著者
河邊 聰 内藤 郁子 野村 正樹 畑 正一郎 大森 靖子 平家 直美 林 茂 吉田 光一 木村 忠紀 堀 榮二 遠藤 康雄 志村 公夫 冨家 裕久
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.433-443, 2008

京都の都心部には,平成12年の調査で3万戸の伝統町家があることが分かっていた。その後年々数は減少しているといわれる。町家では日々の生活が営まれ,その上で都市的・文化的価値の高さが語られる。(財)京都市景観・まちづくりセンターは,京町家居住者からの様々な相談に応じる町家相談会「京町家なんでも相談」を平成13年度に立ち上げた。本稿は,この相談会に寄せられた町家居住者からの相談内容をヒアリング形式で間接的に学習し,それを参考資料とした。資料から居住にかかわる不満・不安を抽出・分析し,問題点の把握と理解をした上で,今後居住不安解消の具体案を策定し,居住者への居住支援方策を提示したいと考える。このことから京町家の保全・継承の環境づくりに寄与したいと考えるものである。
著者
内藤 茂三 関 啓数 水野 龍二
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 = Japanese journal of food microbiology (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.181-187, 2000-09-30
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

1. 食パン由来のオレンジ色カビを同定した結果, <I>M.suaverolens</I>であった.本菌はエタノール濃度0.5~2.0%では無添加より良好に生育し, 最高エタノール濃度10%まで生育した.<BR>2. 食パン工場の空中浮遊カビを測定した結果, <I>M.suaverolens</I>はすべての工程より検出され, 原料混合, 中種混合, 焙炉, 冷却工程に多く検出された.最も多い空中浮遊カビは<I>Cladosporium</I>であり, ついで<I>M.fuaverolens, Aspergillus, Penicillium, Aureobacidium</I>であった.<BR>3. 製造工程の半製品と製品のカビの汚染状況を検討した結果, <I>M.suvaverolens</I>はスライス, 包装後の製品より3.5~3.7×10<SUP>2</SUP>cfu/g検出され, その他のカビは中種発酵以降から焙炉工程後の生地に3.5~8.3×10<SUP>2</SUP>cfu/g検出された.<BR>4. 食パン由来の肱<I>M.suvaverolens</I>のオゾン水殺菌を行った結果, 初発菌数2.7×10<SUP>5</SUP>cfu/gは, 15ppmオゾン水濃度で5分間処理において完全に死滅した.
著者
内藤 初枝
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.321-326, 1995 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ごぼうの褐変防止方法としての食酢の活用意義を明確にするとともに, より効果的な褐変防止方法を検討し, 以下のような結果を得た。1) 水または3%食酢水浸漬を実施したごぼう中のポリフェノールオキシダーゼ (PPO) は, 生と比較して減少した。また, 酵素活性に適したpHは5.5~6.7であり, この酵素は酸性側で非可逆的に不活性となった。2) 水または3%食酢水浸漬により, 浸漬処理後のごぼう中のポリフェノール (PP) 類含量は, いずれも13%程度減少した。3) 見かけ上, 水浸漬溶液は褐変が濃く, 3%食酢水浸漬溶液ではPP類含量が高かった。4) 各浸漬溶液のpHを6.7に補正し, 新たにPPO (チロシナーゼ) を添加したところ, 3%食酢水浸漬溶液では溶液の褐変が増加し, PP類の測定値が低下し, 水浸漬溶液の結果と同様の傾向を示した。5) ごぼうの表面色は, 浸漬溶液から取り出した後も徐々に着色していった。特に, 3%食酢水浸漬のごぼうでは, 褐変酵素が非可逆的に失活しているにもかかわらず, 更に褐色系着色が進行した。以上の結果から, ごぼうの褐変防止方法としては, 食酢水浸漬より水浸漬のほうが褐変防止効果は大きいという結論を得た。
著者
志磨 裕彦 中内 伸光 吉村 浩 牧野 哲 北本 卓也 小宮 克弘 内藤 博夫 菊政 勲 幡谷 泰史
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

多様体M上に平坦接続DとRiemann計量gが与えられて,gがDに関するHesse形式で表せるとき,その組(D,g)をHesse構造といい,Hesse構造が与えられた多様体MをHesse多様体というHesse幾何学とはHesse多様体に関する幾何学のことである.Hesse幾何学は情報幾何学,アファイン微分幾何学,Kahler幾何学等と密接に関連する.甘利と長岡は確率分布族に双対接続という微分幾何学的構造が本来的に備わっていることを発見し,数理情報をこの双対接続の見地から研究するべく情報幾何学を提唱した.双対接続が平坦な場合がHesse構造で,正規分布族や多項分布族など多くの重要な確率分布族が双対平坦接続,すなわちHesse構造を有していることが知られている.また双対接続の概念はアファイン微分幾何学においても非退化アファイン超曲面はめ込みとその余法線はめ込みの組を考えることにより得られていた.更にはHesse多様体の接ベクトル束がKahler多様体になることから,Hesse幾何学はKahler幾何学とも親戚関係にある.本研究ではHesse幾何学をこれら3つの幾何学との関連を踏まえながら総合的に研究した.1.情報幾何学の方法を用いて,新しいHesse計量を構成し,逆に微分幾何学的手法を用いて,新しい確率分布族を構成した.2.Hesse構造のポテンシャルの等位曲面のアファイン微分幾何学を展開し,勾配写像のラプラシアンを考察することにより,アファインBernstein問題の類似が解決した.3.Kahler幾何学との関連でいえば,Kahler幾何学における消滅定理や双対定理に類似する結果が,Hesse幾何学でも成り立つことが示された.4.Hesse構造の自然な拡張であるCodazzi構造が定義できるが,これが定曲率で等質ならばそれは1次元高い等質Hesse構造から導かれることが分った.これらの諸結果は"Geometry of Hessian structures"として,World Scientific社より出版予定である.
著者
赤沼 安夫 繁田 幸男 井村 裕夫 七里 元亮 垂井 清一郎 馬場 茂明 堀野 正治 兼子 俊男 三村 悟郎 清水 直容 内藤 周幸 中川 昌一 工藤 守 久保田 奉幸 阿部 祐五 王子 亘由 鍋谷 登 河原 啓 安東 千代 陣内 冨男 小坂 樹徳 後藤 由夫 葛谷 健 平田 幸正 伊藤 徳治 梶沼 宏 堀内 光 坂本 信夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.9-18, 1984

ブタインスリンの化学的修飾によつて酵素学的畔合成されたHuman Momcomponent Insuliれの安全性, 有効性および免疫学的推移を精製ブタインスリンを対照薬剤とした二重盲検法にて検討した. 用いた製剤はいずれもActrapidおよびMonotard製剤である. 治験は96週間の予定にて実施進行中であるが, 今回は24週間まで投与し得ている症例を対象とした中間成績である. 対象は, 精製ブタインスリン製剤のみで治療されているType IおよびType II糖尿病患者153例であった. 解析は除外症例8例を除いた145例にて実施された.<BR>患者の年齢, 糖尿病病型, 肥満度, 糖尿病発症年齢, 糖尿病罹病期間および糖尿病性合併症など背景因子に明らかな偏りはなかった.<BR>全般改善度, 有用度とも精製ブタインスリン群の方で改善および有用と判定する傾向があった (0.05<p<0.1).<BR>インスリン1日用量, 空腹時血糖値およびヘモグロビンAiでは両薬剤群間に有意な差は認められなかった. 体重, 抗インスリンIgG抗体およびインスリン特異性IgE抗体でも両薬剤群間に差を認めなかった. インスリンアレルギーが治験開始1ヵ月頃に, リポアトロフィーが12週間頃に各1例ずつ認められたが, いずれも治験はそのまま継続し得た. これら以外に副作用は認めなかった. 臨床検査成績に治験薬剤によると思われる直接的な影響は認められなかった.<BR>以上より, Human Monocomponent Insulinは, 精製ブタインスリンとほぼ同様の安全性, 有用性を有しており, 糖尿病治療上, 有用なインスリンであると判断された. しかしながら両者間には作用特性に多少の差異がみられる可能性は残る. この点に関しては今後さらに検討される必要があろう.
著者
相澤 卓 渡辺 和宏 長尾 宗紀 亀井 尚 内藤 剛 海野 倫明
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.814-819, 2018 (Released:2018-10-31)
参考文献数
10

症例は34歳,男性.16歳時より潰瘍性大腸炎(UC)として加療されていた.左下腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診した.下部消化管内視鏡・腹部CT検査でS状結腸に壁肥厚と狭窄,その近傍に膿瘍形成を認めて当科紹介となった.三期分割手術の方針として大腸亜全摘・回腸瘻造設術を施行した.当初,二期目手術に残存直腸切除・回腸嚢肛門吻合術を予定していたが,術後病理組織学的検査で非乾酪性肉芽腫を多数認めてCrohn病に診断変更となり,さらに二期目手術前検査で残存直腸のポリープからadenocarcinomaが検出されたため残存直腸切断術を行った.病理組織学的検査ではポリープ部のみならず周囲にcarcinomaやdysplasiaを広範囲に認めた.非典型的なUC症例では診断が変更になる可能性を念頭に置き,またcolitic cancerを合併した場合は病変が広範囲に存在することがあることを考慮する必要がある.
著者
内藤 貴司 山口 裕嗣 大柿 哲朗
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.103-113, 2016 (Released:2016-06-17)
参考文献数
40
被引用文献数
3 1

The timing at which ice is ingested prior to exercise may be important for optimizing internal pre-cooling effects. However, previous reports have not evaluated the influence of timing of ice ingestion on internal pre-cooling in the heat. The purpose of this study was to investigate the effects of differences in the timing of ice ingestion on endurance cycling capacity, body temperature and perceptional sensation during heat stress. Seven healthy males [age=26±2 yr, height=1.71±0.04 m, body mass=63.6±2.8 kg, surface area=1.74±0.03 m2, VO2max=49.7±4.4 ml・kg−1・min−1] ingested ice for 30 min before exercise under 3 separate conditions: ice ingestion at 30-(30D), 15-(15D) and 5-(5D) minute intervals. The total volume of ice ingestion was identical during 30D, 15D, 5D and was divided equally by the number of times drunk in each experiment. Subjects performed cycling to exhaustion at 70%VO2max in a hot environment (35℃ room temperature and 30% relative humidity). Rating of thermal sensation was lower in the 5D group at 15 min period during exercise than those under the other conditions (p<.05). Rating of perceived exertion was lower in the 5D group at 20 and 25 min periods during exercise than those under the other conditions (p<.05). There were no significant differences in rectal temperature, mean skin temperature or exhaustion time between the 3 conditions. These results suggest that there are no significant differences in exhaustion time or rectal temperature if the total volume of ice ingestion is identical, although ice ingestion until just before exercise attenuated the perceptual sensation of heat during exercise in a hot environment.
著者
鮫島 和範 仲井 圭二 内藤 了二 川口 浩二 額田 恭史 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_527-I_532, 2018 (Released:2018-09-12)
参考文献数
7

副振動について,これまで余り注目されなかった周期と振幅との関係に関する解析を行い,平均周期が大きい地点ほど,無次元振幅の散らばりが小さいことが分かった.また,無次元周期の出現頻度が高い階級では,無次元振幅の平均値は周期や地点に依らず1に漸近する.仲井ら1)2)は,気象庁の振幅5 cm以上の観測資料を用いて,個々の副振動の出現特性を示す確率密度関数の形等により,全国の地点を3種類に分類した.本研究では,港湾局の5地点において観測されたデータを対象に確率密度関数を算出したところ,気象庁のA群の形とほぼ一致した.平均振幅が小さい地点について,5 cm以上のデータだけを用いて確率密度関数を計算すると,真の確率密度関数からずれるということを仲井ら2)は指摘していたが,このことが港湾局のデータにより確認できた.
著者
内藤 正和 Masakazu Naito
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.121-136, 2019-08-01

現在、地方自治体におけるスポーツ施設整備政策をめぐっては賛否両論があり、その課題は、まちづくりに関する合意を形成する対話の場が欠落していることにある。まちづくりと整合性を持つスポーツ施設の整備には、住民との議論における情報提供を目的とした専門家による予備調査、目的に応じた参画や調査を可能とする複数組織による役割分担、多様な調査手法による多様なアクターからの意見集約が重要なポイントとなるのである。
著者
平澤 美恵子 新道 幸恵 内藤 洋子 佐々木 和子 熊沢 美奈好 松岡 恵
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-31, 1988

助産婦の新卒者が助産婦としての能力に習熟する過程と, その過程に影響する要因を明らかにする目的で, 国立および公的助産婦学校3校の卒業生92名を対象に, 妊産婦へのケア能力を中心に, 1年間追跡調査した。<BR>対象の平均年齢は23.5歳, 看護婦歴のあるものは34.7%, その平均職歴は2.6年, 200~999床の病産院に勤務したものが過半数である。対象者の大半が妊産婦ケア能力の到達状況がよくなるのは就後1年時である。新生児の仮死蘇生術やハイリスク新生児の看護は、1年時になっても未経験者が多い。<BR>仕事ぶりに満足という意識をもつ人の割合は経時的に増加し, それとともに, その意識に相関する妊産婦ケア能力の項目が増加している。職場の人間関係に関する意識にも能力の到達状況と相関が認められた。その意識のうち, ケア能力の到達項目の多くと相関がみられたのは, 1か月時には職場の雰囲気がよい, 6か月時には職員の意見交換が多い, である。