著者
佐藤 恵美 坂井 博之 高橋 英俊 山本 明美 橋本 喜夫 飯塚 一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.876-879, 2001-10-01

72歳,女性.57歳,64歳時に不明熱で入院歴がある.インフルエンザワクチン接種の約2週間後に40℃台の発熱,咽頭痛,多関節痛,全身の筋肉痛が出現し,好中球優位の白血球増多,脾腫,肝機能異常,血清フェリチン値の上昇を認めた.皮疹は発熱とともに消長する一過性紅斑と汗疹様の持続性丘疹で,成人Still病と診断した.発症時から約1か月後のB型インフルエンザウイルスの抗体価は4,096倍と著増しており,発症にワクチン接種の関与を推定した.抗体価は半年後も高値が持続し,本症の病因が感染症に基づく個体側の過敏反応であることを示唆する所見と思われた.
著者
久保田 修 落合 巧 小川 祐子 横山 明子 長尾 住代 松下 重子 高橋 芳子 今坂 純奈 木部 美帆子 野中 佳子 村松 富子 佐藤 五夫
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.626-632, 2010 (Released:2013-07-31)
参考文献数
19
被引用文献数
2

目的:適切なBMIを維持する事が健康長寿にとって重要であるので,どのような生活習慣がBMIに関連するのかを明らかにする.方法:当院健診センターを受診した6,826人を対象とし,生活習慣に関する質問事項と計測したBMIの関連性について統計学的に比較検討した.結果:年代別BMIの分布では男性では30~50代の中年層で高く,女性では20代と30代の若年層で低い傾向がみられた.男女とも食べる速度が速い群と遅い夕食を摂る群でBMI高値であったが,運動習慣や睡眠の満足度との関連性は認めなかった.男性では夕食後に間食がある群と3合以上飲酒する群でBMIが高く,喫煙者,日常生活での身体活動がある群,歩行速度が速い群,毎日飲酒する群で低値であった.女性では朝食を抜く習慣がある群でBMIが高値であった.結論:保健指導においては,禁煙,運動,適度な飲酒などはもちろんのこと,ゆっくり食べることと遅い時間に食事を摂らないことを指導することが特に重要である.
著者
佐藤 嘉彦
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育人間科学部紀要. IV, 自然科学 (ISSN:13444646)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.9-15, 2009-02

I investigate seed plants growing wild in Manazuru Peninsula. I wrote comment about the plants of Manazuru Peninsula with Okada in 2007 and We included the plant list which was not yet completed in the comment. I continue the investigation afterwards and found some other plants which I had not collected on the plant list. I will describe that I was provided from the observation in three kinds of these plants. They are Epipogium roseum (D. Don) Lindl., Liparis nervosa (Thunb.) Lindl. and Chloranthus japonicus Sieb. Though Epipogium roseum of the Orchidaceae is a very rare plant in Japan, it was observed a lot in Manazuru Peninsula in 2007 and 2008. Because there was an error in a description of Debregeasia edulis (Sieb. et Zucc.) Weddell of the comment (Okada & Sato 2007) that mentioned above, I will describe the correction.この数年、真鶴半島に自生している維管束植物の調査を続けている。真鶴半島に自生している約160種類の種子植物の目録を、2007年には岡田とともに発表した(岡田・佐藤 2007)。真鶴半島は神奈川県西部の静岡県との県境付近に位置している、およそ3km2ほどの小さな半島である。この半島のある相模湾は海深が深く、表層には黒潮が流れ、深部には親潮の末端が流れ着いており、半島周辺は良好な漁場となっている。その漁場を守るために半島には魚付き保安林が設定され、真鶴町の管理の下で、大切に保全されている。この保安林はクスノキを優占種としたアカマツなどの常緑樹を交えた林である。真鶴半島の海岸線には海岸に特有の植物相が見られ、魚付き保安林の中には山地性の植物も自生している。魚付き保安林としてのこのクスノキ林を宮脇等(1969)は、林の構成の植物社会学的な調査と林内に全くクスノキの幼樹が見られないことに基づいて、人工的に作られたものであると考察している。しかし、自然度の高い林である。目録を発表して後の調査で、目録の作成時には観察できなかった数種類の植物の自生が明らかになった。そのうちの3種類について記述をし、次いで2007年のヤナギイチゴの記述(岡田・佐藤 2007)の訂正と追記をしておきたく、この報告文を作成した。
著者
喜馬 佳也乃 坂本 優紀 川添 航 佐藤 壮太 松井 圭介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

<b>1.はじめに<br> </b>「聖地巡礼」とはアニメや漫画の舞台となった場所をファンが訪問するコンテンツ・ツールズムの一形態である.大石(2011)によると,こうした「聖地巡礼」行動の歴史は2002年に制作された『おねがい☆ティーチャー』に端を発し,この背景には情報を共有するためのインターネット,そして現地の写真とアニメの描写を比較するためデジタルカメラとHDDレコーダーといったデジタル画像処理技術の普及が必要であったとされる.2010年代以降,アニメや漫画といったサブカルチャーコンテンツの一般化が進展する中,SNSとスマートフォンの普及により,ますます情報の共有,発信が盛んとなってきている.これに伴い「聖地巡礼」行動も隆盛を極め,地域活性化の一資源として注目されるに至っている.本研究では,こうした「聖地巡礼」行動の一大訪問先となった茨城県大洗町において,そこを訪れる巡礼をファンの属性や訪問回数,訪問先などを分析し,「聖地巡礼」を行うファンの変化を明らかにする.<br><br><b>2.大洗町とアニメ</b>「ガールズ&パンツァー」<b> </b><br> アニメ「ガールズ&パンツァー」は,架空のスポーツである戦車道に取り組む少女たちを描いた作品である.登場人物のほとんどを美少女キャラクターが占めるいわゆる「萌え」作品であると同時に,戦車といったミリタリー要素,そして「スポ根」と表現されうるストーリー展開を併せた点が特徴とされる.2012年10月から深夜帯で放送され,2015年には劇場版が上映された.2017年12月以降も劇場作品が制作され続けており,続編の多さからも人気作品であることが伺える.<br> 大洗はこの作品の主人公の所属する高校が立地し,作中にもアニメ本編,劇場版ともに戦車による試合の会場として登場する.大洗町のマリンタワーやアウトレットといったランドスケープが登場する以外にも,市街地の商店街内を戦車が駆け巡るなど,広範囲にわたって描写される.作中の背景描写は実際の大洗町を詳細に描いたものであり,ファンを引き付ける要素となっている.<br><br><b>3.大洗町を訪れるファンの分析</b><br> 大洗町を訪れるファンのほとんどは男性であり,年齢は10代から50代まで幅広い.劇場版の放映後に大洗を訪問したというファンが半数以上を占めている.訪問地は訪問回数と一部相関関係が見られ,商店街はほぼ全員が訪れる一方,アウトレットやマリンタワーには来訪頻度が少ないファンが訪れる傾向にある.商店街はアニメに直接描写された場所であるが,来訪頻度が高いファンには行きつけの店や馴染みの店としての意味も付与され,アニメの舞台として特別な場所という意味付けから,日常の一部にシフトしていったものと捉えられる.ファンの男性たちを顧客として受け入れる商店街の態度は,村田(2000)の疎外する場所とは逆の状況が生まれているとも指摘でき,こうした受容の結果,「聖地巡礼」を契機とした移住者の存在も確認される.
著者
菅野 圭祐 佐藤 滋
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.81, no.719, pp.133-141, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2 4

The castle town cities, Yama-ate and Vista, refer to Donjon, Turret and the surrounding mountain peaks, which provide people perpetually changing views, applying GIS to analyze the actual landscape condition of Murakami city, Niigata. First, It aims to restore the mid-Meiji streets tracing back to the feudal and the Castle, measuring the micro-topography. Second, Classify the streets into four unobstructed views basing upon street patterns and the appearance of objects, and specify the object mountain. Third, Analyze these four by street condition, Object Mountain and topography. The characters of relationship among landscape composition, objects and their locations, can be manifested.
著者
佐藤 寛 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-13, 2006-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究では、児童の自動思考をネガティブとポジティブの両側面から測定することのできる児童用自動思考尺度(ATIC)を作成し、抑うつ症状と不安症状との関連について検討することを目的とした。まず、児童のネガティブ・ポジティブな自動思考を測定する尺度を作成した。分析の結果、ATICはネガティブな自動思考である自己の否定と絶望的思考、およびポジティブな自動思考である将来への期待とサポートへの期待という4因子から構成されていることが示された。次に、児童の自動思考が抑うつ症状と不安症状に与える影響について検討した。その結果、ネガティブな自動思考である自己の否定は抑うつ症状と不安症状のいずれにも促進的な影響を与えており、絶望的思考は抑うつ症状のみに促進的な影響を与えていた。一方、ポジティブな自動思考である将来への期待とサポートへの期待は、いずれも不安症状とは関連していなかったものの、抑うつ症状に対しては抑制的な影響を与えていた。
著者
中田 正夫 前田 保夫 長岡 信治 横山 祐典 奥野 淳一 松本 英二 松島 義章 佐藤 裕司 松田 功 三瓶 良和
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.361-368, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
12
被引用文献数
13 14

西九州には縄文早期の鷹島遺跡や数多くの縄文前期から中期の水中遺跡が存在する. これらの遺跡が水没したおもな原因は, 最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタシーに帰すことができる. 本論文では, このことを定量的に示した. この研究をさらに進めることは, 両極の氷床モデルや地殻とマントルのレオロジーを推定するのに非常に有益である.
著者
佐藤 たまき
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.69-71, 2009
参考文献数
16
著者
大場 啓介 長嶺 拓夫 森 博輝 佐藤 勇一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.81, no.824, pp.14-00593, 2015 (Released:2015-04-25)
参考文献数
8

This paper describes the investigations of the characteristic about the sound generation of a nose flute experimentally. The nose flute is attached to the upper part of a container. If air is passed to a nose flute, sound will occur. The volume of a container is changed and the generated sound is measured. The natural frequencies of an experimental device are calculated and we confirm that it is in agreement with frequency of sound generated in experiment. We show that nose flute is a unique musical instrument with the point that a nose flute has only an edge part and uses people's mouth for a resonance body part. The frequencies of resonance sound can be calculated from the capacity in a mouth, the thickness and the area of an opening of a nose flute. When people play a nose flute, it is thought that only the first mode of vibration is used.
著者
佐藤 朝美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.402-405, 2016-08-01 (Released:2016-08-01)

企業にとって,自社の活動の足跡を示す資料は貴重な資産となる。将来,これらの資料に目を通した社員は,これから進む方向を判断する上での指針が得られるであろう。そこで当館では,自社の知的・感性的資産が将来にわたって有効活用されるように収集保存をしている。多岐にわたる収蔵品の中から化粧品と制服の保存について紹介する。化粧品は一社の歴史にとどまらず近代日本の技術開発や産業文化の歴史を伝えることができる。さらに外装デザインは時代の雰囲気や芸術性まで感じさせるものがある。その化粧品の価値と資生堂の美意識をお客さまに伝えるスタッフの制服も合わせて保存し,活用している。
著者
三代 純平 佐藤 正則
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.169-189, 2019-12-31 (Released:2020-03-10)

本稿は,日本語教育振興協会が1997年に開催した第1回日本語教育セミナー,通称「箱根会議」に関するインタビュー調査である。当時箱根会議に参加した11名の調査協力者の語りから,日本語学校にとって「箱根会議」がいかなる意味をもっていたのかを論じる。調査協力者に対するライフストーリー・インタビューから明らかになった箱根会議の意義は「日本語学校の連携」が生まれ,日本語学校の「社会的アイデンティティの確立」を共に目指すことが確認されたことである。そして,そのために手を取り合い「日本語教育の質の向上」に努めていく素地が整ったことである。箱根会議は,日振協と日本語学校の「管理する側・管理される側」という関係を乗り越え,管理される側であった日本語学校が主体的に自分たちを定位し,社会に働きかけるための象徴的な出来事であった。箱根会議の経験を一つの契機に,日本語学校は,国際交流の最前線を担う教育機関としての社会的アイデンティティを構築すべく歩みを進めるようになったのである。
著者
佐藤 健二 落合 恵美子 赤川 学 中筋 由紀子 葛山 泰央 野上 元
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度として、これまでの研究会活動を通じて浮かび上がってきた問題を整理すると同時に、資料の共有の方法の模索を通じて、あるいはデータベースの構築に関わる問題点の検討を通じて、明らかになってきた情報と問題について、それぞれの立場から研究を進めた。第一に、歴史社会学の理論と方法の問題の焦点が、広い意味での資料論およびデータ論の構築のしかたにあることがしだいに明らかになってきた。歴史学と社会学の深い断絶は、一方では歴史学における理論や方法論の枠組みに対する認識論の感度の低さに、他方では社会学における資料やデータのとらえ方のなかの現在中心主義的な狭さに由来する。その双方の乗り越えが、歴史社会学の理論と研究方法の課題であると自覚したうえで、もっとも戦略的な研究フィールドとして、「社会調査」が浮かびあがってきた。第二に、いくつかのパイロットスタディから、手がかりとなりうるものも現れてきている。研究代表者を中心に薦めてきた(1)調査票画像データベース構築の実験、(2)歴史的調査研究の二次分析の試み、(3)社会調査史の構成に関わる基礎的情報の洗い出しは、それぞれその第一段階の見通しがついた。本格的に展開するためには、新たな科学研究費プロジェクトが必要となるだろうが、部分的にわかってきたことからも、社会調査の歴史社会学が、歴史社会学の理論と研究方法の構築にもつ大きな意味はうかがえる。第三に、この研究プロジェクトの一つの柱であった研究会活動について、当初の目標として掲げられた歴史社会学のテクストブックは、まだ論点を浮かびあがらせた段階にとどまっているが、それぞれの立場からの理論と研究方法の検討は、固有のテーマやフィールドのなかで展開された。論集という形での成果の公開に向けての検討も進んだ。
著者
李 凰玉 芳賀 穣 近藤 秀裕 廣野 育生 佐藤 秀一
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.333-346, 2019

<p>植物性蛋白源により完全に魚粉を代替した無魚粉飼料(NFM)にタウリンを段階的に添加した飼料を10週間与えたマダイの成長,消化吸収率,腸管の形態ならびに炎症性サイトカイン遺伝子の発現に対する効果を調べた。魚粉主体飼料(FM)区では日間成長率(SGR)と増重率(WG)が NFM 区よりも有意に高く,タウリン添加による改善は見られなかった。FM 区の飼料効率とタンパク質効率は,NFM+1.0T 区および NFM+1.5T 区よりも有意に優れたが,NFM+2.0T 区の間では飼料効率に差がなかった。NFM+1.0T 区以外では FM 区と同等のタンパクと脂質の消化率が見られた。NFM 区では,腸管の粘膜下層において典型的な大豆による腸管障害である好中球の浸潤が見られ,サイトカインの発現も FM 区よりも有意に高かった。NFM 区の遺伝子の相対発現レベルはタウリンの添加により有意に低下した。以上の結果より,マダイではタウリンの添加は植物原料を配合した NFM による炎症反応等の一部を緩和することが示唆された。</p>
著者
長 聖 佐藤 尚
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.99-102, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

現在のセルアニメーションの多くは制作にコンピュータを利用し自動的に補間, 生成する手法も取り入られてきている.そこで問題なのが, アナログ的なセルアニメとこれらの生成物の合成には違和感があることである.それはコンピュータによる自動生成された中割と人の手によって作られた中割との差が違和感の原因ではないかと考えた.そこで我々は既存のCGアニメーションにも適用できるようセルアニメの特徴を考慮しつつ不必要なフレームを削除することによりその差異をなくす手法を開発した.