凝りなどの不定愁訴を有している場合が多い。そこで, 顎関節症に対する認識をより深め, 具体的な鍼灸治療の方法について, ビデオ教材を作成した。ビデオ教材の内容は, 前半は顎関節の解剖, 顎関節症の病態と分類などを解説し, さらに, 顎関節のMRI画像を紹介した。後半は診察の手順と治療を解説した。鍼灸治療は, 局所的常用穴を述べ手技の実際を紹介した。