著者
岡田 洋平 福本 貴彦 前岡 浩 高取 克彦 生野 公貴 鶴田 佳世 大久保 優 河口 朋子 岡本 昌幸 松下 祥子 庄本 康治
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.391-396, 2010-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
30

【目的】本研究の目的は,パーキンソン病患者および健常高齢者の足趾把持力を比較し,足趾把持力と疾患重症度および罹病期間との関連性について検討することにより,姿勢制御に重要な役割を果たす足趾把持力のパーキンソン病患者の特性を明らかにすることとする。【方法】対象はパーキンソン病患者25名,健常高齢者25名とした。評価項目は対象者の特性,足趾把持力,膝伸展筋力とした。データ分析は足趾把持力,膝伸展筋力の群間比較と患者の特性との関連性について検討した。【結果】パーキンソン病患者の足趾把持力は健常高齢者と比較して有意に低い値を示し,足趾把持力と年齢,疾患重症度,罹病期間には有意な負の相関関係を認めた。ヤール4度群は2度群と比較して有意に低い値を示した。【結論】パーキンソン病患者は健常高齢者と比較して足趾把持力が低値を示し,加齢や疾患の進行に伴い足趾把持力が低下することが示唆された。
著者
永井 克也 谷田 守 福島 洋一 山野 俊彦 新島 旭 前田 景子 奥村 宣明 堀井 裕子 沈 嬌
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.209-216, 2009 (Released:2009-08-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1

筆者らはこれ迄ラットを用いて,低血糖状態,食品,香りや音楽などの種々の体内外の環境刺激が自律神経制御を介して様々な生理機能に影響を与えることを明らかにしてきた.乳酸菌に関しては,1)Lactobacillus Johnsonii La1(NCC533)のウレタン麻酔ラットへの十二指腸投与が副腎や腎臓を支配する交感神経を抑制し,胃を支配する副交感神経を興奮させて血圧を低下させ,無麻酔ラットへの投与が食欲を促進する,2)Lactobacillus paracasei ST11(NCC2461)のウレタン麻酔ラットへの十二指腸投与が白色脂肪,褐色脂肪,副腎,腎臓などを支配する交感神経を興奮させ,胃を支配する副交感神経を抑制して血圧を上昇させ,無麻酔ラットへの投与が脂肪分解と体温を増加させて食欲や体重を低下させる,などを示す結果を得ている.この際,横隔膜下で迷走神経を切断しておくと,NCC533の十二指腸投与による腎臓交感神経の抑制反応は消失したが,NCC2461の十二指腸投与による腎臓交感神経の興奮反応は消失しなかった.また,NCC533による腎臓交感神経活動の低下と胃副交感神経活動の上昇および血圧低下反応はSCN破壊やH3-受容体遮断剤により消失し,NCC2461の十二指腸投与による腎臓交感神経活動と血圧の上昇がH1-受容体遮断剤により消失する,なども認められた.これらの事実は乳酸菌による自律神経活動の制御を介する生理機能変化に体内時計(SCN)とヒスタミンニューロンが関与すると共に,NCC533の関与する反応には横隔膜下の迷走神経求心枝が関与することを示唆する.
著者
宮竹 貴久 大前 雄介
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.133-135, 2014-05-25 (Released:2014-11-15)
参考文献数
21
被引用文献数
3 2

The cigarette beetle, Lasioderma serricorne (Fabricius), is an important pest insect, that feeds on various dry foods, including wheat, forage crops, snacks, dried noodles, and chili. In this study, we investigated the difference in their attraction to direct and reflected lights in a chamber. Reflected lights are attractive to insects, but direct lights do not attract them, which is a new finding.
著者
江原 英治 村上 洋介 佐々木 赳 藤野 光洋 平野 恭悠 小澤 有希 吉田 修一朗 吉田 葉子 鈴木 嗣敏 金谷 知潤 石丸 和彦 前畠 慶人 西垣 恭一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.39-46, 2014-01-01 (Released:2014-01-31)
参考文献数
15

背景:無脾症患者は細菌感染,特に肺炎球菌に罹患しやすく,時に致死的となる.わが国では2010年より7価肺炎球菌結合型ワクチンが使用可能となり小児での予防効果が期待されている. 目的:7価肺炎球菌結合型ワクチン導入前の時期での,無脾症患者における重症細菌感染症の臨床像を明らかにし,新しいワクチンを含めた今後の対策について検討すること. 対象と方法:1988~2009年までに出生し,当院で治療を受けた無脾症患者のうち,外来経過観察中に重症細菌感染症(髄膜炎・敗血症)を起こした7例の臨床像を後方視的に検討した. 結果:無脾症患者44例中7例(16%)で,重症細菌感染症を認めた.感染症発症時の年齢は3ヵ月~4歳で,7例中5例は2歳未満であった.初発症状は全例が発熱,不機嫌,哺乳不良など非特異的な症状であった.短時間に急速な悪化を呈し,入院時には心肺停止,ショック状態,意識障害などの重篤な症状を認め,死亡率は57%であった.起因菌は肺炎球菌が7例中5例(71%)を占めた.7価肺炎球菌結合型ワクチンが使用可能であれば,予防できた可能性がある例が存在した. 結論:無脾症患者における重症細菌感染症(髄膜炎・敗血症)は,短時間に急速な悪化を呈し,死亡率が高い.早期診断が困難な例が存在し,小児循環器医のみならず,救急外来を含め無脾症患者の診療に関わる全てのスタッフへの啓発と体制作り,および患者家族への教育が重要である.無脾症患者には7価肺炎球菌結合型ワクチン等のワクチンを早期より積極的に接種すべきである.7価肺炎球菌結合型ワクチンの普及により侵襲性肺炎球菌感染症の減少が期待されるものの,ワクチン株以外の血清型の感染が存在し,完全には予防できないことも認識すべきである.
著者
鈴木 智大 前川 文彦 浅川 倫宏 崔 宰熏
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

スギヒラタケは食用とされていましたが、摂取者に原因不明の急性脳症が相次ぎ、現在もその毒性メカニズムは不明のままです。申請者らは複数の毒成分が、スギヒラタケによる急性脳症の発症機構に関与するという以下の仮説を立てています。本研究ではこの説を立証するだけでなく、この毒性物質の新規なタンパク質分解活性に着目することで、治療・予防への道筋を切り開くとともに新たな酵素としての応用展開を目指します。
著者
竹村 和人 向川 均 前田 修平
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.879-897, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
47

現在気候及び将来気候を対象とする大気大循環モデルによる大規模アンサンブルシミュレーションの結果を用いて、8月の北太平洋中央部におけるロスビー波の砕波頻度の将来変化、及びそれに関連する大気循環場の特徴を調べた。現在気候実験における北太平洋中央部での砕波頻度は、再解析データと同様に、エルニーニョ・南方振動と関連することが相関解析より示された。将来気候実験における北太平洋中央部での砕波頻度は、現在気候実験と比べて顕著に減少することが分かった。将来気候実験では、アジアモンスーン循環が顕著に弱化し、その結果としてアジアジェット気流が南偏する傾向が見られた。このアジアジェット気流の将来変化に伴って、北太平洋中央部ではジェット気流の分流・減速が弱化し、それは砕波頻度の減少と関連していた。また将来気候実験では、ユーラシア大陸及び北太平洋の中緯度でロスビー波の波束伝播が弱化する傾向が明瞭であり、このことは砕波頻度の減少と整合的である。相関解析及び頻度分布の解析より、将来気候実験における砕波頻度の減少は、フィリピンの東海上での積雲対流活動の弱化と関連することが示された。さらに、ω方程式を用いた診断より、砕波頻度の減少は、中部太平洋トラフの弱化及びそれに伴う力学的上昇流の弱化を通して、フィリピンの東海上での積雲対流活動の弱化に影響を及ぼすことが示された。
著者
高橋 優基 前田 剛伸 嘉戸 直樹
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-66, 2022 (Released:2022-12-23)
参考文献数
17

In clinical practice, muscle weakness is often considered a functional disability similar to limitation of range of motion. We physical therapists use manual muscle testing (MMT) described by Daniels et al. for the general assessment of muscle weakness. This test quantitatively assesses muscle strength by the amount of joint movement, muscle contraction, and the effect of gravity and resistance. However, it is not possible to evaluate the strength of individual muscles involved in a single joint movement, or to separate a single muscle into fibers with different actions. In other words, it is difficult to narrow down the individual muscles and muscle fibers that are weak using MMT results. In this paper, we examine the possibility of evaluating muscle weakness using MMT for knee extension, and hip abduction by changing some of the test positions and the direction of manual resistance based on kinematics. Each of these proposed test positions is presented based on electromyogram data.
著者
益本 仁雄 宇都宮 由佳 松田 薫 角前 とも 滝山 桂子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.353, 2008 (Released:2008-11-10)

目的・方法 台湾には,17世紀に中国大陸から移入した本省人とよばれる閩南(みんなん)と客家(はっか),及び第二次世界大戦後に移入した外省人,そして原住民族13族が住んでいる.本研究では,台湾住民の8割を越える閩南と客家の伝統服に着目して,その特徴を明らかにし,大学生の着用経験,イメージ,伝統服継承の意志,それらの維持継承の方途について考察する. 文献研究をもとに,在日台湾留学生へ面接聞取り調査をし,2007年11月に台中の静宜大学学生136名に質問紙調査を実施した.統計分析には統計ソフトSPSSを用いた. 結果・考察 両民族の伝統服の特徴は,右開きの大きな襟のシャツと裾が広がったズボンである.閩南は,紅や黄,緑など明るく華やかな色で高価なものには刺繍がほどこされている一方,客家は,黒,茶,藍など地味な色で作りも簡単なものが多い. 台湾大学生の伝統服着用経験は,「着たことがない」が7割を占め,着用した者でも明・清時代の中国大陸の伝統服であるチャイナドレスも含まれており,自分たちの伝統服は日常生活から遠い存在であることが明かとなった.伝統服に対するイメージは,「着てみたい」と答えた者は「値段が高い」「高級感がある」「かわいい」である.一方「着たくない」と答えた者は「地味・色が暗い」「恥ずかしい」「目立つ・派手」というイメージを持っていた. 着用経験は低いものの伝統服を「継承する意志」は非常に高く,継承のためには「台湾のアイドルがテレビで伝統服を着用」「現代風にアレンジ」などの回答が得られた.また,本研究の分析結果から,「若者が手に入れられる価格」「刺繍を多く取り入れたデザイン」「着用する行事や機会を設ける」が提案された.
著者
原 幹周 吉田 英樹 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.515-519, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
20

〔目的〕運動レベル経皮的電気神経刺激(TENS)の即時的な鎮痛効果は,周波数とパルス幅の組み合わせにより変化するか検討した.〔対象と方法〕健常成人16名を対象とし,人工的な疼痛に対して周波数とパルス幅の組み合わせが異なる6種類の運動レベルTENS条件とコントロール条件の計7条件を実施した.各条件の鎮痛効果は,Numerical Rating Scale(NRS)と前頭前皮質の酸素化ヘモグロビン量(Fp-HbO<sub>2</sub>)を用いて比較した.〔結果〕NRS,Fp-HbO<sub>2</sub>ともにコントロール条件と比較して,全TENS実施条件において有意に鎮痛効果が認められたが,TENS実施条件間で有意な差は認められなかった.〔結語〕運動レベルTENSの即時的な鎮痛効果は周波数,パルス幅による差が認められなかった.
著者
前川 喜平
出版者
日本教師教育学会
雑誌
日本教師教育学会年報 (ISSN:13437186)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.18-28, 2019-09-21 (Released:2020-09-21)

This paper aims to trace the changes and development of teacher preparation systems in Japan from the civil service perspective inside the (then) Ministry of Education, as well as in the (presently) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT).   There are perspectives of academics (intellectuals) and of educators to consider when discussing about teacher preparation and its systems. The author takes a position that teachers need to be intellectuals themselves in order to adequately and effectively guide their students to pursue their intellectual curiosities. Ensuring intellectual freedom of universities where Japan sets its teacher preparation is, therefore, critical to allow space for future teachers to mature their intellectual caliber.   Taking on above mentioned perspective, previous and still ongoing reforms on teacher preparation policy have carried the following issues :   1)In Japan, school-teacher is an inclusive term referring to those carrying the occupation of teaching from preschool to high school in national, municipal and private schools. However, it is often assumed within MEXT, as well as the Central Education Council, that the term refers, primarily, to those teaching in publicly operated primary schools. Furthermore, whilest preparing primary school teachers in university with open system curriculum has been the fundamental principle, nonetheless, the pre-war tradition of normal school preparation strongly persists still today.   2)Under the open system, the providers of teacher preparation were not held responsible to bridge between preparation and hiring / placement of teachers. Hence, teacher preparation curriculum and contents have been largely disconnected to what is needed in the practice. Today, however, there is a growing pressure for longer preparation process and tougher certification requirements. The introduction of “teaching practice exercises” was a response to such pressure, but university providers failed to implement it as a gatekeeper. The introduction of the professional graduate school of teacher education in 2008 was to bridge between the preparation and the practice, but it is still in developmental stage today.   3)In the 2015 reform, university’s autonomy over teacher preparation curriculum was weakened despite the rhetoric of encouraging universities for innovative practice. The introduction of “core curriculum” was another blow to university’s curricular autonomy, and much of teacher preparation curriculum was put under the state control.   These issues noted here are the evidence that the fundamental principle of Japan’s postwar teacher preparation—university-based and open system preparation—is at risk today.
著者
前田 陽一郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.556-563, 2018-04-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1

人工蜂コロニー(ABC)アルゴリズムは,蜜蜂の群れの採餌行動から着想を得た群知能アルゴリズムであり,実数値最適化を目的として開発された近似最適化手法である.ABCアルゴリズムは,最適化の対象となる問題の性質を問わず高い探索性能を持つことが検証されているが,いくつかの問題点が存在する.例として,個体の多様性を重視した探索を行うために,優良解に収束するまでに時間がかかりやすいという問題が存在する.近年,ABCアルゴリズムの改良手法に関する研究が盛んに行われており,他の進化的計算手法の考えを取り入れたハイブリッド手法が数多く提案されている.本研究では,実数値GAで用いられる交叉手法の1つである算術交叉をABCアルゴリズムの探索処理に組み込むことにより探索速度を向上させた改良手法である,算術交叉型ABCアルゴリズム(AC-ABC)と,遺伝的アルゴリズム(GA)の交叉,突然変異に用いられる確率的探索処理をABCアルゴリズムの変数選択部分に取り入れることにより,探索性能を高めた大域探索型ABCアルゴリズム(GS-ABC)を提案する.本手法の有効性を検証するため関数最適化シミュレーションを行ない,GS-ABCアルゴリズムは6種類のベンチマーク問題の全てで従来手法よりも高い性能を示すことが明らかとなった.
著者
宇野 博武 前田 和範
出版者
日本体育・スポーツ経営学会
雑誌
体育・スポーツ経営学研究 (ISSN:24323462)
巻号頁・発行日
pp.370002, (Released:2023-05-17)
参考文献数
45

Community-based professional sports teams in Japan have played an essential role in regional revitalization. However, teams in provincial cities remain financially unstable and challenging to manage. Furthermore, many of these teams have been severely affected by the COVID-19 pandemic over the past few years. In the present study, we explored factors that enabled two professional sports teams in a provincial city, Fagiano Okayama (J-League) and the Kochi Fighting Dogs (independent professional baseball league), to successfully maintain their operations despite the challenges faced during the pandemic. We conducted semi-structured interviews with both teams to gather information on their COVID-19 countermeasures and analyzed their organizational resilience. The results revealed that the antecedents of organizational resilience for both teams included “social resources,” “entrepreneurial behavior,” “executive leadership,” “internal communication,” “rapid decision-making mechanism,” “excellent human resources,” “commitment of members,” “optimism and tolerance,” and “support from the league.” We also discovered that team-specific considerations, such as “social resources” (i.e., trust with stakeholders), “entrepreneurial behavior” and “executive leadership” as innovative aspects of management, may be significant for the operational success of professional sports teams in provincial cities.