著者
喜馬 佳也乃 坂本 優紀 川添 航 佐藤 壮太 松井 圭介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.000328, 2018 (Released:2018-06-27)

1.はじめに 「聖地巡礼」とはアニメや漫画の舞台となった場所をファンが訪問するコンテンツ・ツールズムの一形態である.大石(2011)によると,こうした「聖地巡礼」行動の歴史は2002年に制作された『おねがい☆ティーチャー』に端を発し,この背景には情報を共有するためのインターネット,そして現地の写真とアニメの描写を比較するためデジタルカメラとHDDレコーダーといったデジタル画像処理技術の普及が必要であったとされる.2010年代以降,アニメや漫画といったサブカルチャーコンテンツの一般化が進展する中,SNSとスマートフォンの普及により,ますます情報の共有,発信が盛んとなってきている.これに伴い「聖地巡礼」行動も隆盛を極め,地域活性化の一資源として注目されるに至っている.本研究では,こうした「聖地巡礼」行動の一大訪問先となった茨城県大洗町において,そこを訪れる巡礼をファンの属性や訪問回数,訪問先などを分析し,「聖地巡礼」を行うファンの変化を明らかにする.2.大洗町とアニメ「ガールズ&パンツァー」 アニメ「ガールズ&パンツァー」は,架空のスポーツである戦車道に取り組む少女たちを描いた作品である.登場人物のほとんどを美少女キャラクターが占めるいわゆる「萌え」作品であると同時に,戦車といったミリタリー要素,そして「スポ根」と表現されうるストーリー展開を併せた点が特徴とされる.2012年10月から深夜帯で放送され,2015年には劇場版が上映された.2017年12月以降も劇場作品が制作され続けており,続編の多さからも人気作品であることが伺える. 大洗はこの作品の主人公の所属する高校が立地し,作中にもアニメ本編,劇場版ともに戦車による試合の会場として登場する.大洗町のマリンタワーやアウトレットといったランドスケープが登場する以外にも,市街地の商店街内を戦車が駆け巡るなど,広範囲にわたって描写される.作中の背景描写は実際の大洗町を詳細に描いたものであり,ファンを引き付ける要素となっている.3.大洗町を訪れるファンの分析 大洗町を訪れるファンのほとんどは男性であり,年齢は10代から50代まで幅広い.劇場版の放映後に大洗を訪問したというファンが半数以上を占めている.訪問地は訪問回数と一部相関関係が見られ,商店街はほぼ全員が訪れる一方,アウトレットやマリンタワーには来訪頻度が少ないファンが訪れる傾向にある.商店街はアニメに直接描写された場所であるが,来訪頻度が高いファンには行きつけの店や馴染みの店としての意味も付与され,アニメの舞台として特別な場所という意味付けから,日常の一部にシフトしていったものと捉えられる.ファンの男性たちを顧客として受け入れる商店街の態度は,村田(2000)の疎外する場所とは逆の状況が生まれているとも指摘でき,こうした受容の結果,「聖地巡礼」を契機とした移住者の存在も確認される.
著者
山長 功 佐藤 高史
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第26回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.94-97, 2012 (Released:2014-07-17)

電源インピーダンスの反共振は、EMIや電源電圧変動を引き起こし、LSIの性能や安定性を悪化させる。近年、電源電圧変動の許容値が低下しており、反共振の抑制は電源設計における重要な課題となっている。そこで、本論文では、低ESRと高ESRコンデンサを組み合わせた効果的な反共振抑制手法を提案する。2種類のコンデンサを組み合わせることで、それぞれを単体で使う場合のデメリットを改善し、高帯域に電源インピーダンスを低減することを実験により示す。
著者
大平 征宏 齋木 厚人 山口 崇 今村 榛樹 佐藤 悠太 番 典子 川名 秀俊 南雲 彩子 龍野 一郎 小菅 孝明 秋葉 哲生
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.191-196, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
19
被引用文献数
1

以前我々は減量手術後に易怒性から過食,リバウンドした症例を抑肝散が改善させたことを報告し,肥満症患者の精神面に対する漢方治療が有用である可能性を提唱した。今回,頻用されている減量治療薬および抑肝散の減量治療に対する効果を比較した。当院で減量治療目的にマジンドール,防風通聖散または易怒性を指標に抑肝散を投与された肥満症患者107例を後ろ向きに検討した。投与3ヵ月後,マジンドールおよび抑肝散で有意な体重減少を認めた。糖代謝への影響を糖尿病患者のみで検討した。HbA1c の改善はいずれの群においても有意差は認めなかった。肥満症の減量治療にはメンタルヘルスの問題が重要であり,患者の精神面を意識した漢方治療は有効であることが示唆された。
著者
浅香 卓哉 坂田 健一郎 竹川 英輝 羽藤 裕之 鎌口 真由美 大賀 則孝 佐藤 淳 山崎 裕 北川 善政
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.500-506, 2019-08-20 (Released:2019-10-21)
参考文献数
28

Glossodynia is defined as a burning sensation on the tongue without any systemic or local cause. Although its pathophysiology remains unclear, it has been associated with neuropathic, nociceptive, and psychogenic pains. In Japan, difficulties are encountered in the treatment of glossodynia as prescribed medications are not covered by health insurance. Recently, a traditional Chinese medicine treatment (kampo), rikko-san (TJ-110), has been suggested to be useful for glossodynia. The objective of this retrospective study was to evaluate the efficacy of rikko-san gargling in patients with glossodynia. In total, 221 patients with glossodynia who were treated by rikko-san gargling between 2012 and 2018 were examined. Of these, 90 patients (seven men, 83 women; mean age, 67 years) who were treated by gargling with rikko-san dissolved in water for >1 month and no other medications were included. Tongue pain was assessed using a visual analog scale (VAS). Improvement was defined as at least a 50% reduction in the VAS score after treatment compared with that before treatment. The associations between the efficacy of rikko-san gargling and factors such as age, disease duration, pain area, and psychiatric disorders were evaluated. Improvement was noted in 60% of the patients (54/90) ; the mean administration period to the end of treatment in the improvement group was approximately 5 months. There was no significant correlation between the aforementioned factors and the efficacy of rikko-san gargling. Treatment in 41 patients was completed with rikko-san gargling alone, whereas 40 patients required additional treatment such as another kampo medicine or ethyl loflazepate. No side effect was observed in any patient, although stomatitis was noted in one excluded case. The mechanism underlying rikko-san’s delivery pathway is distinct from that of selective serotonin reuptake inhibitors, benzodiazepines, and nonsteroidal anti-inflammatory drugs. We speculated that saishin (Asiasarum root), one of the major components of rikko-san, may reduce peripheral stimulation to the tongue surface through its anesthetic effect. In addition, the transmucosal actions of other components in rikko-san may influence various receptor-related neuropathic pains. In conclusion, rikko-san gargling is efficacious and safe for the treatment of glossodynia.
著者
千丈 雅徳 佐藤 友香 中島 公博 坂岡 ウメ子 林 裕 田中 稜一
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.1061-1068, 2002-10-15

【抄録】 解離性同一性障害患者の主人格および交代人格に風景構成法とPCエゴグラムを施行し,人格の成長・変化を認めるとともに寛解に至った1例を報告した。失恋を契機にαが出現し,αが成長して全体をまとめるδとなった。また,陰性感情は持続していくつかの交代人格が所有したが,最終的には主人格も陰性感情を引き受けることでまとまるに至った。すなわち,交代人格には固定化した感情状態を持続する者と,そうでなく成長する者が存在することが示唆された。また,名を持たぬ不気味な存在に名を付与することで具体的な対応が可能となり治療的に大きな転機となった。風景構成法およびPCエゴグラムは人格特性を簡便に把握し,人格の推移を知る有効な手段であることが示された。
著者
佐藤 信 川島 宏 丸山 良光
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.774-777, 1974-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
1
被引用文献数
5 9

清酒の味の甘辛の程度 (y) と, 濃淡の程度 (Z) を測る客観的な尺度を構成する目的で, 還元糖分 (S) と酸度 (A) に対する回帰式を求め, 次の両式を得た。Y=0.86S-1.16A-1.31Z=0.42S+1.88A-4.44また, 現場でも利用できるように, 日本酒度 (N) と酸度から推定する式を導いた。これらの式の推定の精度を検討したところ, 実用的にかなり役立つ程度に信頼できることを知ったので, 設計上に役立てるための図による手段を示し, これを提案した。
著者
佐藤 紀代子 杉内 智子 城本 修 杉尾 雄一郎 熊川 孝三
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.78-86, 2021-02-28 (Released:2021-03-20)
参考文献数
15

要旨: 音声コミュニケーションを用いた指導方法で療育を行った中等度・高度難聴群と重度難聴群の音声コミュニケーションの発達経過, および言語力の経緯を長期にわたって検討した。対象は, 指導を行った124例のうち生後5~6か月で補聴器装用を開始し, 聴覚以外に明らかな障害および聴力の変動・低下がなく, 中耳・内耳に異常を認めなかった6症例であった。本指導のねらいである5段階 (①発声模倣, ②単語模倣, ③2語連鎖模倣, ④肯定/否定意思選択, ⑤5W1Hの完成) における発達段階を比較, 検討した。結果, 重度群は平均2歳2か月で人工内耳手術を行ったが, 最終段階に到達するまでに中等度・高度群と比較すると1年4か月以上の遅滞がみられた。しかし, 10歳時の VIQ の結果は両群ともに同程度の結果となった。また, 健聴児の言語発達と比較すると, 明らかに聴覚障害が初期の音声コミュニケーションの発達に影響を及ぼすことが示された。聴覚障害児の音声コミュニケーションと言語の発達のために長期的な観察と個別化療育・医療が必要であることを示唆した。
著者
小澤 春香 佐藤 慎也 玉木 宏史 黒川 純
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0975, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】臨床的に下肢筋力強化や足底への荷重刺激,下肢伸展共同運動からの分離運動として患者にブリッジ動作を指導する機会が多い。その際にセラバンドやボールを用い外転筋群・内転筋群の選択的な収縮を図ることも多い。先行研究においてブリッジ動作時の股関節外転角度や膝関節屈曲角度の違いによる筋活動を比較した報告は多いが,内外転筋群への抵抗を加えたブリッジ動作の報告は少ない。そこで本研究では外転の抵抗を加えない通常のブリッジ動作と,外転・内転方向への抵抗を加えたブリッジ動作の中殿筋・大殿筋・内転筋群の筋活動を測定し,各ブリッジ動作が各筋に及ぼす影響を検討することである。【方法】健常成人男性17名(平均年齢25.9±2.9歳,平均身長170.9±5.3cm,平均体重65.5±9.7kg)を対象とし,測定肢位は上肢を胸の前で組み,股関節内外転中間位,膝関節屈曲130°からのブリッジ動作とし,股関節屈伸0°にて5秒静止を3回測定した。ブリッジ動作は無抵抗下でのブリッジ(ノーマル),外転等尺性収縮を加えたブリッジ(外転ブリッジ),内転等尺性収縮したブリッジ(内転ブリッジ)とした。股関節内外転等尺性収縮はハンドヘルドダイナモメーターと自家製固定装置を用い,最大等尺性収縮を基準として100%(max),50%,25%とした。測定方法は,表面筋電計マイオトレースを用い中殿筋・大殿筋・内転筋群の3筋を導出筋とした。ダニエルズのMMT5を基準として正規化し%MVCとした。測定区間は等尺性収縮5秒間のうち中間3秒間とし,3回の平均値を用い,各筋の%MVCを各ブリッジ動作で比較検討した。統計処理は,一元配置分散分析の後にTukeyの多重比較を用い,有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】研究の開始に当たり当院の倫理委員会の承認を得た(承認番号2013023)。また被験者には研究の意義・目的について十分に説明し,同意を得た後に実施した。【結果】中殿筋では,ノーマルで11.2±6.0%,外転ブリッジmax(外転max)で92.3±47.1%,外転ブリッジ50%(外転50%)で33.6±12.6%,外転ブリッジ25%(外転25%)で21.2±10.5%,内転ブリッジmax(内転max)で14.8±8.0%,内転ブリッジ50%(内転50%)で9.1±5.9%,内転ブリッジ25%(内転25%)で7.9±4.2%であった。外転max・外転50%ではノーマルより有意に高く,さらに外転maxは外転50%より有意に高かった。外転maxは他の全ての課題より有意に高かった。大殿筋ではノーマルで14.9±8.8%,外転maxで78.6±44.5%,外転50%で24.8±11.9%,外転25%で19.1±12.0%,内転maxで19.6±15.4%,内転50%で11.1±8.4%,内転25%で9.6±6.5%であった。外転maxは他の全ての課題より有意に高かった。内転筋では,ノーマルで12.9±5.8%,外転maxで9.7±5.9%,外転50%で1.8±0.9%,外転25%で3.2±2.5%,内転maxで60.8±19.6%,内転50%で26.3±12.2%,内転25%で15.0±7.0%であった。内転max・内転50%では他の全ての課題より有意に高く,さらに内転maxは内転50%より有意に高かった。【考察】ブリッジ動作において,外転方向へ等尺性収縮を最大努力で実施すると,通常のブリッジ動作よりも大殿筋をさらに活動させることができるが,最大努力の50%以下の抵抗では大殿筋の筋活動に変化はみられない。中殿筋・内転筋群は50%で筋活動が増加し,最大努力によってさらに筋活動は増加する。股関節内外転方向への抵抗を加えたブリッジ動作でさらに中殿筋・内転筋群を選択的に活動させるには,内外転方向への等尺性収縮を50%以上で実施する必要がある。【理学療法学研究としての意義】今回の結果から,ブリッジ運動を行う際は,目的とした筋に合わせて抵抗の種類・負荷量を変えることで,より効率的に筋活動を増加させることができると考える。
著者
佐藤 弘樹 吉川 憲一 宮田 一弘 佐野 歩 水上 昌文
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11914, (Released:2021-02-16)
参考文献数
33

【目的】脊髄損傷者の体幹機能評価尺度(以下,TASS)を開発し,信頼性を検証すること。【方法】脊髄障害認定理学療法士9 名によって開発したTASS を用いて,理学療法士2 名が脊髄障害を有する10 例の評価を実施した。級内相関係数ICC(2,1),Cohen のκ 係数,Cronbach のα 係数を用いて,検者間信頼性,項目一致度,内的整合性を確認した。Bland-Altman 分析を用いて,系統誤差の有無を確認した。【結果】TASS は端座位課題7 項目で構成される尺度となった。ICC(2,1)は0.98,κ 係数は0.57 ~1.00,α 係数は0.94 であった。評価者2 名の差の平均値は95% 信頼区間が–2.58 ~1.18,散布図の回帰直線の傾きは0.19(p=0.61)であった。【結論】端座位課題7 項目で構成される体幹機能評価尺度が完成し,高い検者間信頼性,内的整合性を示し,系統誤差のない尺度であることが確認された。
著者
坂本 英俊 松村 道孝 佐藤 健介 山口 敏彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会九州支部講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.58, pp.9-10, 2005-03

現代社会において、けん銃による犯罪は年々増加の一途をたどっている。けん銃の犯罪において、弾丸がどのけん銃から発射されたものなのかを特定することは事件の解決において最も重要なものである。また弾丸が発砲事件において唯一の証拠となることも少なくない。現在一般的に行われている捜査は、現場から発射された弾丸と薬きょうを回収し、その弾丸の発射痕を調べ、使用された銃器を特定するという方法である。 本研究では、弾丸が対象物に垂直に衝突した場合、衝突により弾丸がどのように変形したのかを見るため、試射実験を行い、試射実験後に回収した弾丸の寸法測定を行った。また弾丸の変形解析および試射対象物の変形形状を調べることにより、変形・破壊挙動の検討を行った。さらにLS-DYNAを用いて銃弾の衝突解析を行い、試射実験後の弾丸の3D計測結果と比較検討した。
著者
和泉 ちえ 森 一郎 飯田 隆 小手川 正二郎 秋葉 剛史 河野 哲也 笠木 雅史 池田 喬 鈴木 伸国 村上 祐子 大河内 泰樹 佐藤 靜 加藤 泰史 吉原 雅子 小島 優子 菅原 裕輝
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.男女共同参画推進および若手研究者支援に関して先駆的取り組みを展開している英国哲学会理事のJoe Morrison博士を日本に招聘し,第76回日本哲学会大会ワークショップ「どう変わる!日本哲学会」(2017年5月21日,於・一橋大学)において啓発的な講演と率直な議論を重ねる機会を企画実践した。またMorrison博士によるレクチャーは,千葉大学,東北大学,京都大学においても開催され,幅広い層の研究者たちと共に議論を深めることができた。特に男女共同参画を確実に実践するために英国哲学会が策定した「Good Practice Scheme」について哲学的視点に基づく論拠をMorrison博士を交えて再検討する機会を得たことは有意義であった。日本の哲学分野における男女共同参画および若手研究者支援に関して,今後も英国哲学会と緊密に連絡を取り合いながら積極的に推進する方針が確認された。2.哲学分野で活動する若手研究者を対象に実施した大規模アンケート結果を分析・公表すると共に,諸方策について提言をとりまとめた。3.日本学術会議総合ジェンダー分科会と協力しながら,日本哲学会大会の時機に合わせた人文・社会科学系学協会男女共同推進連絡会の正式発足会合に向けて実質的な貢献を積み重ねた。また日本学術会議公開シンポジウムにおいても哲学分野における男女共同参画推進・若手研究者支援の取り組みについて報告と提案を行った。4.国際会議「ジェンダー研究と哲学史」(於・一橋大学)を共催開催した。5.若手研究者を対象にした査読論文指導ワークショップを開催した(於・立教大学)。6.日本全国の諸大学における哲学分野の専任教員ポストに関して調査を行った。7.日本哲学会の機関誌『哲学』第69号特別企画「ハラスメントとは何か?ー哲学・倫理学からのアプローチ」を取りまとめ諸論点を提起した。
著者
西田 清一郎 土田 勝晴 佐藤 廣康
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.3, pp.140-143, 2015
被引用文献数
1

ケルセチン(quercetin)は代表的なフラボノイドのひとつで,有益なフィトケミカルとして食品では玉葱やワインに,また多数の漢方生薬に含まれている.臨床上,抗動脈硬化作用,脳血管疾患の予防,抗腫瘍効果を発揮することが知られている.ケルセチンは強い血管弛緩作用を表し,多様な作用機序が解明されているが,まだ不明な点も多く,現在議論の余地が残っている.我々はケルセチンの血管緊張調節作用を研究してきたが,ラット大動脈の実験から血管内皮依存性弛緩作用,血管平滑筋に対する複数の作用機序(Ca<sup>2+</sup>チャネル阻害作用,Ca<sup>2+</sup>依存性K<sup>+</sup>チャネル活性作用,PK-C阻害作用等)を介して,血管弛緩作用を発揮していることを明らかにしてきた.また,ラット腸間膜動脈の実験から,ギャップジャンクションを介したEDHF(血管内皮由来過分極因子)による血管弛緩作用も示すことを解明した.本稿では,ケルセチンの血管弛緩作用機序の総括と今後の研究課題をまとめた.
著者
佐藤 智美
出版者
JAPAN ASSOCIATION FOR EARTHQUAKE ENGINEERING
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-4, 2004 (Released:2010-08-12)
参考文献数
13
被引用文献数
14 12

宮城県沖の7 つのスラブ内地震と4 つのプレート境界地震の加速度震源スペクトルの短周期レベルを推定した。その結果、スラブ内地震である2003 年宮城県沖地震 (MJ7.0) は、プレート境界地震である1978 年宮城県沖地震 (MJ7.4) より地震モーメントは小さいが、短周期レベルは大きかったことがわかった。また、平均的には宮城県沖のスラブ内地震の短周期レベルは内陸地震に対する既往の回帰式の約4~6 倍、宮城県沖のプレート境界地震の短周期レベルの約3~4 倍であり、この特徴は福島県沖の地震と同様であることがわかった。
著者
佐藤 裕二 北川 昇 七田 俊晴 畑中 幸子 内田 淑喜
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.230-232, 2020-12-31 (Released:2021-01-28)
参考文献数
4

目的:2020年6月に,2019年6月(医療保険導入後1年2カ月)の社会医療診療行為別統計が公表されたので,これを前報の2018年6月の実施状況と比較することで,最新の口腔機能低下症の検査・管理の実態を明らかにすることを目的とした。 対象と方法:2019年6月および2020年6月に発表された社会医療診療行為別統計により,2018年6月(医療保険導入後2カ月)および2019年6月(医療保険導入後1年2カ月)の口腔機能低下症の検査・管理の実施状況を調査した。 結果:医療保険導入1年2カ月後には,咀嚼能力検査は前年の統計に比較して約5倍,舌圧検査は約2倍,口腔機能管理加算は約4倍となったが,咬合圧検査はほとんど変化がなかった。 考察:普及したとはいえ,初診患者の1%以下の検査実施率であり,これは,まだまだ普及の途上であるといえる。 結論:検査・管理は普及してきているものの,さらに普及させる必要性が示唆された。
著者
佐藤 健太
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.56-61, 2012 (Released:2015-11-25)
参考文献数
19

下痢は「日に3回以上の軟便か水様便」と定義され, 一般人口における有訴者数は2%前後1) で, プライマリ・ケア診療所における新規健康問題の中でも1.9%を占めている2) .  一般的に5-7日間続き, ほとんどの例で2週間以内に自然治癒するが, QOLを損なう症状であり, 脱水等を合併し入院することもある. 医療経済的な影響 (ロタウィルス性下痢症では年間直接医療費が100億円を超える3) も大きい.  本稿では, プライマリ・ケア診療所で実施可能な診療フローチャートの紹介や治療法のレビューを行う. なお, 紙面の都合上, 旅行者下痢症4) や院内発生下痢症5) については割愛したため引用・参考文献をご参照いただきたい.