著者
小倉 振一郎 佐藤 衆介 田中 繁史 菅原 英俊 松本 伸 阿部 國博 清水 俊郎 小寺 文
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.153-159, 2008-07-15

近年、わが国の養蚕業の衰退にともない遊休桑園が急速に増加している。その対策の一つとして、肉用牛による桑園の放牧利用が注目されている。桑は草食家畜に対して高蛋白かつ高消化性であることに加え、生産力が高いことから、飼料資源としてきわめて有用である。また、牛放牧による遊休桑園利用は、省力的に荒廃地の植生管理ができるほか、未利用資源が家畜生産に貢献するというメリットがある。電気牧柵による小規模放牧方式の導入により、省力的にかつ低コストで桑園の畜産的利用が可能である。すでに福島県では、電気牧柵による黒毛和種の放牧とマクロシードペレットを組み合わせることにより遊休桑園を牧草地化できることを実証している。宮城県においては、気仙沼・本吉地域一帯が、かつて東北地方の中でも福島県阿武隈地域、宮城県丸森地域と並んで養蚕業が盛んな地域であったことが知られている。しかし近年、遊休桑園が急速に増加し、荒廃化が急速に進行しているため、その対策が喫緊の課題となっている。こうした背景から、地域環境の保全および農林業の活性化を図るため、2005年秋に同地域内の南三陸町の遊休桑園において、黒毛和種の放牧が開始された。桑園放牧の普及にあたっては、桑の生産性と化学成分、ならびに放牧牛の行動、健全性といった基礎的知見の集積が不可欠であるが、こうした知見はこれまでにほとんど得られていない。そこで、南三陸町の遊休桑園における桑葉の現存量および化学成分、ならびに放牧牛の行動と血液性状からみた健全性について実証試験を行ったので報告する。
著者
佐藤 久美子 梶川 祥世
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、外国語学習において歌を通して単語を一定期間反復聴取することは、音声言語発達を促進し、第二言語習得に効果的であるという仮説を立てこれを検証した。2 歳-3 歳の幼児と6 歳~11 歳の児童を対象として一定期間英語歌を聴取させ、英語反復力及び発音力を測定した。これにより母語と非母語の音声処理の関係が8 歳頃を境に変化することを明らかにし、幼児においては歌聴取による非母語反復能力の促進を確認した。
著者
佐藤 毅彦 児島 紘 高橋 庸哉 前田 健悟
出版者
熊本大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本研究は、IT世紀の理科学習ツール「インターネット天文台・気象台」を開発・設置、教育実践に活用し効果を挙げてゆくことを目標としている。本年度は、熊本大学にインターネット天文台を設置、首都圏に既存の二基と合わせて教育利用を推進した。互いに近接した既存の二基と地理的に離れた後続天文台が渇望され、熊本大学インターネット天文台はまさにそれに応えるものとなった。また、北日本に天体ライブ映像を配信するためのサーバーを、北海道教育大学の札幌校に設置した。熊本大学教育学部附属中一年の理科で、インターネット天文台を利用した授業を行った(平成14年12月)。屋上で天体望遠鏡を使い実際に太陽面を観察した後、インターネット天文台を操作しての太陽面観察とした。インターネット経由の天体観察自体、子供連には初めての経験であり、それは印象的なものであった。黒点の移動を調べるための前日・前々日を含めインターネット天文台をフルに活用し、この実践例から、「各地のインターネット天文台を相互利用することで、天候条件に左右されがちな天体観察の授業を、計画通りに進めることができる」という利点があらためて確認された。星が月に隠れる「星食」現象を捉え、教育学部学生対象に観測会を実施、熊本と関東とで現象に30分もの時間差があることを体験してもらった(熊本と首都圏のインターネット天文台を併用)。教員志望学生のこうした体験は、将来の小中高における教育を豊かにしてゆく大切な要素である。インターネット気象台と、「定点2000」観測点(ライブカメラ含む)、アメダス観測点などインターネット上の気集情報を組み合わせた教材を用い授業実践を行った(平成15年1月、学部生卒業研究の一環)。「青森は雪だった」「高知の天気は予想と違った」など、子供達が主体的に取り組みながら各地の天気の違いを学ぶ様子が見られ、一定の成果を挙げることができた。特定領域内においては、複数の研究と連携が動き始めたところである。その強化は、今後の発展課題である。
著者
松久 寛 西原 修 本田 善久 柴田 俊忍 佐藤 進
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

スキ-時の人体の上下運動に関してはひざをリンク機構、筋肉を収縮要素、それと直列につながる弾性要素、並列の減衰要素で模擬した。ひざは大きく曲げる程ばねが柔らかくなるリンク機構による幾何学的非線形性を持ち、筋肉はばねと減衰からなる受動的なダンパ-としての役割と収縮による能動的な運動を行う。動特性としてはひざを深く曲げる程緩衝効果は大きくなるが、筋肉にかかる荷重は大きくなる。能動的に立ち上がる場合は立ち上がりの前半に雪面への押し付け力が増加し、後半に減少する。この雪面押し付け力の増加減少をタイミングより利用することによって、雪面の凸凹による体の不安体を安定化することができる。またスキ-板をはりとして、足首で力とモ-メントが働くとして人体とスキ-板の連成振動の解析モデルを作成した。ここで、人体の動きとスキ-板の形状、剛性などとタ-ンの関係が明らかになった。テニスに関してはボ-ルを一つの質点と一つのばね、ラケットを弾性はり、ガット面を一つのばね、腕を回転とねじり方向各3自由度のばね・質点系でモデル化した。ここで、腕のモデル化においては、腕をインパルス加振したときの各部の回転角加速度を計測し、時系列デ-タの最小自乗法によって各係数を同定した。そして数値計算によって、ボ-ルの飛距離、腕にかかる衝撃力の関係を明らかにした。また、ラケットの特性、すなわち曲げ剛さや、ガットのはり具合の影響についても検討し、このモデルがほぼ妥当なものであることがわかった。また、ラケットの構造の変化、すなわち重心位置とボ-ルの飛距離や手にかかる衝撃力の関係についても検討した。これらの研究により、人体の力学モデルの作製法およびスポ-ツ用具の解析法が確立されたので、これらを組み合わせることにより、人体の運動時の動特性、特に関節にかかる応力等を求める手法が得られた。
著者
佐藤 政良 佐久間 泰一 石井 敦 塩沢 昌 吉田 貢士
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

灌漑用水の管理に関して,世界で潮流となっている参加型水管理(PIM)について,その現状と成功の共通原理を探るため,日本とアジア諸国の農業用水管理を調査,比較分析した。日本での成功は,灌概事業における全段階,全側面における農民参加の制度的保証によっており,一方韓国における公的管理強化は複雑な農村の政治経済的背景から起こり,タイなどにおけるPIM導入の困難は,政府の強い保護的姿勢と制度の未確立によるものと判断された。
著者
塩田 徹治 比嘉 達夫 佐藤 文廣 藤井 昭雄 木田 祐司 荒川 恒男
出版者
立教大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1.従来の研究に引続き、代表者塩田は、主としてモ-デル・ヴェイユ格子に関連する研究をし、種々の応用を得た。整数論への応用として、有理数体の高次ガロア拡大において、比較的小さな素数でのフロベニウス置換を、チェボタレフ密度定理との関連で調べ、興味深い具体例を構成した(文献[1])。また代数幾何の有名な問題である3次曲面上の27本の直線について(モ-デル・ヴェイユ格子の理論に加え)ワイヤストラス変換の概念を導入して、決定的な結果を得た([2])。2.藤井は、ゼータ関数のゼロ点の分布について研究し、リーマン・ゼータの場合、シャンクスの予想についての以前の結果を改良した。また、エプスタイン・ゼータの場合も興味ある結果を導いた([3]、[4])。3.木田は整数論および代数幾何学における実際の計算と、その計算量について研究した。成果の一部は[5]で公表した。これらの研究において、当補助金により購入したパーソナル・コンピュータは大変役立ったことを特記しておく。
著者
鈴木 喬 内海 英雄 川端 成彬 大矢 晴彦 大垣 真一郎 佐藤 敦久
出版者
山梨大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究は,質的に安全かつ健康な飲料水を確保するため,近年ますます問題となってきた水道水中の細菌,ウィルス,臭気,硝酸イオン等の有害成分を殺菌あるいは除去するための高度の改善技術を創製しようとするものである。1.ウィルス指標としてのバクテリオファ-ジとオゾンによる不活化 ウィルス制御技術の開発に当たっては,各種病原ウィルスの消毒手法に対する感受性の相違を十分考慮にいれなければならない。このためには,不活化効率を精確に定量できる「基準となるウィルス」が必要であり,また,そのウィルスはその使用が容易で安全なものであることが求められる。「基準となるウィルス」として,RNA大腸菌ファ-ジ(QB)を活用可能であることを見出した。また,オゾンによるQBの不活化では,5sec以内の急激な不活化の後反応がほぼ停止するように見えるが,ある一定のQB濃度で反応が止まるのではなく,一定の不活化率に達して止まることが観察された。2.細菌・ウィルス用非塩素殺菌剤の開発本殺菌法はイオン交換膜電気透折法において限界電流密度(Ieim)以上の高電流密度電気透折時に起こる中性攪乱現象を逆に活用し,生成した酸であるH^+イオンと塩基であるOH^ーイオンの相乗作用により水中の大腸菌を殺菌せんとするものである。0.1MーNaCl水溶液に大腸菌を10^81cm^3の濃度で懸濁させた試料水について殺菌効果と中性攪乱現象の関係を検討した結果,Ieim(0.81Adm^2)の約1.6倍である1.35A/dm^2の条件では透折開始7分前後に採取した処理液から生菌率は0%であり完全に殺菌されていることが判明した。すなわち,この結果は中性攪乱現象が起きる高電流密度領域で透折した場合にのみ強力な殺菌効果が得られることを示している。
著者
佐藤 浩一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自伝的記憶・意味記憶・エピソード記憶の想起の安定性を比較した。自伝的記憶の想起のみ、加齢に伴い安定性が高まったことから、自伝的記憶は意味記憶やエピソード記憶とは異なるシステムとして機能していることが示唆される。過去の出来事と現在の自己を結びつける意味づけが自伝的記憶を特徴づけることが、大学生~高齢者の調査で示された。さらに自己・記憶・時間を関連づけて検討するため、Zimbardo時間展望尺度日本語版が作成された。
著者
佐藤 晃
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

Z住民検診で得られた1261名分の頚動脈内膜中膜厚(IMT)およびレムナントリポ蛋白コレステロール(RLP-C)の測定値をもとに、追跡調査と解析を行った。IMTの変化率(follow up IMT/baseline IMT×100)がどのような身体変量と相関があるか、多変量解析にて検討を行った結果、年齢、性で補正したbaseline IMTはRLP-Cと正の相関が認められた(P=0.0121)。しかし年齢、性、baseline IMTで補正したIMT変化率は、RLP-Cと有意な正の相関は認められなかった(P=0.7497)が、LDL-C/HDL-C比と有意な正の相関(P=0.0163)が認められた。
著者
平川 均 多和田 眞 奥村 隆平 家森 信善 根本 二郎 小川 光 山田 基成 中屋 信彦 奥田 隆明 佐藤 泰裕 森杉 雅史 瀧井 貞行 蔡 大鵬 崔 龍浩 徐 正解 厳 昌玉 陳 龍炳 蘇 顕揚 劉 慶瑞 宋 磊 李 勝蘭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

急速な東アジアにおける発展と国際競争力の源泉を産業集積と結びつけて論じた。その結果は一般的通念とされる低賃金に基づく単なる産業の発展を超えた側面の発見であり、東アジア地域のイノベーションの持つ役割である。独自のアンケート調査を実施した。日中韓台、ベトナムなどの海外の主要な研究機関の研究者との研究ネットワークの構築に成功し、国際会議も北京、南京、名古屋、ハノイで開催した。学術刊行物として、日本語、中国語、韓国語の図書の公刊、英語での学術雑誌への発表も行った。
著者
佐藤 衆介 瀬尾 哲也 植竹 勝治 安部 直重 深沢 充 石崎 宏 藤田 正範 小迫 孝実 假屋 喜弘
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.行動変化を指標とした家畜福祉飼育総合評価法の開発:ドイツ語文化圏で使用されている家畜福祉総合評価法であるANI(Animal Needs Index)法を我が国の酪農及び肉牛生産に適用した。そして本法は、放飼・放牧期間に偏重していることを明らかにした。さらに、(1)改良ANI(Animal Needs Index)法並びに家畜福祉の基本原則である5フリーダムスに基づいた飼育基準を作成した。(2)評価法改良のため、身繕い行動並びに人との関係の指標である逃走距離に関する基本的知見を収集した。(3)福祉評価においては、動物の情動評価も重要であることから、ウマを使い、快・不快に関する行動的指標を明らかにし、それは飼育方式評価に有効であった。2.生理変化を指標とした家畜福祉飼育総合評価法の開発:ニワトリの脳内生理活性物質のうちエンドルフィン(ED)が快情動の変化を捉えるのに適していること、またEDがMu受容体を介してストレス反応の調節にも関与することを明らかとした。また、輸送時の福祉レベルを反映する免疫指標を検索し、末梢血のNK細胞数やConA刺激全血培養上清中のIFN-γ産生量が有用であった。3.家畜福祉輸送総合評価法の開発:RSPCAの福祉標準に基づき、我が国の家畜市場に来場する家畜運搬車輌を対象に、福祉性評価を実施した。また、国内における子牛の長距離輸送および肥育牛の屠畜場への輸送について、行動・生理・生産指標に基づくストレス評価を行った。RSPCAの標準に基づく評価では、国内の運搬車輌は概ね福祉的要件を満たしていたが、一部、積込路の傾斜角度とそこからの落下防止策に改善の余地のあることが明らかになった。国内輸送時のストレス評価では、明確な四季を有する我が国では、季節により牛に対して負荷されるストレス要因が異なることが確認され、季節に応じた福祉的配慮が必要であることが示された。
著者
上田 多門 後藤 康明 長谷川 拓哉 濱 幸雄 田口 史雄 遠藤 裕丈 林田 宏 桂 修 加藤 莉奈 佐藤 靖彦 王 立成
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

寒冷地のコンクリート構造物は,コンクリート内部の水分が凍結融解を繰り返すことにより,凍害といわれる劣化が生じる.超音波を用いた実構造物における凍害の程度を測定する方法を提示し,凍害の程度と材料特性の劣化程度との関係を示した.乾湿繰返しや塩害と凍害との複合劣化のメカニズムを明らかにし,劣化をシミュレーションするための数値モデルを提示した.凍害を受けた構造物を増厚工法で補修補強した後の,構造物の挙動を数値解析するためのモデルを提示した.
著者
栗原 英見 佐藤 勉 鴨井 久一 石川 烈 花田 信弘 伊藤 公一 村山 洋二 岩山 幸雄 丹羽 源男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

唾液を用いた歯周病検査の開発について多角的に検討した.侵襲性歯周炎患者においてPorphyromonas gingivalis(P.g)に対するfgA抗体産生がみられ,唾液中の特異的IgA抗体測定によってP.g感染を検出できる可能性を示した.PCR(polymerase chain reaction)法での唾液を使った歯周病原性細胞検査が可能であることを明らかにした.血清とActinobacillus actinomycelemcomltans(A.a)の外膜タンパク(Omp)が強く反応した歯周病患者の唾液を使って,A.aのOmpを抗原としたfgAレベルでのA.a感染の同定を行う有効な手段を示した.Streptococcus-anginasus(S.a)をPCR法で特異的に検出する技術を確立し,上皮組織の抗菌ペプチド(hBD-2)とS.aの関連によって,S.aが病原性を示す際に必要な分子メカニズムの一端を解明した.歯周治療によりインスリン抵抗性や血糖コントロールを改善した糖尿病患者モデルを使うことで,唾液を用いた歯周病検査の開発に利用できることを明らかにした.糖尿病患者の唾液を検体とした生化学検査によって歯周疾患群と歯周疾患なし群とで有意差をは認めず,糖尿病と歯周疾患の関連性を明らかにすることはできなかった.唾液中の好中球のエラスターゼ活性や活性酸素産性能は歯周疾患の病態やリスク判定に有用である可能性を明らかにした.唾液中のMMP-8量の測定から,その活性型の値によって歯周疾患活動性の高い患者を特定できることを明らかにした.健常者に比べ歯周病患者では唾液中の酸化ストレス産物(8-OhdG)が有意に高く,歯周病診断の検査項目として有用なことを明らかにした.歯槽骨代謝マーカーとして有用性の示唆されている硫酸化グリコサミノグリカン(S-GAG)について,唾液での測定を行ったが測定できなかった.
著者
西出 喜代治 山村 真理子 小堀 武夫 常本 大英 近藤 聖 佐藤 清
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.2354-2361, 1988-07-25

The syntheses and the antibacterial activities of new 3-dimethoxyphosphinylmethyl and 3-dihydroxyphosphinylmethyl cephalosporins I-(Z), II-(Z), III-(Z) and III-(E), possessing the chloromethylene or methoxyimino substituent at the α-position to the 7-(2-aminothiazol-4-yl)acetamido or 7-(thiazol-4-yl)acetamido moiety of the cephem nucleus, are described. The key steps of these syntheses were the Michaelis-Arbusov reaction of the 3-halomethylcephem 1 with trimethyl phosphite and the dealkylation reactions of both the dimethoxyphosphinyl group and the p-methoxybenzyl ester of 7a, b-(Z) by treatment with bromotrimethylsilane to afford 9a, b-(Z).
著者
辻 延浩 佐藤 尚武 宮崎 総一郎 大川 匡子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小学校の系統的な睡眠学習カリキュラムを構築することを目指して, 教材を開発するとともに, 睡眠学習プログラムを作成して実践化を試み, その有効性について検討した。さらに, 開発した睡眠学習教材をデジタルコンテンツ化し, 学校園の授業や校内研究会等で活用できるようにすることを目的とした。得られた結果の大要は以下のとおりである。(1) 現行の小学校体育科の保健領域(3~6年生)の指導内容に沿って睡眠の科学的知見を位置づけ, 発達段階をふまえた系統的な睡眠学習教材を作成した。睡眠学習における児童の評価は, 3年生と4年生では, 授業の楽しさ, 内容の理解度,生活への活用度,教具の適切度ついてほぼ全員から「大いにある」または「まあまあある」の評価が得られた。5年生と6年生では, 中学年に比べて「あまりない」あるいは「まったくない」とする児童の数が多少増えているものの, 多くの児童から高い評価が得られた。授業者および授業観察者の評価では, 提示した資料の説明の仕方でいくつかの改善点が指摘されたが, いずれの学年の授業においても, 児童が睡眠の科学的知見を通して, 自分の睡眠生活を見直したり, 再発見したりしていたことが高く評価された。これらの結果から, 開発した教材およびプログラムは, 児童に睡眠の大切さに気づかせるとともに, 睡眠に関する知識を深めることができると考えられた。(2) Web教材は, 「睡眠科学の基礎」, 「健やかな体をつくる睡眠6か条」, 「快眠に向けて補足6か条」で構成させた。Web教材に対して質問紙調査(5段階評価)を実施した結果, 画像等に関わる項目の平均得点は3.9~4.3の範囲にあり, 内容等に関わる項目の平均得点は3.8~4.5の範囲にあった。Web教材の改善に向けては56件の具体的な指摘を受けた。これらをふまえて, リンクのはり方, 図の色調, 図中の文字, カット図の挿入について改善を加えた。