著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2013論文集 (ISSN:18820840)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.790-795, 2013-02-21

従来の恋愛支援技術の研究は,遠距離恋愛者を対象に研究開発が進められてきたが,近距離恋愛者に対しても支援すべき課題が残されていると考える.恋人間の愛着行動(いわゆる「いちゃいちゃ」)は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.恋人達の多くは,常に愛着行動をとりたいと願っている.しかしながら公共空間では,目の前にパートナーがいるにもかかわらず愛着行動を行うことができない.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿ではこのメディアの実現に向け,どのような種類の行動を伝え合うことが有効かに関する基礎的検証を行う. : “Acting cozy” is important for lovers to feel happiness and to improve their relationships much better. Many lovers desire to always act cozy. However, it is actually difficult to act cozy in a public space although they are together there. Whereas the ordinary research efforts have attempted to mainly support long-distance lovers, there are also several issues to be solved even for short-distance lovers. Accordingly, we have been studying a medium that allows the short-distance lovers who stay together to convey cozy actions even in the public space without disgusting people around them. This paper investigates what kind of cozy actions should be transmitted between the lovers being together in the public space.
著者
西田 佐知子 西田 隆義 高倉 耕一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-10-20

植物には、気温や地質条件などでは説明できない不可解な分布様式を示すものがある。このような分布は、繁殖干渉という、繁殖過程で他種(とくに生殖機構が似ている近縁種)が悪影響を与える現象で説明できる可能性がある。そこで本研究では主にフウロソウ属植物などを用い、繁殖干渉が植物の分布に及ぼす影響について調査と解析を行った。その結果、フウロソウ属の中でも繁殖干渉が見られること、それが近縁種の棲み分けなどに関わっている可能性があることを確認した。
著者
坂倉 真衣
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

平成26年度は、1)The Contextual Model of Leaning(学びの文脈モデル)(Falk & Dierking 2005)を再考することと「出会い(encountecing)」という観点を用いてインフォーマルな学習環境におけるユーザー(利用者、来館者)の「体験」を共通に捉えることのできる枠組み、方法論を確立、2)1)で確立した枠組み、方法論を用いた博物館、公民館における利用者の「学び」データの収集(行動観察、発話採集)、整理、3)1)~2)および平成25年度に実施した公民館と博物館それぞれで行われてきた「学び」の体系化(文献調査)によって得られた成果を元に開発した3件の学習プログラムの試行、検証を行った。その結果、1)平成25、26年度と引き続き問い、多面的に検討してきたインフォーマルな学習環境(博物館•公民館)における「体験」(ひいては「学び」)を捉えることのできる枠組み、方法論を確立でき、2)博物館においてよく見られる典型的なパタン(他にもいくつかのパタンが見出されている)において、「出会い」(とくに「出会いの幅」)を理解するための4つの観点(“引き出される”“ぶつかる”“つなげられる”“浮かび上がる”)および「体験」を捉える上で重要となる「出会い方」という概念を得、(1)で再考したモデルを「出会いを起点とした文脈モデル」として提示した。さらに、(3)「出会いを起点とした文脈モデル」によって開発した公民館•博物館をはじめとするインフォーマルな学習環境での学習プログラムの内実を明らかにし、その現場に関わる研究者であり実践者であるという「関わり手」としてよりよい実践へとつなげる新たな研究サイクルを確立しつつある。現在、主要な学会誌へ論文投稿の準備段階にあり、今後さらに事例研究の精緻化と論文化を進めていく予定である。
著者
持田 徹 BERGLUND L. G. 堅田 兼史 佐古井 智紀 長野 克則 嶋倉 一實 吉野 博
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.72, pp.67-74, 1999-01-25
参考文献数
19
被引用文献数
8

体感温に及ぼす湿度の影響をみるために被験者実験を行い,その結果と人体の熱平衡式から算出される等温感線の特徴について検討した.椅座・裸体状態で実験を行い,"少し暖かい"と"暑い"と申告した時の,平均皮膚温とぬれ面積率の関係を観察した.その結果,温感申告値が等しい時,高湿・中湿・低湿環境で平均皮膚温とぬれ面積率はそれぞれ独自の値をとり,かつ,両者が一定の関係をもって変化していることを知った.この特性を熱平衡式に組み込んで得られる等温感線は,湿り空気線図上で微係数がいずれもマイナス値を示し,高湿ほどその微係数が大きく,低湿に移行するに従って微係数が小さい曲線となり,体感温に及ぼす湿度の影響が一定でないことがわかった.
著者
小倉 義光 奥山 和彦 田口 晶彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.541-553, 2002-07-31
参考文献数
35
被引用文献数
11

これは,関東地方で1995〜97年の梅雨明け以降の7月と8月,日本気象協会のSAFIRが観測した日々の発電状況の多様性を,大気環境を表すパラメータの組合せの違いに起因するとという見地から理解しようとする試みの第1部である.序論的性格を持つ.まず,関東地方の夏期における発雷の地理的時間的平均分布などを概観する.次に,1日当たり雲放電数が100以上であった65日を選んで,発雷域の地理的分布およびその時間的変化から,発雷パターンを山岳型・山岳から平野型・平野型・広域型の4種に分類する.さらにそれを地上・高層天気図やアメダスデータなどと対比して,各日の主要な雷雨(発雷域)を発生させたトリガーを推定する.その結果によると,気団雷が26日,総観スケールとメソスケールの前線による界雷が31日,上層の擾乱や台風による渦雷が8日であった.気団雷の中で可能な形態の1つ,すなわち平野域での水平或いは鉛直対流による雷雨と思われる例は認められなかった.
著者
白倉 一由
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和短期大学紀要 (ISSN:02862360)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.13-30, 1997-12-10

『源五兵衛おまん 薩摩歌』は『曽根崎心中』に次いで世話浄瑠璃二作目の模索期の作品である。時間的・空間的に近松の時代から離れた事件を題材にした作品なので、事件の真相は不明で、既成の僅かの歌謡又は西鶴の『好色五人女』巻五「恋の山源五兵衛物語」によってイメージを得、近松独自の世界を創造したのである。この期の近松は浄瑠璃から離れた観客を呼び戻すかに創作意図があった。浄瑠璃から離れた観客を引き寄せるには娯楽性・滑稽性・大衆演劇性がなければならない。この構想によって創作されたものが『源五兵衛おまん薩摩歌』である。従って特に構成を考えた作品である。二組の恋物語を複合する事によって、内容の展開を複雑にさせ、又歌舞伎のやつしなどの歌舞伎の方法を用いて観客に魅力を出そうとしている。主題は男女の誠実な恋であるが、エロスが極端に表現されている箇所があり、主題を分裂させているように思われる。人物は類型化されており、展開に現実性が希薄で、仮構された作品であり、『曽根崎心中』よりも後退した模索期の作品である。
著者
小倉 仁志
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.118-120, 2012-01

ナゼナゼ社の営業部にて。今年度も上半期が過ぎ、じわじわと営業成績というプレッシャーが全員に重くのしかかりつつある。昨日の月例会議では部長から「受注率が例年に比べて下がっている。社会情勢以外の原因とその対策を検討し、下半期に巻き返しを図れ」と檄が飛んだばかりだ。指示を受けた課長は、朝からどこか浮かない顔。 「さて、どうやって対策を出すかだ。
著者
大野 久雄 鈴木 修 韮澤 浩 吉崎 正憲 長谷川 直之 田中 芳男 村松 良夫 小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.197-222, 1994-04-25
被引用文献数
13

太平洋高気圧の北辺に位置する岡山地方で1991年6月27日午後発生した雷雨嵐は同地方に激しい雨や雷および強い突風をもたらせた。中でも岡山市の北東部で発生した突風は特に強く、単体では51m/sの風に耐えられるコンクリート製電柱18本を倒壊させた。この研究は、電柱の倒壊をもたらせた突風の原因を調べるために始められた。利用可能なすべてのデータが集められ、解析された。データ源は、通常レーダー、気象庁のシステム、密に展開された自治体の大気汚染監視用風向風速計、民間航空機、テレビ局のビデオ画像、被害調査結果等と多岐にわたった。これらを複合利用してメソ解析を行った結果、少なくとも4つのダウンバースト(マイクロバーストとマクロバーストの両方)の発生が明らかになった。電柱を倒壊させたのはそのうちの1つで、雷を伴っていた。当時大気成層は、湿マイクロバーストを発生させるのに適したもので、Atkins and Wakimoto(1991)が報告した米国北アラバマの事例と類似していた。また、ダウンバースト発生の潜在的危険性が太平洋高気圧の北辺にあるとの指摘がなされた。
著者
白井 克佳 中里 信立 斉藤 実 鍋倉 賢治 松田 光生
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 : 人間環境学研究所研究報告 : journal of Institute for Human and Environmental Studies = Journal of Institute for Human and Environmental Studies (ISSN:13434780)
巻号頁・発行日
no.3, pp.69-77, 1999-06-20

本研究は夏期合宿における競技選手のコンディションの変動を調査した。対象は男子陸上長距離選手8名とし、対象の起床時、朝練習時心拍数、主観的体調、尿(量、濃度)、及び走行距離と、練習を行った環境の計測を行った。その結果、起床時、朝練習時心拍数と主観的体調が、合宿が進行するに従い、低下することが観察された。起床時、朝練習時心拍数の低下は合宿によるトレーニング効果によるものか、合宿の環境に慣れたためか、今回の検討では明らかにすることができなかった。主観的体調の低下は先行研究では心拍数の増加とともに観察されたが、今回はそれと異なった結果となった。合宿中に脱水症状を起こし、練習を中止した選手がいたが、この選手の当日の尿量は前日までと比べ、著しく高値であった。このことは尿量の観察がコンディションを把握する上で有用であり、熱中症などの事故を未然に防ぐ手がかりとなる可能性があることを示している。To investigate variations of conditions in the summer training camp, we examined 8 long-distance runners. Heart rate (HR), subjective condition, value of training and urine were analyzed for 14 days. HR decreased day by day, during summer training camp. This result may indicate the effect, the training had on the runners. One day, one subject showed a significantly high value of urine, and he retired training due to dehydration. Urine analyzation may be a useful indicator of physical condition.
著者
佐藤 文俊 森本 玲 岩倉 芳倫 小野 美澄 松田 謙 祢津 昌広 尾股 慧 工藤 正孝 伊藤 貞嘉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.886-894, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
12

原発性アルドステロン症は臓器障害の可能性の高さと頻度の多さからスクリーニングの重要性が提唱され,血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比を用いて疑う.低カリウム血症を伴う(ARB・ACE阻害薬の内服患者では正常低値も),比較的若年者,血圧コントロール不良,グレードII(160/100 mmHg)以上の高血圧患者等は当然診断対象だが,特に手術で治癒が可能な腺腫病変は早期診断・治療が望まれる.薬物治療ではミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を含んだ十分な降圧を行うことが肝要である.
著者
北村 由美 片岡 樹 芹澤 知広 津田 浩司 奈倉 京子 横田 祥子 中谷 潤子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、インドネシア華人とその再移住の調査を通じて、脱植民地化、国民国家形成、冷戦といった20 世紀のアジアの国際関係をとらえなおすことを目的とし、オランダ、中国、香港、台湾、マレーシア、日本などインドネシア華人の移動先において調査を行った。本研究によって、第二次世界大戦後から21世紀初頭にいたるインドネシア華人の国際移動をめぐる複雑な実態が明らかになるとともに、インドネシアが民主化とグローバル化を迎えた現代において、各地に定住しているインドネシア華移民が、出身国であるインドネシアと新たに構築しつつある関係についても一部明らかになった。
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
新倉 修
出版者
國學院大學
雑誌
國學院大學図書館紀要 (ISSN:09153527)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.61-80, 1991-03-20
著者
柏倉 秀克
出版者
日本福祉大学
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.130, pp.1-13, 2014-09-30

視覚障害生徒が使用する点字教科書は通常の教科書(原典教科書)を点訳したものであるが,近年教科書のビジュアル化が進んだことによって点訳は困難を極めている.本研究では文部科学省が編集した特別支援(盲)学校中学部社会科教科書編集における新しい試みを抽出するとともに,視覚障害生徒にわかりやすい教科書とするための具体的な配慮について明らかにすることを目的とする.調査の対象としたのは,(1) 2012 年度に編集された特別支援(盲)学校中学部社会科教科書,(2)同教科書編集会議資料,(3)同教科書編集資料である.調査の結果,点字教科書の分冊化における単元等配列上の配慮,視覚障害生徒が触察する上で分かりやすいレイアウト,写真・絵・イラスト・表・グラフ・地図を点訳する際の新しい試みが明らかになった.さらに点字使用生徒と同一の教室で学ぶ機会の多い弱視生徒向け拡大教科書との関連について考察した.
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013-HCI-152, no.19, pp.1-8, 2013-03-06

人間の愛着行動 (いわゆる 「いちゃいちゃ」 ) は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.愛着行動はデリケートな行動のためプライバシが確保された場所で行うのが一般的であり,公共の場では行われない傾向にある.公共の場では,周囲の目が障壁となるため,カップルは愛着行動を行うことが困難になると考えられる.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿では,裏腹的愛着行動を伝えあう対面コミュニケーションメディアである 「ちんかも」 を提案し,その有用性をユーザスタディによって検証する. : "Acting cozy" is important for lovers to feel happiness and to improve their relationships much better. Many lovers desire to always act cozy. However, it is actually difficult to act cozy in a public space although they are together there. Whereas the ordinary research efforts have attempted to mainly support long-distance lovers, there are also several issues to be solved even for short-distance lovers. Accordingly, we have been studying a medium that allows the short-distance lovers who stay together to convey cozy actions even in the public space without disgusting people around them. This paper investigates what kind of cozy actions should be transmitted between the lovers being together in the public space.