著者
小川 國治
出版者
山口県地方史学会
雑誌
山口県地方史研究 (ISSN:02891751)
巻号頁・発行日
no.115, pp.1-15, 2016-06
著者
小川 滋之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>研究の背景と目的</b> スイゼンジナ(<i>Gynura bicolor</i>)は,キク科サンシチソウ属の多年生の草本植物である.日本,中国,台湾などの東アジアを中心とした広い地域で伝統野菜として古くから食されてきた.しかし,市場に流通することは少なかったため,産地の広がりや各産地の事情はあまり知られていない.原産地もインドネシアのモルッカ諸島や中国南部,タイ北部など諸説あり定かではない.地産地消が叫ばれる現在において,伝統野菜の普及を進める中では産地の事情を明らかにすることが重要である.以上のことを踏まえて,本研究ではスイゼンジナの産地分布と地域名を報告した.<br><b><br> 調査方法 </b>インターネット(Google)を用いて学名を検索し,個体の写真が掲載されているサイト,なおかつ写真撮影地域が特定できるサイトを対象に集計した.現地調査では,産地の分布,販売の形態と地域名を直接確認した.<br><br><b>スイゼンジナの産地分布 </b>この調査では,インターネット上にみられる言語数そのものが影響している可能性は高い.しかし,日本や中国,台湾などの東アジア地域が大半を占め,原産地のインドネシアを含む東南アジア地域の産地が少ない傾向がみられた.<br>現地調査では,東アジアの中でも日本の南西諸島や台湾中部以北,中国南部の一部地域では農産物直売所や屋外市場で多く販売されており,人々に日常的に食されていた.東南アジアではタイ北部の植木市場や少数民族の集落にみられる程度で少なかった.これらの流通量からみると,原産地はインドネシアではなく中国南部からタイ北部の地域が有力であると考えられた.<br><br><b>スイゼンジナの地域名 </b>日本では標準和名のスイゼンジナが,地域名としては水前寺菜(熊本県),金時草(石川県),式部草(愛知),ハンダマ(南西諸島)がみられた.他では,地域あるいは企業が商標登録をしている事例として水前寺菜「御船川」(熊本県御船町),ガラシャ菜(京都府長岡京市),ふじ美草(群馬県藤岡市), 金時草「伊達むらさき」(宮城県山元町)がみられた.<br>日本以外では,紅鳳菜(台湾),観音菜(中国上海市),紫背菜(中国広東省,雲南省,四川省),แป๊ะตำปึง(タイ北部)がみられた.東南アジアではスイゼンジナの近縁種(<i>Gynura procumbens</i>)のほうが多く,タイ北部(แป๊ะตำปึง)やマレーシア,クアラルンプール(Sambung nyawa)では名称に混同がみられた.近縁種については,沖縄島の沖縄市や読谷村においても緑ハンダマという名称で販売されていた.このようにスイゼンジナは,地域ごとに様々な名称があり伝統野菜となっていることが明らかになった.
著者
小川 徹 山崎 俊彦 相澤 清晴
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.221-222, 2016-03-10

本研究ではイラスト制作の工程におけるラフ画像から線画をおこす手順を自動化することを目的とする.現在イラスト制作の各工程はイラストレータが手作業で行うのが一般的であるが,ラフ画像を線画にする工程は機械的な作業が多く,画像処理技術による効率化が期待できる.主な処理はラフ画像に含まれている線を統合し線画の線を生成することであり,ここでいかにラフ画像に含まれる線をクラスタリングするかが課題となる.既存の研究では角度や相対位置といった線の局所的な特徴量をもとにクラスタリングを行うものが多いが,統合が不十分あるいは不必要に統合されてしまう問題があった.本研究ではイラストレータによるラフ画像と線画のペアをもとに機械学習を行い,適切なクラスタリングを行うことを目指す.
著者
小川 彰 伊藤 陽子 森原 寛子 金棒 優美 黒川 賢三 國廣 和恵 橋本 展幸 小泉 幸毅 宮岡 秀子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.E0981-E0981, 2004

【目的】回復期病棟に入院する患者は発症から間もない方が多い。そのため身体機能面の問題に加え、心理的問題も抱えていると推測される。そこで今回、回復期病棟における入院患者の心理状況を把握する目的で調査・分析した。<BR>【対象】H15年11月19日時点の当院回復期病棟入院患者40名(当該病棟料非算定者、失語症により有効回答不能、HDS-R20点以下、アンケート実施による心理面への影響が予測される者は除外)を対象者とした。40名(男21名、女19名)の平均年齢は64.9歳、主疾患は脳血管疾患29名、整形疾患9名、その他2名であり、発症から調査日までの期間は平均97.2日、Barthel Index(以下B.I)は平均81.1点、日常生活自立度はJランク10名、A19名、B11名であった。<BR>【方法】1.精神心理面を把握する指標として、意欲低下の程度はSDS(自己評価式抑うつ尺度)、生活の質はQUIK(自己記入式QOL質問表)でアンケート調査した。SDSは20の質問(満点80点)からなり、点数が高い程うつ状態は重い。QUIKは50項目(満点50点)からなり、点数が高い程生活の質が低く、その程度は「きわめて良好」から「きわめて不良」までの6段階に分類され、更に身体関係、情緒適応、対人関係、生活目標の4尺度に分類されている。なお、身体関係尺度のみ20点満点のため10点満点に換算した。2.SDSを基にうつの有無で年齢、発症からの期間、疾患、麻痺別、B.I、日常生活自立度等からなる基本情報とQUIKを比較、分析した。3.うつの程度を正常、軽度うつ、中程度うつの3段階で比較、分析した。【結果】1.SDS平均42.9点、正常13名(32.5%)、軽度うつ16名(40%)、中程度うつ11名(27.5%)であった。QUIK平均17.1点、6段階のうちきわめて良好0名、良好2名(5%)、普通8名(20%)、いくぶん不良11名(27.5%)、不良16名(40%)、きわめて不良3名(7.5%)であった。項目別の平均は身体関係尺度3.4点、情緒適応尺度3.5点、対人関係尺度2.7点、生活目標尺度4.1点であった。2.SDSを基にうつの有無で比較すると平均年齢は無68.8歳・有63歳、発症からの期間は無89.7日・有100.8日、QUIKは無10.4点・有20.3点であった。片麻痺ではうつ無9名中右片麻痺4名(44.4%)、うつ有22名中右片麻痺14名(63.6%)であった。3.うつの程度で比較するとB.Iは正常85.4点、軽度うつ84.4点、中程度うつ71.4点。QUIKは正常10.4点、軽度うつ16.8点、中程度うつ25.5点であった。<BR>【考察】40名の7割弱がうつ状態にあり、また7割強が生活の質を不良と感じていることが確認された。QUIKの4尺度では大差無く、多種多様の悩みを抱えていることが分かった。うつ状態は年齢が比較的若く、発症から3ヶ月以上、右片麻痺の者、また能力が低い者ほどうつの程度が重く、生活の質も低い傾向にあった。またうつ状態でない者でも、生活の質は低い傾向にあった。以上より回復期病棟では、身体機能面への治療のみならず、誰もが心理的不安を抱えているという視点での関わりが必要である。
著者
小川 フェネリーひとみ 上田 伊佐子 森田 敏子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.73-82, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)
参考文献数
24

本論は,文献に示された「よい看護師」が身に付けているものは何かを明らかにし,徳の倫理に着目した考察を加えることにより,看護基礎教育における倫理教育への示唆を得ることを目的とした。医学中央雑誌Web版で1983年~2017年2月において「よい看護師」のキーワードで検索すると,原著論文9編が抽出された。調査対象は看護師3件,看護学生2件,患者や遺族2件,看護教員1件,教科書の内容変遷1件であった。「よい看護師」が身に付けている倫理の視点として【体験の自省】,【行為と判断の倫理原則】,【徳の倫理】,【公共の善】が形成された。日本で看護教育が始まって以来,教科書には,人としての特質と専門職としての特質,徳の倫理が記されていた。「よい看護師」の育成には,徳の倫理を基礎とした専門職としての知識・技術・態度の育成と倫理原則の育成の重要性が示唆された。
著者
小川 基彦 萩原 敏且 岸本 寿男 志賀 定祠 吉田 芳哉 古屋 由美子 海保 郁夫 伊藤 忠彦 根本 治育 山本 徳栄 益川 邦彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.359-364, 2001-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
5 7

1998年にツツガムシ病と診断された患者416人の臨床所見について解析を行った. 主要3徴候である刺し口, 発熱, 発疹は, それぞれ86.5%, 97.7%, 92.3%の患者に, またCRP, GOT, GPT, LDH上昇が, それぞれ957%, 84.8%, 777%, 90.7%に認められた. これらの所見はほとんどの患者に認められ, 診断に有用であることが示された. また汎血管内凝固症候群が21人に認められ, 命を脅かす疾病であることがうかがわれた. リンパ節腫脹は49.7%の患者に認められ, そのうち74.6%は局所にのみ腫脹が認められた.さらに, 腫脹した部位が刺し口の近傍に認められる傾向があった. また, 大部分の刺し口は痂皮状で, 腹部や下半身 (特に下肢) などに認められた. 一方, 刺し口, 発疹が, それぞれ13.5%, 77%の患者には認められず, 風邪などと誤診されやすいことも示唆された. また, 血清診断で陰性であった患者においては, 主要3徴候は約半数に, 刺し口は約70%の患者に認められた.したがって, 現在の血清診断法では診断できないツツガムシ病が存在する可能性が推察された.今回の解析によって全国レベルでの臨床医学的側面があきらかとなり, 今後の診断および治療に役立つものと考えられる. 一方で, 臨床所見だけからは診断が難しいケースが明らかとなり, 血清診断法の改良の必要性も示唆された.
著者
小川 欽也
出版者
日本実験力学会
雑誌
実験力学 (ISSN:13464930)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.89-96, 2002 (Released:2010-03-19)
参考文献数
54
被引用文献数
5

Split-Hopkinson Pressure Bar (SHPB) method is the most versatile technique to evaluate the stress-strain relations of materials at high rate of strain. Over the decades, the method has been improved and developed, and now, it has been widely applied to investigate the various kinds of mechanical properties of materials under impact loading. Recent research activities and techniques related to this famous method are reviewed in the present paper.
著者
後藤 仁敏 大倉 正敏 小川 浩
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.290-297, 1988
被引用文献数
4

Five specimens consisted of three genera and five species of chondrichthyes from the Middle Permian Akasaka Limestone in Kinshozan, Akasaka-cho, Ohgaki City, Gifu Prefecture, Central Japan are described. The fossil horizon is the uppermost part of the lower division (zone of Parafusulina). The chondrichthyan fossils were found in the pale orange and dark grey part of the grey-white massive limestone, and cotaining fossils such as Parafusurina japonica (Gumbel), Yatsengia ibukiensis Minato, Coelogasteroceras giganteum Nakazawa, ? Agathiceras sp. and crinoids. They are two teeth of cladodont sharks, Symmorium sp. and ? Symmorium sp., two dermal teeth of petrodi, Petrodus sp. and ? Petrodus sp., and one tooth plate of cochliodonts, Chochliodontidae gen. et sp. indet. Symmorium sp. is represented by a well preserved large cladodont type tooth. There are five cusps: a large central main cusp, mesial and distal side cusps and two small accesory cusps which are situated between main and side cusps. The main cusp is slightly inclined distally. There are many fine striae on the surface of the crown. The root of the tooth is composed of osseous tissues. ? Symmorium sp. is represented by a very small cladodont type tooth. The root and the mesial side cusp are not preserved. The cusps are straighter than the cusps of Symmorium sp. There are many fine striae on the surface of the crown. Petrodus sp. is a very large dermal tooth which is almost completely preserved. It is conical in shape. There are about thirteen radiating plicae and several circular growth lines on the surface of the crown. ? Petrodus sp. is one side of longitudinal section of the dermal tooth. It consists of two layers. The outer layer is thick and composed of white enameloid-like hard tissue which has many tubular structures. The inner layer is composed of black dense materials The tooth plate of cochliodonts, Chochliodontidae gen. et sp. indet., is observed from both sides in labio-lingual section. It is a large, curved, orally convex plate. There are five ridges on the occulusal surface of the tooth plate. The lingual ridge is largest and the other ridges become low and small towards labial side. It consists of three layers. The surface layer is thick and composed blue-grey enameloid-like hard tissue. The middle layer is composed of thin black substance. The basal layer is composed of dark grey hard tissue which is pale in some parts. This paper is the first report of cladodont type tooth of elasmobranchs, dermal tooth of petrodi and tooth plate of cochliodonts from the Japanese Permian. It can be expected that many kinds of fossil fishes will be found from the Paleozoic of Japan, in future.
著者
後迫 宏紀 吉田 剛 長谷川 智彦 大和 雄 夏目 貴弘 小川 真弥 阿波賀 祐治 Hama Aldric 髙松 宏幸 松山 幸弘
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-51, 2020-03-31 (Released:2020-05-06)
参考文献数
15

Functional magnetic resonance imaging (fMRI) is expected as a biomarker of pain because it can objectively evaluate changes in cerebral blood flow associated with neuron activity against pain. We have developed pain models for cynomolgus macaques because it is more compatible with humans in regard to the structures and functions of brain regions which is suggested to be involved in pain in humans. Aside from humans, the cynomolgus macaques are the most widespread primate genus, ranging from Japan to North Africa. Since the macaques are the animal species closest to humans among those which can be used for invasive experiments, they are widely used to understand the mechanisms of the human brain. The purpose of this study is to elucidate pain–related brain activation regions in the macaque models using fMRI. Generally, pain testing in animal models has been based on avoidance behavior against pain stimuli. However, we identified pain–related brain activation regions using fMRI under propofol anesthesia as a more objective evaluation method. In the macaque model of chymopapain–induced discogenic low back pain, the activity of the insular cortex occurred in response to lumbar compression stimulation. In the macaque model of oxaliplatin–induced neuropathic cold hypersensitivity, activation of the insular cortex also occurred in response to cold stimuli. As a result of evaluating pregabalin, duloxetine and tramadol, only duloxetine showed behavioral effectiveness and suppressed activation of the insular cortex due to oxaliplatin–induced neuropathic pain. In the macaque model of postoperative pain, activation of the insula cortex was mainly activated by pressure stimulation. As a result of evaluating morphine, pregabalin and diclofenac, only morphine showed behavioral effectiveness and suppressed activa­tion of the insular cortex due to postoperative pain. However, macaques with naturally occurring endometriosis exhibited a pain response against pressure stimuli to the abdomen, and had activation of the thalamus. As a result of evaluating morphine, meloxicam and acetaminophen, only morphine showed behavioral effectiveness and suppressed activation of thalamus due to abdominal pain from endometriosis. It was suggested that the brain activation regions could change due to various conditions that can cause the pain, as the acute pain increased activation in the insula cortex and the chronic pain increased activation in the thalamus. This study demonstrated the usefulness of fMRI as a pain biomarker, and fMRI analysis using the macaques might provide an advantage for the translation of the findings to human patients. Therefore, these study will contribute to the development of new analgesics for each pain as well as to the progress in the areas of brain research.
著者
小川 徹郎
出版者
金原出版
雑誌
眼科 (ISSN:00164488)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.p249-259, 1981-03
著者
五島 史行 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.9, pp.1016-1023, 2013-09-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

めまいのリハビリテーションの継続には十分な動機付けが必要である. その有効性の機序については, 純粋に前庭機能改善による効果なのか, 心理的な効果なのかまだ不明な点が多い. 施行に当たって医師以外の職種の関与も必要である. 今回臨床心理士, 臨床検査技師と協力し, めまいリハビリテーションを行った. 最低6カ月以上めまい症状を訴える慢性のめまい患者16例を対象として, 初回は動機付けセッションとして個別に臨床心理士がめまいのリハビリテーションの意義, 方法を十分に説明し, 動機付けした. その後リハビリテーションを自宅で継続させた. 介入前, 介入後1, 2, 3カ月の時点でDHI日本語版 (dizziness handicap inventory), 抑うつ尺度, 不安尺度などの質問紙を用いて評価を行った. また静的平衡機能評価として重心動揺計, フォーム重心動揺計, および動的平衡機能評価として頭振りなどの動作に必要な時間を測定した. 15例 (93.8%) で継続可能であった. 不安, 抑うつレベルは介入後変化を認めなかったがDHI日本語版は介入後1, 2, 3カ月の時点で介入前と比べ改善を示した. 開閉眼での頭振り, および固視点を注視したまま行う頭振り動作の所要時間は横方向, 縦方向ともに改善を認めた. 重心動揺計の開眼の矩形面積 (REC AREA) は2カ月後に改善を認めた. フォーム重心動揺計の閉眼軌跡長 (LNG) は2カ月後, 3カ月後, および開閉眼のREC AREAは3カ月後に改善を認めた. これらより患者のめまいの自覚症状の改善は抑うつ, 不安といった心理面での変化ではなく静的, 動的平衡機能が改善した結果得られたものであることが示された.
著者
岸野 重信 小川 順
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.58-65, 2017-06-26 (Released:2018-08-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

食品成分の代謝には、宿主の代謝のみならず、腸内細菌による代謝が少なからず関わっている。したがって、腸内細菌による食品成分の代謝を把握し、代謝産物が健康に与える影響を評価することが、健康維持のためにも重要である。本総説では、脂質、特に不飽和脂肪酸の代謝に関する最近の知見について紹介する。食用油脂に広く含まれているリノール酸が腸内細菌の代表でもある乳酸菌により飽和化される新規な代謝が見出され、水酸化脂肪酸、オキソ脂肪酸、共役脂肪酸などが代謝中間体として存在し、さらにこれらの代謝中間体が宿主組織において腸内細菌依存的に存在することが明らかとなった。また、これらの代謝中間体が、脂質代謝改善作用、抗糖尿病作用、腸管上皮バリア保護機能、抗炎症作用、抗酸化作用など、様々な生理機能を有することも見出している。これらの知見は、腸内細菌の脂肪酸代謝に依存して生成する特異な脂肪酸が、宿主の健康に何らかの影響を与えている可能性を示している。さらに、様々な不飽和脂肪酸代謝に関わる乳酸菌由来酵素群を活用することにより、様々な修飾脂肪酸を生産することが可能となることから、今後さらなる機能性脂肪酸開発が期待される。
著者
福嶋 直弥 鈴木 美紀 小川 諒 林 北見 高梨 潤一 大橋 高志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001078, (Released:2017-10-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2 21

症例は20歳女性.11歳時に急性散在性脳脊髄炎を発症し,その後,再発を繰り返した.17歳時には片側大脳皮質にFLAIR高信号を伴う痙攣発作で入院.18歳時に血清抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(myelin oligodendrocyte glycoprotein; MOG)抗体陽性と判明した.今回,多相性散在性脳脊髄炎(multiphasic disseminated encephalomyelitis; MDEM)の診断で当科に入院した.抗MOG抗体陽性例でMDEMがみられることは以前から知られているが,近年,痙攣を伴う片側大脳皮質脳炎を来すことが報告された.本症例のように両方の病態を呈した症例の報告はなく,抗MOG抗体の関連する自己免疫疾患の病態を考える上で興味深い.
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布