著者
堀田 浩平 坂本 眞一 塚本 大地 渡辺 好章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.411, pp.85-90, 2009-01-22

本研究では,熱音響冷却システムの小型化について検討を行った.熱音響冷却システムの一つであるループ管では,管内に発生する音波の周波数が全長と逆比例の関係を成すため,小型化すると周波数が高くなる.周波数が高くなると,ヒートポンプで効率良く冷却を行うための最適条件が変わる.本研究では,ヒートポンプの冷却効率に関係するパラメータであるωτと設置位置に着目し,これらのパラメータに関する冷却温度特性の測定を行った.実験結果から,ヒートポンプスタックのωτや設置位置を調整することで,100mm程度まで小型化したとき,わずかではあるが温度低下が確認された.また,スタックのωτによって,冷却温度が最大となる設置位置が異なる結果が得られた.この結果から,ωτや管内の音場は,ヒートポンプの設計指針として適用できると考えられる.
著者
日高 健一郎 石崎 武志 井上 浩一 川西 宏幸 高根 沢均 田村 幸雄 原 隆 堀 賀貴 水嶋 英治 吉田 昭仁
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-04-01

中近東と北アフリカにおいて、ユスティニアヌス1世期(6世紀)の主要な教会堂建築を対象として基礎研究、考古学調査、工学、保存科学、遺産公開の5領域で研究を行う。リビアのトクラ遺跡では「西教会堂」の発掘で、アプシスが出土、ヨルダンのジェラシュ遺跡では「三連教会堂」の詳細実測を終え、アトリウムの一部発掘を実施し、先行建築を確認した。対象国の政情不安と騒乱で一部研究が未完となったが、研究期間後半ではハギア・ソフィア大聖堂(トルコ、イスタンブール)を主対象として、上部構造の形状と微動を計測し、劣化の主因となる壁体への水分浸透を解析した。構造と保存科学の視点から、同大聖堂の保存と公開への基本指針を得た。
著者
三船 恵美 天児 慧 堀本 武功 小笠原 欣幸 倉田 秀也 野口 和彦
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国と、東南アジアから南アジア・中央アジア・西アジアにかけての中国の周辺地域との関係構造と戦略に関する体系的な分析を行い、3年間の研究成果として、全メンバーの執筆による、天児慧・三船恵美編著『膨張する中国の対外関係-パクス・シニカと周辺国』頸草書房、2010年、を出版する。また、国際シンポジウムの成果として、Srikanth Kondapalli and Emi Mifune (eds.), China and its Neighbors, New Delhi : Pentagon Press, 2010)を出版し、本研究プロジェクトの成果を国内外に広く社会に公表した。
著者
新堀 淳樹 小山 幸伸 林 寛生 能勢 正仁 大塚 雄一 堀 智昭 津田 敏隆 IUGONETプロジェクトチーム
巻号頁・発行日
2012-05-21

日本地球惑星科学連合2012年大会(JpGU Meeting 2012), 2012/05/20-25, 幕張メッセ(千葉県)
著者
堀川 徹 井谷 鋼造 稲葉 穣 川本 久男 小松 久男 帯谷 知可 磯貝 健一
出版者
京都外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究では過去千年間という長期にわたる期間を、コミュニティーの成立期(9-13世紀)、発展期(14-19世紀)、変容期(19世紀以降)に区分して、各時期をそれぞれa〜cの研究班が担当して具体的な研究を遂行してきた。基本的に各班は独立して研究活動を遂行したが、成立期から発展期、発展期から変容期への移行期に注目することと、中央アジア以外の地域との「比較」を念頭に置くことを申し合わせた。また研究を進める前提として、ムスリム・コミュニティーを「内側から」明らかにするために、現地史料の発掘と利用が必須であるという共通の認識をもった。本研究の第一の成果は、年代記等の一般的な叙述史料のみならず、聖者伝や系譜集などのスーフィズム関連の文献、種々の古文書や碑文・墓誌銘、各種刊行物・新聞、調査資料等にわたり、従来利用されなかった史料を新たに開拓したことである。とくに、ウズベキスタン共和国のイチャン・カラ博物館、サマルカンド国立歴史・建築・美術博物館、フェルガナ州郷土博物館との共同研究によって、膨大な数が現地の各種機関に未整理のまま所蔵されている、イスラーム法廷文書のデジタル化・整理分類・解題作成の作業を軌道に乗せることができた。第二の成果は、上述した種々の史料を利用した各自の研究によって、それぞれの時代におけるコミュニティーの姿が具体的に明らかになったことである。中でも、イスラーム法廷文書を利用した歴史研究は、本研究プロジェクトにおいて、ようやく本格的に開始されたといっても過言ではなく、4回にわたって毎年3月に京都外国語大学で開催された「中央アジア古文書研究セミナー」によって、本研究を通して得られたわれわれの知識や技能が日本人研究者間で共有されることになった。
著者
斉藤 幹彦 堀口 大吉 喜納 兼勇
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.635-639, 1981-10-05
被引用文献数
7 20

プロパンスルトンなどによってN-スルホアルキル化して8種類の水溶性ニトロソフェノール誘導体を合成し,吸光光度分析試薬としての有用性を検討した.これらの試薬は酸性溶液で安定であり,弱酸性ないしアルカリ性で鉄(II)と反応して濃緑色の水溶性錯体を生成する.最も高感度な2-ニトロソ-5-(N-プロピルーIV-スルホプロピルアミノ)フェノールの鉄錯休は1:4(金属イオン:試薬)の錯体組成を示し,吸収極大波長756nmでのモル吸光係数は4.5×10^4 dm^3 mol^<-1>cm^<-1>である.鉄濃度2×10^<-7>Mから1×10^<-4>Mの範囲でベールの法則が成立し,鉄1×10^<-5>Mにおける変動係数(n=5)は1.2%である.等モル量の銅,コバルト,ニッケル,亜鉛,カドミウム,アルミニウム,カルシウムは妨害しない.
著者
伊藤 直之 村岡 登 金井 一享 中尾 るり子 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 = Journal of Animal Clinical Research Foundation (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-23, 2008-03-20

一般家庭で飼育されている犬190頭および猫89頭から糞便を採取し,市販のELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)キットを用いてクリプトスポリジウム抗原を検出した。クリプトスポリジウム抗原は,犬では6.3%(12/190),猫では10.1%(9/89)の糞便から検出された。犬ではクリプトスポリジウム抗原の検出率は,糞便性状や年齢,性別,由来,生活環境のようなプロフィールと関連が認められなかった。同様に,猫においてもクリプトスポリジウム抗原検出とプロフィールとの間には,関連性が認められなかった。これらの成績から,一般家庭で飼育されている犬および猫において,クリプトスポリジウムの感染は,低率ではあるものの広く蔓延している可能性が示唆された。
著者
堀江 典生 雲 和広 ベロフ アンドレイ 辻 美代 石川 健 高屋 和子 武田 友加 堀内 賢志 馬 紅梅 大津 定美
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題では、APECサミット開催にあわせたロシア極東開発計画を左右する諸条件を、(1)中ロ経済相互依存関係の変容、(2)ロシア政府の極東開発への実行可能性(開発計画及び地方財政)、(3)ロシア極東の人手不足を補う外国人労働者誘致の問題、という3点を検証し,広大で人口・労働力過少な領土をもてあます「極東の呪い」と「中国脅威論」との克服が,今後ともロシア極東地域の発展の阻害要因になることを明らかにした。
著者
上田 和夫 堀田 貴嗣 榊原 俊郎 三宅 和正 播磨 尚朝 横谷 尚睦 籐 秀樹 石田 憲二
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

新学術領域研究「重い電子系の形成と秩序化」(平成20年度から平成24年度)の最終年度の研究成果について、公表された論文リストおよび国内学会あるいは国際学会等における発表について取りまとめを行った。これらの基礎データに加え、研究活動報告、特許出願状況などを加え、冊子体の成果報告書をまとめ印刷した。この成果報告書は当新学術領域研究の計画研究代表者、研究分担者、公募研究代表者に配布したほか、関連研究分野の有識者にも見ていただけるよう送付した。この冊子体については正式の成果報告書として6月に文科省に提出する予定である。当新学術領域研究のホームページhttp://www.heavy-electrons.jpに関しては、上記の論文リスト、学会発表等のデータを含むよう更新した。重い電子系に関する研究は今後もさらに発展していくことが期待される。それに資することが出来るように、研究期間終了後もホームページを閲覧できる状態にして研究成果の公開を継続する体制を整えた。当新学術領域研究の研究テーマと密接に関連する強相関電子系国際会議は平成25年8月5日から9日まで東京大学伊藤国際研究センターにおいて開催された。この会議の参加者は809名に上った。4つの基調報告を含む46件の招待講演、52件の口頭発表が伊藤謝恩ホールを主会場とし経済学部赤門総合研究棟の大講義室を第二会場として、パラレルセッションで講演が行われた。口頭発表のほか、639件のポスター発表が行われた。当新学術領域研究での研究成果が多数報告された。
著者
堀内 雅子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学教育学部紀要. 芸術・技術・体育・生活科学編 (ISSN:05336627)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.33-40, 1990

The relation between the styles of briefs and the physical condition, especially the extent of menorrhalgia or menstrual pain was investigated through a questionnaire from 655 girl students of Gunma University. 1) Although the extent of menstrual pain mainly depend on their constitutional tendencies or the period after the beginning of the menstrual function, the extent of the pain also depends on the styles of wearing briefs ; the girl students wearing usually bikini briefs felt stronger and more frequent pain during menses than the students wearing standard briefs. 2 ) The effects of the six major factors (period after menarche, amount of menstrual flow, interval of menses, history of the family on menorrhalgia, shape of briefs, and life style) on menorrhalgia were compared by the method of multivariate statistical analysis, The shape of briefs affected least of these factors on the frequency of the menorrhalgia, but it significantly affected (forth of six factors) on the extent of the pain.
著者
浦嶋 泰文 堀 兼明
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.163-168, 2003-04-05

PGPRを用いて,生育遅延型の連作障害を解決することを目指している。農業利用に当たってはPGPRを何らかの形で土壌に導入しなければならない。本研究では,軟弱野菜としてホウレンソウを対象とし,ホウレンソウの生育を促進するPGPRの作物根圏における挙動,根への定着性および接種方法について検討した。1)浸漬する菌懸濁液の菌密度が10^5cfu m L^<-1>以上では,菌密度にかかわらず,種子に付着した菌密度には差異が見られなかった。種子の菌密度にかかわらず,ホウレンソウ根に定着した接種菌の菌密度には顕著な差異が見られなかった。2)ホウレンソウ種子を10g L^<-1>メチルセルロース(重合度100)で処理し4℃で保存することで,菌密度の低下を抑えられ,比較的長期(6ヵ月)にわたり種子の接種菌密度を高く維持することが可能であった。6ヵ月保存後の種子の発芽率を見ると,いずれの処理区においても種子の発芽率は90%以上と高く,種子バクテリゼーションの方法として適当であった。3)ホウレンソウの生育を促進する機能をもつ蛍光性シュードモナスを土耕(ポット試験)のホウレンソウに供試したところ,水耕の場合には見られた根重および地上部新鮮重に関し顕著な生育促進効果が見られなかった。生育促進効果が認められなかったのは接種菌が根に定着しなかったためと推察される。4)稲わら牛糞堆肥,おがくず馬糞堆肥および稲わら馬糞堆肥を接種菌と同時に添加した場合は,接種菌株の土壌中での菌密度の低下が有機物無施用区に比べて緩やかで,有機物の同時施用で接種菌の土壌中の菌密度が維持可能であった。
著者
浦嶋 泰文 堀 兼明
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.157-162, 2003-04-05
被引用文献数
1

連作障害軽減を最終的な目標としつつ,有用微生物の農業利用をめざして研究を進めている。そこで,対象として軟弱野菜であるホウレンソウを用い,蛍光性シュードモナス属細菌のなかからホウレンソウの生育を促進する菌株の検索を試みた。1)プレパラート用染色バットを用いた幼植物段階の生物検定法を用いることでホウレンソウ根の生育に影響を与える蛍光性シュードモナスの選抜が可能であり,幼植物段階の生物検定法として適当であった。2)収穫期までホウレンソウを栽培した生物検定法で,ホウレンソウの生育(地上部および根部)を約50%以上促進する蛍光性シュードモナス菌株が数菌株得られた。3)分離したPGPRのなかには2種のタイプが存在し,Aタイプ(生育初期より根の生育を促進)とBタイプ(生育の初期は根の生育を抑制)に分けることができた。4)水耕栽培条件においては接種した蛍光性シュードモナス属細菌はホウレンソウ根に十分定着しており,根に十分に定着しているためにホウレンソウに対する生育促進機能を発揮しうると推察された。5)BタイプであるD23株に関しては,培養した培地中に,多量でホウレンソウ根の生育を抑制し,少量で根の生育を促進する物質の存在が示唆された。
著者
堀田 創 萩原 将文
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.46-56, 2009-03-31

本論文では,人間関係ネットワークに基づく情報推薦システムの提案とその実装について述べる.提案システムは,(1) ユーザプロファイル構築,(2) アイテム選択,(3) プリファレンス情報の更新の 3 つのアルゴリズムから構成されている.(1) ではプリファレンス情報と人間関係ネットワークに基づいてユーザプロファイルが構築され,(2) でユーザプロファイルに基づいたアイテム選択が行われる.プリファレンス情報はユーザへのアイテム提示およびクリックを基にした情報であり,(3) においてシステムへのアクセスログが参照され更新される.実装においてはアクセスログの処理および 2 段階のアイテム選択がバックエンドプロセスとして行われることで,オンラインでの計算量の軽減を図っている.また実装されたシステムは広告配信システムとして実際の Web サービス上で運用された.評価実験では,ランダムな広告配信と比較し 1.9 倍の推薦効果が得られた.This paper describes the design and implementation of a recommender sytem using social networks. The proposed system consists of the following three algorithms; (1) Construction of user-profile; (2) Filtering items by profile data, (3) Updating preference data. In (1), user-profiles are constructed based on preference data and social networks. In (2), one item is selected by using constructed user-profile. Preference data are generated from behavior logs, updated in (3). The proposed system has been implemented as an advertisement delivery system. To reduce the calculation cost in one session, processes of log analysis and item selection are previously performed as backend processes. According to experimental results, the efficacy of the proposed system was 1.9 times higher than that of randomly delivering.
著者
赤堀 次郎 渡辺 信三
出版者
立命館大学
雑誌
社会システム研究 (ISSN:13451901)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-12, 2002-03-31

近代経済学の発展に数学や,数理統計学は重要な役割を果たしてきたが,近年,数理ファイナンスと呼ばれる新しい金融の理論においては,確率解析学(Stocahstic calculus)という比較的新しい数学が基本的な方法を提供している.そこでは,市場の数学モデルとして,株式等の証券の価格の時間変化のモデルが確率過程として定式化され,確率微分方程式を中心とする確率解析の方法を用いて研究が行われている.確率過程を数学的に構成する方法はいくつかあるが,数理ファイナンスの理論においては確率微分方程式の理論が有用である.数理ファイナンスの理論において,市場の完備性を考察する際には,確率過程の与える情報系-「filtration」や,そのfiltrationに関するmartingale(と呼ばれる確率過程)全体の集合の構造を知ることが基本的に重要になるが,その集合=空間の構造を調べる方法としては,確率微分方程式の方法がもっとも優れているからである.本稿では,まず,その確率微分方程式の理論を概観する.とくにその「弱い解」と「強い解」の相違について注意を喚起し,「強い解」の存在についての新しい結果を述べる.この結果は確率的流れ(stochastic flow)を先に構成し,そこから確率微分方程式の「強い解」を与える,という点で既存の方法とは異なる新しい手法である.その新しい理論の数理ファイナンスへの直接の応用についてはいまだ研究成果は出ていないが,結びでいくつかの注意を喚起しておく.
著者
中西 美木子 堀越 力
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.279, pp.41-46, 2010-11-06

手帳やファイルなどの身の回りのある物を入出カデバイスの代用品として用い,身の回りにある物でコンテンツの閲覧・入力操作をすることができるシステムを提案した.システム実現には単眼光学シースルーHMDを用いることが最適であると考え,単眼光学シースルーHMD利用時に映像の閲覧・操作を行なった場合の物の重要性を評価した.物がない状態,視覚的に距離を把握できる物が存在している状態,実際に物を持った状態の3通りにおいて知覚の違いを評価したところ,実際に物を持った場合において,物の存在の有効性を確認することができた.そこで,物に対してインタラクションを行なうシステムを試作し,その有効性を確認した.