著者
倉地 卓将 村瀬 香織 西出 雄大 小山 哲史 佐藤 俊幸
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.122-127, 2013

注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
著者
川野 恭雅 仲村 佳彦 村井 映 田中 潤一 西田 武司 水沼 真理子 大田 大樹 石倉 宏恭
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.313-317, 2016-05-01 (Released:2016-05-02)
参考文献数
11

二次性腎性尿崩症の治療の一つにインドメタシンがある。今回,我々は原因薬剤としてリチウムが疑われた腎性尿崩症に対し,高用量のインドメタシンが奏功した症例を経験したので報告する。症例は35歳の女性,双極性障害に対し17年間リチウムを服用していた。フェノバルビタールおよびクロルプロマジンの急性中毒のため当院へ搬送となった後,第2病日より450 ml/hrを超える多尿と血清Na値上昇を来し,バソプレシンに無反応であったため,二次性腎性尿崩症と診断した。病歴より原因薬剤としてリチウムが疑われ,治療としてインドメタシン150 mg/dayを投与したが効果がなかった。多尿に伴いcreatinine clearanceが亢進してインドメタシンの薬物血中濃度が低下している可能性を考慮し,インドメタシンを225 mg/dayまで増量したところ,尿量減少および血清Na値の低下を認めた。高用量のインドメタシンは二次性腎性尿崩症に対し,有効な治療法である可能性が示唆された。
著者
行谷 佑一 安藤 亮輔 宍倉 正展 野村 成宏
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

富士川河口域西岸部である静岡県旧富士川町(現富士市)や旧蒲原町(現静岡市清水区)は、1854年安政東海地震の前後で富士川流路が変遷したこと[行谷・他(2015)]や「蒲原地震山」[例えば、羽田野(1977)]に代表される地変により、同地震によって広域的に隆起した可能性が高い。この隆起は、南海トラフ・駿河トラフの破壊に伴い入山瀬断層またはそれに関連した断層が破壊した可能性を示唆するものであり、本地域の地下構造を解明することは今後の地震活動を検討する上でも重要である。そこで本調査ではこの富士川河口域西岸部において、地表近くの地層に断層の伴うずれや変形が存在するか知るために、2016年1月4日~8日かけて地中レーダー探査(Ground Penetrating Radar, GPR)を行った。調査地域を通るとされる入山瀬断層は南北方向の走向を持つと考えられているので[例えば、地震調査研究推進本部(2010)]、ほとんどの測線についてそれに横切るように東西方向に設定した。総測線長は13 km程度に及ぶ。GPR探査において使用した電波の中心周波数は100 MHzであり、地下の不均質な電磁波伝播構造による反射波を解析することで地下5 m内程度の地質構造を知ることが期待される。この結果、海岸から2 km程度内陸までの測線で少なくとも4カ所において反射面に断層のずれと解釈される層序の不連続が存在することがわかった。不連続は盛土と思われる層の直下まで存在し、比較的新しい地層まで切っている可能性がある。これらの不連続の位置は地震調査研究推進本部が設定した入山瀬断層の位置とさほど離れていない。また、最も海側の測線および地震山の北端付近の測線における不連続の位置付近は、反射法地震探査により数十m~数百mの深度で伊藤・他(2014)が推定した断層位置に近い。一方、蒲原中学校の北側や旧庵原高校の東側といった、地震調査研究推進本部による入山瀬断層の断層線から離れた位置においてもこのような不連続が存在することがわかった。これは伊藤・他(2014)が指摘する「陸域における入山瀬断層が1本の明瞭な断層ではなく、複数の断層に分岐していることを示している」ことを支持する内容である。すなわち、この富士川河口域西岸では複数の分岐断層が地表面近くにまで達している可能性がある。 【文献】羽田野誠一, 1977, 地図, 40-41.伊藤忍・山口和雄・入谷良平, 2014, 平成25年度沿岸域の地質・活断層調査研究報告, 59-64.地震調査研究推進本部, 2010, http://jishin.go.jp/main/chousa/katsudansou_pdf/43_fujikawa_2.pdf行谷佑一・安藤亮輔・宍倉正展, 2015, 日本地震学会講演予稿集2015年度秋季大会, S10-11. 【謝辞】 本調査を実施するにあたり便宜をはかって下さった関係諸機関のみなさまに御礼申し上げます。本調査の一部は「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」の予算で実施しました。
著者
山口 宏也 四倉 淑枝 久保田 彰 井上 荘三郎 吉沢 由利子 宮川 晃一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5Supplement2, pp.863-868, 1983 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

Twenty-six cases subjected to neck surgery were operated under epidural anesthesia. These consisted of one case of laryngectomy, three cases of thyroidectomy, four cases of resection of median cervical cyst, twelve cases of thyroplasty type I, five cases of arytenoid aduction and one case of resection of lypoma. In the studies, it was shown that epidural anesthesia had benefits for thyroidectomy, thyroplasty type I and arytenoid aduction. The patients were conscious and without pain while undergoing the operations, allowing the surgeon to speak with them to make sure of the patient's voice changes. The anesthesia was also good for laryngectomy and radical neck dissection of its broad numbring area. Usually the patients were most uneasy bewfore and during their operations. Therefore, we used a much larger dose of tranquilizer before and during the operations. By using a smaller dose of anesthetics than is used for local anesthesia, we found that this anesthesia had a broader numbring area resembling general anesthesia. It was concluded that the epidural anesthesia should be used more frequently for neck surgery than types.
著者
倉地 曉美
出版者
広島大学大学院教育学研究科日本語教育学講座
雑誌
広島大学日本語教育研究 (ISSN:13477226)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-7, 2016

This study aimed to determine how globalization in education, which can be widely observed in Japanese universities, influences Japanese-language education programs and full-time faculty positions for those programs. This research was conducted via a postal survey to full-time instructors selected by referral sampling at 54 universities in Japan (national, public, and private universities). It was evident that globalization in education exerts a considerable influence on both Japanese-language education and faculty positions. The results of this study have a bearing on such questions as how overseas student education programs in Japan should be efficiently promoted. However, it is clear that the increasing workload on fulltime faculty should be reexamined and reduced. Full-time instructors are obliged to commit considerable time to other duties. Faculty are required to provide overseas students with necessary information to help them pursue their studies in a different cultural environment. Giving intercultural education to Japanese students is also an indispensable part of faculty duties. These issues demand further reconsideration and discussion.本研究は,基盤研究(B)『多文化にひらかれた大学教員の国境を越えたネットワーク形成に関する研究』(研究代表者:倉地曉美)の国際共同研究の一環として実施されたものである。2015年6月異文化間教育学会のケース・パネル(共同発表者:中山亜紀子,加藤鈴子)「グローバル化の大学の日本語教育への影響について」で,日本,米国,韓国で実施した研究成果を発表したが,本研究はその一部である。
著者
倉田 和夫 島森 功
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement2, pp.5-10, 2006 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

本稿は、CG、Webデザイン、映像編集などコンピュータを使うデジタルデザイン分野において共通するスキルとしてプログラミング能力が要求されるようになってきていることから、情報系の短期大学でデザインを専攻する学生へのプログラミング入門教育の新しい試みとしてCGソフトPOV-Rayを使ってプログラミングの思考法を理解させる教育事例を報告する。

3 0 0 0 OA 両性の能力

著者
小倉清三郎 著
出版者
以文館
巻号頁・発行日
1914
著者
大倉 健宏 村上 賢 加藤 行男
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

2012年から2014年にかけて実施した国内および米国での調査結果を分析し、「ペットフレンドリーなコミュニティ」を大都市の文脈から論じた。本研究では「飼い主」と「公園」および「ペット友人」をネットワークと考える。「ペットフレンドリーなコミュニティ」が飼い犬を中心として、ペットと共生できる街を提案する意義は大きいと考える。そこでは下位文化による結合が、「相談」「親交」「実用的」のいずれにも収斂しえない、住民の「ペットフレンドリーなコミュニティにおけるシビリティ」が想定されるだろう。
著者
宍倉 正展 原口 強 宮内 崇裕
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.357-372, 2001-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
32
被引用文献数
1 8

Two major historical earthquakes of the 1703 Genroku Kanto Earthquake (M 8.2) and the 1923 Taisho Kanto Earthquake (M 7.9) occurred along the Sagami Trough, where the Philippine Sea Plate subducts beneath the North American Plate. As a result of the coseismic crustai movements associated with these earthquakes and with the repeated characteristic earthquakes of two types (the Genroku-type Earthquake and the Taisho-type Earthquake), Holocene emerged shoreline topography has developed along the southern coast of the Boso Peninsula. We investigated the emerged shoreline topography and beach sediments in the Iwai Lowland with help of a new sampling method using the long geo-slicer to clarify the timing and recurrence interval of the Taisho-type Earthquake. A series of ten narrow emerged beach ridges, which are named the BR-I to BR-X in descending order, are distributed below the highest emerged shore platform, 15.5m high above sea level in the lowland. At least eleven times of coseismic events, probably the Taisho-type Earthquake, can be recognized from the number of the emerged shoreline topography. Based on the 14C ages and sedimentary sequences related to the BR-I-IX, the Taisho-type Earthquake occurred at least three times between 6825-6719 cal yrs BP and 5304-5055 cal yrs BP. After the other three non-dated events succeeded, four events are confirmed at 3300-3100 cal yrs BP, before 2306-2118 cal yrs BP, 1292-1264 cal yrs BP and around 900 cal yrs BP. The lowest BR-X was judged to be emerged during the 1923 event by comparing between the topographic map issued in 1886 and the present one. Analyzing intermittent emergent age of beach ridges, the recurrence interval of the Taisho-type Earthquake is within 990 years, and is 380 years at shortest.
著者
麥倉 哲 MUGIKURA Tetsu
出版者
日本社会病理学会
雑誌
現代の社会病理 (ISSN:1342470X)
巻号頁・発行日
no.27, pp.3-25, 2012

この論文は、危険な仕事に誰が就くのかという問題に焦点を当てるものである。原子力エネルギーに依存する社会は、そこで働く労働者を犠牲にするシステムでありかつ、こうした労働者への差別によって作動する社会である。一方、このシステムから離脱することが難しいのは、労働の実態を隠蔽する仕組みがつくられ、国民と原発労働者の聞に分断ができているからである。本論では、福島第一原子力発電所で命を落とした労働者と、かつて福島原発で、働いたことのある労働者の2人のケースを調べながら、隠蔽と分断の仕組みを明らかにしたい。This article focuses on the problem of who gets hired for dangerous work. Current Japanese society depends on nuclear power plant energy and has a system that sacrifices workers working there. This system operates on the discrimination against such workers. A structure for concealing the actual situation of the labor is made,a nd the reason why no solution has been given for such a problem is that most people does not understand the workers' reality. In this article,I clarified how the workers' reality concealed while investigating the cases of a dead worker and a former worker of the Fukushima first Nuclear Power Plant.