著者
佐藤 篤司 和泉 薫 力石 國男 高橋 徹 林 春男 沼野 夏生
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2005

日本各地に甚大な被害をもたらした平成18年豪雪について、本研究では、大気大循環場と降雪特性、積雪特性の広域分布と雪崩災害、生活及び建築関連雪害、予測技術と軽減方策の四つの研究課題を設定し調査研究を実施した。大気大循環の調査からは、寒気の南下は38豪雪に次ぐ規模であり、特に12月は冬季モンスーン指標が過去50年で最大となったこと、それには熱帯域の影響も示唆されることなどの特徴が明らかになった。その結果、1月初旬に既に最深積雪に近い積雪を各地で記録した。この時点の広域での積雪分布を調査したところ、新潟県上中越から長野、群馬両県境にかけての山間部を始め、東北、中部、中国地方でも特に山間地域に多量の積雪が集中していたことがわかった。山間地での降積雪は必然的に雪崩を誘発し、数多くの乾雪表層雪崩の発生をみた。本研究では死者の出た秋田県乳頭温泉での雪崩を始め、多くの現地調査を行いその発生要因を調査した。また、広域の一斉断面観測により、早い時期からの積雪増加が高密度で硬い雪質をもたらしたことが観測され、それが生活関連雪害にも反映したことが推測された。生活関連雪害では、死者(交通事故を除く)の圧倒的多数(3/4)は雪処理中の事故によるものであった。その比率は56豪雪時(1/2)と比べて増加していること、多くは高齢者で全体の2/3をしめ、70歳代が群を抜き、高齢者が雪処理に従事せざるを得ない状況などが読み取れた。また、56豪雪と比べて家屋の倒壊による死者が多く、老朽家屋に高齢者が住んでいて被害に遭遇するという構造がうかがえた。さらに本研究では、積雪変質モデルを使った雪崩危険度予測を行い、実際の雪崩発生と比較検討するとともに雪崩の危険性によって長期間閉鎖された国道405号線に適用する試みや冬季のリスクマネジメントに関する調査等を実施し、雪氷災害の被害軽減に有効な手法についての研究も行った。
著者
小西 美ゆき 佐藤 禮子
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

原発がん手術体験を反映させた転移性肝がん患者の周手術期看護援助を検討するために、文献調査、患者を対象とした面接調査、看護師を対象とした面接調査、米国の私立病院の肝がん患者をケアする部門の視察を行った。原発がん手術による心身の影響を考慮すること、転移がんに直面する患者の心理に配慮すること、今後も続くがん治療・療養に対する視点をもつこと、患者のもつがんとともに生きる姿勢や力を尊重することが看護援助を考えるうえで重要であることが示唆された。
著者
前原 信敏 佐藤 久聡
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

Staphylococcus hyicusは子ブタの滲出性表皮炎の起因菌であり、本菌が産生するS.hyicus表皮剥脱毒素(SHET)により本疾病に特徴的な臨床症状が生じる。SHETはその分子中にセリンプロテアーゼ様構造を有するが、カゼイン分解能を有さないため、その標的物質は特殊な蛋白であることが推測されている。血清型A(SHETA)および血清型B(SHETB)の毒素は1日齢ニワトリひなの皮膚からEDTAにより抽出した液中の分子量40kDaの蛋白(P40)にのみ結合した。SHETAおよびSHETBは毒素感受性動物であるニワトリひなおよび子ブタのP40ならびに非感受性動物である哺乳マウスのP40の何れにも結合した。また、ニワトリP40に対する抗体はニワトリ、ブタおよびマウスP40の何れにも結合した。しかし、SHETAおよびSHETBはニワトリおよびブタP40を切断したが、マウスP40を切断できなかった。高度精製したニワトリP40のアミノ末端配列はウシ、イヌ、ヒトおよびマウスのデスモグレイン1(DSG1)およびDSG3の細胞外ドメインのアミノ酸配列と高度に合致した。そこで、抗ヒトDSG1血清と抗ヒトDSG3血清をニワトリ、ブタおよびマウスP40と反応させたところ、抗DSG1血清は全てのP40と結合したが、抗DSG3血清は何れのP40とも結合しなかった。SHETAおよびSHETBとニワトリ、ブタおよびマウスP40を反応させた後に抗DSG1血清と反応させたところ、ニワトリP40とブタP40には結合しなくなったが、マウスP40には依然として結合した。以上の成績より、SHETの標的蛋白がDSG1であること、SHETの動物感受性はDSG1細胞外ドメインに対する切断活性に依存することが示唆された。
著者
佐藤 淳 佐藤 幸男
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、カメラ画像から得られる対象物の位置や形状の情報を音の位置で表現する方法や、視覚情報と音響情報との3次元的な整合性を取る方法を探求した。まず、ステレオカメラが復元した3次元画像空間と、音響制御装置が持つ3次元音響空間と、ユーザが持つ3次元聴覚空間の関係を調べた。ステレオカメラが校正されていない場合、カメラにより復元した空間は3次元射影変換の不定性を持つ。また音響装置が校正されていない場合には、3次元音響空間にはやはり3次元射影変換の不定性が存在する。さらにこのインターフェイスを使用するユーザの聴覚感覚には個人差があるが、相対的な位置感や相対的な距離感が保存されると仮定すると、ユーザの聴覚感覚の個人差は3次元アフィン変換により表せることが明らかになった。そこで、ステレオカメラと音響装置との関係を3次元射影変換で直接表現し、基底音をユーザに与えてこの3次元射影変換を求めることにより、聴覚の個人差を吸収しつつ、カメラで撮影した物の位置を音の位置で表現する方法を開発した。次に、得られた視覚音響弱校正理論を複合現実感に応用し、視覚情報と聴覚情報との3次元的な整合性を取ることにより、より臨場感を増強する手法の開発を行った。この時、複数のカメラ同志がお互いに投影しあうカメラの相互投影の情報を積極的に用いることにより、視覚的3次元情報の計算安定性を格段に向上させることが可能であることを示した。このような視覚的3次元情報を聴覚的3次元情報と結びつけることにより、複数ユーザが存在する状況下において、それぞれのユーザごとに視覚情報と聴覚情報の3次元的整合性を取る手法を示した。実際に音と映像を用いた仮想対戦システムや仮想楽器を実現し、視覚的3次元情報と聴覚的3次元情報との幾何学的な整合性を取ることの重要性を明らかにした。
著者
佐藤 佳郎 高田 肇 片山 順
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.75-86, 1998-12-25

コレマンアブラバチ(Aphidius colemani)とショクガタマバエ(Aphidoletes aphidimyza)が, ワタアブラムシの生物的防除素材として, 1998年4月に農薬登録された。京都府京都乙訓農業改良普及センターは京都市上賀茂のキュウリ栽培ビニルハウス(側面開放型, 網なし)において, これら2種天敵昆虫を1997年5月2日から1週間間隔で計4回放飼して防除試験をおこなった。著者らはワタアブラムシとその天敵昆虫の発生量, 特に捕食寄生バチ類の動態を調査した。ワタアブラムシは5月中旬に1か所(数株)で大発生し, 6月にはそこからハウスのほぼ全域に広がり, 天敵からのエスケープ状態となった。サンプリングしたアブラムシの捕食寄生バチによる寄生率は平均67%(解剖による), コレマンアブラバチは一次捕食寄生バチの81%を占めた。サンプリングした茶褐色丸型マミーから, コレマンアブラバチは13%しか羽化しなかったのに対し, 4科8種にわたる二次捕食寄生バチが39%も羽化した。黄色粘着板トラップにはコレマンアブラバチより在来のアブラバチLipolexis gracilisが18%多く捕獲された。本試験の結果から, 天敵昆虫を有効に利用する方法を考察した。
著者
澄川 喜一 長澤 市郎 小野寺 久幸 岡 興造 寺内 洪 小町谷 朝生 田淵 俊雄 坂本 一道 佐藤 一郎 大西 長利 増村 紀一郎 稲葉 政満 前野 尭 BEACH Milo C FEINBERG Rob 杉下 龍一郎 新山 榮 馬淵 久夫 中里 寿克 ROSENFIELD J 原 正樹 小松 大秀 中野 正樹 手塚 登久夫 浅井 和春 水野 敬三郎 海老根 聰郎 辻 茂 山川 武 福井 爽人 清水 義明 平山 郁夫
出版者
東京芸術大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

本研究プロジェクトは、広く海外所在の日本・東洋美術品の保存修復に係る調査研究の一環として、在米日本・東洋美術品の日米保存修復研究者による共同研究である。我が国の美術品は、固有の材料・技法をもって制作されるが、異なる風土的環境下でどのような特質的被害を生ずるかは従来研究されていなかった。たまたま米国フリーア美術館所有品に修理すべき必要が生じ、本学を含む我が国の工房で修復処置を行った。その機会に保存修復に関する調査研究が実施された。本プロジェクトの目的は、とくに絵画、彫刻、工芸についての保存修復の実情を調査することにあった。具体的には、本学側においては米国の美術館等の保存修復の方法、哲学、施設的・人員的規模等を調査し、フリーア美術館側は我が国の最高レベルの修復技術(装こう)とその工房の実態、すなわち施設、用具、手法、人員等を調査し、相互の研究結果を共同討議した。3年度間の研究成果概要を以下箇条書きで示す。1)フリーア美術館付属保存修復施設をはじめ6美術館(ナショナルギャラリー、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ゲティー美術館、ロード・アイランド・スクール・オブデザイン付属美術館)の保存修復施設、及び3大学の保存修復教育課程(ニューヨーク大学保存修復センター、デェラウェア大学保存修復プログラム、ニューヨーク州立大学バッファロ-校)を調査した。2)美術館及び収蔵庫並びに付属の研究室、工房は、一定範囲の温湿度(フリーア美術館の場合は温度68〜70゜F、湿度50〜55%、ただし日本の美術品に対しては湿度65%で管理する等、その数値は美術館により若干変化の幅がある)にコントロールされる。我が国の修復は自然な環境下で行われるから、そのような点に経験度の関与が必要となる一つの理由が見いだされる。しかし、完全な人工管理環境下での修復が特質的な材料・技法を満足させるものであるか否かの解明は、今後の研究課題である。3)CAL(保存修復分析研究所)やGCI(ゲティー保存修復研究所)のような高度精密分析専門機関は我が国にも必要である。4)米国の美術館は保存修復施設並びに専門研究者を必備のものと考え、展示部門ときわめて密接な関係をもって管理運営し、コンサバタ-の権威が確立されている。その点での我が国の現状は、当事者の間での関心は高いが、配備としては皆無に近い。5)大学院の教育課程は科学な計測・分析修得を主としながら、同時に物に対する経験を重視する姿勢を基本としており、その点で本学の実技教育に共通するところがある。米国の保存修復高等教育機関のシステムを知り得たことは、本学で予定している保存修復分野の拡充計画立案に大変参考になった。6)保存修復に対する考え方は米国内においても研究者による異同があり、修復対象作品に良いと判断される方向で多少の現状変更を認める(従来の我が国の修理の考え方)立場と、現状維持を絶対視する立場とがある。現状維持は、将来さらに良い修復方法が発見された場合に備える、修復箇所の除去可能を前提とする考え方である。保存修復の理想的なあるべき姿の探求は、今後の重要な国際的な研究課題である。7)それは漆工芸等においてはとくに慎重に検討されるべき課題であり、彼らには漆工芸の基礎的知識不足が目立つ。そのような我が国固有の材料、技法面についての情報提供、技法指導などの面での積極的交流が今後とくに必要であろう。逆に建築分野は彼らが先進している。8)米国研究者は我が国の工房修復を実地に体験し、深く感銘した。それは装こう技術が脳手術のようだという称賛の言葉となって表れた。9)ミーティングにおける主要話題は、保存修復は現地で行われるべきであり、それを可能とする人材養成が必要である。保存修復教育には時間がかかることはやむを得ない、期間として6年位が目安となろう。科学教育は大学で行われるべきだが、日本画に限れば工房教育がよい、などであった。
著者
宮城 光信 松浦 祐司 石 芸尉 佐藤 俊一 岩井 克全
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

高強度・超短パルスのレーザ光の照射に生体組織のアブレーションは,生体に対して,安全・無痛など,従来に無い効果が期待される.そこで本研究では,誘電体内装金属中空ファイバを用いることにより,近赤外波長帯でのフェムト秒レーザ,及び高出力Nd : YAGレーザ用のフレキシブル伝送システムを構築することを目的として次の研究を行った.1.超鏡面・高強度を有する銀中空ファイバの製作法:従来の銀鏡反応の見直しを行った結果,塩化スズ水溶液を用いて前処理を行うことにより,銀薄膜の表面粗さが低減されることが明らかになった.また,ポリマー保護層を付加した高強度ファイバについても検討を行った.2.誘電体ポリマー膜の成膜機構の研究と一様成膜の実現さまざまな成膜条件を実験的に検討することにより,その成膜機構を明らかにし,より高い一様性を持つ,ポリマー薄膜の生成を実現した.3.銀中空ファイバ内面の超平滑化の検討銀鏡反応の際に,塩化スズ水溶液や,ポリシラザン溶液などを用いた各種の前処理を行い,母材ガラスチューブ内面の活性化を図ることにより,生成した銀薄膜の表面粗さが従来の1/3以下となる,5nm以下を実現した.4.GWクラスNd : YAGレーザ用中空ファイバの製作と評価内面を平滑化した中空ファイバを用いて,尖頭出力がMWからGWクラスのNd : YAGレーザパルス伝送を試みた.5.ポリマー内装中空ファイバの超低損失化の検討ポリマー内装中空ファイバのポリマー薄膜形成時に,有機溶剤雰囲気中での成膜を行うことにより,ポリマー薄膜の均一化,および表面の超平滑化をはかった.6.QスイッチNd : YAGレーザ用中空ファイバの評価とパワー耐久性の改善低損失化した中空ファイバを用いて,尖頭出力がMWからGWクラスのNd : YAGレーザパルス伝送を試みた.
著者
大槻 晃 橋本 伸哉 土屋 光太郎 佐藤 博雄 吉田 次郎 和田 俊 石丸 隆 松山 優治 前田 勝 藤田 清 森永 勤 隆島 史夫 春日 功 鎌谷 明善 村野 正昭 多紀 保彦 平野 敏行 白井 隆明 荒川 久幸 兼廣 春之 平山 信夫
出版者
東京水産大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

本研究はROPME-IOCの要請に答えるものとして計画された。本年度の主目的は、調査海域を更に広げて昨年と同様な継続的な観測を行うと共に、ROPME側から要望のあったホルムズ海峡における流向・流速の係留観測を再度試みることであったが、ROPME側で係留流速計の調達が出来なかったこともあり、急きょ底生動物採取等に時間を割り振ることになった。又本年度は、最終年度となるため、ROPME事務局のあるクウェートに入港するこを計画した。本研究グループは、研究練習船「海鷹丸」を利用する海域調査班(研究者7名、研究協力者8名)と車で海岸を調査する陸域調査班(研究者4名)とに分かれて行動した。海域班としては、ROPME事務局が計画した調査航海事前打ち合わせ会(9月26〜27日)に、研究代表者と「海鷹丸」船長2名がクウェートに赴き航海計画、寄港地、ROPME側乗船人数等を伝え、要望事項を聴取した。陸域調査班は、10月28日成田を出発し、バハレーンを経て、クウェートに入り、車を利用して海岸に沿って南東に下り、サウジアラビアのアルジュベールで調査を終了し、11月7日に帰国した。各地点で原油汚染・被害の聞き取り調査、研究試料・魚類試料の収集、水産物の流通・利用の調査を行った。海域調査班は、11月15日に遠洋航海に出発する「海鷹丸」に調査研究器材を積載し、アラブ首長国連邦アブダビ港で乗船すべく12月11日成田を出発した。シンガポールを経て、アブダビに到着、13日には「海鷹丸」に乗船し、器材の配置等研究航海の準備を行った。12月14日ROPME側研究者14名(クウェート4名、サウジアラビア7名、アラブ首長国連邦1名、オマーン1名、ROPME事務局1名。尚、カタールから1名乗船予定であったが出港時間迄に到着しなかった)をアブダビ港で乗船させ、12月15日朝調査を開始するため、出港した。先ず、ホルムズ海峡付近に向かい、1993年に調査した最もホルムズ海峡側の断面から調査を行い、徐々に北上、アラビア湾中部海域に向った。アラブ首長国連邦クワイアン沖からサウジアラビア・アルジュベール沖までの7断面24地点の調査を行い、12月26日予定より1日早くクウェートに入港し、ROPME側研究者及び日本側研究者全員下船した.調査成果の概要は、以下の通りである。1)全ての地点で、湾内水塊移動及び海水鉛直混合調査のためのCTD観測、溶存酸素及び塩検用試料採取と船上分析を行い、観測データを得た。2)全ての地点で、栄養塩測定用試料採取(オルト燐酸イオン、珪酸、アンモニュウムイオン、硝酸塩、亜硝酸塩)を行い、更にそれらの船上分析を行い、観測データを得た。3)海水中の原油由来の溶存微量炭化水素分析用の試料採取、及び船上抽出を行った。4)全ての地点で、底泥の採取に成功した。5)全ての地点で、ボンゴネット及びプランクトンネットによる動・植物プランクトンの採取を行い、幾つかの地点で基礎生産力の測定を行った。6)全ての地点で、海水の光学的特性と懸濁粒子の分布調査を行った。7)全ての停泊地点で、3枚網、籠網、縦縄、釣りによる魚類採取を行う予定であったが、航海後半の悪天候の為、前半に6調査地点に限られた。8)全ての地点で、稚魚ネット引きを行い試料を得た。12月27日には、ROPME事務局関係者2名、日本側研究者7名及び、ROPME研究者7名が参加し、ROPME事務局において、「海鷹丸」による調査結果を主体とした成果発表会をどのように行うか検討会がもたれた。その結果、1995年12月5〜8日まで東京水産大学で行うことが決定した。12月30日クウェート空港を出発し、シンガポール経由で12月31日参者全員帰国した。
著者
星合 隆成 ツイナニー パトリック 佐藤 規男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1080-1092, 1999-08-25
参考文献数
17
被引用文献数
6

本論文は, ストリームデータの取扱いが可能なストリームインタフェースと, その実装方法を提案する. 更に, ストリームインタフェースを用いた広告配送システムを構築し, その性能評価モデルを示す. 性能評価モデルに基づいた性能実測により, ストリームインタフェースの性能を定量的に評価し, その結果から, 十分な処理能力を達成できることを示す.
著者
持田 灯 富永 禎秀 佐藤 洋 吉野 博 高橋 正男 青木 泰伸 清水 敬二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、産業廃棄物(酸性白土から石鹸等の化学製品を製造する過程で生成される土塊(粒径5〜30mm)。無害)を散布することにより、地表面の粗度長を大きくして地表面付近の風速を減じ、飛砂発生を制御するという新しいタイプの飛砂防止対策の実用化を図った。(1)沿岸部の飛砂の実態調査・沿岸部の砂地における飛砂の現状を、風速・風向・飛砂量等の長期測定等により調べた。(2)飛砂に関する風洞実験・風洞内に砂を敷き詰め、風速を段階的に増加させることにより、限界風速・限界摩擦速度等に関するデータを採取した。・次に、風洞床面上に砂を敷き詰め、産業廃棄物の土塊を散布し、その飛砂防止効果を確認した。(3)CFDによる飛砂メカニズムの解明・CFDにより、上部風速と地表面の粗度及び砂面限界摩擦速度等の関係、周辺の地形や建物の影響等について系統的に検討した。(4)飛砂防止工法の最適化・上記(2)、(3)の結果をもとに、本飛砂防止工法で散布する土塊の粒径、散布密度、散布位置の最適化を行った。(5)現場測定による本工法の有効性の検証・実際の砂地造成地に、産業廃棄物である土塊を散布し、風速・飛砂量の測定結果により、本工法の飛砂防止効果を確認。また砂地緑化の効果を確認するために、砂地や砂浜に種子を植え、生育状況を観察した。(7)効率的な施工方法の検討・今回の飛砂防止方法では、土塊をいかに均一に安価に散布するかも重要な問題となる。ここでは建設工事用のクローラダンプを応用した施工方法を開発し、試験施工によりその有効性を確認した。
著者
佐藤 俊治
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, 2000-11-01

本論文は神経生理学や心理学的知見を導入して, パターンの多様性に影響されない視覚神経回路網モデルの構築を目的としており, 6章より構成される.第1章の「序論」に続いて, 第2章では, 既に提案されている視覚神経回路網モデルであるネオコグニトロンの構成・学習方法について定式化するとともに, 回転したパターンに頑健性がないことを実験により確認した.第3章では, 新しいボトムアップ型神経回路モデル(回転対応型ネオコグニトロン)を提案している.実際に手書き数字を用いた数値実刑により, パターンの変形・位置ずれ・拡大縮小・ノイズだけでなく, パターンの回転にも完全に頑健であることを示した.第4章では, 回転対応型ネオコグニトロンを含むネオコグニトロン型神経回路モデルの学習過程を解析し, その結果から高速に学習を行なうアルゴリズムを提案している.本アルゴリズムを用いることで, 認識性能に影響を及ぼすことなく, 学習時間が約1/680に短縮することを確認している.第5章では, 回転した文字を必ずしも瞬時に認識せず心的回転により初めて認識するというヒトの認識機能を実現する視覚モデルを提案している.数値実験により, パターンの多様性に頑健であることを明らかにした.また, 鏡像回転パターンに対する提案モデルの挙動が心理学的事実と符号するという興味深い結果も得られた.第6章「結論」では本論文の成果をまとめ, 今後の課題を述べている.
著者
中西 崇 佐藤 元裕 細矢 良雄 柏 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.189, pp.97-104, 1997-07-24
参考文献数
13

約1OGHz以上の周波数帯を用いた無線通信方式においては, 降雨減衰による伝送品質の劣化が大きな問題であり, その定量的評価か必要である. そのためには1分間降雨強度分布を知る必要があるが, 一般には長い積分時間でしか測定されておらず, 従って, 実際に測定されているn分間降雨強度分布から1分間降雨強度分布を推定する方法を確立する必要がある. 日本においては, M分布を用いると60分間降雨強度分布から1分間降雨強度分布を精度良く推定できることが示されている. 本論文は, この推定法を世界的に適用する可能性を検討したものである. さらに, 各地の気象パラメータを用いることによって, 1分間降雨強度分布の推定精度を向上させることができることを示している.
著者
前田 瑞夫 高原 淳 高井 まどか 栗原 和枝 長崎 幸夫 三浦 佳子 菊池 明彦 松岡 秀樹 北野 博巳 佐藤 縁 熊木 治郎 山岡 哲二 宮原 裕二
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

本領域では、ソフト界面に関わる先導的研究や若手研究者による挑戦的研究を糾合・組織化することにより、ソフト界面が示す新奇現象を解明し、その特性を活かした新機能材料を創出することを目指して研究を進めてきた。その成果は年度ごとの成果報告書・公開シンポジウム等により積極的に発信してきたが、それだけでは領域の全体像が見えにくいのも事実である。この点を補うために領域横断的な共通課題について公開ワークショップを開催することで俯瞰的な見方からの成果発信に努めてきた。この度、5年間の研究を取りまとめることで、新しい学術領域の確立という観点から、研究成果の全体像の公開・普及と内外の関連研究者のより一層の交流ならびに若手研究者の育成に努めた。具体的には、最終報告会として7月に東京大学駒場キャンパスにて公開シンポジウムを開催し、また同時にニュースレター12号を発行し配布ならびにウェッブ公開することで、成果の普及、領域内外の研究者との交流に努めた。また年度末の3月には、領域内の研究発表会を開催し、本領域研究に参画した研究者の互いの交流や成果取り纏め、ならびに今後の活動に関する意見交換を行った。10月には領域代表者の前田が日本化学会にて、また11月には事務担当者の長崎が日本バイオマテリアル学会大会にて、本領域の成果をアピールする招待講演を行ったほか、各研究グループにおいては、各自アウトリーチ活動の継続による国民の理解深化に努めた。一方で、領域ホームページの継続運用により持続的に広報活動を行った。また日本MRSに「ソフトインターフェース研究会」の設置を申請し、今後の継続的発展のためのプラットフォームを構築した。さらには、ソフト界面に関する英文教科書の執筆・編集を引き続き進めている。