著者
阿保 勝之 秋山 諭 原田 和弘 中地 良樹 林 浩志 村田 憲一 和西 昭仁 石川 陽子 益井 敏光 西川 智 山田 京平 野田 誠 徳光 俊二
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.101-111, 2018 (Released:2020-02-12)
参考文献数
27
被引用文献数
4

1972~2013年の約40年間にわたる浅海定線調査データをもとに,瀬戸内海における栄養塩濃度などの水質や海洋環境の長期変化傾向を明らかにした.水温は温暖化の影響で上昇しており,特に秋季の上昇率が高かった.透明度は,大阪湾を除く瀬戸内海では1990年代以降,大阪湾では2000年以降に上昇した.瀬戸内海の栄養塩濃度は減少傾向であった.DIN濃度は,大阪湾を除く瀬戸内海では1970年代に急激に低下した後,2000年代以降に再び低下が見られた.大阪湾では,1970年代の低下は見られなかったが,1990年以降に大幅な低下が見られた.DIP 濃度は,1970年代に高かったが1980年頃に低下し,大阪湾を除く瀬戸内海ではその後は横ばい,大阪湾の表層ではその後も低下を続けた.栄養塩濃度の低下については,陸域負荷削減が大きく影響しているが,底泥や外海からの供給量低下や近年の全天日射量の増加も栄養塩濃度の低下に影響を及ぼしていると考えられた.
著者
緒方 理人 内田 晴久 原田 亮
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第49回石油・石油化学討論会(山形大会)
巻号頁・発行日
pp.155, 2019 (Released:2019-12-31)

現在、脱炭素社会に向け、再生可能エネルギーを起源とした水素エネルギーが期待されている。しかし、水素エネルギー社会を構築する上では、膨大なコストと時間が必要とされている。そこで、二酸化炭素を循環型炭素資源として位置づけ、メタネーションを通じた水素エネルギー利用の可能性を探ることとした。本発表では、メタネーションにおける触媒として、水素吸蔵材料であるLaNi5を用いて、水素を用いた二酸化炭素のメタネーションについて実験的検討を行った。
著者
中村 彰男 河原田 律子
出版者
一般社団法人 日本DOHaD学会
雑誌
DOHaD研究 (ISSN:21872562)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.117-125, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)

日本では、社会システムの変化に伴い出産年齢は上昇し、糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病が増えている。糖尿病の母親の子宮内環境では、胎盤を介した高血糖状態が、過度なタンパク質の糖化反応による終末糖化産物(AGEs)の産生やその受容体を介した酸化ストレスや炎症を引き起こし、その結果、胎児の各臓器にインスリン抵抗性などのシグナル伝達障害をもたらすと考えられる。胎児期のシグナル伝達障害は、子どもの将来の疾患発症と深く関係することが明らかとなっている。実験モデル動物やモデル細胞を用いた我々の研究によって得られた、母体の糖代謝異常が胎仔に与える影響の分子機構の解明について最新の知見を紹介する。また、母体のインスリン抵抗性に対する薬物療法として、本邦ではインスリン以外の経口血糖降下薬の妊婦への使用は認められていないため、一次予防としての先制医療に繋がる機能性食品の探索研究の重要性についても論じる。
著者
原田 和博
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.79-83, 2017-03-31 (Released:2017-04-22)
参考文献数
2
著者
Amber Young Anna Davies Carmen Tsang Jamie Kirkham Tom Potokar Nicole Gibran Zephanie Tyack Jill Meirte Teruichi Harada Baljit Dheansa Jo Dumville Chris Metcalfe Rajeev Ahuja Fiona Wood Sarah Gaskell Sara Brookes Sarah Smailes Marc Jeschke Murat Ali Cinar Nukhba Zia Amr Moghazy Jonathan Mathers Sian Falder Dale Edgar Jane Mary Blazeby 訳者: 原田 輝一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-20, 2023-03-15 (Released:2023-03-15)
参考文献数
52

【目的】国際的に使用可能な熱傷治療研究のためのコア・アウトカム・セット (Core Outcome Set: COS) の選定. 【デザイン】国際的コンセンサスの合意 (作成期間: 2017年4月~2019年11月). 【方法】システマティック・レビューおよび関連文献から, 検討候補となるアウトカム (臨床評価項目) を抽出した. デルファイ調査方法による共同意思決定作業を通じて, 各国の臨床家と研究者およびイギリス圏の患者と介護者が, アウトカムの優先順位決定作業に参加した. 匿名化されたフィードバック作業を通じて, コンセンサスの達成が目指された. まずアウトカム選定のための定義基準が事前に合意され, それに基づいた投票を行うためのコンセンサス会議が開催され, 最終的にCOSが決定された. 【結果】データソースの調査から1,021のアウトカムが抽出され, ついでその中から88のアウトカム候補が特定された. 1回目のデルファイ調査には, 77ヵ国の医療従事者668名 (18%が低・中低所得国) とイギリス圏の患者または介護者126名が参加した. 1回目終了後, 1つのアウトカムが破棄され, 13の新しいアウトカムが追加された. 2回目の調査では69項目が破棄され, 31項目のアウトカムが最終のコンセンサス会議へと残された. 最終会議では, 事前に設定した選択基準 (閾値) に基づいて2回の検討と投票が行われ, 最終的に7つのコア・アウトカムが合意された (死亡, 特定の合併症, 日常生活動作能力, 創傷治癒, 神経障害性疼痛および掻痒感, 心理的ウェルビーイング, 学校または職場への復帰). 【結論】このCOSには国際的に通用する普遍性があり, 熱傷領域で行われる介入試験において, プロトコル作成の前提になるものである. 今後の介入試験研究には, このCOSに準じた測定値または評価を含めることを推奨する.
著者
吉住 朋晴 伊藤 心二 播本 憲史 原田 昇 長尾 吉泰 赤星 朋比古 前原 喜彦
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.256-261, 2017 (Released:2020-01-11)
参考文献数
16

生体肝移植術中脾臓摘出術の効果と影響について検討した.初回成人間生体肝移植を施行した482例を脾臓摘出併施した302例(摘出群)と併施しなかった180例(非摘出群)に分けた.脾臓摘出群で術後14日目の総ビリルビン値は低値,腹水量は少量,プロトロンビン活性は高値であった.術後敗血症と急性拒絶反応の頻度は,脾臓摘出群で低かった.脾臓摘出に起因する術後膵液瘻を26例(5.4%),術後門脈血栓・脾門部断端からの出血を各々5例(1.0%),脾臓摘出後重症感染症を3例に認めた.6か月・10年グラフト生存率は脾臓摘出群では93.4%・73.7%,非摘出群では84.3%・64.9%と脾臓摘出群で有意に良好であった.多変量解析で脾臓摘出非施行とMELD値22以上が,生体肝移植後6か月以内グラフトロスの独立危険因子であった.生体肝移植術中脾臓摘出術により,生体肝移植後グラフト生存率が改善する可能性が示された.
著者
中井 義明 大橋 淑宏 江崎 裕介 石塚 洋一 松下 隆 伊藤 博隆 馬場 駿吉 平川 勝洋 原田 康夫 菊屋 義則 岡崎 英登 黒川 道徳 二宮 優子 村上 譲 伊東 一則 深水 浩三 大山 勝 松根 彰志 飯田 冨美子 小川 敬 大堀 八洲一 花田 武浩
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Supplement5, pp.655-673, 1990-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

漢方製剤である麻黄附子細辛湯の通年性鼻アレルギーに対する効果を検討した。漢方の古典の記載に忠実に基づいた製法により得られたエキスを含む細粒剤と, それまでの経験に基づいた製法により得られたエキスを含む散剤の比較試験を実施した。有効率 (著効+有効) は散剤投与群で63.5%, 細粒投与群で76.7%と, 両群とも良好な結果であり, 統計学的に差は認められなかった。各症状の改善率において, 細粒投与群が散剤投与群より鼻汁, 鼻閉症状に高い効果を示したが, 統計学的な差は認められなかった。細粒剤といわゆる抗アレルギー剤の有効率を比較すると, くしゃみ発作および鼻汁は同程度の効果が, 鼻閉については優る効果であったと考えられる。副作用については, 散剤投与群で6.2%, 細粒剤投与群で5.1%の症例に認められたが, いずれも症状は軽微であり, また臨床検査値にもなんら異常は与えなかった。
著者
徳田 雄一 橋口 尚文 浜田 富志夫 山下 亙 田中 啓三 馬場 泰忠 中島 晢 原田 隆二 渋江 正 有馬 暉勝
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.1021-1025, 1990-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
19

慢性腎不全患者の胃粘膜病変の原因解明のため血液透析患者 (137名) に内視鏡検査を行い胃粘膜病変の頻度および発生部位について検討し, さらに胃粘膜防御機構に関して血中HCO3-濃度測定 (66名), レーザードップラー法による胃粘膜血流量の測定 (46名) を行った. また胃疾患との関連性が指摘されているCampylobacter pyloriを胃粘膜より培養法にて検出 (23名) した. 血液透析患者の胃粘膜病変には, びらん性胃炎, 胃潰瘍, 急性胃炎などが多くみられ, その発生部位は胃前庭部に多かったが急性胃炎については胃体部にも66.7%に病変が認められた. 血液透析患者の血中HCO3-濃度は19.5±2.6mEq/lとコントロール群に比較して低値を示した. 血液透析患者ではコントロール群との比較で胃体上部大彎にて胃粘膜血流量の低下がみられた. Campylobacter pyloriの検出率は43.5%でコントロール群と有意差は認めなかった. 以上より慢性腎不全患者における胃粘膜病変の原因として血中HCO3-濃度低下による胃粘膜HCO3-分泌の低下, 胃体部の胃粘膜血流量の低下などの胃粘膜防御機構の障害が関与していると考えられた.
著者
中 右介 牧野 好和 進藤 重美 川上 浩樹 原田 賢哉 Naka Yusuke Makino Yoshikazu Shindo Shigemi Kawakami Hiroki Harada Kenya
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-11-004, pp.1-48, 2011-10-31

低ソニックブーム設計概念の実証と空中ソニックブーム計測技術の獲得を目的とする低ソニックブーム設計概念実証(D-SEND)プロジェクトにおいて,JAXA が開発した空中ソニックブーム計測システム(ABBA システム)を含むソニックブーム計測システム(BMS)の確認,及びD-SEND#2 飛行試験におけるダイブ飛行による低ブーム設計概念実証の可能性確認のため,実機を用いた飛行試験(通称ABBA Test #2)を実施した.係留気球の破損によりABBAシステムによる空中計測はできなかったが,地上ソニックブーム計測を通してダイブ飛行による低ブーム設計概念実証の可能性を確認するとともに,地上において正確にソニックブーム波形を計測する手法を確立した.また,ダイブ飛行特有の現象であるソニックブームのフォーカシング現象が観測され,フォーカスブーム推算技術の検証データが得られた.
著者
原田 正俊
出版者
関西大学史学・地理学会
雑誌
史泉 (ISSN:03869407)
巻号頁・発行日
vol.122, pp.1-3, 2015-07-31
著者
上野 禎一 田浦 靖子 原田 圭輔 中矢 徹 谷川 太一 原 光平 長澤 五十六
出版者
福岡教育大学
雑誌
福岡教育大学紀要. 第三分冊, 数学・理科・技術科編 = Bulletin of University of Teacher Education Fukuoka. Part III, Mathematics, natural sciences and technology (ISSN:0532811X)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.45-56, 2016-02-10

Syntheses of ruby and sapphire were performed by flux-method. As for the synthesis of ruby, the using flux is PbO-PbF2, and the coloring reagent is Cr2O3. In almost all runs, hexagonal thin platy transparent crystals were obtained. The total color is light pink, and the center part of crystal shows red color. As by-products, light brown platy-hexagonal form of PbAl12O19 crystal and light pink octahedron form of PbAl2O4 crystal (spinel type) were also obtained, which were synthesized by the reaction between Al2O3 and flux component (Pb). As for the synthesis of sapphire, the using fluxes are MoO3, MoO3-Li2O and PbO-PbF2, and the coloring reagent is Fe2O3. In the case of the only MoO3 flux, light blue, and in the case of the MoO3-Li2O flux, dark blue platy-hexagonal sapphire crystals were obtained. In the case of the PbO-PbF2 flux, from transparent to light blue platy-hexagonal sapphire crystals were gained, and light brown platy-hexagonal form of PbAl12O19 crystal was also obtained as like as the case of the synthesis of ruby.
著者
藍場 将司 原田 一宏
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
pp.96, 2022-05-30 (Released:2022-06-21)

日本の国立公園研究における市民参加・協働に関して、「Cinii」に掲載されている先行研究のレビューと、論文本文の文章解析を実施した。日本の国立公園に関する研究のうち本文が閲覧可能であった698件中、138件で政策への提言が確認された。文章解析の結果、年代を問わず自然・利用・地域・保護が頻繫に用いられており、自然の利用と保護の関係に注目した論考が多いと考えられた。一方で年代を経るにつれ管理が頻出することから、研究者の間で自然への人為的介入の必要性が高まっていると考察された。一方で「管理」は多様な文脈で使用されるため、現地での検証も合わせて行われる必要がある。市民参加や連携に関する提言は27件(19.6%)で確認された。1980年代から2000年代前半までは、地域住民の意思を反映させる制度的・行政的仕組みの欠如が指摘されていた。環境省が連携を進める趣旨の提言を公表した2007年以降、国立公園の協働を主たるテーマとして議論する論考が増加し、「協働」の理論モデルの構築や負の側面にふれる論考が確認されるなど、「協働」を軸に市民参加や連携に関する議論が進行したものと考えられる。
著者
伏見 華奈 齋藤 敦子 更谷 和真 土屋 憲 池ヶ谷 佳寿子 加瀬澤 友梨 徳濱 潤一 原田 晴司 柴田 洋 髙森 康次 増田 昌文
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.136-142, 2018-07-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
25

本邦には歯科用ユニットの給水に関する水質の基準がなく,レジオネラ属菌による汚染の報告もみられず医療関係者の関心も低い.当院は1997年より院内感染対策の一環として院内給水系のレジオネラ定期環境調査を行っており,2014年から歯科用ユニットの給水を環境調査に追加した.4台の歯科用ユニットのうち1台よりLegionella sp.が60 CFU/100 mL検出され,部位別にみると,うがい水,低速ハンドピース,スリーウェイシリンジから,1,000 CFU/100 mLを超えるLegionella sp.が検出された.対策として,給水の温水器停止と回路内のフラッシング,次亜塩素酸ナトリウム希釈水の通水を行ったが,Legionella sp.は検査検出限界以下にならなかった.歯科用ユニットの構造的理由から,高温殺菌や高濃度消毒薬の使用など更なる対策の追加はできず,やむを得ず歯科用ユニットを交換した.近年,大半のレジオネラ症例は感染源が明らかではない国内単発例と報告されており,これまで認識されていない感染源の存在が示唆される.エアロゾルを発生する装置としての歯科用ユニットの給水システムはレジオネラ感染の極めて高い潜在的リスクと考える.歯科用ユニット製造業者と使用管理者,行政が連携し,歯科用ユニット給水汚染の制御法確立とレジオネラ症予防のための適切な管理基準の策定が望まれる.
著者
上条 陽 藤垣 洋平 パラディ ジアンカルロス 髙見 淳史 原田 昇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.22-00244, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
14

本研究では,対象地域における人口全体の移動需要を考慮し,現況に加えて人口・施設分布を集中または分散させた異なる都市構造を仮定した移動需要データを生成し,異なる都市構造におけるシェア型自動運転サービス(SAV)の利便性・運送効率の比較評価とSAVの地域実装による影響分析を行った.SAVの利用意向を尋ねたSP調査から推定された交通手段選択モデルをもとにエージェントベースシミュレーションを実施した.対象地域は地方中小都市である群馬県沼田市と利根郡周辺とした.人口・施設分布を集中させ,移動需要が中心部に集中するほど利便性・運送効率は増しSAVの運用にあたっての好影響が強まった.一方で,利便性の地域間格差については,中心市街地から離れた人口低密度地域にて顕著にSAV待ち時間が長くなる結果が得られた.
著者
堀田 昂己 三井 完太 岩下 太樹 岡田 遼人 岩坂 桃果 阪本 大地 内藤 秀太 畑中 良紀 原田 良也 松本 実夏 吉岡 雄馬 福本 悠樹 鈴木 俊明
出版者
一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
雑誌
総合理学療法学 (ISSN:24363871)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-24, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
31

【目的】運動イメージ戦略の違いが脊髄神経機能の興奮性と運動の正確さに及ぼす影響について検討した。【方法】対象は,健常者13名(平均年齢20.3 ± 0.5歳)とした。安静時にF波を測定し,ピンチ力を50%MVCに調節する練習を与えた後,ピンチ課題において規定値と実測値との誤差を算出した。その後,順不同でそれぞれ別日に筋感覚的イメージ,1人称的視覚イメージ中のF波を測定した後,再度ピンチ課題を与えた。【結果】安静を基準とした各イメージ戦略間における振幅F/M比増加量に差異を認めなかった。また,安静を基準とした各イメージ戦略間における50%MVCからの絶対誤差改善度に差異を認めなかった。【結論】1人称的視覚イメージが1人称の視点に立って運動イメージを行うという点において筋感覚的イメージと類似したことで,同程度の脊髄神経機能の興奮性増大をもたらし,運動の正確さを維持させた。
著者
澤田 いずみ 道信 良子 石川 幸代 小川 賢一 原田 瞳
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.652-660, 2022 (Released:2023-02-16)
参考文献数
42

目的:日本の医療分野で健康問題を抱える人へ実践されている応援の概念分析を行い,定義を明らかにする.方法:国内文献29件を対象にRodgersの概念分析を行った.結果:前提要件3つ,属性4つ,帰結4つのサブカテゴリーから,各一つの【カテゴリー】が抽出され,医療分野の応援は,生き方の模索が続く健康問題を抱える人への【自分らしくあることの困難性への共感】に基づいて,医療者が【その人が自分らしく生きるために味方になり新たな活動を試みる】ことで【その人の主体性の高まりに医療者としての自分らしさが充実していく】過程であった.味方になるとは,医療情報を分かりやすく伝えること,対象者と願いを共に考え支えること,対象者の思いを代弁し共感を周囲に波及させ仲間を作ることにより,その人らしさを支えることだった.結論:医療分野での応援は,対象者のその人らしさを大切にしたい医療者の新たな活動の創出を助ける概念と考えられた.
著者
大町 浩史 原田 清 佐藤 昌 盛島 聖子 樺沢 勇司 丸岡 豊 小村 健
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.8-11, 2006-04-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
10

Soft tissue changes in the chin were compared between patients undergoing sagittal split ramus osteotomy (SSRO) for mandibular setback with and without reduction genioplasty. Twenty patients with symmetrical skeletal Class III malocclusion were examined. Twelve underwent SSRO alone (group I), and 8 underwent SSRO combined with reduction genioplasty (group II). Reduction genioplasty was performed by two horizontal osteotomies, removing the bony wedge, and posterosuperior movement of the inferior segment of the chin. Lateral cephalograms were obtained preoperatively and 6 months postoperatively. Pre- to postoperative changes in the positions of hard-tissue points (B-point [B], pogonion [Ng], and menton [Me]) and soft-tissue B-point [sB], soft-tissue pogonion [sPog], and menton [sMe] were measured on the cephalograms. The ratio of the soft tis-sue movement to the hard tissue movement was also calculated. Though superior movement of Me was significantly larger in group II than in group I, there were no significant differences in the superior movement ratios of sMe to Me between the two groups. However, the posterior movement ratio of sPog to Pog was significantly larger in group I than in group H. These results suggest that the reduction genioplasty performed by two horizontal osteotomies, removing the bony wedge, and posterosuperior movement of the inferior segment of the chin had little effect on the posterior movement of the chin. Therefore, in patients with skeletal class III malocclusion, reduction genioplasty should be applied mainly to vertical shortening of the chin.