著者
小林 真二
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文芸言語研究 文芸篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
no.34, pp.154-129, 1998-10

昭和四年から六年頃にかけて、中村正常等の新興芸術派の作家たちを主要な担い手として、《ナンセンス文学》と呼ばれる文学が一大隆盛を見せたことがあった。《ナンセンス文学》についてはこれまでにまとまった研究 ...
著者
小林 真 増長 遥 新 浩一 西 正博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.6, pp.471-480, 2021-06-01

VHF帯周波数は広く放送などで用いられている.特に,災害時には重要な情報伝達手段の一つとして利用されていることから,ノイズの大きさ等の電波環境を把握することが重要である.本研究では,湿度(相対湿度)変化とVHF帯ノイズの増減の関係を明らかにするために,VHF帯ノイズと湿度を含む気象現象との関係を調査した.2015年から2019年までの観測結果から,湿度40%以下のときに,湿度の低下に従ってVHF帯ノイズが急激に上昇することが分かった.更に,VHF帯ノイズと湿度の関係を表す式を導出した.
著者
吾妻 崇 太田 陽子 小林 真弓 金 幸隆
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.365-379, 1996-05
参考文献数
12
被引用文献数
1

The Nojima earthquake fault appeared along the recognized active fault in the northwestern part of Awaji Island in association with the 1995 Hyogoken-Nanbu Earthquake. This earthquake fault is dominated by right-lateral offset (max. 1.7m), with a high-angle reverse fault which has a maximum verlical displacement of 1.3m uplift on the southeastern side. We have repeated the measurement of seven profiles of the fault scarp at two areas (Hirabayashi, Ogura). The fault scarp of the Hirabayashi area (profiles 1-4) is composed of the Plio-Pleistocene Osaka Group at the base and is overlain by an unconsolidated gravel bed at the top. The Ogura area (profiles 5-7) is entirely underlain by the Plio-Pleistocene Osaka Group. The fault scarp in these two areas is characterized by an overhanging slope due to thrusting of the upthrown side. Scarp retreat at Hirabayashi occurred in association with the sudden collapse of the gravel bed and proceeded more quickly than at Ogura, where fault scarp retreat proceeded by exfoliation of the fault plane as well as partial collapse of the Osaka Group. These facts strongly indicate that the lithological control is most significant for the formation of original fault scarp as well as retreat. The retreat of fault scarp was very slow after March to June at Hirabayashi and June to July at Ogura, and proceeded more quickly than some of seismically generated normal faults.
著者
小林 真朝 麻原 きよみ
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.42-48, 2007
被引用文献数
1

本研究の目的は,乳幼児健康診査の委託に焦点を当て,市町村保健師の事業委託の経験を記述・分析することで,市町村保健師にとっての委託の意味づけを検討し,委託事業における市町村保健師の役割および保健事業の効果的な委託のあり方への示唆を得ることである.乳幼児健康診査の委託の前後に携わった経験をもつ市町村保健師11名に半構成的インタビューを行い,データを質的に分析した.市町村保健師にとっての保健事業の委託の経験は【委託を契機に生じる変化に気づき,自分にとっての委託を意味づけていくプロセス】であり,時間の変化の特徴に沿って5つの期で構成された.さらに保健師の住民との関係性のとらえ方により,住民庇護型,住民顧客型,住民パートナー型の3つの型に分類され,<委託とは住民との距離を隔てるもの><委託とは住民の求めるものに応えるための保健師にとっての救いの手><委託とはコミュニティの資源の専門性を高め豊かにするもの>という意味づけがされていた.これらのことから,保健師がそれまでの自身と住民との関係性や事業のとらえ方の傾向に気づき,視点や視野を変えたらどう見えるか,状況に即したやり方で活動しているかを見直すことが重要であると考えられた.
著者
中村 正彦 鈴木 豊 小林 真 友田 春夫 高橋 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.104-111, 1988-01-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
13

いくつかの成分曲線が線形に重畳した曲線群から,成分曲線の形を仮定せずにもとの成分曲線を復元する新しい方法,すなわち最大エントロピー原理を基礎とした方法を心RIアンジオグラフィから得られる時間放射能曲線に適用した結果について報告している.まず最初に最大エントロピー原理について概説し,ついで核医学動態画像解析の理論的基礎として本論文で取り扱う問題の定式化を行っている.3番目に,未知混合曲線からもとの成分曲線を復元する方法すなわち最大エントロピー原理を基礎とした新しい方法について概説している.最後に,心RIアンジオグラフィへの適用結果について示している.関心領域としては,心臓全体をカバーするようにしたもの,右心室領域をカバーするようにしたもの,左心室領域をカバーするようにしたものの3種を設定し,これら3種の関心領域から得られる時間放射能曲線群に方法を適用して,成分数を変えた場合の復元結果の違い等について検討している.これらの検討結果より,ここに示した方法は注意深く関心領域を設定することなしに対象臓器の時間放射能曲線を復元することが可能であり,従来核医学動態機能検査の基本的問題点の1つであった対象臓器の時間放射能曲線に重畳する他臓器由来の時間放射能曲線の除去に対する1つの解決法になることが示唆されている.
著者
尾崎 康子 小林 真 水内 豊和 阿部 美穂子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.335-345, 2013 (Released:2015-03-19)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

保育者が発達障害児や発達が気になる子どもを評価するスクリーニング尺度として、幼児用発達障害チェックリスト(CHEDY)を作成した。CHEDYは、広汎性発達障害(PDD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的障害を測定する3尺度で構成されている。PDDはADHDや知的障害との合併が認められることがあるが、CHEDYはこれら3つの障害を一度に調べることにより、子どもの様子を的確に把握し、保育指導に生かすために開発された。PDD群(682名)、ADHD群(48名)、知的障害群(267名)、定型発達群(897名)について調べたところ、これら3尺度には十分な内部一貫性が示され、また群間の有意な区別がなされたことから、信頼性と妥当性をもったスクリーニング尺度であることが示された。さらに、定型発達群との識別性を調べたところ、各障害の識別に有用であることが示された。
著者
鈴木 拓弥 小林 真 長嶋 祐二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.3, pp.560-568, 2018-03-01

聴覚障害学生を対象とした授業では,聴覚の代行として視覚情報による支援が中心となる.しかし,実技演習時の細かな操作を教示する場合やタイミングが重要とされる場面では,視覚情報を中心とした手法では不十分な教示状態があることが分かってきた.本論文では,視覚によって提示される情報保障の一部を触覚によって伝達する手法を考案し,教員の実演内容を触覚情報によって提示する教示支援システムSZCAT (SynchroniZed Click Action Transmitter)を開発した.そして,開発したシステムの効果に関する基礎的研究として,従来からの手法と,触覚情報を追加した手法とを比較し,触覚情報提示の有効性を検証した.その結果,触覚情報を追加したことによる視線移動の減少効果や,教示内容の見逃しや誤認識を軽減させる効果について確認できた.
著者
田村 暢章 菊池 建太郎 龍田 恒康 小林 真彦 園川 拓哉 松田 玲於奈 山本 信治 竹島 浩
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.226-229, 2020-12-31 (Released:2021-01-28)
参考文献数
17

われわれは高齢者の右側口蓋に発生した多形腺腫由来癌の1例を経験した。患者は70歳男性。既往歴はなく,約2年前に近在歯科で右側口蓋の腫脹を指摘されていたが,自覚症状がないため放置していたところ,約1カ月前より腫脹が増大するようになった。他の近在歯科を受診して精査加療目的で当科を紹介来院となった。画像検査では内部充実性の軟部腫瘤であり,核医学検査では集積を認めなかった。生検により多形腺腫の診断を得た後,全身麻酔下で同部の腫瘍切除術を行った。病理組織学的に多形腺腫由来癌の確定診断を得た。術後約5年経過するが再発は認めず良好である。腫瘍性病変を治療せずに長期間放置しておくことは悪性化の危険性が生じることを常に念頭に置き,高齢者の口腔管理に従事していかなければならないと考えられた。
著者
小柳 裕子 小林 真之
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

プロポフォール誘発性アルファ周波数帯の発生に対する視床-皮質中継ニューロンの寄与を検討した。実験には4週齢のVGAT-Venusラットを用い,イソフルラン吸入麻酔下で側頭部を開頭(直径約1 mm)し,視床後内側腹側核小細胞部(VPMpc)へ到達するためのマイクロシリンジ刺入位置を検討した。インク注入後イソフルラン5%吸入下で断頭し,脳を取り出したのち,マイクロスライサーを用いて急性脳スライス標本を作製し,インク注入部位の確認を行った。その結果,オス・メスともbregmaより-3.6 mm,側方1.1 mm,深さ6.4 mmの位置で5 μL注入した場合にVPMpcに局所注入を行えることが分かった。次に,同様の方法を用いてマイクロシリンジにてpAAV5.CAG.hChR2(H134R)-mCherry.WPRE.SV40をVPMpcに局所注入し,約4週間の回復期間ののち,島皮質を含む急性脳スライス標本を作製し,蛍光観察下で島皮質におけるVPMpcからのニューロン投射を確認した。その結果,島皮質のうち顆粒層から不全顆粒層にかけて,II/III層深部を中心にVPMpcからの投射があることがわかった。さらに,島皮質ニューロンの発火応答に対する視床―皮質入力の影響を検討するため,島皮質錐体細胞からホールセル記録を行い,光刺激によってChR2発現ニューロンのみを特異的に発火させた際の錐体細胞の発火応答を検討した。その結果,錐体細胞はChR2発現VPMpcニューロンからの興奮性入力を強く受けており,VPMpcニューロンの発火に呼応して錐体細胞から活動電位または興奮性シナプス後電位が記録されることが分かった。プロポフォール(10 μM)灌流投与により,光刺激によるVPMpcニューロン活性化に同期した島皮質錐体細胞の律動応答は,仮説に反して変化を示さなかった。
著者
麻原 きよみ 小野 若菜子 大森 純子 橋爪 さつき 井口 理 池谷 澄香 小林 真朝 三森 寧子 宮崎 紀枝 長澤 直紀 佐伯 和子 留目 宏美
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.80-88, 2019 (Released:2019-08-30)
参考文献数
25

目的:自治体で働く事務職と保健師が,両者が関わる中で保健師の仕事をいかに認識しているのかについて記述した.方法:2つの自治体の事務職10名,保健師15名に対するインタビューを中心として参加観察,資料の検討を行い,質的に分析した.結果:事務職については〈事務職がもつ基準で保健師の仕事をとらえる〉〈事務職と同じ行政職としての仕事を求める〉のカテゴリと4つのサブカテゴリ,保健師については〈保健師の仕事と専門性が理解されない〉〈行政組織の一員として保健師の仕事をするために努力する〉のカテゴリと4つのサブカテゴリが抽出された.考察:事務職は官僚制組織の特性を示す基準,保健師は専門職の基準で保健師の仕事をとらえていること,そこには組織内の集団間パワーバランスが関連していると考えられた.保健師は事務職とは判断基準が異なることを前提として,協働のあり方や基礎・現任教育を考える必要がある.
著者
盛永 審一郎 加藤 尚武 秋葉 悦子 浅見 昇吾 甲斐 克則 香川 知晶 忽那 敬三 久保田 顕二 蔵田 伸雄 小出 泰士 児玉 聡 小林 真紀 品川 哲彦 本田 まり 松田 純 飯田 亘之 水野 俊誠
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

終末期の意思決定に関する法制度・ガイドライン等を批判的に検討した結果、以下のことが明らかとなった。①医師ー患者関係に信頼性があり、透明性が担保されていれば、すべり坂の仮説はおこらないこと、②緩和ケアと安楽死は、相互に排他的なものではなくて、よき生の終結ケアの不可欠の要素であること、③それにもかかわらず、「すべり坂の仮説」を完全に払拭しえないのは、通常の医療である治療の差し控えや中止、緩和医療を施行するとき、患者の同意を医師が必ずしもとらないことにあること。したがって、通常の治療を含むすべての終末期ケアを透明にする仕組みの構築こそが『死の質の良さを』を保証する最上の道であると、我々は結論した。
著者
寺本 昌弘 曽根 岳大 高田 耕平 小縣 開 齋藤 啓太 和泉 拓野 高野 昂佑 長尾 茂輝 岡田 陽介 田地 規朗 河村 俊邦 加藤 章一郎 前川 隆彰 小林 彩香 小林 真一 佐藤 謙 木村 文彦
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.598-604, 2020 (Released:2020-07-03)
参考文献数
18

2011年1月から2018年2月までに再発indolent B-cell lymphomaに対し,当科で施行したrituximab併用bendamustine(BR)療法の治療成績を後方視的に解析した。病型は濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma, FL)42例(67%)が多く,FL症例で治療を完遂した群の無増悪生存期間(progression free survival, PFS)の中央値は未到達であった。また治療開始から5年間のCD4陽性T細胞数を解析したところ,長期にわたり200/µl前後を推移する症例が多かった。BR療法は再発indolent B-cell lymphomaに対し有用な治療であり,特にFLにおいてはBR療法を完遂することがPFSの改善に重要である。また治療後は細胞性免疫不全が顕在化するため,5年程度は感染症の発症に注意するべきかもしれない。