著者
高尾 敏文 斉藤 秀之 田中 直樹 飯塚 陽 奥野 純子 柳 久子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.180-187, 2011-06-20

【目的】本研究の目的は,慢性期脳卒中患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習(BWSTT)の即時効果について明らかにすること,さらに継続介入による効果と合わせて,BWSTTによって歩行能力がどのように変化していくのかを示すことである。【方法】対象は,慢性期脳卒中患者8名であった。内訳は,年齢(平均±標準偏差)は59.0±9.0歳,性別は男性6名・女性2名,片麻痺の原因疾患は脳出血5名・脳梗塞3名,麻痺側は右7名・左1名であった。週3回・4週間(計12回)のBWSTTを実施した。【結果】BWSTT実施前後では,歩行速度は実施前に比して後が有意に速く,歩幅は実施前に比して後が有意に広がった。継続介入による効果では,快適歩行速度,最大歩行速度,最大歩幅および最大歩行率で有意な改善を認めた。【結論】慢性期脳卒中片麻痺患者に対するBWSTTによる歩行速度の改善は,即時的には歩幅の改善,経時的には歩行率の改善による可能性が示唆された。
著者
小林 ミナ 副田 恵理子 名嶋 義直 野田 尚史 松崎 寛 桑原 陽子 佐々木 良造 三輪 譲二 奥野 由紀子 丹羽 順子 松岡 洋子 桑原 陽子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では,次のような独創性を持つ教材(レッスン群)を作成した。(1)「聞く」「話す」「読む」「書く」で独立している。(2)インターネット上で公開され,文法解説や指示が多言語対応になっているので独習が可能である。研究期間の5年間では,教材作成者がコンテンツを入力したり変更したりするための「管理サイト」,および,日本語学習者が利用する「利用サイト」を開発,試用し,仕様と稼働状況について確認した。それと並行して,日本語レッスン完成版を翻訳し,「中国語簡体字」「中国語繁体字」「韓国語」「英語」の各言語版を作成するとともに,日本語教師が参照するための「日本語」版を作成した。
著者
奥野 和彦 松本 淳 城丸 春夫 阿知波 洋次
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1) SUS1/4"管の内部に8本の0.5φSUS線を張ったビームガイドを真空隔壁を貫通させた3段の差動排気システムにより、大気圧あるいは大気圧に近い圧力領域のイオン化室から生成イオンをガス流の電荷輸送特性とビームガイドのイオントラップ効果を活用して効率よく高真空領域に導いて質量分析ができる大気圧質量分析技術を開発した。(2) AP-LDIにおいてレーザーを回転させた試料塗布ディスク上に点収光させて超低速で走査する螺旋軌道照射させることにより低出力のレーザー光で脱離イオンを長時間安定に連続供給することに成功した。(3) AP-LDIにより生成したC_<60>-イオンのレーザー照射による電子脱離実験(C_<60>-+hn R C_<60>+e-)から、大気圧に近いAP-LDIイオン源で生成されビームガイド中をガス流とともに下流に搬送されてトラップされた分子イオンは運動エネルギーのみならず内部エネルギーも基底状態あるいはその近傍にまで十分冷却されていることが確認された
著者
奥野 英美 上里 一郎
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-58, 2002
被引用文献数
1 1

To investigate the relationship between Atopic dermatitis (AD) related stressors, cognitive appraisals, coping strategies and psychological stress responses in adult patients with AD, we administered the AD Stressor Scale, Cognitive Appraisal Scale, Tri-axial Coping Scale 24, Stress Response Scale-18, and the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale to 104 patients.<br>The results were as follows. (1) AD related stressors were positively correlated with psychological stress responses, (2) the "impact of stressors" appraisal was positively correlated with psychological stress responses, (3) "avoidance-like" coping was positively, and "positive thinking-distraction" coping was negatively correlated with psychological stress responses, (4) the "impact of stressors" appraisal was positively correlated with "problem solving-support seeking" coping and negatively correlated with "positive thinking-distraction" coping, and "controllability" appraisal was positively correlated with "problem solving-support seeking" coping.<br>The results of this study suggest that intervention to lower the "impact of stressors" appraisal and "avoidance-like" coping, and to raise "positive thinking-distraction" coping can improve psychological stress responses in adult patients with AD.
著者
伊藤 善也 奥野 晃正 村上 優利香 内山 聖 岡田 知雄 坂本 元子 梁 茂雄 衣笠 昭彦 貴田 嘉一 大関 武彦 本田 悳 村田 光範
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.752-756, 1996-11-30
参考文献数
11
被引用文献数
26

平成2年度厚生省身体発育調査結果から得られた身長別体重表を基礎資料として身長に対応する平均体重を求めた。さらに各身長と平均体重の二次回帰分析により体重の身長への回帰を二次相関式として表した。その二次回帰式は男児ではy=1.83×10^<-3>x^2-0.071x+4.43,女児ではy=2.34×10^<-3>x^2-0.157x+7.71(y:標準体重(kg),x:実測身長(cm))である。この二次回帰式を標準体重を表わす標準身長体重曲線とし,これに肥満度?30%,+20%,+15%,-15%と-20%の曲線を加えたチャートを肥満度判定用に作成した。この肥満度判定チャートを用いれば視覚的に容易に肥満度を判定できる。また経過観察や教育指導用の材料として用いることができる。
著者
森脇 広 奥野 充 大平 明夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

南九州の鹿児島湾を構成する姶良カルデラ周辺の臨海平野には完新世海成段丘が分布する.これらの段丘面の編年と高度分布,さらに,露頭調査とボーリング掘削によって得られた構成堆積物の古環境的解析を行い,旧海水準の高度分布を明らかにし,姶良カルデラを中心とした鹿児島湾周辺の第四紀地殻変動を検討した.編年の方法は,テフラと^<14> C年代による.その結果,これまで示唆されてきた姶良カルデラを中心とした完新世の曲隆がさらに確かなものとなった.これは,姶良カルデラの火山活動と関連していると考えられ,桜島火山などの将来の噴火を評価する基礎資料として活用できると考える.
著者
村上 栄一 菅野 晴夫 相澤 俊峰 奥野 洋史 野口 京子
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.197-203, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
20
被引用文献数
1

仙腸関節ブロックや骨盤ベルトなどの保存療法の効果が持続せず,日常生活や就労に著しい障害のある仙腸関節性疼痛例に対して仙腸関節前方固定術を行った.男6例,女9例の15例で,年齢は平均49歳(30~86歳),罹病期間は平均3.9年(1~7年),術後経過期間は平均2.3年(6カ月~5年)であった.片側前方固定術を14例に,両側固定術(骨盤輪固定術)を1例に施行した.これらの症例について,関節癒合をCTで,また臨床症状をJOAスコア,VASによる疼痛の変化,Roland-Morris disability questionnaire(RDQ)で評価した.関節癒合は15例全例で得られていた.JOAスコアが術前平均5.6点(4~9点)から術後平均18点(7~24点)に,VASが84(70~93)から40(10~75)に,RDQ得点が21.1(17~23)から6.9(1~14)に改善した.仙腸関節前方固定術の成績は良好であり,保存療法に抵抗する症例には有効な治療法と考えられる.
著者
斎藤 正徳 井宮 淳 島倉 信 亀井 宏行 田中 秀文 奥野 光
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

地磁気のベクトル計測が行える探査装置として、「3軸グラジオメータ」を世界に先駆け開発した。3軸グラジオメータは、1インチ径のリングコアを用いたフラックスゲート型センサを3組直交配置した磁力計を、垂直方向50cm離して1本の支持棒に取り付けたもので、出力は磁気勾配3成分(上下のセンサの差出力)と、上方のセンサで捕らえた地磁気3成分である。センサ高は、支持棒への取り付け位置を調整することで、任意に変えられる。測定は、指示棒に取り付けられた水準器で垂直度を確認しながら行う。垂直軸周りのセンサの回転は、上方のセンサからの地磁気3成分を用い、補正することもできる。感度は磁気勾配で、1nTである。本体には、4,000点での測定値を記憶できるメモリを備えており、RS-232Cインターフェイスを介して、コンピュータにデータ転送できる。バッテリ-駆動で、約8時間測定可能である。この3軸グラジオメータを用い、夷森古墳(宮城県宮崎町)、根岸遺跡(福島県いわき市)、大戸古窯跡群(福島県会津若松市)、田尻遺跡(群馬県子持村)、猿田窯跡(群馬県藤岡市)、大寺山洞穴(千葉県館山市)、石ノ形古墳(静岡県袋井市)、大知波峠廃寺(静岡県湖西市)、象鼻山1号墳(岐阜県養老町)、稲荷塚古墳(京都府長岡京市)、久米田貝吹山古墳(大阪府岸和田市)、行者塚古墳(兵庫県加古川市)、七日市遺跡(兵庫県春日町)、東山古墳群(兵庫県中町)、岩戸山古墳(福岡県八女市)、西都原古墳群横穴墓(宮崎県西都市)の各種遺跡において探査実験を行い、本装置の有効性を確認するとともに,本装置をもちいた探査アルゴリズムを確立した。
著者
岩月 和彦 那須 裕 野坂 俊弥 岩崎 朗子 御子柴 裕子 本田 智子 楊箸 隆哉 奥野 茂代 田村 正枝 山田 幸宏
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

水中運動参加者の中で,生活習慣病を有する高齢者(高血圧症,高脂血症,糖尿病)と,生活習慣病を持たない高齢者の血圧,心拍数の3年間における変化を比較検討した.その結果,高血圧症を有する高齢者では,収縮期圧は140台、拡張期圧は80前後、心拍は73から76の間で保たれ、3年間安定しており服薬による血圧コントロールが適切に行われた場合,血圧及び心拍の上昇は見られなかった.「生活習慣病を持たない高齢者」の血圧、心拍数の平均値の3年間の推移です。高血圧症群と比べますと、収縮期圧が10ほど低く130台の値を示しています。拡張期圧は先ほどと同様で80前後でした。心拍は73から76の間で保たれていました。「高脂血症を有する高齢者」の血圧と心拍数は、生活習病を持たない高齢者と同様に、血圧、心拍とも正常値の範囲内で安定しています。「糖尿病を有する高齢者」は、こちらも同様に、3年問を通して、血圧、心拍とも正常値内で保たれていました。健脚度の「最大一歩幅」は、「高血圧症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」「生活習慣病を持たない高齢者」ともに、平成17年4月の時点で年齢相応の平均値より高く、移動能力のレベルが高いことが確認されますが、水中運動継続3年後には、両群ともに、さらに向上する傾向が認められました。「10m全力歩行」は、「高血圧症を有する高齢者」も、「生活習慣病を持たない高齢者」も、5秒前後の値であり、年齢相応の平均値よりも値が小さく、つまり早く歩けること、それも、3年間の年齢の増加に関わらず、3年後にはさらに値が小さく、「歩く」移動能力の向上が見られます。以上の結果、65歳以上を対象とした生活習慣病を有する高齢者の水中運動の継続による身体面への影響を検討した結果、生活習慣病を有する高齢者の血圧及び心拍に水中運動による悪影響は認められず、生活習慣病を持たない高齢者と同様に、下肢筋力や柔軟性が改善され、維持される傾向が認められました。
著者
奥野 克己 堀内 正樹 宇野 昌樹
出版者
京都文教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、中東・アラブ世界に発した「先発グローバリズム」を支えている人的ネットワークの現状を解明することにあった。エジプト/スーダン、シリア/レバノン、モロッコという3地域をそれぞれハブとする各地に広がるネットワークの様態をフィールドワークによって明らかにし、人・モノ・情報の移動における人々のコミュニケーションのあり方、生きるスタイルの特徴を解明した。その人的ネットワークの析出は、現在展開する近代西洋発のグローバリズムの弊害をも含めた特徴を照射する結果となった。
著者
海道 正典 森 正之 三瀬 和之 奥野 哲郎 古澤 巌
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.95-98, 1997-04-25
参考文献数
11

形質転換植物におけるブロムモザイクウイルス(BMV)RNAの蓄積量を増加させるため, タバコ輪点ウイルスのサテライトRNA由来のリボザイム配列を利用し, 植物内で転写されたウイルスRNAの複製効率の増加を試みた. カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターとBMV RNAのcDNAとターミネーター配列を含むプラスミドのcDNA配列の3'末端にリボザイム配列を挿入したプラスミドを作製し, BMVの局部病斑宿主であるChenopodium amaranticolorに接種した結果, リボザイム配列を持たない対照プラスミドに比べすて, 約4倍の感染性を示した. 同様の遺伝子カセットをタバコに導入した結果, これら形質転換植物におけるBMV RNAの蓄積レベルは, リボザイム配列を持たない対照植物におけるBMV RNA蓄積の20倍であった.
著者
松田 ひとみ 久野 譜也 檜澤 伸之 増田 元香 橋爪 祐美 奥野 純子 野村 明広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は高齢者の睡眠の質を向上させる方法を明らかにするために、一日の生活活動と休息の状態を評価し、昼寝とナラティブ・ケアの有用性を導き出すことができた。また、その効果測定には、活動量計であるアクティウォッチによる睡眠効率と心拍変動パワースペクトル解析による日中の情動変動の評価が有効であると考えられた。
著者
奥野 久輝
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.142-146, 1974-04-20
著者
河村 繕範 中村 博文 岩井 保則 奥野 健二
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.250-256, 2010-04-25

核融合炉では投入する燃料のほとんどは反応することなく排出される.したがって,排気される燃料を再利用するシステムが不可欠である.また,炉心を取り巻くブランケットで核融合中性子とリチウムを反応させトリチウムを製造し燃料とする.これら燃料システムの研究開発では,大量トリチウム取扱施設を有する米国との協力が大きな位置を占めることとなった.本章では,燃料システム技術開発を中心に日米協力の成果を紹介する.