著者
別所 正博 小林 真輔 越塚 登 坂村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.249-255, 2009-04-01
被引用文献数
10

コンピュータと通信,特にその複合システムの進展に伴い,位置情報を利用したサービス,例えば観光ガイドや歩行者ナビゲーションといったサービスに,いつでもだれでもどこでもリアルタイムにアクセスできるようになってきた.このような位置情報を取得するための技術,すなわち位置認識技術は,ユビキタスコンピューティング環境実現の鍵として特に注目されている.位置認識技術として,屋外では主にGPSがかなり普及してきた.一方で屋内や地下街といった環境ではGPSの利用が難しいため,ユビキタスインフラを活用した方式が注目を集めている.本稿では,このようなユビキタスコンピューティングと位置認識技術の関係を概説する.ここでは,位置認識の要素技術,例えば赤外線や超音波を使った方式や,無線通信技術を活用した幾つかの方式を概説し,更にこれらを組み合わせて用いる複合的位置認識技術についても触れたい.そして,このような技術が可能にする応用を,幾つかの先進的な実例とともに紹介する.
著者
大塚 邦子 野村 靖幸 内田 直樹 安原 一 小林 真一
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.21-29, 2014-06-10 (Released:2015-08-11)
参考文献数
47

Classification of food and pharmaceutical products are different. In the proper use of pharmaceutical products, it is essential for a medical consumer to receive the drug information about effectiveness, safety and quality of it. On the other hand, since legal classification between medicines and dietary supplements was based their cultures, the classification of each drug is different in each country. Melatonin is a hormone produced by the pineal gland and used for improvement of the jet lag. We searched melatonin product information of Japan and the United States by using Internet search mainly and investigated the relationship between amount of product information and product classification. Melatonin is classified as a dietary supplement in the United States, the product information of efficacy and safety is displayed as “Supplement Facts” and the use of melatonin in children is not recommended. On the other hand, melatonin is classified as a pharmaceutical product in Japan, but is not produced in Japan. Therefore, it is difficult to have it for Japanese customers, and then they personally import using the Internet with their self-responsibility. However it is difficult to obtain its appropriate information for consumers, because of the regulation of the Pharmaceutical Affairs Law. It has been reported that the poisoning accident by the excessive intake of melatonin already. It will increase the risk of the health problem to purchase melatonin through the Internet more. Therefore, we concluded that Internet purchase of Medicines had a high risk for Japanese customers since there was not sufficient drug information.
著者
小林 真生子 齊藤 毅 沖津 進
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.11, pp.632-636, 2011-11-15 (Released:2012-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

埼玉県の松山層群に属する中新世の楊井層は大型植物化石を多く産出する.楊井層の年代を明らかにすることは,同時代の植物化石フロラを比較し,日本の中新世の古植生を復元するうえで重要である.そこで,楊井層の2つの凝灰岩の中に含まれるジルコンでフィッショントラック年代を測定した.その結果,楊井層の最下部凝灰岩(Y-1凝灰岩)のフィッショントラック年代は9.1±0.7 Ma,最上部凝灰岩(Y-9凝灰岩)のフィッショントラック年代は9.6±1.3 Maであった.これらの結果から,楊井層は後期中新世の地層であると考えられる.楊井層の植物化石フロラは群馬県の上部板鼻層の植物化石フロラに年代が近いと考えられる.両植物化石フロラを比較すると,楊井層には山地に生育する植物種の化石は含まれていなかったが,上部板鼻層の植物化石群には山地の植生を構成する種が含まれていた.楊井層の植物化石は板鼻層よりも山地から遠い場所で堆積したと考えられる.
著者
川崎 賢一 後藤 和子 河島 伸子 佐々木 雅幸 小林 真理 KWOK KianーWo CRANE Diana MARTORELLA R KIAMーWOON Kw CRANE O
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

今年度は、3年間にわたる共同研究に最終年度にあたり、まとめる方向で研究を行った。初年度は、東京で、まず、芸術文化政策の比較の枠組みについて話し合い、同時に、東京を中心とする日本の文化政策を理解することにつとめた。また、この年度末には、シンガポールで会議を開催し、現地の文化政策関連の人々とも議論を行った。シンガポールは、日本とは異なるアジアの国々のひとつであり、国家を中心として文化政策をここ10年間で積極的に推進してきた社会であり、その歴史、やり方の有効性などをメンバーと共に議論をし、理解を深めた。いづれにしろ、欧米の芸術文化政策を論じる前に、アジアを回ったことは、今までの欧米中心の研究スタイルとは異なるやり方で、メンバーにも好評で、一定の成果をあげることが出来た。2年目は、イギリスのバーミンガムで会議を開き、イギリスの最近の動向について議論をした。その結果として、ロンドンのみならず、多くの都市において、文化を取り入れた都市計画が盛んになり、地方分権や民主化が進み、階級文化の境界がはっきりしなくなるなどの変化が見て取れるようになった。3年目は、仕上げとして、ニューヨークで会議を開催し、アメリカ、特に、ニューヨークの文化政策について学び、また議論することにより、これからの展望をはっきりと描くことが可能になった。それは芸術文化的活動と経済との連携がより深くなるということ、もう一つは、文化政策における、非営利的組織(いわゆるNPO)の重要度が高まり、プライバタイゼーションが進行するということである。しかし、同時に、どの国でも同じことが起こるわけではない。本研究では、さらに、来年度、ファイナルシンポジュウムを東京で開催し、「グローバル化する文化政策」というタイトルで、共同研究の最後を締めくくりたいと考えている。
著者
小林 真
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

視覚障害者ボウリングを楽しむ当事者らのニーズをもとに、「投球フォーム検出と提示」「残ピン状況の読み上げ」「ボール軌跡の読み上げ」を目的とするシステム開発と検証を行った。フォーム検出に関しては、腕に装着した加速度センサから投球タイミングの検出が可能なことが分かった。また残ピン読み上げに関しては画像処理を利用してほぼ完璧な認識が可能であり、実際の練習に役立つシステムを構築できた。ボール軌跡については、深度センサで実現可能なことが分かった。さらにスポーツにおける状況の音声化は,プレーヤー自身だけではなく,応援や観戦をしている視覚障害者にとって重要なエンターテインメント要素になることが分かった.
著者
升屋 勇人 安藤 裕萌 小林 真生子 河内 文彦 岩澤 勝巳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.866, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

イチョウ(Gingko biloba)は中国原産の裸子植物イチョウ科イチョウ属の落葉高木で、古くから種子食用に栽培されている他、緑化木として公園や街路樹に多く植栽されている。最近、千葉県、愛知県で相次いで原因不明のイチョウの衰退、枯死が確認された。主な症状は、開葉後の葉先の褐変、萎れ、早期落葉により、最終的には枯死に至る。被害は複数本のまとまりで発生しており、隣接木へ被害が移行しているようにみえる事例も見られたことから、葉の感染症と土壌病害の両方の可能性が考えられた。そこで、葉、根圏双方での病原体の探索を行ったところ、葉からはGonatobotryumなどの寄生菌が検出されたが、木全体を枯死させるものとは考えられなかった。土壌釣菌実験を行ったところ、愛知県では1種類。千葉県では2種類のPhytophthora属菌が検出された。形態、およびDNA解析の結果、両県で共通して検出されたのはP. citrophthoraもしくはその近縁種と考えられた。P. cf citrophthoraを用いた土壌混和による接種試験で、イチョウの1年生実生は2か月で萎れ、枯死に至った。成木への影響を明らかにする必要はあるが、イチョウの枯死に本種が関与している可能性があると考えられた。
著者
角野 浩史 ウォリス サイモン 纐纈 佑衣 遠藤 俊祐 水上 知行 吉田 健太 小林 真大 平島 崇男 バージェス レイ バレンティン クリス
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>四国中央部・三波川変成帯に産する変泥質岩、エクロジャイト、蛇紋岩、かんらん岩のハロゲン・希ガス組成は一様に、深海底堆積物中の間隙水と非常によく似た組成を示す。同様の組成は島弧火山岩中のマントルかんらん岩捕獲岩や深海底蛇紋岩でも見られることから、沈み込み前に屈曲したプレートの断層沿いにプレート深部に侵入した間隙水がスラブマントルを蛇紋岩化する際に、ハロゲンと希ガスが組成を保ったまま蛇紋岩に捕獲されて沈み込み、水とともにウェッジマントルへと放出されている過程が示唆される。</p>
著者
三星 知 山田 仁志 山崎 修治 小林 真理子 上野 和行 長井 一彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.7, pp.943-947, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Concomitant therapy with acetaminophen (APAP) and low-dose aspirin is often used in clinical settings; however, it is unclear whether this combination is involved in the progression of chronic kidney disease (CKD). We hypothesized that concomitant therapy with APAP and low-dose aspirin may cause CKD progression. We carried out a retrospective 6-year cohort study that included all patients who received low-dose aspirin from January 2011 to December 2016 at Kaetsu Hospital. Primary outcome was defined as CKD progression at the end of the study compared with baseline. Among the 441 patients treated during the study period, we identified 89 cases of CKD progression. Multivariate regression analysis showed that exposure to APAP>50 g [odds ratio (OR), 2.68, 95% confidence interval (CI), 1.08-6.70], age increase by 1 year (OR, 1.05, 95% CI, 1.02-1.08), and diabetes mellitus (OR, 2.40, 95% CI, 1.41-4.08) had positive associations with CKD progression. Our findings suggested that concomitant therapy with APAP and low-dose aspirin increased the risk of CKD progression. Therefore, we recommend more thorough monitoring of serum creatinine when patients are on such concomitant therapy. Moreover, it is important to advise users of low-dose aspirin to avoid unnecessary use of APAP, in order to reduce the risk of CKD progression.
著者
小林 真 大矢 恭久 奥野 健二
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.99-105, 2013-02-05 (Released:2013-03-11)
参考文献数
15

比例計数管と液体シンチレーションカウンタによるトリチウムの実時間定量測定からチタン酸リチウム(Li2TiO3)及びリチウム濃縮したチタン酸リチウム(Li2+xTiO3)中でのトリチウム移行過程を明らかにした.Li2+xTiO3はLi2TiO3とLi4TiO4の混合物であり,トリチウム熱脱離スペクトルにおいて,リチウム濃度が増加するに伴いLi4TiO4起因のトリチウム放出が見られた.また,等温加熱実験の結果を速度論的に解析することで,トリチウム放出の律速段階はLi2TiO3構造中の拡散過程であることが分かった.一方で電子スピン共鳴(ESR)測定によりリチウム濃度の増加に伴い生成する照射欠陥密度が増加することが分かった.Li4TiO4構造に起因した照射欠陥の増加や構造の境界がトリチウム拡散を抑制することが明らかとなった.
著者
長田 謙一 楠見 清 山口 祥平 後小路 雅弘 加藤 薫 三宅 晶子 吉見 俊哉 小林 真理 山本 和弘 鴻野 わか菜 木田 拓也 神野 真吾 藤川 哲 赤塚 若樹 久木元 拓
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来プロパガンダと芸術は、全体主義下のキッチュ対自律的芸術としてのモダニズムの対比図式のもとに考えられがちであった。しかし本研究は、両者の関係について以下の様な新たな認識を多面的に開いた:プロパガンダは、「ホワイト・プロパガンダ」をも視野に入れるならば、冷戦期以降の文化システムの中に東西問わず深く位置付いていき、芸術そのもののありようをも変容させる一要因となるに至った;より具体的に言えば、一方における世界各地の大型国際美術展に示されるグローバルなアートワールドと他方におけるクリエイティブ産業としてのコンテンツ産業振興に見られるように、現代社会の中で芸術/アートはプロパガンダ的要因と分かち難い形で展開している;それに対する対抗性格をも帯びた対抗プロパガンダ、アートプロジェクト、参加型アートなどをも含め、芸術・アートは、プロパガンダとの関係において深部からする変容を遂げつつあるのである。
著者
工藤 浩 渡邉 卓 福田 武史 奥田 俊博 松本 弘毅 小林 真美 松本 直樹 小村 宏史 伊藤 剣
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本文学・日本史学・神道学・日本語学の四分野の研究者による「先代旧事本紀研究会」を組織し、学際的に『先代旧事本紀』の研究史上の問題点と今後の課題を考究する共同研究を行った。平成29年9月に公開研究発表会を実施した。神話としての特徴、用字意識など編纂と内容の問題に加えて、神道の祭儀・思想・文献、訓詁注釈・国学等に与えたの影響について、『先代旧事本紀』の持つ学問的な意義を明らかにした。本研究の成果は、研究代表者、分担研究者に3名の研究者を加えた12名による論文10編とコラム4編を掲載する『先代旧事本紀の現状と展望』(上代文学会叢書)を平成30年5月に笠間書院より刊行し、広く開示する。
著者
小林 真生子 那須 智子 Greenthumb B. 沖津 進
出版者
千葉大学園芸学部
雑誌
食と緑の科学 (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
no.67, pp.35-42, 2013-03

近年,海岸部の埋め立て地域は工場や港湾施設の他に,千葉県千葉市の海浜幕張地区や千葉県浦安市,東京都品川区のように,住宅地としても利用されている。これらの地域は高層住宅や商業施設が建設され,人口が密集する地域でもある。人工的な埋立地では,樹木を植栽しなければ緑がなく,街路樹の重要性は,斜面林や社寺林や屋敷林などが残る内陸部の非埋立地よりも大きいといえる。海岸部の街路樹は,潮風を緩和したり,埋立地の景観を改善したりするうえで重要である。本研究では,千葉県千葉市の海岸部埋め立て地域に植栽された針葉樹1種と広葉樹9種の街路樹の10年間の生育状態の調査結果を報告し,関東地方の海岸部埋め立て地域の街路樹種として適する樹種を考察した。
著者
小林 真 北野 仁菜
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-14, 2017-05-31

本研究では、富山県内の幼稚園を対象に質問紙調査を行い、特別支援教育を中心に小学校との連携の実態を尋ねた。その結果、富山県の幼稚園における特別支援教育の体制整備は、全国のレベルよりも低いことが明らかになった。次に、設置形態(公立・私立)による違いを比較したところ、いくつかの項目で私立幼稚園の方が不十分であることが示された。また特別支援教育コーディネーターの指名の有無による体制整備・連携の状況を検討したところ、いくつかの項目で指名されている幼稚園の方が連携が進んでいることが示された。最後に小学校との連携のパターンを5つのクラスターに分けたところ、連携が進んでいる幼稚園とそうでない幼稚園のパターンが明らかになった。
著者
岸田 治 小林 真
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、「水生動物が溶存アミノ酸をエネルギーとして利用する可能性」を孵化直後のエゾサンショウウオ幼生を用いて示すことである。実験の結果、アミノ酸を添加した環境水で飼育したエゾサンショウウオ幼生は、アミノ酸由来の窒素を体内に取り込み、成長を促進させることが分かった。細菌などの微生物が溶存アミノ酸を直接利用し増殖することは一般に認知されているが、脊椎動物による溶存アミノ酸の利用はこれまで想定されてこなかった。本研究の成果は、「これまでの慣習的な栄養伝達経路の有り様」の変更を促すものである。
著者
近藤 直司 小林 真理子 宮沢 久江 宇留賀 正二 小宮山 さとみ 中嶋 真人 中嶋 彩 岩崎 弘子 境 泉洋 今村 亨 萩原 和子
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-29, 2009-05

近年,青年期におけるひきこもりケースの中に発達障害を背景とするものが少なくないことが明らかになってきており,個々の発達特性や精神・心理状態を踏まえた支援のあり方が問われている.また,ひきこもりに至る以前の予防的な早期支援のあり方を検討することも重要な課題である.本稿では,まず,ひきこもり問題に占める発達障害の割合や,ひきこもり状態にある広汎性発達障害ケースの特徴について述べ,ひきこもりの発現を未然に防ぐことを目的とした予防的早期支援と不登校・ひきこもりケースへの支援における家族支援の要点について検討する.