著者
石倉 和佳
出版者
兵庫県立大学
雑誌
兵庫県立大学環境人間学部研究報告 (ISSN:13498592)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.145-154, 2007-02-28

The aim of this paper is to make clear the characteristics of the culture of science during the Romantic period in England. First, the paper examines the widely accepted idea of 'the two cultures' and Kuhn's 'paradigm' regarding the complexity of the scientific climate in the Romantic age. Next, it deals with Humphry Davy's research in chemistry and Coleridge's relevant scientific speculation. Considering the fact that the phlogiston hypothesis was accepted in the eighteenth and the early nineteenth century, it is made evident that the Romantic age was a time when certain paradigms were being changed into different ones, particularly in the field of chemistry. Davy's hypothetical proposition regarding "some unknown bases" of matter, derived from his experiment conducted by electrolysis, highlights a worldview in which power in matter is fundamental to the understanding of the universe. Stimulated by Davy's research, Coleridge speculated on the relevance of modern chemistry to the writings of Jacob Bohme, a German mystic. Some of these scientific speculations could have been developed into another scientific school of thought, while others appeared to remain inappropriate to the standards of the paradigm. Nevertheless, it is possible to think that in the age of Romanticism the pursuit of science could involve everything concerned with human knowledge and life, and the testing of various ideas to reveal the potentiality of forming another frame of thought.
著者
和田 成一 倉林 秀光 小林 泰彦 舟山 知夫 夏堀 雅宏 山本 和夫 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.471-477, 2003-04-25
被引用文献数
2 18

三種類の細胞, CHO-K1, HMV-IIおよびL5178Yを用いてγ線照射によるDNA損傷と細胞死との関係を調べた.細胞の生存率はクローン形成法によって求められた.放射線照射によるDNA鎖切断とその再結合はアルカリ及び中性コメット法で測定された.三種類の細胞の中ではL5178Yが最も放射線感受性で,CHO-K1とHMV-IIは放射線抵抗性であった.これらの細胞の放射線感受性(2Gy照射時の生存率)と,アルカリ条件下での単位線量あたりの初期DNA損傷生成率の間には負の関係が認められた.一般に細胞の放射線感受性に関連すると考えられているDNA二本鎖切断の単位線量あたりの残存量(照射4時間後)と放射線感受性との間にも負の関係が認められた.今回用いた分析条件では,DNA初期損傷の評価にはアルカリ条件が,残存損傷の評価には中性条件が適することが分かった.今回用いたコメット法は,放射線によるDNA損傷を検出する他の方法よりも簡便で迅速であるので,放射線感受性を予測する方法として有用であると思われる.
著者
倉石 一郎
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.27-48, 2009-05-31

This paper concerns the way educational sociologists "deal with" interview data recorded during fieldwork. In my recent research on the educational activities of fukushi kyoin (welfare teachers) in Kochi prefecture, which focused on "historical" events from the early post-war era to the 1960s, I recorded a great deal of interview data in the field, but was very reluctant to deal with the interview data as a constructionist life story researcher like myself would do before committing myself to the final research project. The constructionist presupposition that any reality is constructed through discursive practice prohibits us from interpreting interview narrative with reference to "outer world" reality and forces us to deal with the narrative exclusively. In my case with the fukushi kyoin, however, I decided to "utilize" the interview data in combination with other kinds of data-like documents. This means that I placed greater distance between myself and the interview data compared with the case of pure life story research. Here I point out that in educational research it is often hard to maintain the constructionist presupposition because education as an occupational world has, compared with other kinds of occupations, a highly intimate relationship with the written world and this reduces the interviewer's tension to the narrative itself. In addition, the fact that it is easier, through cooperation between the interviewer and interviewee, to construct and confirm that both share a common background, namely "education," causes the withdrawal of the metatheory that life story researchers support: the "wisdom of ignorance." Instead, in educational research the dominant metatheory is "prescribed wisdom," presupposing the superiority and precedence of the interviewer and interpreter to the interviewee and those researched. However it is also important that the practice of "re-use" of interview data may provide us with the opportunity to be conscious of the above-mentioned dominant metatheory in educational sociology. This may lead us to a radical criticism of the self-evident "prescribed wisdom" in any educational research.
著者
岡本 幸 長瀧 寛之 齊藤 明紀 都倉 信樹 増澤 利光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.13, pp.55-62, 2003-02-07
被引用文献数
2

大学において電子ポートフォリオを利用する場合 学生に加え各講義の担当教官 技官 ティーチングアシスタントなど様々な立場の利用者が存在するため きめこまかいアクセス制御を実現する必要がある.また多数の学生や講義が登録されるため 検索機能が充実していることが必要である.本研究ではこれらの要求を満たす電子ポートフォリオシステムを設計 試作し 運用により評価を行なった.本システムは リレーショナルデータベースにデータを保管し Web上で使用することができる.If an electronic portfolio system is used in universities, complicated access control is required because there are various users such as students, teachers of each lecture, teaching assistants and so on. Moreover, since the number of students and lectures is very large, the system must have powerful search and sort functions. We designed and implemented a student portfolio system suitable for an university. We also applied it to a few courses in two universities and evaluated it. This system keeps data in a relational database, and it can be used on the web.
著者
小杉 泰 足立 明 東長 靖 田辺 明生 藤倉 達郎 岡本 正明 仁子 寿晴 山根 聡 子島 進
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、環インド洋地域を構成する南アジア、東南アジア、西アジア/中東について、イスラーム、ヒンドゥー教、仏教が20世紀後半から宗教復興を遂げている状況を調査し、社会と宗教がともに現代的なテクノロジーによって変容している実態を解明した。特に先端医療の発展によって、宗教的な生命倫理が再構築されていることが明らかとなった。
著者
大倉 元宏
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

以下の3つのテーマについて,並行して研究を進めてきた。テーマ1 :視覚障害者用道路横断帯の耐久性向上と補修時期に関する調査研究テーマ2 :環状交差点における道路横断支援に関する研究テーマ3 :二次課題法による心理的ストレスの評価テーマ1に関しては,愛媛県松山市のある交差点の横断歩道に硬度の異なる3種類のウレタン系樹脂突起を使って道路横断帯を敷設し,摩耗経過を継続測定したところ,軟らかいほど摩耗が少ないことを示唆する結果を得た。また,補修時期の目安を求めるため,突起の高さと足裏での検知性の関係を目隠しをした晴眼被験者について調べたところ,高さが2mmになると検知性に低下があることが認められた。テーマ2に関しては,三鷹駅前のロータリ交差点(環状交差点)における平成22年度のフィールド実験において歩道縁石と横断歩道の方向が直交していないところや歩道上に誘導用ブロックが設置されていない箇所では方向を見失う場合が多々みられたことを受け,改修工事が行われた。すなわち,歩道縁石と横断歩道を直交させ,歩道上には誘導用ブロックが敷設された。前と同様,モデルルートを設定し, 5名の晴眼者と10名の視覚障害者の参加を得て,フィールド実験を行ったところ,方向を見失うケースは激減し,改修工事の妥当性が確認された。テーマ3に関しては,愛媛県のあるリハセンターの協力を得て,臨床試験を行った。道路横断を含むモデルコースを設定し,そのリハセンターに在籍する訓練生を対象に,タッピング(1秒間隔で押しボタンスイッチを押す)を二次課題法として,歩行訓練の進行に伴う二次課題のパフォーマンスの変化を調べたところ,向上がみられた。歩行における心理的ストレスの測定に二次課題法の適用できる可能性が示唆された。
著者
大倉 浩 (2007) 湯沢 質幸 (2006) 李 承英
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究においては、日韓文化史的な研究の一環として、日本に残存する中世の韻書に焦点を当て、それを同時期の韓国韻書と比較し、韻書の取り扱い方や位置づけにおける日韓間の同異を解明することを目的とし、本年度では以下のような研究を行った。1. 日本中世漢字音研究の指導的役割を果たした五山系抄物について、『玉塵抄』『史記抄』等、有用な資料を調査・収集し、韻書におけるデータを整理した。韻書や抄物等は関西の図書館や社寺に所蔵されている場合が多いので、本年度における資料調査は関西方面において行った。2. 資料の調査結果を踏まえて、まず、日本側の韻書である聚分韻略の音注の系統を探るため、五山系抄物、特に『玉塵抄』『史記抄』『漢書抄』等の呉音・漢音と比較を行った。3. 五山系抄物との比較した結果を基にし、中世の呉音漢音の資料である文明本節用集との比較も行い、聚分韻略の音注の系統を更に探った。4. 日本の韻書の聚分韻略と同じ三重韻形式を採用している韓国『三韻通考』とを比較し、両国韻書の歴史における位置を確かめ、この二書の前後関係を考察した。5. 日韓漢字文化史の比較研究を行うために、京都・中国地方の図書館や博物館等において漢字音資料の発掘や調査、資料収集を行った。

3 0 0 0 科学と社会

著者
長倉 三郎 高久 文麿 大島 泰郎 及川 昭文 常石 敬一 村上 陽一郎
出版者
(財)神奈川科学技術アカデミー
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究は,平成8〜10年度に実施された文部科学省科学研究費補助金(創成的基礎研究費)「科学と社会-フィージビリティ・スタディー」に基づき,より具体的な調査研究を遂行するために企画,実施されたものである。具体的には,ほぼ月1回の頻度で開催した全体の班会議,研究テーマごとの分科会,アンケート調査,海外研究機関の実態調査,および報告書の作成などを行った。●全体班会議全体の班会議においては,「科学と社会」に関連したテーマで,1〜2名の分担者からの話題提供,学識者による講演を行い,それらに基づいて討議した。その内容は以下のようになる。「英国における科学と社会研究」松本三和夫(東京大学)「ヒトゲノム研究に関する基本原則」高久史麿(自治医科大学)「成立基盤から観る科学と社会」市川惇信(人事院)「私にとっての科学」小松左京(SF作家)「タスキーギ梅毒研究について」金森修(東京水産大学)「学校教育における科学教育と科学を教える教師の問題」木村捨雄(鳴門教育大学)●分科会次の4つの分科会に分かれ,それぞれのテーマについて調査研究を行った。(1)わが国における「科学と社会」研究の推進方策に関する調査研究・(2)力としての科学の知の発展と集積が人類社会に及ぼす影響(3)ゲノム科学革命の構造:その人間社会に及ぼす影響(4)矛盾容認社会における「科学と社会」(1)においては,(1)国内の大学などにおける「科学と社会」に関する教育・研究の実態を把握するためのアンケート調査,(2)米国大学における「社会と科学教育プログラム」の実態調査を行い,その結果を報告書としてまとめた。(2)においては,「知は力の基になる」という観点から,「科学とは何が」「知の持つ力とは何を意味するのか」「科学における光と影」「科学の将来」などについて討議し,その内容を報告書としてまとめた。(3)においては,「科学と社会」の今日的課題として「ゲノム問題」を取り上げ,「ゲノム科学革命の歴史的背景」「社会に直面する生命科学および科学者」「クローン問題」,および将来の課題としての「科学と社会センター構想」等について討議し,その内容を報告書としてまとめた。(4)においては,「科学という知の形式」「科学の知と無矛盾生」「矛盾に関する世界観」「矛盾否定社会における社会の維持と科学」「矛盾容認社会における知の形態と科学」などについて討議し,その内容を報告書としてまとめた。
著者
伊奈 博彦 倉本 宣
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.627-630, 2003-03-31
被引用文献数
9 4

We investigated ten environment factors of habitat conditions of Lefua echigonia (Endangered Species) in small irrigation streams of Yato during an irrigation period and a non-irrigation period in 2002. Study area was three Yatos in Zushi-onoji Historical Environmental Conservation Area, Tokyo. Then the relationship between the existence of this species and the environmental factors at each period was analyzed. As the result, it was indicated that during the irrigation term, affective factors to the habitat of this species were physical environmental factors, substrate type and the presence of paddy fields on sides of stream. During the non-irrigation term, chemical environmental factors, substrate type and water velocity affected the habitat. Therefore, it was suggested that conservation measures should be different at each period.
著者
山口 智 盛 安冬 板倉 秀清
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.285-286, 1997-03-12

遺伝子の進化の過程を模して最適化問題を解く遺伝的アルゴリズムに開する研究が盛んに行なわれている。これらの研究の多くは、適者生存 (淘汰)、他の遺伝子との混ぜ合わせ (交叉)、ランダムな遺伝子の変化 (突然変異)をもとに遺伝子の進化が進行することで最適化問題を解いている。近年の分子生物学の発展にともない、進化論に閲するさまざまな仮説があげられている。中原らの提唱するウィルス進化論は、進化の過程で遺伝子の変化にウィルスが関与することで、遺伝子が他の遺伝子と融合されると言うものである。ウィルス進化説では、新しく作られる遺伝子は親の遺伝子ばかりでなく他の種族の持つ形質を採り入れることすらある。この研究では、ウィルス進化論をモデルにした新しい遺伝的アルゴリズムを提案する。従来の遺伝的アルゴリズムが二つの遺伝子を混ぜ合わせることによって新しい遺伝子を生成するのに対して、本稿で提案する方法は、遺伝子プールの中を自由に渡り歩く素子 (以下この素子をウィルスと呼ぶ) を用いて新しい遺伝子の生成を行なう。ウイルスは、遺伝子プールの中を動き回りながら遺伝子の一部を自己の持つ遺伝子に書き換え新しい遺伝子を生成する。さらに遺伝子に、増殖、死、突然変異などの生命的概念を導入することによって、ウィルス自身の進化を促す。提案するアルゴリズムは、遺伝子プール内の遺伝子とともにウィルスが進化しながら解の最適化をはかる。また、ウィルスは最適化問題の解の一部とみることができる。これは、ウィルスがスキーマタ定理におけるスキーマの一つであると言える。本稿では、シミュレーション実験によりウィルスの進化がスキーマの進化であることを示す。
著者
杉山 敏子 丸山 良子 柏倉 栄子 小笠原 サキ子 田多 英興
出版者
東北福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,看護の諸場面におけるケアの効果を,種々の指標によって多面的に評価するための指標の開発をすることと,同時にさまざまなケアを行うことによって人の身体あるいは心にどのような変化が起こるのかの基礎研究である。看護場面での生理指標として,内因性瞬目の可能性を検討した。また,睡眠と活動量についての相関について検証を行った。内因性瞬目については,乳児から高齢者まで看護の指標となるよう基準値が得られるよう測定を行った。その結果,乳児は平均0~2回/分,成人~高齢者は20回/分前後であった。また,女性の瞬目率は40歳以降になると男性よりも有意に多かった。また,内因性瞬目は近年発達障害の指標としても使用されており,看護の中でも状態の観察の一項目として有用な指標と考えられた。睡眠については,夜間の病棟内の騒音と睡眠の程度について調査を行った。夜間の音の大きさは外科病棟,内科病棟ともに40~47dBで,患者が目覚める原因となる音は大きさよりも,ナースコールや救急車の音であり,非日常的で病院特有な音が原因となっていた。また,患者の日中の活動量と睡眠状態の関連性については,療養高齢者の睡眠は,睡眠時間が長く,睡眠型は良好で,睡眠習慣が規則的である。療養高齢者の睡眠習慣と活動状況には,負の相関がある。療養高齢者の睡眠の質に対する主観的な評価と客観的な評価は異なっていて,客観的には悪いのだが,主観的には良好としている。
著者
深倉 和明 工藤 孝幾
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.109-115, 1987-09-01

The purpose of this study was to analyse the tackling distance estimated by a soccer player at the intercollegiate level. The meaning of the tackling distance is the longest distance between a ball and a tackler in which he is sure to tackle the ball successfully. Skilled players (N = 5) and unskilled players (N = 5) were selected among the Fukushima Univ. Soccer Team according to their ability of tackling. Each of the subjects was required to tackle a ball, and the tackling distance and the movement time (MT) taken from the initial movement of his feet to his touch of the ball with the tackling foot were measured. The opponent's reaction time (RT) was also measured in order to be compared with MT. The results were as follows: 1) The tackling distance of the skilled group was longer than that of the unskilled group. 2) When the tackler's MT was compared with the opponent's RT, the former was shorter than the latter, and this was remarkable in the case of the unskilled group. 3) But there was no difference between the two groups regarding the probability of success in the practical one-against-one tackling trials. 4) These results may suggest that there were some differences between two groups in the action prior to the main tackling action, and also the tackling action of the unskilled group was more easily anticipated by the opponent.
著者
西野 和典 高橋 参吉 大倉 孝昭 大西 淑雅 山口 真之介
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

高校教科「情報」担当教員が専門的な知識や技能を得て、実践的な授業スキルを身につけるためのe-ラーニング教材を開発する。そのために、大学の教科「情報」の教職課程科目の授業内容をe-ラーニング教材にして、現職教員が働きながら学ぶことができる環境を実現する。また、インターネットを活用して遠隔から授業を評価するシステムを構築し、ベテラン教員から授業改善について指導を受け、相互評価を行い教科「情報」の授業のスキルアップを行う。
著者
倉橋 正恵
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

本年度は、日本国内において早稲田大学演劇博物館、立命館大学アート・リサーチセンター、国外においてはボストン美術館(アメリカ合衆国)、ヴィクトリ&アルバートミュージアム(イギリス)に所蔵されている演劇関係資料の調査に行った。調査対象とした資料は、下記のようである。(1)歌舞伎役者関係資料(2)初代歌川国貞を中心とした、江戸後期浮世絵作品(3)歌舞伎上演年表類(4)幕末期の歌舞伎劇場内部資料これらの資料についてはそれぞれに詳細な所蔵・書誌調査を行い、とりわけ(4)幕末期の歌舞伎劇場内部資料については、「幕末江戸歌舞伎の興行形態と劇場運営」(早稲田大学21世紀COE<演劇の総合的研究と演劇学の確立>国際シンポジウム、於早稲田大学、2005年12月)として研究成果を発表した。また、(1)(2)(3)の資料については、2004年度から継続して研究と展示準備に携わっていた「Kabuki Heroes on the Osaka stage 1780-1830」展(「日英交流 大坂歌舞伎展」、大英博物館・大阪歴史博物館・早稲田大学演劇博物館を巡回)において、その研究成果を示すことができた。