著者
岡市 協生 奥村 寛 井原 誠
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

いくつかの突然変異したp53遺伝子を人工的に作成し、Saos-2細胞(p53遺伝子が欠失している骨肉腫細胞)に導入した。また、コントロールとして正常p53遺伝子をLacSwitchの系を用いて細胞に導入した。これらのp53遺伝子導入細胞の放射線感受性を測定したところ、正常p53遺伝子導入細胞では、放射線感受性が高くなった。また、143A、175H、273H変異細胞では、放射線抵抗性であったが、123A変異細胞では、放射線感受性が高くなった。このことより、p53遺伝子の変異部位によって放射線感受性が異なることが分かった。また、放射線に感受性であった正常p53細胞と123A変異細胞では、放射線照射後のアポトーシスの誘導が観察されたが、放射線に抵抗性であった143A、175H、273H変異細胞では見られなかった。さらに、ウエスタンブロット法でp53を調べると、正常p53細胞と123A変異細胞において放射線によるp53の蓄積が見られが、143A、175H、273H変異細胞では、放射線によるp53の蓄積が見られなかった。そこで、正常p53細胞と123A変異細胞で、Waf-1の誘導を調べたところ正常p53細胞ではWaf-1の誘導が観察されたが、123A変異細胞では見られなかった。また、123A変異細胞では、G1停止が見られなかった。しかし、BaxとMDM2の誘導とBcl-2の減少は正常p53細胞と123A変異細胞共に観察された。また123A変異細胞ではアポトーシスが早期に起こったがこの時期に対応してFasの誘導が見られた。このことより、Waf-1はFasの誘導を制御しているのではないかと考えられた。
著者
青山 将己 山口 泰雄 長ヶ原 誠
出版者
日本生涯スポーツ学会
雑誌
生涯スポーツ学研究 (ISSN:13488619)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.1-12, 2022 (Released:2022-05-25)

The purpose of this study was to examine the background and influence of the integration between the Netherlands Olympic Committee and the Netherlands Paralympic Committee. We adopted the framework of a neo-institutional theory. Semi-structured interviews were conducted with two staff of the Netherlands Olympic Committee and the Netherlands Paralympic Committee. In addition, we collected data from the archival materials to complement and check the information obtained from the interview. The analysis was based on thematic analysis. An important milestone in this integration was marked by the signing of a declaration on the initiative of the former State Secretary of the ministry of Health, Welfare and Sports. This declaration was the initiative to integrate disability sport in mainstream sport. The Netherlands Olympic Committee was under formal and positive pressure to sign a country-led declaration, and this integration was " coercive isomorphism." The integration had the advantages of "sharing resources" and "getting fund", led to the strengthening of institutional legitimacy. Also, it had influences on "integration of the national federations and the national disability sport organizations," "grassroots expansion in region sport clubs," and "inclusion of society." Notably, these influences by integration were considered to "mimetic isomorphism" and "normative isomorphism." This study has contributed to the theoretical accumulation of a neo-institutional theory in the context peculiar to sport.
著者
高原 誠
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR TB AND NTM
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.711-716, 2004-12-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
16

[目的] 肺結核治療中に死亡退院した患者の死亡原因を検討した。 [対象と方法] 対象は平成11年~14年の4年間に当院に入院した結核患者のうち, 死亡退院の40例 (男性32例, 女性8例, 平均年齢76歳), 方法は患者背景, 合併症, 結核の重症度, 治療成績をコホート調査にて山下の定義で治療成功の162例と比較検討した。 [結果] 結核死17例, 非結核死23例で, 後者の内訳では肺炎が最も多く9例を占めた。死亡例は年齢とパフォーマンス・ステータス (PS) の値が有意に高く, 栄養状態は悪く, 炎症反応は亢進していた。治療開始までの期間も長かったが, 有意ではなかった。合併症は死亡例全例が有し, 肝疾患, 脳血管障害で対照群と差を認めた。病変の拡がりも死亡例には進行例が多かった。治療成績では副作用で薬剤変更する割合が死亡例で有意に高く, 標準治療可能例が少なかった。 [考察と結語] 患者発見の遅れより標準治療が不能だった点が死亡に影響した。そのため排菌陰性化が得られにくく, 結核によって直接的または間接的に死亡した。非結核死の肺炎死の中には, 結核死に含めてもよいと考えられる症例も存在した。
著者
藤 昇一 上原 誠一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

コーディエライト(Crd)の結晶構造には高温型と低温型が存在する。Crdの構造や熱膨張特性を調べる際には,結晶系を正確に把握する必要がある.しかし通常の粉末X線回折法のデータのみでは,低温型と高温型のプロファイルが類似しており,一義的に決定することは難しい.そこで本研究ではCrdの結晶系を決定する事を目的とした研究を行った. 試料はタンザニア産アイオライトを用い,粒径を2~5ミクロンに粒径を揃えた.X線回折実験データをもとにリートベルト解析による結晶構造の精密化を行っている.現段階でのフィッティングの状況は良好に言っている様に見受けられるが,指標となるS値は2程度であり,更なる検討が必要である.えられた原子座標から高分解能像シミュレーションを行い,実際の高分解能像との比較した.さらに都城のDistorsion Indexでも低温型の特徴をしめす.
著者
大久保 博志 原田 恭輔 渡辺 大誠 佐藤 強 藤井 裕矩 丸山 勇祐 岩原 誠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp._OS0201-1_-_OS0201-2_, 2016

A concept of a "Kite-type Wind-Power Generator" system is studied for evaluating the potential of an innovative high altitude wind power technology which utilizes a tethered buoyant WPG to extract energy from wind at higher altitude. The demonstration model consists of a straight blade windmill, a specially designed kite to elevate to high altitude, and a generator on ground, where the windmill and the generator are connected each other with a loop tether and wind energy is transferred from the windmill to the generator. A small demonstration model is studied experimentally by wind tunnel tests. Result of the present analysis and experimental study show an expecting facility to provide natural and eternal energy for the habitants in the city area.
著者
原 誠
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.44, pp.13-27, 2000

Para describir la llamada &lsquo;forma perfecta y estativa&rsquo; del espa&ntilde;ol desda el punto de vista de la gram&aacute;tica productiva, el autor cree que es indispensable establecer dos estratos B y A en el componente de significado oracional, porque el significado &lsquo;posesi&oacute;n&rsquo; del verbo &lsquo;tener&rsquo; queda latente y no aparece en la superficie, y el verbo mas bien quiere decir &lsquo;estado&rsquo; despu&eacute;s de haber acabado la acci&oacute;n.<BR>En el estrato B de dicho componente, como movimiento ponemos el significado del verbo que aparece en forma de participio pasado en el componente sint&aacute;ctico y que sirve de complemento predicativo. Establecemos como modificadores primarios de movimiento casos nominativo y acusativo, expresion del tiempo e indicador de &lsquo;perfecci&oacute;n&rsquo;. Y a este &uacute;ltimo le a&ntilde;adimos otro modificador cuasi-primario de movimiento, que es &lsquo;estado&rsquo;. Por hacerlo asi, podemos expresar el significado &lsquo;perfecci&oacute;n+estado&rsquo;.<BR>En el estrato A del componente de significado oracional, ponemos como movimiento el significado del verbo &lsquo;tener&rsquo; que es &lsquo;posesi&oacute;n&rsquo;. Como modificadores primarios de movimiento establecemos casos nominativo, acusativo (en el componente sint&aacute;ctico se presenta como objeto directo) y predicativo (en el componente sint&aacute;ctico sirve de complemento predicativo y aparece como participio pasado), e indicador del tiempo. Sin embargo, el caso predicativo no debe describir al nominativo, sino al acusativo. Para eso, el significado de la oraci&oacute;n subordinada debe constituir al caso predicativo, el movimiento de la cual lo constituye el signficado del verbo cuya forma que toma en el componente sint&aacute;ctico es &lsquo;participio pasado&rsquo;. Adem&aacute;s, el nominativo lo constituye el significado del objeto directo y dos modificadores primarios de movimiento ser&aacute;n &lsquo;pasiva&rsquo; y &lsquo;estado&rsquo;.
著者
Nguyen Viet Xuan 吉野 煕道 田原 誠
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.273-280, 1998-09-01
被引用文献数
1

サトイモ(Colocasia esculenta (L.) Schott)の系統進化を解明するため,アイソザイムによる分析を試みることとし,その最初の研究として,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼ,ロイシンアミノペプチダーゼおよびホスホグルコムターゼの4種の酵素について,アイソザイムの多型並びにこれを支配する遺伝子座と対立遺伝子を調査した。材料としては,交雑と種子繁殖が可能なネパール及びタイ原産の2倍体8系統とこれらを自殖または交配して得た後代系統を用いた。葉身から抽出した試料を,ポリアクリルアミトゲルを用いて電気泳動後,活性染色した.得られた酵素泳動像から,各酵素のアイソザイムについて,これを支配する遺伝子座と対立遺伝子を推定し,後代における分離を検定することによって,アロザイム,遺伝子座および対立遺伝子を同定した。その結果,4つの酵素について,複数の対立遺伝子が存在する9遺伝子座を確認した。また,これら9座が支配する酵素のうち,4座については単量体であり,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼの2つの座については,二量体であることが分かった。サトイモの栽培種の多くは3倍体であり,その起源は,2倍体の非還元分裂配偶子と正常配偶子の受精によるものとされている。後代検定による関連遺伝子の同定が可能な2倍体を材料に,さらに他の酵素のアイソザイムを調査することにより,サトイモ全般にわたる遺伝変異,遺伝的な関係や系統進化の解明に貴重な情報をもたらすことが期待される。
著者
久保 秀文 中須賀 千代 多田 耕輔 宮原 誠 長谷川 博康 小野寺 学
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.161-164, 2013-08-01
参考文献数
9

われわれは急性の閉塞に対してステント留置を行い一期的な切除手術が可能であったS状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.北海道を旅行中に突然の腹痛を来して地域の病院へ入院となった.検査でS状結腸に腫瘤を診断されたが,患者が地元(山口県)での手術を希望したため閉塞に対して金属ステントが留置された.ただちに腹痛は消失し多量の排便を認め,その後当院へ紹介入院となった.S状結腸切除術が施行されたが術後経過は良好であり術後第10病日目に軽快退院した.患者は現在も再発徴候なく健在である.急性の大腸閉塞に対して術前の金属ステント留置は侵襲が少なく複数回の手術を回避することができ有用な方法と考えられる.
著者
宮原 誠
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.159-165, 2008-06-10 (Released:2008-06-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1

狭義の“画像工学”に固執する時代は過ぎ去ろうとしている.技術とか文系の枠を超えて,より基本的な,“深い感性”から新しい分野に注目している.それは,人のこころと本能に注目して,感性,コンテンツ,自分が身を置く環境への洞察である.過去の工学を考え直し,こだわりの製品を目指して,研究開発すべきである.これは,世界に誇る日本人の情緒を基にした新しい文化の創造である.これが新のイメージテクノロジーである.
著者
川野 宏 猪尾 晃生 上原 誠一郎
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.57, 2006

中部九州の蛇紋岩は三波川変成帯や黒瀬川構造帯などに分布するが、それらの構成鉱物に関する研究は不十分で、蛇紋石の鉱物種、鉱物学的性質、構成鉱物種は不明である場合が多い。今回は大分(佐賀関町,三重町)、熊本(芦北町,益城町福原・城山,山都町湯鶴葉)、宮崎(高千穂町二上山,五ヶ瀬町)などの中部九州各地を調査し、得られた蛇紋岩の構成鉱物をX線粉末法、透過電子顕微鏡、EDS付き走査電子顕微鏡を用いて検討した。
著者
岡崎 佑平 萩原 誠 赤木 泰文
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.133, no.12, pp.1157-1164, 2013
被引用文献数
2

A modular multilevel cascade inverter based on double-star chopper cells (MMCI-DSCC) is expected as one of the next-generation multilevel PWM inverters for medium-voltage motor drives. This paper presents theoretical and experimental discussions on a practical speed-sensorless start-up method for an induction motor driven by the MMCI-DSCC from a standstill to a middle speed. This motor drive is suitable, especially for a large-capacity fan- or blower-like load, the torque of which is proportional to a square of the motor mechanical speed. Unlike the so-called &ldquo;volts-per-hertz&rdquo; control, three-phase stator currents are based on &ldquo;feedback&rdquo; control, whereas their amplitude and frequency are based on &ldquo;feedforward&rdquo; control. Although the motor drive has no speed sensor attached to the motor shaft, this method makes a slow start-up stable with the help of a stator current-feedback loop. Experimental results obtained from a 400-V, 15-kW downscaled system verify the stable operating performance from a standstill to a middle speed of 590min<sup>-1</sup> with a 40% load torque.
著者
塩見 昌裕 中田 彩 神原 誠之 萩田 紀博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2N22, 2017 (Released:2018-07-30)

自己開示は,人が他者との関係性を構築するために重要な意味を持つ.本研究では,人とロボットが身体的な接触を行うことで,人々がロボットに行う自己開示をより促すことができるかどうかを明らかにすることを目的とし,半遠隔操作型のロボットが人との身体的接触を行いながら自己開示を促す実験を行った.実験の結果,ロボットからの身体的接触が人々の自己開示をより促す傾向が見られた.
著者
井上 晴貴 上原 誠一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本研究では,熊本県八代市泉町下岳産のひすい輝石,オンファス輝石および随伴鉱物の産状や鉱物学的性質を報告し,成因などを議論する。ひすい輝石およびオンファス輝石は蛇紋岩メランジュ中の変成斑レイ岩に産する。緑泥石,パンペリー石,鉄藍閃石,普通輝石が主な構成鉱物であり,ごくわずかに石英も含む。ひすい輝石は約0.5 cmの白色脈や約10 &mu;mの微細な結晶として,主に曹長石,カリ長石,白雲母を伴って産する。いずれのひすい輝石も組成はひすい輝石端成分に近いが,縁辺部にかけてCa, Feの含有量が増えていき,オンファス輝石の組成に近くなる。また,ひすい輝石の周囲に緑簾石-(Sr)などのSr鉱物がしばしば共生する。また,オンファス輝石は数cmの暗緑色脈として産し,この脈を構成する結晶は針状・粒状で約10 &mu;mの微細なものである。組成はFeに富み,脈の一部はエジリン-普通輝石の組成を持つ。以上のことから,曹長石の分解反応のほかに,熱水からこれらの鉱物が直接晶出する過程も考えられる。