著者
良永 知義 木南 竜平 Kathryn A. Hall 小川 和夫
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.123-126, 2006 (Released:2007-05-11)
参考文献数
15
被引用文献数
11 18

2005年春に, 中国福建省から養殖種苗として輸入されたカンパチ幼魚にアニサキスの寄生が高頻度に見られた。この寄生虫は, 形態学的にはヒトアニサキス症の原因となるAnisakis I型幼虫と同定された。ITS1-5.8S rRNA-ITS2領域の塩基配列では, 広義のA. simplex を構成する種の一つであるA. pegreffii と極めて近縁であった。主な寄生部位は胃壁および胃漿膜であり, 腹部の筋肉に虫体は認められなかった。本症例は, 養殖魚におけるアニサキス寄生の初めての例である。
著者
宮本 雅章 小岩井 優介 野澤 剛二郎 小川 隆申 藤野 陽三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.222-238, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

時速500km領域の超電導磁気浮上式鉄道では,列車走行に伴い急激な圧力変動がトンネル覆工に作用するが,バックアップブレーキである空力ブレーキを展開させた状態で走行した際の圧力変動の特性や最大値,そして,そのトンネル覆工への影響は明らかにされていない.本論文では,空力ブレーキ展開状態での列車走行に伴う圧力変動を山梨実験線での計測および,列車まわりの流れの3次元圧縮性流体解析結果から評価し,営業線のトンネル覆工に作用する最大正圧および,最大負圧を算定した.さらに,営業線トンネル覆工の応力解析を実施し,最大正圧および,最大負圧が作用した時の覆工構造の挙動を明らかにし,限界状態設計法により覆工構造の安全性を確認した.
著者
綱島 愛 山岡 利佳 小川 久惠 松本 仲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.128, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】調理学の教科書には、煮物をする際に使用調味料は分子量の大きさの違いから、サ行の順に入れると良いと書かれていることが多い。しかし家庭調理での実態や、一般に販売されている料理本においては、必ずしも順を追って加えず、一度に加える場合がみられ、この方が初心者には失敗が少なく、楽に調理できると思われる。そこで、調味料を加える順序が、煮物の仕上がりのおいしさにどのような影響を与えるか、検討した。【方法】調味料を加える方法として(1)だしとすべての調味料をはじめに合わせ、沸騰させたところに材料を加える。(2)だしと材料を5分加熱したところに調味料を一度に加える。(3)だしと材料を5分加熱した後調味料を砂糖、塩、醤油、みりんの順に加える、の三方法を、でんぷん質の多い里芋、じゃがいも、かぼちゃ、根菜類の大根、人参、ごぼう、蓮根の7種の野菜を用いて煮物をし、調味料の加え方が仕上がりに及ぼす影響を検討した。実験に際して、調味料の濃度(煮あがりの煮汁の量)、加熱時間、材料の平均化には特に配慮した。検討方法は、官能評価による受容度を中心に、試料への塩分の浸透状態およびテクスチャ-(クリープメーターによる)を測定し比較した。【結果】でんぷん質の多い野菜、根菜類のいずれにおいても(1)、(2)、(3)の調味料を加える順序の違いにおいて、官能評価結果は、総合評価では差がみられなかったが、蓮根、じゃがいもを除く他の試料の味のバランスで、(3)の評価が低かった。塩分の浸透状態については、(3)の方法で試料の内外に差がみられた。
著者
桂 紹隆 TILLEMENS To STEINKELBER 稲見 正浩 本田 義央 小川 英世 HAYES Richar TILLEMANS To STEINKELLNER エルンスト KRASSER Helm ERNST Prets MUCH T.Micha ERNST Steink
出版者
広島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

インド原典からの「仏教論理学用語辞典」編纂の為の国際共同研究の最終年に当たり、昨年に引き続き仏教論理学の重要なインド原典のうちPramanavarttikalamkaraのコンピューター入力を完了した。本研究の主要なパートナーであるウィーン大学のチベット学仏教学研究所でもダルマキールティのHetubinduに対する複数の注釈のコンピュータ入力を完成している。今後の課題は、引き続き重要な仏教論理学テキスト、例えばTattvasamgrahapanjikaを入力し、広島大学文学部のホームページなどから一般に公開することである。ウィーン大学チベット学仏教学研究所から刊行予定の「仏教論理学用語辞典」は3部から構成される。第1部は、仏教論理学の主要な綱要書であるNyayabindu,Nyayapravesa,Tarkasopana,Hetutattvopadesaなどから集められた仏教論理学用語の定義集であり、これは既に完成している。第2部は、上記定義集には収められていないが重要と考えられる仏教論理学用語を理解するために必要な文章を綱要書以外の多数の仏教論理学テキストから集めたものである。記載項目は過去数度にわたる共同研究参加者の会合によって決定しているが、全ての項目について必要な情報が収集されるには到っていない。従って、近い将来その完成を目指している。第3部は、以上の資料にもとづいて、特に難解な仏教論理学用語の解説を試みるものである。その一部は、1997年11月広島市で開催した「第3回国際ダルマキールティ学会」において、各共同研究者が発表したものである。本研究の最終報告書には、1998年12月に共同研究者全員がウィーン大学に集まり検討を加えた第1部と第3部の一部を収めて公表する。なお、本研究参加者は、今後も機会を見つけて集まり、密接に連絡をとり、第2部を含めた本格的な『仏教論理学用語辞典』をウィーン大学チベット学仏教学研究所より刊行する予定である。
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。
著者
小川 時洋 門地 里絵 菊谷 麻美 鈴木 直人
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.241-246, 2000-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
22
被引用文献数
47 38

This study aimed at developing a self report instrument of general mood states which was brief and easy to administer for Japanese respondents. Four studies were conducted. In Study 1, we administered some existing mood questionnaires in order to select appropriate items from them. Factor analysis using oblique roration yielded eight factors. Following Study 2 and 3, we developed an instrument called the General Affect Scales with three 8-item subscales: positive affect (PA), negative affect (NA), and calmness (CA). The reliability and the validity of each scale were then investigated. It was shown that the subscales except the CA are highly internally consistent and factorially valid. Finally, these subscales were compared with other mood scales in Study 4.
著者
林 浩輝 梅原 英一 小川 祐樹
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.165-175, 2020

<p>本研究では,政治的コミュニケーションの新たな手段として期待されるSNSの中でもTwitterに着目し,意見の一極集中やアナウンスメント効果などの世論形成理論の成立の可能性を考察した。2015年5月に実施された大阪都構想のツイートを分析対象とし,トピック分析および新聞記事と比較することで,ツイートとアカウントを賛成と反対に分類した。これを用いて賛成および反対の投稿数及びアカウント数の推移を分析した。その結果,多数派認知がTwitterの投稿に影響を与えている可能性は確認できなかったものの,リツイートのネットワーク分析の結果では,賛成と反対が明確に分かれたネットワークが存在することが分かった。また次数中心性および媒介中心性が極端に高い少数のアカウントが存在することが確認できた。その結果,オピニオンリーダーの出現とアナウンスメント効果の成立の可能性を見出すことができた。</p>
著者
白樫 正 小川 和夫
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.92-98, 2016 (Released:2016-10-07)
参考文献数
24
被引用文献数
2 10

Fish blood flukes (FBFs) are the most important digenean parasites in marine finfish aquaculture due to their high pathogenicity. Numerous eggs accumulate in gill lamellae and capillary vessels in various organs, interfere the blood flow. This causes fish to suffocate to death or leads to other fatal health problems. In Japan, important culture fish, such as amberjacks, bluefin tuna and tiger puffer are affected by FBFs of different taxa; namely Paradeontacylix spp., Cardicola spp. and Psettarium spp., respectively. FBFs are relatively host specific and utilize a complex two-host lifecycle. To date, the lifecycles have been elucidated for only a handful marine FBF species and all use terebellid polychaetes as the intermediate host. Chemotherapy with the oral treatment of praziquantel is effective and commonly used in fish farms as a sole control measure against FBFs. The development of prevention method is expected with the recent advances in knowledge on the biology of FBFs.
著者
松岡 勝 宮本 重徳 小田 稔 小川原 嘉明 高岸 邦夫 中川 道夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.631-640, 1974-09

さそり座X線源,SCO X-1からの軟X線を観測することはSCO X-1までの星間空間とSCO X-1のまわりの中性ガスの存在(これら両者合わせてSCO X-1までの中性ガスの線密度と言う)を知る上に重要である。われわれはこれまでの3回のロケット実験により軟X線を観測し同種の観測装置,統一的なデータ解析法によりSCO X-1までの中性ガスの線密度を得ることが出来た。この3回の観測結果はガスの線密度が時間的に変動していることを明かにした。もしSCO X-1に対して一様高温プラズマのモデルをとるとするとその最低値は5×10^<20> H/cm^2 以下であり,その最高値は5×10^<21> H/cm^2 であった。資料番号: SA0124432000
著者
山田 浩之 新田 清一 太田 久裕 鈴木 大介 南 隆二 松居 祐樹 中山 梨絵 上野 真史 菅野 雄紀 此枝 生恵 大石 直樹 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.12, pp.1380-1387, 2020-12-20 (Released:2021-01-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

宇都宮方式聴覚リハビリテーション (以下聴覚リハ) とは, 済生会宇都宮病院聴覚センターで新田らが行っている補聴器診療法で, 主な特徴に「初日から常用を促し, 診察と調整を装用開始から3カ月間頻回に行うこと」「聴覚専門の言語聴覚士が補聴器外来を担当していること」がある. 本法を取り入れた補聴器外来を開設し, 3年間が経過したためその成績について検討した. 対象は2016年4月~2019年3月までに補聴器外来で聴覚リハを行った174例 (男86例女88例, 平均年齢75歳) で, 検討項目は聴覚リハ脱落率, 購入率, 音場検査と語音明瞭度検査による適合率 (補聴器適合検査の指針2010に準ず), 補聴器の型式, 平均価格, 補聴器購入における助成の有無とした. 聴覚リハ脱落率は3%, 購入率は95%, 音場検査による適合率は98%, 語音明瞭度検査による適合率は95%であった. 補聴器の型式は耳掛け型が91%, 耳あな型が8%. 購入された補聴器の平均価格は11.6万円で, 補装具費支給制度を利用して購入した割合は7%であった. 結果は良好で本法の適応 (難聴による生活の不自由があり, 聴力改善の意志がある) となる難聴者にとっては優れた補聴器診療法であることを改めて示すことができた. 一方でわが国の補聴器購入に対する助成と補聴器診療制度に関しては諸外国と比較すると十分とは言えず, 今後は補聴器の調整を扱う国家資格として言語聴覚士の活躍が期待される.