著者
前川 真奈美 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.55-64, 2015
被引用文献数
3

A new scale for measuring components of mindfulness was developed and its reliability and validity were evaluated. Undergraduate and graduate students (<i>N</i>=478) participated by responding to a 72-item pilot scale. Their responses were psychometrically evaluated by conducting exploratory and confirmatory factor analyses. The resulting 31-item measure was named the Six Factors Mindfulness Scale (SFMS), which included the following subscales: Nonduality, Describing, Acceptance and Nonreactivity, Objective observing, Awareness, and Being in the moment. The SFMS had good internal consistency and sufficient, 2-week test–retest reliability. Nearly all subscales of SFMS were adequately correlated with several theoretically related scales. We also examined relationships between mental health scores and SFMS factor scores. Results indicated that high awareness with low acceptance resulted in poor mental health, which supported the findings of previous research, and suggested the validity of the scale. It is concluded that the SFMS is a useful, multidimensional measure for assessing mindfulness.
著者
前川 哲也
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.34, pp.47-64, 2005

気象教育に限らず,科学教育,あるいは教育そのものが,その本質的な重要性にもかかわらず,他の重要なこと(強者)におされ,重要性に見合った教育活動やそれを支えるものが十分ではないという「弱者」の立場に甘んじている。しかし,大多数の国民にとって,気象について系統だった学習を最後に行えるのは中学校の理科の単元「天気とその変化」である。したがって,この単元で学習内容をどこまで扱うかは国民の気象に関する知識・理解(国民の常識)のレベルをそのまま規定するものであり,気象教育の要になる部分である。そこで現行の小・中学校の学習指導要領から気象教育に関する部分を教科書の章立てと並べて,小学校では「なぜ」に関する部分が欠けている点を,中学校では学習内容が日常の気象現象にストレートに生かせそうで案外生かせない点を指摘する。さらに昭和22年,26年に試案として発表され,33年,43年,52年,平成元年,10年に改訂された学習指導要領から気象教育に関する学習内容を項目別に具体的に整理し,それぞれの学習指導要領に基づく教科書で気象単元に割り当てられているページ数が減ってきていることを明らかにすることで,気象教育が「弱者」へ転落してきたかを示す。このような現状の中で,今後の気象教育のあり方として「弱者の連携」を提言する。気象教育と同様に,重要であるにもかかわらず,実際には軽視されている「弱者」は多く存在する。それらとの連携の形を提案し,気象教育だけでなく連携相手のメリットも示す。われわれは気象教育の生き残りをかけて,「弱者」同士の連携により,それぞれの領域の重要性を,子どもをはじめとする国民にしっかりと知らしめ,理解者を増やしていく,すなわち「強者」を目指していくべきではないだろうか。
著者
岡村 修祐 酒井 輝文 吉貝 浩史 住江 博明 成田 高三郎 辛島 卓 前山 泰彦 檜垣 浩一 井出 達也 佐田 通夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.411-417, 2009 (Released:2009-03-05)
参考文献数
19
被引用文献数
6

症例は61歳女性,脾摘術の既往あり.C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法中に意識障害で救急搬送され,数時間で多臓器不全となり死亡.剖検·血液培養検査で肺炎球菌による敗血症と診断される.脾摘後劇症型感染症(OPSI)の1例と考えられ,インターフェロンが誘引となったと推測された.脾摘患者に免疫能低下をともなう治療を行う際は,感染症の重症化を常に念頭に入れ,また肺炎球菌ワクチン接種を検討することが望ましい.
著者
宮田 典幸 坂本 竜一 堤 絵里子 塩塚 奈那 前田 麻木 武藤 敏孝 田邉 真紀人 高月 浩 澄井 俊彦 岡嶋 泰一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.3, pp.769-772, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10

脾摘後患者では液性免疫障害により敗血症,その重症化のリスクが高い.症例は64歳女性.45歳時に特発性血小板減少性紫斑病に対し脾摘.肺炎球菌ワクチンは未接種.悪寒,発熱を自覚した翌日に上下肢の紫斑が出現.その翌日当科受診し,肺炎球菌感染,DICの所見を認めた.既往歴から脾臓摘出後重症感染症による敗血症,電撃性紫斑をきたしたものと診断.ペニシリン大量投与,DIC治療にて救命しえたが,左膝表皮,右第3・5趾先端は壊死し,植皮,切断を要した.
著者
内田 裕 藤村 喜久郎 前垣 義弘
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.246-251, 2014 (Released:2015-04-01)

脳波の解析についてははっきりした分類法が確立していない.本論文では解析をするために必要な数値化に関しての検討事例を報告する.元の脳波データに対して時間的な差分処理をおこない,さらにその差分データをもとに一定時間間隔での平均を求めて数値化した例について報告する.
著者
田窪 朋仁 吉岡 健伸 新井 健生 前 泰志 大原 賢一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.75, no.759, pp.2996-3004, 2009-11-25

Leg-wheel hybrid locomotion on rough terrain for a hexapod robot is realized by continuous transition between wheeled and legged locomotion based on sensor feedback. In basic positioning on a flat surface, the robot is supported by three legs and moves using its wheels. Upon sensing an obstacle, the robot's support and swing legs change as a tripod gait to cross over the obstacle. We define the three dimensional model of the motion on a slope for stability estimation, and its analysis indicates that the maximum obstacle height depends on the robot's height and the slope gradient. Even if the slope is steep, the robot can climb over a higher step on it by moving the robot's center of gravity (COG) based on the analysis. The experimental results on ASTERISK H confirm the advantage of proposed motion by comparing to the fixed COG motion.
著者
前田 陽子 瀬田 史彦
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.559-564, 2012

都心に近接した長屋混合型密集市街地のなかには、近年、その独特の雰囲気と若者による店舗進出を背景に新しく魅力的なまちとして大いに注目を集めている地区がある。この研究の目的は、大阪中心部に位置する中崎地区を対象として、長屋再生型店舗の集積形成過程を分析し、中崎地区が地域ブランド化していく変遷をたどり、さらに新しい店舗経営者と従前から存在する地域コミュニティとの関係性について明らかにすることである。新しい店舗経営者の多くは外部からの若者で、地元住民との近所づきあいにもさほど積極的とはいえない。しかし最近では、自発的に地元の地域振興会に加わり、地域活動に貢献する店舗経営者も現れ始め、中崎地区の店舗と既存コミュニティの関係性は新しい段階に入りつつあると考えられる。
著者
川西 正志 山本 秀人 井上 倫明 前川 峯雄
出版者
中京大学
雑誌
中京体育学研究 (ISSN:02870088)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-18, 1979-08-31

本研究を通して, 次のような地域スポーツクラブの集団特性が明らかになった。1. クラブ規模 昭和40年代以後に設立され, 存続年数も10年未満で, 男性型が約半数, そして, 10〜30人未満で構成された小人数型クラブが多かった。2. クラブ加入制限 クラブの会員となるための実際的な加入資格については, 年齢別条件や性別条件など, 何らかの資格制限を約8割のクラブが持っている。3. クラブ財政 クラブ財政を確立するため, どのクラブも原則として個人会費を徴収しているが, 約4割弱のクラブについては, 会費に加えて, 補助金をもってクラブを運営している。4. クラブ活動内容 自発的な創設動機をもって設立され, 活動目的は, 「健康・体力を高める」, 「親睦を深める」などが多かった。また, 単一種目型の, 競技レベルは, 市町村内程度であった。日常のクラブ参加率も, 全クラブ員に対して60%以上あるところが多く, 練習は, 週あたり1〜2回程度であった。そして, クラブ規約については, 成文化されたものをもつクラブは, 約2割しかなく, その他は, 口約束程度であったり, 全くきまりごとすらない状態であった。5. クラブ施設 クラブ練習施設は, その7割が公的な施設を利用している。しかしながら, その施設確保は必ずしも完全には, 保証されていないようであった。6. クラブ指導者 クラブ指導者を有するクラブは, 45%ぐらいしかなく, 指導者のいるクラブについては, 1クラブあたり平均2.4人で, その主な指導者については, 「技術面だけ」, 「技術・管理両面」の指導内容を持ち, クラブのOB・OGがそのまま指導者として残るケースが多く, そのほとんどが無給指導者であった。
著者
前花 晋作 金城 寛 上里 英輔 山本 哲彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.102, pp.85-88, 2006-06-09

本論文では,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)で学習するニューロ制御器(Neurocontroller: NC)を用いて,四輪車両のライントレース制御を行なう.四輪車両はdriftlessシステムと呼ばれる非ホロノミッタ系である.四輪車両のような非ホロノミック系を制御する方法として,時間軸状態制御法などのchained formへの変換を必要とする制御方法が提案されてきたが,chained formへの変換を用いる方法には,初期値に限界があるなどの問題点があった.そこで本研究では,chained formへの変換を必要としないGAで学習するNCによる制御システムの設計を行なう.
著者
下島 公紀 前田 義明
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.271-271, 2011

海底熱水活動によって海洋に放出されるCO2の拡散挙動観測を実施した。水深1500mの海邸から浮上するCO2液滴は、浮上に伴って周辺海水に徐々に溶解するが、その溶解による低pH環境の影響範囲は比較的狭い。水深200mの海底から噴出・上昇する噴気中CO2は、周辺海水に徐々に溶解することで、海底近傍に低pH・高CO2水塊を形成するが、噴気中CO2は、海底上80m付近において最終的には完全に海水中に溶解し、噴気中からは消滅する。
著者
前島和橋 編
出版者
文盛堂
巻号頁・発行日
1883
著者
鶴卷 俊江 丸山 剛 前島 のり子 岸本 圭司 清水 朋枝 石川 公久 江口 清 落合 直之 井原 哲 鮎澤 聡
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P3208-E4P3208, 2010

【目的】近年重度痙縮に対し、中枢性筋弛緩薬であるバクロフェンを脊髄腔内に持続投与する髄腔内バクロフェン投与(ITB)療法が行われている。当院においても脊髄障害や脳卒中患者、脳性麻痺に対し行われている。今回、重度身体障害者に対し介護負担軽減を目的にセラピストが医師と連携し、ITB療法導入を検討する機会を得た。ここに、ITB療法が介護負担に及ぼす影響について若干の考察を得たので報告する。<BR>【方法】ITB療法開始前後で、以下の3項目について評価、検討した。1.四肢筋緊張の程度をAshworth Scaleを用いた。 2.カナダ作業遂行測定(COPM)の10段階評価を利用し、日常生活動作の中で介護者にとって重要度が高い10項目について遂行度と満足度を聴取した。3.介護負担度の尺度としてZarit介護負担度尺度日本語版(J-ZBI)を用いた。対象は、当部で理学療法を受けている2名の患者である。症例1は四つ子の第四子として在胎26週720gで出生した22歳男性。身長152.0cm、体重50.0kg。成長と共に側彎の進行および四肢筋緊張亢進したが、18歳時に顕著な増悪を認めた。ADLはほぼ全介助の状態だが、コミュニケーション能力は良好。主介護者は両親、副介護者は兄である。平成21年7月8日バクロフェン髄腔内持続注入用ポンプ植込み術実施。症例2は生後7ヶ月につかまり立ち時に転倒。急性硬膜下血腫、脳挫傷受傷。術後に低酸素脳症および難治性てんかん合併。その後転居に伴い当院でフォローされている13歳男児。身長131.0cm、体重25.7kg。平成18年頃より側彎の進行および四肢筋緊張亢進の急激な変化あり、平成21年2月経口摂取も困難となり胃廔造設。主介護者は母親、副介護者は父親である。平成21年9月25日バクロフェン髄腔内持続注入用ポンプ植込み術実施。<BR>【説明と同意】趣旨、権利保障、匿名性、プライバシー保護について口頭で説明し同意の得られた症例である。<BR>【結果】症例1は、Ashworth Scaleは平均点で術前下肢3.38、上肢4.25。術後下肢1、上肢2.5の減点。ADLは平均点で術前が遂行度6.9、満足度6.8。術後が遂行度8.1、満足度8.1と変化あり。J-ZBIは母親は術前5点、術後4点。父親は術前12点、術後8点と変化が見られた。症例2は、Ashworth Scaleは平均点で術前下肢3.25、上肢2.25。術後は下肢1.75、上肢1.25の減点。ADLは平均点で術前が遂行度7.4、満足度7.4。術後が遂行度7.7、満足度7.4。J-ZBIは術前23点、術後13点と減点あり。「全体を通してみると、介護をするということはどれくらい自分に負担になっていると思いますか」との問いでは、術前「世間並」が、術後「多少」と介護負担が軽減した結果が得られた。また問診から、「自力で食事をするペースが早くなった」「シャワーが楽になった」とあり、問題意識を持たなかった点でも変化が見られた。<BR>【考察】介護負担度の評価尺度として用いたJ-ZBIは、「介護負担感とは親族を介護した結果、介護者が情緒的、身体的健康、社会的生活および経済状態に関して被った被害の程度」と定義されている。2例ともに術前後で得点の減少はみられたが、もともとか「低負担感」の点数でありこの分類に術前後で相違はなかった。このことは、介護者が親である場合は、生下時より障害と共に成長してきた子の介護を負担と感じるには至らない点や症例1のようにマンパワーが満たされているケース、症例2のようにまだ母親一人で介助が出来る子の体格であるケース等、J-ZBIの介護負担感の概念に必ずしも合致しないためと推察する。しかし、このような場合も介護が長期化することで、介護負担感が高くなることは容易に想像できる。ITB療法の有用性は筋緊張を低下させることで、1.活動性(運動性)の改善が図れる、2.変形の予防・改善をねらえると考えられる。我々は新たに「介護者の負担を減らせる」効果があると提案したい。そこで、セラピストの役割として、医学的側面からケア・サポートが必要である症例を見落とさず、治療方法の選択を介護者および医師と共に検討していくことが重要であると思われる。今回各種評価方法を用い介護負担について検討した結果、介護者の主観的満足度は大きく介護負担軽減を目的としたITB療法は有用であると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】重度身体障害者に対してはITB療法の有用性を評価するためには介護者側の評価が必要であることからも、評価方法については今後さらに検討していく必要があると考える。
著者
堂前 章
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.7-11, 1956-02-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
15

ニコチンの呼吸作用殊にその惹起する無呼吸の機序を検討し, 次の様な結果を得た. ニコチン靜注後に来る一過性初期無呼吸は犬, 猫では呼息性, 兎では吸息性で, 肺から発して迷走神経中を上行する反射による. 二回目の長い無呼吸は呼息性で, 従来謂われた様な先行する過呼吸の代償ではなく, ニコチンの中枢作用に基ずくものと思われる. ニコチンの反覆投与による呼吸反応の減退は, 少くも一部は中枢乃至上行性経路の興奮性変化により, 従来の如くニコチンのクラーレ様末梢作用のみでは説明しきれない. 大量のニコチンによる呼吸停止は, 中枢麻痺によるものではなく, 筋神経接合部のブロツクによる. 上述のエコチンの諸呼吸作用--初期無呼吸一過性呼吸興奮, 第二無呼吸, 更に大量のニコチンによる筋神経接合部麻痺-これらは皆ヘキサメトニウムによつて拮抗消失される。