著者
渡邊 真平 齋藤 昌利 埴田 卓志 佐藤 信一 池田 秀之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

人工子宮システムを用いれば,妊娠90から100日まで (ヒトの妊娠24-27週に相当),安定した胎児循環のもとで合併症なく,母獣の子宮内で育った胎仔と同等に育てることができることを証明する.また子宮内炎症に曝露された胎仔でも人工子宮システムで安全に成育できることを証明する.
著者
日野 智 岸 邦宏 佐藤 馨一 千葉 博正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.827-834, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

整備新幹線である東北新幹線盛岡-新青森間が開通した後、並行在来線である東北本線盛岡-青森間は第三セクターとへ経営が移管される。しかし、同区間は北海道と本州とを結ぶ鉄道貨物列車の主要経路であるため、第三セクター化後の鉄道貨物輸送存続が懸念されている。そこで、本研究は鉄道貨物の必要性を示し、代替経路や代替機関による輸送についても検討する。結果として、東北本線経由の鉄道貨物輸送は大きな役割を果たしており、鉄道貨物を存続させた方が関係主体合計の負担は少ないことが明らかとなった。
著者
髙谷 新 安保 寛明 佐藤 大輔 新宮 洋之
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.28-37, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
29

本研究は,看護師長のリーダーシップと看護職員の心身のストレス反応の関連において,仕事のストレス要因の高低による看護職員のワーク・エンゲイジメントの媒介効果の影響を明らかにすることを目的とする.16病院の看護職員1,213人を対象に無記名自記式質問紙調査を行い,マルチレベル相関分析および調整媒介分析を行った.有効回答は403部であった.マルチレベル相関分析では,個人レベルでワーク・エンゲイジメントと看護師長のリーダーシップに正の相関が,職業性ストレスとは負の相関が認められた.また,集団レベルでは看護師長の人間関係志向のリーダーシップと職業性ストレスに負の相関が認められた.調整媒介分析では,高ストレス状況下での変数間の関連について推定を行い,結果として課題志向,人間関係志向両方のリーダーシップの発揮が看護職員のワーク・エンゲイジメントを媒介し,心身のストレス反応に影響を与えていたことが明らかとなった.
著者
藤盛 真樹 鳥谷部 純行 角 伸博 嶋﨑 康相 宮澤 政義 宮手 浩樹 北田 秀昭 佐藤 雄治 三澤 肇 山下 徹郎 中嶋 頼俊 針谷 靖史 小林 一三 西方 聡 太子 芳仁 杉浦 千尋 笠原 和恵 浅香 雄一郎 榊原 典幸 岡田 益彦 柴山 尚大 末次 博 鈴木 豊典 阿部 貴洋 谷村 晶広 工藤 章裕 道念 正樹 川口 泰 野島 正寛 牧野 修治郎
出版者
公益社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.168-183, 2022-04-20 (Released:2022-06-20)
参考文献数
38

Tooth extraction is reported as the main trigger of bisphosphonate (BP) -related osteonecrosis of the jaw (BRONJ). A method to prevent BRONJ has not been scientifically proven. The American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons (AAOMS) differs from the International Task Force on Osteonecrosis of the Jaw with regard to the prevention of BRONJ via prophylactic withdrawal before tooth extraction. We performed a multicenter prospective study regarding the development of BRONJ after tooth extraction in BP-treated patients for the purpose of determining factors associated with the frequency of BRONJ. We extracted teeth from patients with a history of current or prior treatment with BP preparations; teeth were extracted using a common treatment protocol. The presence or absence of BRONJ and adverse events were evaluated. A total of 1,323 cases were targeted for this study; 2,371 teeth were extracted. The overall incidence of BRONJ was 1.74%; in the prophylactic withdrawal group it was 1.73%, whereas in the prophylactic non-withdrawal group it was 1.75%. Factors associated with the onset of BRONJ were sex, preparation adaptation classification, oral hygiene state, site of tooth extraction, and Denosumab usage. From analysis that considered the effect of confounding using the propensity score, prophylactic BP withdrawal did not result in a reduction of BRONJ (onset odds ratio with withdrawal: 1.13, 95%CI 0.36-3.57).
著者
佐藤 正之
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.274-288, 2018-12-25 (Released:2019-01-09)
参考文献数
43

認知機能の脳内機構を探るには,特定の能力のみが選択的に障害された純粋例が有用である.純粋失音楽症(pure amusia)はこれまでに9例報告され,右上/中側頭回の皮質・皮質下が共通して障害されていた.一方,音楽的情動だけが障害された音楽無感症(musical anhedonia)は,筆者による2例も含め,これまでに5例が報告され,右島後部から上側頭回が主に侵されていた.音楽の知覚・認知が障害されたにも拘わらず,音楽的情動が保たれていた症例が存在することから,両者は少なくとも一部は脳内で異なる神経基盤を有すると考えられる.これらの結果は,過去に報告された脳賦活化実験の所見とも一致している.今後も,症例研究と脳賦活化実験のそれぞれの特徴と限界を理解したうえでの検討が求められる.
著者
佐藤 年明 Satou Toshiaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.171-183, 2006

本稿は、日本教育方法学会第41回大会における筆者の自由研究発表「思春期の性教育における男女別学習と男女合同学習の意味‐スウェーデン王国の事例を参考に‐」(2005年10月2日、鹿児島大学教育学部)の発表時配布資料を一部修正、加筆したものである。社会における男女平等、男女共同参画社会の推進の流れの中で、わが国の小中学校における性教育についても、かつての小学校における女子のみの初経指導と男子の放置という貧弱な性教育の実態への反省もあって、学級において男女合同で性に関する学習を行なうことが望ましいと考える関係者が多いのではないかと思われる。しかし、思春期特有の性に関する強い羞恥心と児童生徒の自らの性のprivacyを守りたいという正当な要求に配慮するならば、学習過程で男女別学習を組み込むことが効果的である場合もある。このことを日本とスウェーデンの実践事例の検討を通じて考察した。但し、性の学習における「男女」という二区分は、性自認や性志向におけるマイノリティの立場にある児童生徒がクラスに存在する場合には、却って弊害をもたらす場合もあり、当事者との協議を含む慎重な対応が必要である。
著者
佐藤 宏美
出版者
日本老年行動科学会
雑誌
高齢者のケアと行動科学 (ISSN:18803474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.82-97, 2022 (Released:2022-12-30)

人生の後半の生活の質の維持向上に,創造的音楽活動への参加の有効性が確認されている。一方で,楽器演奏などの経験の浅い高齢者が,音楽活動に参加する際の障壁の大きさが課題としてあげられる。そこで本研究では,伴奏追随機能付きの楽器「だれもピアノ」を用いて,高齢者のためのレッスンプログラムを開発し,実際に参加者を募りその有効性を探索的に確認することとした。6人の高齢者を対象に全8回のレッスンシリーズを実施し,気分の変化と日常生活における変化を質問紙調査により把握した。その結果,レッスンシリーズ参加前後の気分の「活性度」および音楽活動や対人交流に,前向きな影響が示された。これらより,「だれでもピアノ」が短期間で高齢者の自律性と有能感を高めうる有効なツールである可能性が示唆された。
著者
佐藤 賀一
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.22-49, 2017 (Released:2017-11-29)
参考文献数
49

2銘柄の株価の過去の価格変動を分析して利益を求める運用戦略にペアトレードという手法がある.本稿ではElliott et al. (2005) が示した確率的スプレッド方式のペアトレードを発展させ,「移動平均乖離率」というテクニカル指標を使用したペアトレードを提案する.具体的には,25日移動平均乖離率の差をAR(1)モデルに当てはめ,TOPIX Core30構成銘柄を対象に平均回帰スピードの速い株価の組み合わせを抽出してペアトレードを組む方法を用いる.実証分析の結果,上述のテクニカル分析に基づくペアトレードは分析対象期間である2002年1月から2016年6月まで,Gatev et al. (2006) が示した方法によるペアトレードや配当込TOPIX Core30指数を上回る優れた収益率を示すことができた.この結果は取引コスト等も考慮した結果であるため,ウィーク・フォームの市場効率性に対する1つの反例と考えられる.
著者
佐藤 志貴 赤間 怜奈 大内 啓樹 鈴木 潤 乾 健太郎
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.53-83, 2022 (Released:2022-03-15)
参考文献数
48

雑談対話応答生成システムの日々の改良が望ましい方向に効いているか継続的に評価するといった用途として,システムを低コストで評価できる自動評価の枠組みの確立が求められている.しかし,BLEU など,応答生成の自動評価に広く用いられている既存の指標は人間との相関が低いことが報告されている.これは,一つの対話履歴に対し適切な応答が複数存在するという対話の性質に起因する.この性質の影響を受けにくいシステムの評価方法の一つに対話応答選択が考えられる.対話応答選択は,対話履歴に対し適切な応答を応答候補から選ぶタスクである.このタスクではシステムの応答が候補内の発話に限られるため,前述した対話の性質の影響を回避した評価が可能である.一般に対話応答選択では,対話履歴に対する本来の応答(正例)に加え,誤り候補(負例)を無関係な対話データから無作為抽出し応答候補を構成する.しかし,この方法では,正例とかけ離れすぎていて応答として不適切と容易に判別できる発話や,応答として誤りとはいえない発話が負例として候補に混入し,評価の有効性が低下する可能性がある.本論文では,負例を厳選することで不適切な負例の混入を抑制した対話応答選択テストセットの構築方法を提案する.構築したテストセットを用いた対話応答選択によるシステム評価が,BLEU など既存の広く用いられている自動評価指標と比べ人手評価と強く相関することを報告する.
著者
佐藤 夕夏 赤坂 卓美 藪原 佑樹 風間 健太郎 河口 洋一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.1928, (Released:2020-11-10)
参考文献数
74

洋上風力発電は陸上風力発電よりも極めて大きな発電量を持つことから、近年気候変動問題の緩和策として最も有力視されている再生可能エネルギーのひとつである。その一方で、風車への海鳥の衝突等、野生動物への影響も懸念されている。このため、海鳥の生息に配慮した風力発電事業計画のための実用的なセンシティビティマップが求められるが、多くの国で作成されていない。本研究は、海鳥類への影響を最小限にとどめることを目的に、オオセグロカモメ Larus schistisagusをケーススタディとし、本種の生息場選択に関わる要因を明らかにし、センシティビティマップを作成した。 2018年 6-8月に、北海道道東地方に生息するオオセグロカモメ 6個体に GPSロガーを装着し 5分間隔で利用場所を特定した。オオセグロカモメの利用頻度は海水面温度、クロロフィル a、および営巣地からの距離が関係しており、海水面温度やクロロフィル aの上昇に伴い増加し、営巣地からの距離に応じて減少した。しかし、営巣地からの距離が 25 kmを越えた辺りからは横ばいとなった。これらの結果を用いてセンシティビティマップを作成したところ、営巣地に近接した海域だけでなく、遠方であっても潜在的に餌資源量が多い海域であれば、本種が風車に衝突する可能性が高くなることが示唆された。国内での洋上風力発電事業が計画されつつある今日では、本研究で示された手順で緊急にセンシティビティマップを作成し、事前の開発地選択に活用する必要がある。
著者
佐藤 美紀子 原 祥子 福間 美紀 加藤 真紀
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20190603055, (Released:2019-09-11)
参考文献数
115

脳卒中患者のセルフマネジメントに関する研究の動向と実態を明らかにすることを目的に,文献レビューを行った。医中誌,PubMed,CINAHLにおいて,国内文献7件,国外文献98件が抽出された。研究は2000年以降に報告されており,過去5年間の国外の介入研究が増加していた。国内では,実態調査と文献レビューのみであったが,国外では,尺度開発,支援ツールの開発,介入プロトコル,介入研究,介入プログラムの評価も行われていた。セルフマネジメントのプロセス全体を評価した実態調査は十分に行われておらず,介入プログラムも開発段階であった。適切なセルフマネジメント行動により,心身機能やQOLの向上が期待できる一方で,退院後の療養支援環境が十分に整っていないことが一因となり,適切な行動がとれない患者が一定割合で存在する実態が明らかになった。プロセス全体を評価できる指標や尺度の開発,実態に基づく介入プログラムの開発が求められた。
著者
小堀 善友 青木 裕章 西尾 浩二郎 佐藤 両 芦沢 好夫 八木 宏 宋 成浩 新井 学 岡田 弘
出版者
THE JAPANESE UROLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.548-551, 2012-05-20

(目的)不妊症の原因が膣内射精障害であるカップルは少なくない.これらの膣内射精障害患者に対し,マスターベーションエイドであるTENGA<sup>®</sup>を用いてリハビリテーションを行った.(対象と方法)男性不妊症患者で膣内射精障害を訴えた男性16人(29~48歳).非用手的マスターベーションや,強すぎるグリップなど,マスターベーション方法に誤りが認められる患者を10名認めた.テストステロン値には異常を認めなかった.外来にてカップルに対してカウンセリングと正しいマスターベーション方法を指導し,マスターベーションエイドを用いた射精リハビリを指導した.併用した薬剤や挙児希望者に対して用いた生殖補助医療についても検討した.(結果)16例中12例(75%)は射精リハビリテーションの結果TENGA<sup>®</sup>を用いてのマスターベーションは可能になり,マスターベーション方法は補正が可能であった.さらにこのうち5例(31%)は膣内で射精が可能になった.(結論)膣内射精障害は,潜在的に多くの患者がいる可能性がある.マスターベーション方法が間違っている患者に対しては,マスターベーションエイドにて補正が可能であり,膣内射精も可能になる事が示された.マスターベーションエイドは,膣内射精障害治療の選択枝の一つとなりうると考えられた.