著者
岩島 聰 倉町 三樹 青木 淳治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1976, no.6, pp.858-864, 1976-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
31
被引用文献数
1

高温タールピッチから抽出したカルバゾールには,結晶格子定数などが類似している微量の不純物が混入している。この不純物を除去するには,109の市販カルパゾールと209の無水マレィン酸および19のクロロァニルを1,2,4-トリクロロベンゼン30ml中で加熱処理後,イソペンチルアルコールと金属ナトリウムによる処理を行ない,さらに昇華,カラムクロマトグラフィー,帯域融解をくり返すことがもっとも効果的であることがわかった。不純物の検出には,蒸着薄膜のケイ光スペクトルおよびケイ光寿命の波長依存性を用いた。高純度カルバゾールのケイ光極大位置は,室温で345,358,370nm,液体窒素温度で345,351,370,392nm付近に観灘される。また,不純物が微量混入している蒸着薄膜試料では,高純度試料で観測された位置のほかに,330nm以下,および400nm以上にもケイ光極大が現われる。一方,ケイ光寿命は,'高純度蒸着薄膜試料では345~417nmで18.1~21.0n・sec(室温)を示し,波長依存性も小さい。また,低純度試料では7.3~22.0n・secを示し,その波長依存性も大きい。
著者
石垣 文 松下 健祐 角倉 英明 平野 吉信
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.61, pp.1221-1225, 2019-10-20 (Released:2019-10-20)
参考文献数
5

The aim of this report is to clarify the actual condition and problems of the university community space; “Omoshiro Lab.” in Hiroshima University, where the renovation plan and management system are mainly proposed by students. In the report, the actual condition of the proposal of renovation and its background are clarified. Then, the status and problems of management and operation of the space after renovation are clarified.
著者
アンドリュー・ ベルナール 倉島 哲
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.25-53, 2018-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
60

サーカス・パフォーマーの運動をコントロールするのは誰なのだろうか。空中のアクロバットは、無意識のうちに全身を協調させることで、パートナーに掴んでもらうべく正確に手を伸ばすことができるが、これは周辺視野にかすかに捉えた情報だけを頼りに行われている。そのうえ、視覚それ自体も、意識的にコントロールされるのではない。アクロバットは、意思によらずに視線を導き、パートナーとの視線の相互的なコンタクトを運動中も維持しつづけることができるからである。 両眼をも含めた全身の高度な協調が意識なしに可能なのは、生ける身体(living body, corps vivant)のおかげである。前意識的かつ前運動的な生ける身体は、刻々と変化する状況にエコロジカルに適応するために必要な判断を瞬間的に下してくれる。だが、こうした判断は、脳の活性化(activation)と意識によるその知覚を隔てる450ミリ秒の遅延のために、つねに事後的にしか意識に上らない。それに加えて、主観的な身体イメージや、日常的な意識のフレームなどの要因も、生ける身体を見えにくくしている。 われわれが2013年に開始したフランス国立サーカス芸術センター(CNAC)研究プログラムは、こうした困難を乗り越えるために、身体に取り付けたGoPro カメラ・GoPro 録画を用いた自己分析(self-confrontation)インタビュー・パフォーマーを巻き込んだ哲学ワークショップの開催などを含む様々な方法を用いた。そうすることで、パフォーマーたちの生ける身体が運動のさなかに無意識のうちに生成したものの意識への浮上、つまりエメルジオン(emersion, émersion)を捉えることができた。これを踏まえ、最後にエメルジオンの学としてのエメルシオロジー(emersiology)の可能性とその社会的含意を考察したい。
著者
三浦 於菟 河野 吉成 板倉 英俊 田中 耕一郎 植松 海雲 奈良 和彦 橋口 亮 吉田 和裕 桑名 一央 塚田 心平 土屋 喬 福島 厚 小菅 孝明 斉藤 輝夫
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.740-745, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1

盗汗治療代表的方剤の当帰六黄湯(李東垣『蘭室秘蔵』)の成立過程を構成生薬と各時代の盗汗病態理論より検討した。黄耆の配合は主に陽虚で出現という漢隋代盗汗理論,補血滋陰薬の生地黄・熟地黄・当帰の配合は陰虚という宋代盗汗理論,清熱薬の黄連・黄芩・黄柏の配合は陰虚の熱により津液が押し出されるという宋代盗汗理論に基く。後者は特に劉完素『黄帝素問宣明論方』中の盗汗治療方剤大金花丸の影響が大きい。本剤は各時代の盗汗学説の集大成のために高い有用性を備えたのであろう。医書の諸説より,本剤の適応病態や問題点を検討した。弱い熱証(『丹渓心法』),強い気虚証(『張氏医通』『丹渓心法』),強い陰虚証(『医学心悟』)を呈する盗汗病態には不適当との説。脾胃を損傷しやすい(『医方切用』)との指摘。自汗への応用も可能との説(『医学正伝』『景岳全書』)などがある。これらより本剤の適応は陰虚証と熱証がほぼ同様程度,気虚証はより軽度な病態であり,このような病態では自汗にも使用可能といえる。
著者
片岡 美香 岡本 貴史 山口 直子 倉本 智津子 西田 幸世 星 順隆 高橋 幸博
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.523-528, 2012 (Released:2012-09-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

新生児への血小板輸血は,通常,輸血バックから直接行われず,注射用シリンジを用いている.注射用シリンジでの輸血が,血小板に与える影響をin vitroで検討し,有効かつ安全な輸血法を考える. アフェレシス濃厚血小板製剤を,室温で撹拌したもの(アフェレシスバッグ),分離バッグに分割し攪拌したもの(分離バッグ),注射用シリンジに分離し,空気層を入れ攪拌したもの(空気混入シリンジ),注射用シリンジに分離し,空気を除去し静置したもの(空気除去シリンジ)の性状変化,血小板機能を比較検討した. アフェレシスバッグと分離バッグ保存では,6時間後においても酸素濃度など性状の変化は認められなかった.空気除去シリンジの酸素濃度は,分離後2時間で有意に低下した.二酸化炭素濃度は4時間で有意に増加し,乳酸は増加,pH,血糖および血小板凝集能が低下した.空気混入シリンジの場合,撹拌することで保存による変化を防ぐことができた. 新生児輸血方法として,分離バッグが効果的で安全な方法であった.それゆえ,少量バッグの作成が望まれる.今回は,in vitroのみでの結果であり,輸血後の生存率や回収率などの検討や,臨床的な判断が必要である.
著者
山本 まゆみ 倉沢 愛子 Horton William.B 高地 薫 山崎 功 後藤 乾一 スリョメンゴロ ジャファール
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

歴史研究では、政治体制の変化で時間軸を「分断」する傾向があり、インドネシア近現代史では、第2次世界大戦で歴史の流れを「分断」する研究が通例となっている。だが、人脈や教育、社会活動という点から通観すると、スカルノと日本軍政監部の関係、インドネシア国軍やPETAの軍事教練、そして現在も存続する「隣組」のように、「分断」ではなく「連続性」や「継続性」を見出せる。本研究は、日本占領期を、独立後のインドネシアの播種期と捉え、占領期の軍の人脈、教育、文化・社会活動が、戦後社会に与えた影響を検証することを目的とする。本研究は、研究の国際貢献を念頭に、占領期研究の多言語史料や研究成果を英語で発表する。
著者
前田 和範 冨山 浩三 吉倉 秀和
出版者
日本生涯スポーツ学会
雑誌
生涯スポーツ学研究 (ISSN:13488619)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1-2, pp.33-42, 2013-03-31 (Released:2013-09-20)
参考文献数
20

The purpose of this study is to clarify characteristic traits of spectators of newly formed teams in professional sporting leagues. Subjects of this study were spectators at a pre-season match on August 13, 2011 played by Hyogo Prefecture's first pro basketball team, the Hyogo Storks. This game was the Storks first game to which admission was charged. The number of valid responses totaled 302 (97.4%). In order to identify the characteristics of the spectators, we used a cluster analysis using the Push-Pull factors set out by Yoon & Uysal (2005) to obtain a segmentation of the spectators. As a result, we categorized the spectators into four clusters; "spectators who had come to enjoy the game", "spectators who were interested in watching the Storks' first game", "spectators who had a secondary motivation to see the game" and "Hyogo Storks fans". The study revealed that it is possible to increase spectator satisfaction by providing more attractions for a fun day out with respect to spectators who had come to enjoy the game and by creating appeal for enjoying a new experience for spectators who were interested in watching the Storks' first game and Storks fans, who displayed the trait of being innovators. It also revealed that spectator satisfaction could be increased by providing more attractions for the children of spectators who had a secondary motivation to see the game.
著者
清水 健太郎 小倉 裕司 後藤 美紀 朝原 崇 野本 康二 諸富 正己 平出 敦 松嶋 麻子 田崎 修 鍬方 安行 田中 裕 嶋津 岳士 杉本 壽
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.12, pp.833-844, 2006-12-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
53
被引用文献数
2

腸管内には多彩な細菌群がバランスを保ち共存しており,腸内環境を整えると同時に生体へ豊富なシグナルを送り続けている。腸管は,侵襲時の主要な標的臓器(target organ)であり,腸内細菌叢の維持は腸上皮におけるバリア機能の維持と感染防御の点で極めて重要と考えられる。しかしながら,急性期重症病態の腸内細菌叢や腸内環境に関する検討はほとんどされていない。われわれは,SIRS患者の腸内細菌叢と腸内環境の変化を明らかにし,近年注目されているシンバイオティクス(synbiotics)療法(“善玉”生菌+増殖物質)の有効性を評価した。研究結果を含め,侵襲時の腸管機能と腸管内治療に関して総説する。(1) SIRS患者において,腸内細菌叢および腸内環境は著しく崩れる。「善玉菌」であるBifidobacteriumとLactobacillusは健常人の1/100-1000程度に減少し,「病原性」を有するブドウ球菌数は,健常人の100倍程度に増加した。腸内細菌叢の崩壊と同時に,短鎖脂肪酸の産生は減少し,腸管内pHは上昇した。このような腸内環境の悪化は腸内細菌叢をさらに崩す(“腸内環境の悪循環”)と考えられる。(2)シンバイオティクス療法は,SIRS患者の腸内細菌叢および腸内環境を維持し,経過中の感染合併症を減少させる。シンバイオティクス投与により,BifidobacteriumとLactobacillusが高く維持され,腸管内の短鎖脂肪酸,pHも保たれた。また腸炎の発生だけでなく,肺炎や菌血症の合併を有意に減らした。シンバイオティクス療法が感染症の合併を防止するメカニズムに関しては,今後の検討を要する。(3)現在,急性期重症病態に対する標準化された腸管内治療は存在しない。シンバイオティクス療法は,腸内細菌叢を保持し,腸内環境と腸管機能を保つ点で生理的であり,重症患者の臨床経過を改善する有望な腸管内治療法と考えられる。
著者
倉迫 涼一 大日方 五郎 鳥谷 和史
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.800, pp.991-1002, 2013 (Released:2013-04-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

Lightening each part is needed as one method to improve the Fuel Economy of the car. On the other hand, a certain amount of mass is required for the brake rotor as thermal capacity because the main role of the brake is to convert the kinematic energy of the vehicle into the frictional thermal energy for decelerating the vehicle. Therefore, the appropriate heat design becomes important aiming at lightening brake parts. Many thermal analyses to design the strength and the cooling performance concerning the brake rotor are done. However, there are a few papers that treat the relation between the thermal analysis and the brake friction force. Authors have been developed the simple calculation method of the temperature on the friction surface where the pad and rotor come in contact. Then, it is found that contact form is one of factors in fluctuating brake friction force from the bench test data and the calculated friction surface temperature. In this paper, the calculation method of two dimensional temperature distribution of the rotor is proposed. The calculated results are effective to confirm the detail of radial temperature distribution of the rotor as a short time under braking. The tested pads and rotors were analyzed by EPMA on the friction surface. These results show that a detectable amount of tin is difference. It is found that the fluctuating brake friction force has affected by the relationship between the friction surface temperature and the melting point of tin.
著者
倉迫 涼一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.78, no.786, pp.462-473, 2012 (Released:2012-02-25)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

Demands to vehicles performance from environmental view points are growing these days. Lightening each part is needed as one method to improve the Fuel Economy of the car. The main role of brakes is to transfer the kinematic energy of the vehicle to the dissipative thermal energy, and accordingly to lead the deceleration of the vehicle. On the other hand, a steady braking performance is important because it drives comfortably. The appropriate design of brakes for the stable performance requires the understanding of the temperature distribution based on the analysis of heat transfer. The friction force in a brake system is generated by making contact of the pad with the rotor. This study presumed that the friction force is depending upon the temperature of the surface where the pad and rotor come in contact. This study proposed a calculation method for estimating the temperature of the friction surface. Moreover, this study conducted the experiments to compare with the estimates from the proposed method. The experimental results agree with the estimations calculated from the proposed method. Based on the temperature distribution calculated by this method, considering how the shapes of the pad have an influence on the generated brake force.
著者
後藤 栄 横井 崇子 高倉 賢二 廣瀬 雅哉 木村 俊雄 竹林 浩一 秋山 稔 中西 桂子 布留川 浩之 野田 洋一
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-5, 2000-01-01 (Released:2010-09-27)
参考文献数
10

正常排卵周期を有する不妊症患者に対する排卵誘発の有効性について検討した.1998年1月から12月の12ヵ月間に不妊治療あるいは指導を受けた185婦人のうち,排卵障害を伴わない131症例を対象とした.中枢性無月経,多嚢胞卵巣症候群,早発卵巣不全,高プロラクチン血症および稀発月経や頻発月経など月経異常を有するものは排卵障害を有する症例として本解析から除外した.両側卵管閉鎖,無精子症などの絶対不妊も除外症例とした.各不妊原因に対する治療を行うとともに,初診後3ヵ月間の待機期間を経ても妊娠に至らない症例に対して,1司意を得たうえでクロミフェン,シクロフェニル,hMG(FSH)+hCGを単独または併用した排卵誘発を行い,各種排卵誘発法の周期あたりの妊娠率を,自然排卵周期(自然周期)における妊娠率と後方視的に比較検討した.排卵障害を有さない131症例において,1998年1月から12月の間に妊娠が確認されたのは33周期であった.このうち排卵誘発により妊娠に至ったのは23周期であった.自然周期における妊娠は10周期で,このうち初診後3ヵ月以内に妊娠に至った周期は7周期であった.初診後3ヵ月間の待機期間を過ぎた症例では,IVF-ET周期を除く排卵誘発周期では周期あたりの'妊娠率は4.3%(16/374)であり,自然周期での妊娠率の1.1%(3/284)と比較して有意に高率であった.排卵誘発法別の妊娠率はhMGを含む周期,シクロフェニルを含む周期ではそれぞれ6.7%(4/60),4.4%(5/114)であり,自然周期より有意に高率であった,しかしクロミフェンを含む周期の妊娠率は3.3%(7/209)であり,自然周期と有意差を認めなかった.自然排卵周期を有する不妊症患者に対し,シクロフェニルまたはゴナドトロピンによる排卵誘発法は有効な方法と考えられたが,クロミフェンの有効性は認めなかった.〔産婦の進歩52(1);1~5,2000(平成12年1月)〕
著者
坂本 昭二 倉石 沙織 小田 寛貴 江南 和幸 岡田 至弘 安 裕明 池田 和臣 河野 益近
雑誌
じんもんこん2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.19-26, 2010-12-04

本研究では、4世紀の李柏文書から20世紀までの古文書等の様々な料紙を対象として、これらの料紙を科学的に分析したデータを用いて料紙の比較分類を試みた。まず、紙の色情報によって料紙の分類を行った。この結果、時代的に古い紙は比較的黄色味を帯びた暗い色をしているが、新しい紙では黄色味が減少して白い紙が多いことを示した。次に、蛍光X線元素分析によって料紙に含まれる元素の種類を調べ、時代的に古い紙が含む元素の種類数は多く、新しい紙に含まれる元素の種類数は少ないことを示した。特に大谷文書の多くに元素Fe, Ti, Alが含まれていることを確認した。
著者
倉上 由貴 二瓶 泰雄 安井 智哉 桜庭 拓也 佐藤 佑太 入江 美月
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1261-I_1266, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

河川堤防における地震・洪水の複合災害の実態解明やその技術開発を行うべく新たに導入した地震・洪水複合災害用水路を用いて,加振・浸透実験を行い,浸透条件下の河川堤防の耐震性や浸透対策工の耐震効果を検討した.まず,基礎地盤のみ浸潤させたケースと表のり面に河川水として一定水位与えたケースでの加振実験を行い比較したところ,表のり面の河川水が押え盛土のような効果を発揮し,基礎地盤のみ浸潤させたケースよりもはらみだしや沈下を抑制した.また,堤体の変形が生じるとともに過剰間隙水圧の値も上昇することが分かった.裏のり面薄層ドレーン工では,ドレーン工が過剰間隙水圧を消散し,天端沈下を抑制し,浸潤面低下のみならず加振時の過剰間隙水圧上昇を抑制していることが明らかとなった.