著者
徳永 康祐 小川 将樹 池畑 諭 増田 知尋 妹尾 武治
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.35-47, 2016

Recently, we can very easily and frequently find vection scenes in Japanese movies and animation films. However there had not been a database for them. Our purpose of this study was to make a database of vection scenes in Japanese movies and animations and provide VR psychologists all over the world with that database. We checked many movies and animations and found 30 vection scenes. We uploaded that information on our web site (senotake.jp). We also conducted a psychological experiment to assess vection strength obtained by those scenes and compared them to perceived vection obtained by a normal and simple vection stimulus (the standard stimulus) that had been used in our previous vection experiments. The results showed that perceived vection induced by those scenes were nearly the same strength as that of vection induced by the standard stimulus. We also revealed some effective and inefficient techniques of scene presentations in this study. Finally we calculated various image statistics and compared them to vection strength. That analysis revealed that a scene that contained more changes could induce stronger vection. We sincerely hope that this study can be the bridge between experimental psychologists and contents creators and developers.
著者
服部 保 南山 典子 小川 靖彦
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.45-61, 2010-12-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
81
被引用文献数
3

1. 万葉集に詠まれている植物,植物群落,立地条件をもとに同じ歌の中の植物間の組合せや植物と立地条件の組合せおよび植物群落を解析し,万葉時代の植生景観について考察した.  2. 万葉集に詠まれている維管束植物種数は145種(1650首),植物群落数は44(235首)であった.  3. 同じ歌の中の植物間の組合せや植物と立地条件の組合せは現存植生の種組成や植物と立地条件の組合せとほとんど矛盾しておらず,万葉集の写実性の高さが確認できた.  4. 「浜」,「里」,「野」,「山」における植生分布は万葉時代も現在も大きな差はなく,田畑,クロマツ林,チガヤ草原,ススキ草原,ヨシ草原,里山林などが当時広がっていたと推定した.万葉集の「山」は,現在使用されている用語でいうと「里山」に該当すると考えられた.  5. 万葉時代の西日本の暖温帯における「奥山」の植生はスギ・ヒノキ個体群と照葉原生林の混生林か,両者が地形的にすみ分けていた樹林と考えられた.「奥山」は,その後人の土地利用によって里山化が進み,万葉時代の「奥山」は現在では里山放置林やスギ・ヒノキの人工林に変化している.  6. 万葉集にもっとも多く詠まれていた植物はススキクラスの植物であった.しかし,「庭」に植栽されているススキクラスの植物を詠んだ歌が多く,その点を考慮すると,万葉集でもっともよく詠まれた植生景観は「庭」の景観であった.
著者
小川 佳伸
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.90-101,193, 1995-01-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
27
被引用文献数
1

喉頭室原発の癌の発生母地を解明するために肉眼的に喉頭室に病変を認めない22個のヒト摘出喉頭を用いて臨床病理学的な検討を行い以下の結果を得た. 1) 喉頭室のコンピュータグラフィッタス化を行いその複雑な形状を示した. 2) 著者分類の「浅陥凹型」部分は, 喉頭室の中でも特に扁平上皮化生が強く進み, 発癌の準備段階として重要であると思われた. 3) 「浅陥凹型」部分は喉頭室の前後に分布していた. これは喉頭室原発の癌の臨床的な好発部位とよく一致しており, 喉頭室原発の癌の発生母地として重要であると思われた. 4) 喉頭室粘膜上皮も症例によっては, かなりの範囲で扁平上皮化生が起こり, 喫煙や飲酒の影響で高度に進行することも示された.
著者
小川 文秀 佐藤 伸一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.349-358, 2006 (Released:2006-12-31)
参考文献数
49
被引用文献数
7 7

我々の皮膚は常に外界からの様々な刺激にさらされている.その刺激の代表的なものとして太陽光線中の紫外線があげられる.紫外線は皮膚癌の発生の誘因となる他に,紫外線の曝露により皮膚には光老化と称される変化が生じてくる.光老化の特徴的な変化として皮膚表面のびまん性の色素沈着と深い皺があげられるが,その変化を特徴づけるものとして皮膚真皮におけるsolar elastosisと称される膠原線維・弾性線維の変化がある.この皮膚光老化には紫外線による酸化ストレスが深く関与していると考えられている.一方,酸化ストレスが関与する全身疾患の一つとしてとして全身性強皮症(systemic sclerosis ; SSc)があげられる.SScは全身の皮膚硬化を主徴とする膠原病であるが,レイノー症状をはじめとする血管障害も病態形成に深く関与していると考えられている.本稿では,酸化ストレスが皮膚に与える影響を光老化とSScに関して我々の研究結果とこれまでの研究知見を中心に概説する.

8 0 0 0 OA 開化問答

著者
小川為治 著
出版者
丸屋善七等
巻号頁・発行日
vol.2編巻上, 1875
著者
小川 束
出版者
四日市大学
雑誌
四日市大学環境情報論集 (ISSN:13444883)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1_2, pp.171-176, 1998-03-20 (Released:2019-12-01)

In 1996,H.Sasaki discovered a Sandgaku, mathematical plate, in Hirohata shrine (Komono 2700,Komono-cho, Mie, Japan). No one was aware of the existence of this mathematical plate until then. In this brief note, I investigate the plate and make clear the structure of the solution given by Murai Chouei, its author.
著者
紀田 康雄 柏木 厚典 田中 逸 小川 勉 阿部 奈々美 池淵 元祥 朝比奈 崇介 高木 敬文 吉川 隆一 繁田 幸男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.277-283, 1993-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
30

自律神経障害を有する糖尿病患者の突然死は既に報告されているが, その頻度や臨床特徴は明らかではない. 本研究では606例の糖尿病患者の中での突然死の頻度と臨床的特徴を調べた. 平均観察期間は7年であった. さらに交感神経機能の指標としてのQTc間隔を, これら糖尿病患者と年齢, 性をマッチした45例の非糖尿病健常者とで比較し, 突然死との関係を検討した. 1) これら606例の糖尿病患者中既に127例が死亡しており, 39例 (約31%) が突然死であった. 2) 突然死例は生存例と比較すると高齢で高血圧, 虚血性心疾患, 自律神経障害, 末梢神経障害, 壊疽, 腎症の合併頻度が高かった. 3) 突然死例の死因には心・脳血管障害が多かったが, 半数以上で死因の詳細は不明であった. 4) QTcは糖尿病群では生存例 (418±26msec), 突然死例 (445±33msec) 共に対照群 (401±17msec) と比べ有意に延長していた. 5) 突然死群の著明なQTc延長には自律神経障害の関与が示唆された.
著者
高橋 睦子 小川 富之 メルヴィオ ミカ 立石 直子 片岡 佳美 藤田 景子 渡辺 久子 酒井 道子 平井 正三 中島 幸子 栄田 千春 岡田 仁子 手嶋 昭子 長谷川 京子 吉田 容子 可児 康則
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

面会交流に関する取決めや判決は、当事者たちの生活に長期にわたって影響をおよぼす。司法は申立てに対して調停や判決を下すが、その後の親子関係の状況や展開についてのフォローアップの機能は備えていない。子どもの最善の利益を保証するためには、司法のみならず、中長期にわたり子どもの成長・発達を把握し、必要に応じて専門家(臨床心理や児童精神科など)につなぐ社会制度の構築が重要である。幼児も含め子どもの本心に真摯に寄り添いつつ、面会交流について適切に判断し当事者らが必要とする支援を行うためには、乳幼児や子どもの発達に関する最先端の知見や情報を専門領域の境界を超えて共有することが重要である。
著者
小川 みふゆ 松崎 紗代子 石濱 史子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1908, 2020-03-05 (Released:2020-06-28)
参考文献数
8

1/25,000植生図を土地利用図として読み替えて用いるための新たな全国標準土地利用メッシュデータの凡例の集約の指針を作成した。あわせて以前の 1/50,000植生図から作成した全国標準土地利用メッシュデータとの紐付けを行った。土地利用図凡例の大分類( 9分類)と中分類( 16分類)については 1/50,000植生図との凡例対応表に変更がないため、 1/50,000植生図から作成した全国標準土地利用メッシュデータと同様に利用することができ、時系列として使うことも可能である。細分類については、新たにシカ食害や外来種に関する 8細分類を追加し 3細分類に修正を加えた。
著者
橋本 すみれ 地野 充時 来村 昌紀 王子 剛 小川 恵子 大野 賢二 平崎 能郎 林 克美 笠原 裕司 関矢 信康 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.171-175, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

線維筋痛症による全身の疼痛に対し,白虎湯加味方が有効であった症例を経験した。症例は65歳女性。自覚症状として,夏場に,あるいは入浴などで身体が温まると増悪する全身の疼痛および口渇,多飲があり,身熱の甚だしい状態と考えて,白虎湯加味方を使用したところ全身の疼痛が消失した。線維筋痛症に対する漢方治療は,附子剤や柴胡剤が処方される症例が多いが,温熱刺激により全身の疼痛が悪化する症例には白虎湯類が有効である可能性が示唆された。
著者
小川 文夫 馬場 雅志 日浦 慎作 浅田 尚紀
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-5, 2010-11-01

広島への原爆投下によって発生したきのこ雲の高さについては様々な議論がなされてきた.我々はきのこ雲の写真をその特徴により分類し,爆心地に高さを変えた物体を仮想的に配置し,推定されたカメラ位置からの画像を生成することによりきのこ雲の高さを推定した.その結果,きのこ雲が成長していく過程が確認され,高さは最大で約 16km となることが分かった.推定には様々な誤差を含む要因が考えられるため,推定結果の精度を増すにはさらなる検討が必要である.The height estimation of mushroom cloud after the A-bomb explosion at Hiroshima has been a controversial issue for many years. We have tried to classify there pictures by their feature, and measure the height of the cloud from a single picture by superimposing a vertical object on the picture projected in the same geometry. In the result, we confirm the growing of the mushroom cloud, and the height of mushroom cloud is estimated up to 16 kilometer. There is necessity of consideration for accuracy because the result involve error by various reason.
著者
鎌内 宏光 小川 安紀子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.131-136, 2008
被引用文献数
2

2007年12月20〜21日に総合地球環境学研究所(以下、地球研)にてワークショップ「生態学関連データベースにおける最近の動向と今後の展望」を関催した。このワークショップでは近年生態学分野においても普及してきたデータベースを更に活用する方策として、データベースを自動的に連結して利用することを可能にするための技術的な可能性と課題を話しあうことを目的とした。本稿ではこのワークショップの模様を報告するとともに、今後の展望について論じたい。
著者
熊谷 岳文 楢原 菜穂子 佐藤 英治 木平 孝高 藤村 よしの 小嶋 英二朗 小川 祥二郎 伊達 有子 鶴田 泰人 吉富 博則 井上 裕文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.4, pp.599-610, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
14

Elneopa NF No. 1 and No. 2 infusions are total parenteral nutrition solutions packaged in four-chambered infusion bags. They have been used as home parenteral nutrition, with various drugs injected into the infusion bags, for treating patient symptoms. In this study, we investigated the stability of six drugs, including famotidine, scopolamine butylbromide, furosemide, bromhexine hydrochloride, betamethasone sodium phosphate, and metoclopramide hydrochloride in the infusion bags under dark conditions at 4℃ for 7 days. Additionally, we developed a high-performance liquid chromatography method to determine drug concentrations in the infusions. The concentrations of injected famotidine, scopolamine butylbromide, and betamethasone sodium phosphate remained unchanged when the four chambers of Elneopa NF No. 1 and No. 2 were opened and the infusions were mixed. Their respective concentrations in the upper and lower chambers also remained unchanged. The concentration of furosemide in the upper chamber of the No. 1 infusion bag decreased after 5 days, although no change was observed in the other chambers and the mixed infusions with the four chambers opened. The concentration of bromhexine hydrochloride slightly decreased in the upper chambers (approximately 3%) after the co-infusion but decreased significantly in the other chambers and the mixed infusions with the four chambers opened. The concentration of metoclopramide hydrochloride significantly decreased in the upper chambers after the co-infusion; however, no change in concentration was observed in the other chambers and the mixed infusion with the four chambers opened. The results of this study provide useful information on home-based parenteral nutrition.

7 0 0 0 OA パンと軽石

著者
寅丸 敦志 小川 裕江 大橋 正俊 増山 孝行
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.403-410, 2020-09-15 (Released:2020-10-09)
参考文献数
11

Explosive volcanic eruptions produce pumice including bubbles (mainly H2O gas) which form by the vesiculation process under decompression during the magma ascent in the volcanic conduit. Shape of bubbles varies from spherical to tubular or irregular depending on the eruption style, intensity and magnitude. Interestingly, huge eruptions such as caldera-forming eruptions characteristically include elongated bubbles. We conduct the bread baking experiments to examine what controls the shape of bubbles by using the vesiculation process due to the fermentation of yeast. We use two experimental setups, baking within and without a glass conduit, to evaluate the effect of 1 dimensional expansion flow on the bubble shape. Results show that breads baked within the glass conduit typically include the elongated bubbles. We make the textural analysis for the cross section of bread after fermentation and baking with a time interval of 5 min to understand the evolution of bubble texture and with variable concentrations of yeast to evaluate the effect of amount of yeast on fermentation, consequent expansion of dough and bubble texture. By experiments with the variable concentration of yeast, it is found that the maximum expansion occurs at the certain concentration of yeast approximately 0.5 g per 50 g dough, and that the number of bubbles monotonically decreases with increasing the concentration of yeast. Time series experiments show that the number of bubbles decreases and average size of bubble increases with time for both within and without conduit. Aspect ratios of bubbles within a glass conduit are larger in smaller size of bubbles and smaller (i.e., elongated) in larger size. Numerical model simulating the evolution of bubble shape under 1 D expansion demonstrates that smaller bubbles relax to the spherical shape by surface tension effect and larger bubbles maintain the elongated shape formed by 1 D expansion.
著者
小川 雄太 宮本 行庸
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.416-419, 2022-12-18 (Released:2023-01-27)
参考文献数
8

本稿においては共生社会の実現に資するため,全盲の視覚障害者とテレビゲームを楽しむ際に晴眼者に求められる認識について,スーパーファミコンを使った実践を通して考察を行う.盲学校に所属する教員の晴眼者であっても全盲の視覚障害者とテレビゲームの繋がりをほとんど認識していなかったが,全盲の視覚障害者とテレビゲームで遊ぶ体験がその認識を大きく変化させた.また,全盲の視覚障害者が格闘ジャンルのスーパーストリートファイターⅡ ザニューチャレンジャーズに対応できていたことを踏まえて,激しいゲーム展開が予想される他のジャンルもプレーできるという期待を持つに至った.したがって,全盲の視覚障害者とテレビゲームを楽しむため,晴眼者には全盲の視覚障害者もテレビゲームができるという先入観のない認識が必要である.