著者
吉田 浩二 中村 祐輔
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.1255-1261, 2010 (Released:2010-08-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

2009年9月,米国医薬食品局(FDA)は「治療用がんワクチンについての臨床的考察 Clinical considerations for Therapeutic cancer vaccines」を発表した.がんワクチン療法が,副作用が少なく高いQOLを保つ治療法となる可能性に言及している.がん治療の概念が変わりつつあることを,FDAガイダンスの解説から紹介し,現在,われわれの共同臨床研究ネットワークで実施されている膵癌,食道癌,大腸癌の「がんペプチドワクチン療法」の現状と今後の展開について紹介する.
著者
渚 勝 伊藤 隆 小高 一則 松井 宏樹 杉山 健一 吉田 英信 久我 健一 石村 隆一 宮本 育子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

多様体の非可換化として作用素環論の研究をすすめるという目標で、(1)無理数回転環をモデルとする帰納極限の環の構造解析、(2)幾何学的データとしてKー理論、次元の果たす役割、(3)より非可換な対象として作用素空間の構造を調べる、という3つの視点からのアプローチを試みた。まだまだ多くの問題を抱え、今後の研究課題として残ることは多いが、それぞれの視点から一応の成果を得ることができた。帰納極限の環の構造解析として、松井によるカントール集合上の力学系からできる環の解析が進展し、既にK-理論を用いて力学系の状態を把握する結果が得られていたが、その結果の不備と、更なるK-群の情報が必要であることなど緻密な関係がわかってきている。直接的に帰納極限の環ではないが、それに関連して核型でない環の中でも対象を絞ることによりK-群が環の同型を与えるクラスを方波見ー渚によって構成ができた。次元については、渚ー大坂ーPhillipsによって一応の結果を得ているが、K-群、次元の期待した直接的な成果は今後になる。より非可換な量子化としてハーゲラップテンソル積、環の自由積への実現などの作用素空間の話題がある。この方面は最近、成書の発行が多く、形が出来上がりつつ理論に見えるが、伊藤ー渚の研究によるハーゲラップテンソル積の拡張、シュアー写像との関連によって新しい視点が与えられたと自負している。今後の展開として自由群環のノルムの話題もこれに関係してくるが、これらの計算(自由確率論を用いる)の中で可逆元での近似が大きな意味を持つ事実があり、安定次元1などの次元概念との関係が見える。
著者
植野 真臣 吉田 富美男 石橋 貴純 樋口 良之 三上 喜貴 根木 昭
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.115-128, 2001-09-20
被引用文献数
8

本論では,多人数の複数クラスにおける遠隔授業の特性を明らかにし,その授業方法論の構築に貢献することを目的とする.具体的には,複数の工業高等専門学校に対する遠隔授業の実施とそれに伴うアンケート結果,客観データを数量化III類法を用いて要因分析を行った.本分析の特徴は,5段階の順序性を持つ授業の好ましさに係わる質問項目とその理由を聞く名義尺度項目を同一尺度上で数量化したことにある.その結果,複数クラスにおける遠隔授業の特性として授業の好ましさに関する項目の重要度は,「遠隔授業という授業方法について」,「教育テレビに比較してよかったか」,「実感が持てたか」,「教師との親近感」,「学校間の違い」「質問ができたか」,「授業回数」,「授業内容の理解」の順であり,評定の理由に関する項目として,「学習者が教師に認識されているかどうか」が主な要因となっていることが示された.すなわち,質問などの顕在的な双方向性以上に,まず認識的な教師との双方向性(相互作用)が重要であり,複数クラスにおける遠隔教育でも,教師-学習者個人の関係が要求されていることが示された.
著者
石榑 彩乃 吉田 裕亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.135, pp.85-88, 2006-12-22

不完全データの解析手法の代表的なものとしてEMアルゴリズムがある,本研究では,EMアルゴリズムのMステップにおいて,最尤解が陽に求まらない混合分布問題として,混合コーシ分布を考え,分布を特徴づけるパラメータである,中央値と四分位偏差によりMステップを擬似的最尤推定に置きかえた手法を提案する.EMアルゴリズムにおいて,分布数は既知であることが前提となっているため,分布の推定にはよく知られたAICを用いる.また,混合分布数を2とし,KL情報量により,真の分布と推定されたモデルとの距離を測り,2つの分布の分解能に関する数値実験を行った.The EM algorithm is known as one of tools for the data analysis of incomplete data set. In this study we shall give a technical method in the maximization step of the EM algorithm for the problem of mixture Cauchy distributions. It is quite difficult to estimate the parameters for a Cauchy distribution from given sampling data in maximum likelihood (ML), explicitly. Instead of ML estimator, we will use the median and the quartile, and estimate them by using the bootstrap method. We shall also give some numerical experimentation for the mixture of two Cauchy distributions.
著者
吉田 啓子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.79-87, 2007-03-31

寿司製品は持ち帰り商品として人気があるが、品質および安全性の確保が難しい食品である。一方、それら寿司製品の消費期限は、経験に基づき設定している場合が多く、実態に合わせた科学的根拠のある期限設定が望まれる。そこで、データの蓄積を目的に、29種の寿司製品を対象にして異なる保存温度における微生物学的動態を調査した。その結果、微生物学的品質は、原材料の取り扱いと購入後の保存温度に影響を受け、製品個々の実態に合わせた期限設定が必要であることが認められた。
著者
吉田泉 編
出版者
吉田泉
巻号頁・発行日
1912
著者
副島 健市 小柳 仁 吉田 翼 有岡 孝則 大内 田明
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.1782-1784, 1985

開心術を行なう際, 人工心肺回路にopen circuitを用いるかぎり, つねに空気塞栓の危険を伴ってくる. 空気塞栓予防対策は, 以前より種々の方法があるが, それぞれ一長一短があった. 今回われわれは超音波を用い, 貯血槽の液面を感知するレベル・センサーを試作したので, 使用経験を報告する. 装置はWilliam Harvey (WH) 1300, 1500用として, 液面に対し直下より垂直方向に用いるものと, WH 1700用として, 液面に平行して横から用いる, 2種類を試作した. いずれも液面の低下を警報で知らせ, さらに危険域まで低下すれば, 警報と同時に, 送血ポンプの非常停止を行なう. 本装置はノイズ対策が十分で, また光や静電気などで誤作動する心配がなく, 確実に作動するため, きわめて有用であった.
著者
吉田 龍生 フォン ヤオカイ 内田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.357, pp.55-60, 2012-12-06

本研究の目的は,プロジェクタから投影されたスクリーン上でタッチスクリーン操作を実現することである.その一つの手段として,スクリーンのタッチパネル化が考えられる.しかし,タッチパネルの大型化にはコスト面での課題が残る.そこで,カメラ・プロジェクタシステムを用いることを考える.カメラ・プロジェクタシステムとは,既存のプロジェクタシステムにカメラを備えつけ,そのカメラから得られる情報とプロジェクタの特性を活かし,構築するシステムである.本研究において,構築するシステムに用いるカメラは,web カメラ1 台と限定する.そうすることで,タッチパネルの大型化に残るコスト面での課題を克服することが可能である.カメラ・プロジェクタシステムによるタッチスクリーン操作の実現には,指領域の検出,スクリーンへの接触検知,トラッキングが必要となる.本稿では,まず指領域の検出及びスクリーンへの接触検知の方法について述べる.そして,トラッキングの手法を提示し,その手法による実験を行ない,タッチスクリーン実現への検証を行なう.
著者
髙橋 良平 今井 浩一 菅井 沙知 吉田 栄充 中村 益美 浜野 晋一郎 岩﨑 文男
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.741-750, 2012-12-10 (Released:2013-12-10)
参考文献数
28
被引用文献数
1

We evaluated ARCHITECT®・iCarbamazepine using chemiluminescent immunoassay (CLIA) with carbamazepine (CBZ) concentration in the serum of patients with epilepsy. The intra- and inter-assay coefficients of variation were 0.87-1.34% and 2.20-6.06%, respectively. Cross-reactivity of CBZ analogs by CLIA varied from 7.00-9.26% with carbamazepine-10,11-epoxide lower than that evaluated by fluorescence polarization immunoassay (FPIA), and 2.09-2.51% with 10-monohydroxycarbazepine higher than that evaluated by FPIA. Oxcarbazepine was not detected. In addition, we observed a correlation between the values obtained by CLIA method and the high performance liquid chromatography (HPLC) method (y = 1.07x - 0.09, r = 0.98), and FPIA method and HPLC method (y = 0.95x - 0.22, r = 0.97). Our results suggest that ARCHITECT®・iCarbamazepine measured the CBZ concentration in serum lower than that measured by FPIA. However we conclude that ARCHITECT®・iCarbamazepine can be used for routine monitoring of CBZ for the reason that ARCHITECT®・iCarbamazepine showed low cross-reactivity with CBZE by classification of CBZE/CBZ ratio.
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 吉田 大輔 阿南 祐也 伊藤 忠 土井 剛彦 堤本 広大 上村 一貴 BRACH Jennifer S. 鈴木 隆雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.87-95, 2013-04-20

【目的】日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(mGES)の信頼性と妥当性を検証することを目的とした。【方法】地域在住高齢者240名を対象とした。そのうちの31名については,自記式による日本語版mGESの評価を2回実施した(評価間隔14〜20日間)。日本語版mGESの妥当性を検証するために,運動機能(chair-stand test,片脚立位時間,通常歩行速度,6分間歩行距離),生活空間,転倒恐怖感との関連を調べた。【結果】日本語版mGESは高い再検査信頼性を示し(級内相関係数[2,1]=0.945,95%信頼区間0.891〜0.973),すべての運動機能および生活空間と有意な相関関係を認めた。従属変数を転倒恐怖感の有無,独立変数を性別,各運動機能,生活空間,日本語版mGES得点としたロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感と有意な関連を認めた項目は,性別(女性),通常歩行速度,日本語版mGES得点であった。【結論】高齢者における歩行状態の自信の程度を把握する指標として,日本語版mGESは良好な信頼性および妥当性を有する評価であることが確認された。
著者
木内 千晶 吉田 千鶴子 Chiaki KINOUCHI Chizuko YOSHIDA
出版者
岩手県立大学看護学部
雑誌
岩手県立大学看護学部紀要 = Journal of the Faculty of Nursing, Iwate Prefectural University (ISSN:13449745)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.77-82, 2004-03-01

高齢者の終末期を考えていく上では,その主体となる高齢者自身が,終末期に対し,どのような考えをもっているのか,実態を把握することが大変重要であり不可欠である.今回,M市老人クラブの,自宅で生活する高齢者を対象に,自由記述により終末期の迎え方に対する希望を調査した.284名,平均年齢74.6歳 (SD=5.41) より有効回答を得た.記述内容を意味の共通性に従いカテゴリー化し「(1)死に方の希望」「(2)死ぬ時の身体的,精神的状態の希望」「(3)死ぬ時の環境・状況の希望」「(4)死ぬまでの身体的状態の希望」「(5)死ぬまでの生活・生き方の希望」「(6)死後の希望」の6つのサブカテゴリーに分類できた.さらに,「1.死ぬ時に関する希望」「2.死ぬまでに関する希望」「3.死後に関する希望」の3つのカテゴリーに分類できた.希望の内容は,死ぬ時のことに限らず,現在から死後のことに及んでおり,高齢者の終末期のとらえ方は個人により異なることが明らかになった.また,終末期の希望に現在のことが含まれていたことから,死ぬ時だけでなく,死を迎える以前の生活や生き方もケアすることが重要であると示唆された.一方,希望は抱いていても,それを,他者に伝えている高齢者は少ないことが明らかとなり,高齢者の希望を尊重するためには,終末期に対する考えや希望を表出できるように援助する必要があると考えられた.When considering the elderly's period of life immediately before death, it is important, if not essential, to grasp how the elderly themselves actually feel. We surveyed members of a senior citizens club in M City on elderly people who live in their own home and about they wanted to see out the last days of their lives. We received 284 valid responses, with an average respondent age of 74.6 (standard deviation of 5.41 years). We were able to categorize the responses of the free form survey into the following subcategories: (1) Preferred way of dying; (2) Preferred symptoms and emotions at death; (3) Preferred environment and circumstances at death; (4) Preferred physical condition up until death; (5) Preferred lifestyle up until death; and (6) Posthumous preferences. These six subcategories were further classified into the following three categories: 1. Preferences up until death; 2. Preferences at death; and 3. Preferences after death. Their preferences were not limited to just at death, but rather extended from the present to after death, and it became apparent that the way they saw this final chapter of their lives depended on the individual. Their preferences for this end-of-life period included current events.This indicates that it is important to care about how the elderly live during the lead up to death, not just at death. It is apparent that even if they have preferences, those that share their views with others are few and far between. Accordingly, to respect the wishes of the elderly, we need to support them in venting their thoughts and hopes in this lead up to death.
著者
福井 貴巳 横尾 直樹 吉田 隆浩 田中 千弘 東 久弥 白子 隆志 北角 泰人 岡本 清尚 加藤 達史 山口 哲哉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.68-72, 2001-01-01
被引用文献数
6

敗血症性ショックを合併した超高齢者の虚血性大腸壊死症例に対して, 結腸大量切除術を施工し救命しえたので報告する.症例は102歳の女性.主訴は嘔吐と腹痛, 来院時, すでに敗血症性ショック状態にあり, 絞扼性イレウスの術前診断のもと, 全身麻酔下に緊急開腹術を施工した.結腸肝彎曲部より下行結腸まで広範な結腸壊死を認めたため, 上行結腸からS状結腸まで広範囲結腸切除術を施工した.病理学的検索にて, 虚血性大腸壊死と判明した.脱水, ショック, 高齢, 過大侵襲手術などの危険因子のため, 術後早期は極めて不安定な循環動態, 呼吸状態を呈したが, 無事救命しえた.この好結果は, 術直後からの血液浄化療法(PMX~【○!R】)の実施や, S-Gカテーテル留置による綿密なモニタリングのもと, 十分な循環血液量の維持を主眼とした全身管理によりもたらされたものと考えられた.
著者
吉田 健志 木下 秀文 谷口 久哲 地崎 竜介 西田 晃久 川喜多 繁誠 日浦 義仁 大口 尚基 河 源 六車 光英 松田 公志
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.323-325, 2007-05

29歳男。陰茎腫脹と勃起が続くことに気付き緊急入院した。陰茎は硬く, 勃起状態で自発痛を認めた。持続勃起症の診断で陰茎海綿体内血液ガス分析を施行した。血液ガス所見より静脈系の流出障害と判断し19G翼状針で陰茎穿刺を行い, ヘパリン生食で凝血塊洗浄, α作動薬海綿体内注入を繰り返し経過観察した。勃起状態は軽度改善したが疼痛の増悪を認め, Hb低下, Ht低下から輸血の必要を説明したが宗教的理由で拒否された。白血病に関して血液主要な以下で骨髄穿刺を施行し慢性骨髄性白血病と診断された。ドロキシカルバミド内服を開始し, メシル酸イマチニブへ変更し骨髄穿刺で完全緩解した。再発は認めず経過している。A-29-year-old man visited our hospital with the complaint of a continuous rigid and painful erection which began two days before. We diagnosed ischemic type of priapism by aspiration of penile cavernosal blood analysis; an acidotic and hypoxic blood. The leukocyte count was 263,000/p, and chronic myelogenous leukomia (CML) was suspected. After the failure of conservative treatment, glans-cavernosal shunt (Winter procedure) was performed. The postoperative course was uneventful and the intercourse was possible at five months after the operation. CML was treated by administration of imatinib mesylate and no evidence of recurrence was observed.
著者
中神 潤一 蔵野 正美 安田 正實 吉田 祐治 田栗 正章 種村 秀紀 辻 尚史
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

ファジー推移のマルコフ決定過程への導入は千葉大学計画数学グループ[蔵野正美、安田正實、中神潤一、吉田祐治(北九州市立大学)]の主要研究課題で1991年より始められている。本研究課題は、動的ファジーシステムの最適構造についてファジー演算から導出される数学構造の意味付けを深めることにより、最適停止問題・ゲーム理論等に応用できる具体例の作成を通じて、ファジー理論の本来の要請である頑健性構造の解明に研究を拡大することを目標とした。科研費の内示当初より、共同研究者である吉田祐治教授(北九州市立大学)と共同の本格的な科研費研究集会を千葉2回九州2回と交互に4年間に渡って毎年開催する運びとなった。13年度は北九州市立大学、14年度は千葉大学、15年度は千葉大学、最終年度の16年度は北九州市立大学で科研費研究集会「不確実性下での数理決定とその展望」を開催、18件の発表が好評のうちに行われた。最新の研究成果の発表に対する討論と貴重な情報の交換が得られ大変有意義であった。このような交流は境界領域としての学問を進めていく上でぜひ必要と考えている。本研究課題において、裏面に記載した研究成果を含む10編の査読付き論文を作成した。国際Proceedings及び報告論文は17編、国内外の研究発表は29件になった。以上の研究成果は、今後の研究の発展と共に、国際シンポジウム等で積極的に発表し、国際的に評価された学術専門誌に投稿しその評価を受ける予定である。最近ザデーが提唱しているパーセプション(認知)の概念をファジー集合の新しい解釈として、ファジー値をもつ最適停止問題に適用した論文を発表した。これに続く論文としてマルコフ決定過程に適用した論文を作成中である。またファジー選好順序を動的決定過程に取り入れて、人間的決定を考慮した人工知能等の定式化を試みている。次年度以降の研究目標の一つとしたい。また、最後になりましたが、計算機・図書関係の整備等への補助金の支給に感謝致します。
著者
田辺 仁志 中山 忠三 浅山 哲 内海 進 栗栖 弍彦 市川 吉夫 河合 孝 鮎沢 千尋 河原畑 勇 福原 敏彦 橋本 陽子 久保 正太郎 楠野 正夫 中村 二郎 宮沢 左門 有賀 久雄 宮島 成寿 今井 退 小田 常治 川森 郁郎 川瀬 茂実 石川 義文 沖野 英男 山口 孝根 三好 健勝 倉田 啓而 鮎沢 啓夫 山口 定次郎 小林 勝 岩下 嘉光 細田 茂和 松沢 則子 山崎 寿 小林 あつ子 山田 たけを 市岡 正道 丸山 長治 高須 敏夫 佐藤 清 山崎 昭治 酒井 英卿 片岡 平 梅村 義雄 村上 昭雄 田島 弥太郎 鬼丸 喜美治 佐渡 敏彦 広部 達道 沓掛 久雄 渡部 仁 長野 ヒロ 小林 悦雄 佐伯 佳之 阿相 敏雄 佐藤 正市 平田 保夫 武井 隆三 長島 栄一 高沼 重義 蒲生 卓磨 一場 静夫 宮川 千三郎 清水 滋 堀内 彬明 波島 千恵子 安江 昇 辻田 光雄 真野 保久 板垣 正男 田中 義麿 中山 光育 筑紫 春生 土井 良宏 山下 興亜 長谷川 金作 小林 勝利 石戸谷 幸雄 楠木園 正雄 橋口 勉 吉武 成美 赤井 弘 森 精 有本 肇 小西 孝 小野 四郎 荒井 三雄 加藤 康雄 土橋 俊人 後藤田 さっき 吉田 勝 進士 安治 青木 一三 小松 計一 鳥居 礼子 橋本 嘉男 清水 正徳 坂口 育三 小笠原 真次 中川 房吉 北村 愛夫 佐藤 歌子 大野 巌 原田 泰介 関 文夫 石垣 隆謌 嶋崎 昭典 大沢 定敏 小島 哲雄 布目 順郎 小川 敬之 松田 和夫 大工原 建
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.207-221, 1965

126) キンケムシの核多角体病に関する研究 (第1報) 発生実態調査と多角体の性状について<BR>127) キンケムシの核多角体病に関する研究 (第2報) ウイルスのキンケムシに対する感染力とウイルス伝播の-知見<BR>128) キンケムシの核多角体病に関する研究 (第3報) ウイルスの交差感染について<BR>129) 野外昆虫多角体病と家蚕多角体病に関する研究 (VIII) 家蚕, サクサンなどに感染性を示す核多角体病ウイルス
著者
坂本 雄 小諸 信宏 山崎 真也 吉田 智貴
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100327-48100327, 2013

【はじめに、目的】 2007年に策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス:WLB)憲章」および「WLB推進のための行動指針」は、政労使トップにより2010年に見直しがなされ、実現に向けてより積極的に取り組む姿勢が示されている。医療機関においてもWLB実現に向けた取り組みの輪が広がりつつあるが、推進の障壁となる問題として長時間労働がある。労働時間、特に残業時間を減らすことはWLBを推進する上で、組織にとっても働く個人にとっても重要課題であり、リハビリテーション(リハ)部門においても例外ではない。今回我々は長時間労働抑制の一助とすべく、リハ部門に所属するスタッフの退勤時間に影響を及ぼす因子を明らかにすることを目的とし、個人の性格特性に着目して検討した。【方法】 対象は当院リハ部に2011年度1年間在籍した管理職と訪問リハ専従者を除くスタッフ36名(理学療法士24名、作業療法士9名、言語聴覚士3名)とした。性別は男性17名、女性19名、平均年齢27.0±3.4歳、平均経験年数3.6±2.1年であった。退勤時間には、1日勤務時(半日勤務時を除く)のICカード打刻システムによる退勤打刻時間を採用し、各スタッフの2011年度年間平均値を用いた。また、性格特性の測定には、自我状態を客観的に評価するために開発された質問紙法の新版東大式エゴグラムII(TEG2)を用い、2011年度末月に留置調査法にて実施した。退勤時間への影響因子としての検討項目は全8項目で、年齢、経験年数、スタッフ1人1日あたりの2011年度年間平均実施単位数(単位数)、TEG2の5つの自我状態尺度(批判的親:CP、養育的親:NP、大人:A、自由な子ども:FC、従順な子ども:AC)とした。なお、2011年度は、リハ部の年間目標の1つに退勤時間の短縮を掲げて取り組んだ。分析方法は、退勤時間と各検討項目との関連性についてピアソンの相関係数を用いた。さらに、退勤時間を従属変数、各検討項目を独立変数とした重回帰分析のステップワイズ法を用いて退勤時間に影響を及ぼす因子を抽出し、因子の影響度合について確認した。統計解析にはIBM SPSS Statistics 19を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には研究の趣旨および目的、研究への参加の任意性とプライバシーの保護について十分な説明を行い、同意を得た。【結果】 ピアソンの相関係数より、退勤時間と有意な相関が認められたのは、影響因子として検討した全8項目のうち3項目で、単位数(r=0.43,p<0.01)、CP(r=-0.56,p<0.01)、A(r=-0.61,p<0.01)であった。重回帰分析の結果、分散分析表は有意(p<0.01)で、決定係数0.56、自由度調整済み決定係数0.52、ダービン・ワトソン比2.08であった。抽出された因子は単位数(標準偏回帰係数(b)=0.26,p<0.05)、CP(b=-0.33,p<0.05)、A(b=-0.43,p<0.01)で、退勤時間への影響力はA、CP、単位数の順に強かった。【考察】 結果より、今回検討した8項目のうち退勤時間に影響を及ぼす因子は、単位数、CP、Aであることが分かった。さらに、本来、実働時間に直結すると考えられる単位数よりも、CP、Aといった自我状態尺度(個人の性格特性)の方が退勤時間への影響力が強いことが明らかとなった。TEG2では、CPが高い場合「自分に厳しい」「責任感が強い」「目標意識が高い」などの特徴が、また、Aが高い場合「効率的に行動する」「計画的に行動する」などの特徴が見られるとされている。このようなことから、スタッフ個人の仕事に関する自律性、すなわち仕事内容やペース、時間管理などに関する統制力も、退勤時間に強く影響を及ぼすものと考えられた。退勤時間短縮・残業時間削減には、組織として付加価値の高い仕事に傾注できる環境を整えることや、早く帰れない雰囲気を払拭するなど、組織文化を醸成することが重要であることは無論である。しかし、ゴールに向けて最短距離で進む仕事の仕方を意識させ、意味のない長時間労働をしなくても成果を上げる方法を身に付けさせるなど、個別的にスタッフ教育を行っていく必要性があるといえるであろう。【理学療法学研究としての意義】 理学療法士が所属するリハ部門でもWLBの推進は大きな課題である。本研究にてリハ部門スタッフの退勤時間に影響を及ぼす因子が見出せることは、WLBの前提となる長時間労働抑制すなわち残業時間短縮に向けた対策を講じることが可能となる。
著者
吉田 緑 鈴木 大節 松本 清司 代田 眞理子 井上 薫 高橋 美和 小野 敦
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.P-72, 2012

現在日本では農薬のヒト健康影響指標には、一日許容摂取量が慢性曝露に対する指標として設定されている。近年、海外や国際評価機関においては、この指標に加え、ヒトが極めて短期間に農薬を摂取した際の急性曝露影響に対する健康影響が評価され、その指標として急性参照用量(acute reference dose, ARfD)が設定されている。日本では急性影響評価は実施されていないが、ヒトが農薬等を短期間曝露した場合の急性影響評価およびその指標を設定は、食の安全のために重要である。そこで本研究では、食品安全委員会で公開された評価書およびFAMICで公開された農薬抄録を用いて、これらの農薬のARfDの設定を試みた。設定の基準として農薬の国際評価機関であるFAO/WHO 合同残留農薬専門家会議の基準を基本とした。[結果及び考察] 約200農薬の公開データからシミューレーションを行った結果、90%以上の農薬についてARfDの設定を行うことができた。ARfD設定根拠となる試験は発生毒性試験、急性神経毒性試験、薬理試験が多く、約30%の農薬で設定の必要がないと考えられた。農薬の作用機序別の比較では、全てのコリンエステラーゼ(ChE)阻害剤でARfD値設定が必要であり、その値は他の剤に比べて低く、ADIと近い値を示した。これはChE阻害作用が短時間に起きるためと考えられた。長鎖脂肪酸の合成阻害、細胞分裂時の紡錘糸機能阻害および昆虫の神経細胞に作用する剤ではADIとARfDの乖離が平均で300倍以上と大きいものが多かった。約10の農薬では急性影響に関するデータ不足によりARfDを設定できなかった。これらのデータ不足の多くは、評価書内の記載の充実(=投与開始直後に認められた変化の種類と観察時期)や投与翌日の検査を追加することで、多くの場合改善されると考えられた。