著者
小林 亮
雑誌
玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.18, pp.19-32, 2019-03-31

地球市民教育(GCED: Global Citizenship Education)は,国連の専門機関ユネスコがESDとともに主幹教育プログラムとして位置づけている重要課題である。本論文は,認知面,社会情動面,行動面で地球市民性に求められる能力を分析しながら,地球市民教育が多元的アイデンティティの育成を通じて,視点取得と対話のスキルに基づく国際的な葛藤解決能力の開発に向けた効果的なアプローチであることを論証することを目的としている。日本人としての国民アイデンティティと地球市民アイデンティティが矛盾なく共存しうるだけでなく,グローバル人材として必要な複眼的思考の獲得のために自己の多元性が有効であることが議論された。
著者
小林 花神 堀口 高彦 近藤 りえ子 志賀 守 廣瀬 正裕 伊藤 友博 鳥越 寛史 林 信行 大平 大介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1551-1555, 2006-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

80歳,男性.平成16年10月より慢性心房細動に対して抗不整脈薬アミオグロンを内服していた.内服7カ月後の平成17年6月,呼吸困難,発熱を来たし入院となった.胸部レントゲン写真,CT写真にて全肺野にスリガラス影を認め,動脈血液ガス分析にて低酸素血症がみられ,acute respiratory distress syndrome (ARDS)と診断した.アミオグロン内服の中止,ステロイドパルス療法を施行するも病態の急速の進行により入院第4日目に死亡した.剖検にてdiffuse alveolar damage (DAD),肺胞腔内に水腫液の貯留,foamy macrophageを認め,アミオグロンによる薬剤性肺障害と診断した.
著者
小林 義武
出版者
成城大学
雑誌
美学美術史論集 (ISSN:09132465)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.100-74, 2001-03
著者
小林 暁雄 増山 繁
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第54回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.125, 2011 (Released:2012-03-09)

ウィキペディアは,多くの固有名詞を記事として収録しており,自然言語処理の多くの応用タスクに利用されている.これらの固有名詞を,既存の人手で作成されたシソーラスの意味体系に正しく配置することができれば,自然言語処理の分野において,非常に有用であると考えられる.そこで,我々は既存のシソーラスにウィキペディアの知識を結合することで,より大規模なシソーラスへと拡張する手法を提案する.
著者
五郎丸 秀樹 鷲尾 知暁 小林 鉄太郎
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2022-GN-116, no.9, pp.1-8, 2022-03-07

近年インターネットの普及により,マスメディアだけでなく個人が SNS で情報を発信しモバイル端末でいつでもどこでも情報を受信することが可能となった.その影響で情報拡散の速度も情報量も範囲も以前のメディアに比べ大きくなり,ちょっとした情報でも簡単に拡散され複雑化していった.そうした中でフェイクニュースを代表とする,内容が不正確な誤情報や偽情報だけでなく,悪意によって暴露された秘匿情報や機微情報など情報の内容は正確だが任意の対象者に有害な影響をもたらす情報による弊害もでてきている.さらに,デマを取り消す訂正情報に対しても,訂正情報を見た人がデマに騙されている人と同様の行動をとる場合がある.例えばマスコミの報道でトイレットペーパー不足は嘘だとわかっていてもトイレットペーパー買占めをおこなってしまうことなどである.本研究では,このように誤情報・偽情報・秘匿情報・機微情報・訂正情報など,結果的に人々を悪い方向に誘導する可能性のある情報を「誘導情報」と新たに定義し,関係者の感情や伝達文の変化を簡易に把握できる新たな時系列図を使用して,発生要因と対策について検討した.
著者
佐藤 勝重 中村 清一 小関 隆 山内 富美子 馬場 美智子 三上 正志 小林 龍一郎 藤川 晃成 長岡 滋
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.1037-1041, 1991-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2

56歳女性. 右耳痛・右顔面痛を主訴に当院耳鼻咽喉科を受診, その後右耳介及びその周囲に水疱形成がみられ, 急性呼吸不全を呈して当科に紹介された. 血中抗帯状疱疹ウイルス抗体価は1,024倍と上昇, 神経学的に多発性脳神経麻痺を呈し, 胸部X線写真上右下肺野に浸潤影が見られた. 多発性脳神経麻痺を合併した Ramsey Hunt 症候群と診断, 急性呼吸不全の原因は反回神経麻痺による中枢部気道閉塞と嚥下性肺炎によるものと考えられた. 抗生剤と抗ウイルス剤 (アシクロビル) の併用により著明な改善がみられた. 文献的検索では, 下部脳神経麻痺を合併した Ramsey Hunt 症候群の報告は比較的少なく, さらに, 呼吸器合併症を呈した症例は稀であった.
著者
上田 三穂 小林 裕 吉森 邦彰 高橋 由布子 近山 達 池田 元美 魚嶋 伸彦 木村 晋也 田中 耕治 和田 勝也 小沢 勝 近藤 元治 河 敬世 井上 雅美
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.657-662, 1997 (Released:2009-04-28)
参考文献数
15

Chronic active Epstein-Barr virus infection(以下CAEBV)の経過中にEBV感染T細胞の腫瘍化を起こした1例を経験した。症例は20歳女性で発熱,陰部潰瘍,口腔内潰瘍などのベーチェット病様症状で来院した。頚部リンパ節腫脹を認め,生検では炎症性変化であった。EBV抗体価よりCAEBVと診断し,PSL, acyclovirの投与をおこなった。一旦症状は改善したが,発症約10カ月後に汎血球減少を呈し,骨髄にて異常細胞を35%認めた。TCR-β遺伝子の再構成を認めT細胞腫瘍と診断した。化学療法にて骨髄は寛解となったが,全身のリンパ節の再腫脹を認め,約3カ月の経過で治療抵抗性のため死亡した。骨髄中の腫瘍細胞でのEBVのterminal probeを用いたSouthern blottingにてsingle bandが検出され,単クローン性が証明されたことより,EBV感染T細胞の腫瘍化と考えられた。本邦の成人例では稀であり,報告した。
著者
岩城 卓二 平岡 隆二 東野 将伸 鎌谷 かおる 久留島 浩 武井 弘一 小林 准士 瀬戸口 明久
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、石見銀山附幕領では銀山・銅山・鉄山の三つを結節点に、幕領内の農村・山村・海村などが有機的に連関する広域的な「幕領社会」が形成されていたという視点から、とくに研究が手薄な銅山・鉄山の支配・社会構造の解明を通じて、非農業世界からみた「幕領社会」論の構築をめざすものである。具体的課題は、銅山師堀家文書の研究、鉄山の研究、幕領村の研究、鉱山の開発・操業技術の科学史的位置付けと、操業にともなう自然環境変化の研究である。また、研究者と地域住民が一つの史料群を囲んで地域の歴史を考え、地域住民が主体となった文化財保存・活用の場を創造する。
著者
江尻 良 奥村 誠 小林 潔司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.688, pp.75-87, 2001-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
92
被引用文献数
10 4

本研究は, 1980年代後半以降に蓄積された社会資本の生産性や経済成長効果に関する計測結果を総括することを目的とする. その際, マクロ生産関数, 費用・利潤関数, VARアプローチによる社会資本の生産性の推計結果, 新古典派経済成長論に基づく成長率収束性, 内生的経済成長論に基づく成長率発散性に関する研究事例に着目する. さらに, 規模の経済性に関する取り扱いに焦点を置きながら, これまでの研究成果の問題点と今後の研究課題についてとりまとめることとする.
著者
新垣 理宣 勝良 剛詞 小林 大二郎 道 泰之 北本 佳住 依田 哲也 倉林 亨
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.53-57, 2022 (Released:2022-04-06)
参考文献数
14

Introduction: Radiation-induced dental caries is a late oral adverse event that should be considered after head and neck radiotherapy. However, there are no clinical guidelines for dental management after head and neck radiotherapy. We report a case of multiple dental caries that developed after head and neck radiotherapy in a patient in whom symptomatic treatment was challenging. Case: A 67-year-old male was referred to our department with difficulty with oral intake secondary to occlusal insufficiency. He had a history of radiotherapy for hypopharyngeal carcinoma, and nearly all of his teeth only had residual roots. We found multiple carious teeth, including in areas outside of the radiation field. We designed a temporary denture in coordination with a dental office; however, it was difficult to extract all of the patient’s teeth. The patient was followed-up; however, he died of esophageal cancer. Conclusion: Radiation-induced dental caries can even occur in teeth outside of the radiation field. In such cases, continuous preventative measures, such as oral care, are important, even before the start of radiotherapy.
著者
川崎 清貴 溝口 知広 小林 義和 白井 健二 近藤 司
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2011年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.189-190, 2011 (Released:2011-09-01)

本研究においては,自由曲線を構成する点群を,必要精度内で円弧近似させ,NCデータ量を削減し,工作機械の加工時間を短縮させることを目的としている.今回、NCデータを削減する手法として円弧近似法を用いた.この手法は,自由曲線を必要精度内で最小二乗法を用いて,円弧に当てはめるものである.この手法を用いた結果、総点群数を約6分の1、NCデータ量を約5分の1に削減できた.また、実際の加工により、その精度を検証した.
著者
久保田 尚浩 宮向 真由美 山根 康史 小林 昭雄 水谷 房雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.927-931, 1999-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

ブドウの芽の休眠打破に効果のあるニンニクについて, その有効成分を検討するため, 'マスカット・オブ・アレキサンドリア'と'巨峰'の挿し穂に対するニンニクの抽出物と揮発物の休眠打破効果を調査した.市販のガーリックオイルとニンニク磨砕物を挿し穂の切り口に塗布したところ, そのいずれにおいても発芽が著しく促進された.しかし, 凍結乾燥したニンニクからの抽出物および市販のニンニク粉末をラノリンで混和して塗布したところ, 休眠打破の効果は全く認められないか, 極めて小さかった.磨砕したニンニクを煮沸すると, 煮沸しない場合と比較して, 上澄み液, 沈殿物ともに休眠打破の効果が低下した.挿し穂をニンニク磨砕物および市販のガーリックオイルで気浴処理したところ, 塗布処理に比べて効果は小さいものの, いずれの気浴処理でも発芽が促進された.これらのことから, ニンニクに含まれるある種の揮発性物質がブドウの芽の休眠打破に有効であると推察された.ニンニク揮発性物質の休眠打破効果は, 11月のようなブドウの芽の休眠が深い時期ほど大きく, 休眠が浅くなるにつれて低下した.
著者
小林 博 宮下 孝 武田 勝男
出版者
The Japanese Cancer Association
雑誌
GANN Japanese Journal of Cancer Research (ISSN:0016450X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.101-104, 1967-02-28 (Released:2008-10-23)
参考文献数
8

The cause of recent increase in lung cancer mortality in Japan may possibly be attributed to "pseudo-increase" by the improvement in diagnosis and discovery besides the "true rise". It is surmised that approximately 30% (or over?) may be due to this "pseudo-increase".
著者
秋元 恵実 小林 博子 嶋津 秀昭 伊藤 寛志 木下 晴都
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.409-415, 1988-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11

指動脈圧を無侵襲的かつ連続的に計測する容積補償式の血圧計を使用し, 本態性高血圧症16名を対象に, 洞刺による血圧応答について正常血圧群と比較検討した。本態性高血圧群では鍼刺激直後から収縮期・拡張期血圧は有意 (P<0.05) な下降を示した。平均では収縮期血圧で14mmHg, 拡張期血圧では9mmHgの下降であった。洞刺の効果は刺激後30分まで持続し, 洞刺後15~20分で最大の下降が認められた。脈圧および心拍数については有意な変化は認められなかった。本態性高血圧群と正常血圧群の血圧変化を比較すると両群共に類似した下降曲線が得られ, 両群には同様な反射が出現しているものと推察する。しかしながら洞刺による血圧変化には個体差が見られた。
著者
成田 太一 小林 恵子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.35-44, 2017 (Released:2018-12-20)
参考文献数
53
被引用文献数
1

目的:地域で生活する統合失調症患者のリカバリーの概念を分析し定義を明らかにするとともに,支援を行ううえでの概念の活用可能性と課題を検討することを目的とした.方法:地域で生活する統合失調症患者のリカバリーについて,具体的な記述のある国内外の研究論文を対象として検索を行った.分析方法は,Rodgersの概念分析の方法を用い,リカバリーの概念を構成する属性,概念に先立って生じる先行要件,概念に後続して生じる帰結を表す箇所を抽出し,内容の共通性と相違性に基づいて分類し,構成概念を整理した.結果:地域で生活する統合失調症患者のリカバリーの構成概念として【新たな目標や願望をみつけ,主体的に生活する】【自分自身を客観視し,肯定的なセルフイメージをもつ】【主体的に支援を活用し,病状が安定する】【地域社会で相互関係を築き承認される】の4つの属性と,8つの先行要件,4つの帰結が抽出された.考察:地域で生活する統合失調症患者のリカバリーの定義は,「統合失調症患者がQOLを向上させるために希望や目標に向かって支援を活用し,体調や服薬の主体的な管理により病状を安定させながら,地域社会のなかで相互関係を構築するプロセス」とした.リカバリーを基盤とした支援により,当事者中心のケアを展開する一助になると考えられ,当事者の思いを引き出す支援技術や,当事者の視点でリカバリープロセスに寄り添う支援が重要である.
著者
小林 義昭
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.962-965, 2005 (Released:2005-04-26)
参考文献数
5

症例は20歳, 男性。13歳から夜間眠れず日中強烈な眠気を自覚した。17歳から自分の意志でどうすることも出来ない眠気に襲われるようになった。就職後は毎晩最長2時間の睡眠と最大10回の夜間覚醒を繰り返し, 起床時の疲れと頭痛, 日中の眠気, 突然の睡眠発作や居眠り運転が日常的であったため, 2003年9月当科を初診した。エップワース眠気尺度1)(Epworth Sleepiness Scale; ESS) は13点だった。終夜睡眠ポリグラフ (polysomnography; PSG) 検査では無呼吸低呼吸指数 (apnea-hypopnea index; AHI) は1.0/時で入眠直後からREM期が出現していた。睡眠潜時反復検査2)(Multiple Sleep Latency Test; MSLT) では入眠潜時とREM潜時は2分以内であり, 全てに睡眠開始時REM睡眠期 (sleep onset REM period; SOREMP) が出現した。ヒト主要組織適合抗原 (human histocompatibility leukocyte antigen; HLA) ではHLA-DR2, HLA-DQ1が陽性であった。ナルコレプシー (Narcolepsy) と診断されMethylphenidateを朝と昼に服用し, 朝・昼に仮眠をとり, 睡眠日誌の自己記録を開始した。日中の居眠りや睡眠発作の回数が減少し, 軽快した。
著者
山内 大輔 川村 善宣 本藏 陽平 小林 俊光 池田 怜吉 宮崎 浩充 川瀬 哲明 香取 幸夫
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.159-166, 2020 (Released:2021-04-05)
参考文献数
25

上半規管裂隙症候群は,1998年マイナーによって最初に報告され,これまでいくつかの手術法について報告されてきた.正円窓閉鎖術はいわゆる“third window theory”に基づいた術式であるが,その効果は限定的であることが報告されている.一方,中頭蓋窩法によるpluggingまたはresurfacingの場合は,ほとんどの症例で裂隙部を直接確認できる.しかし,裂隙部が上錐体静脈洞に位置している場合は困難となる.さらに頭蓋内合併症のリスクのため,安易には手術を勧められないジレンマがある.そのため,耳鼻咽喉科医にとって中頭蓋窩法よりも経乳突洞法によるpluggingの方が容易な術式であるが,下方からでは裂隙部を確認しづらく,また感音難聴の合併症のリスクが潜んでいる.著者らは経乳突洞法によるpluggingに水中内視鏡を用いることで安全性を高める方法に改良した.乳突削開術後,浸水下に内視鏡を用いることで,膜迷路と裂隙部を明瞭に観察することが可能であった.たとえ裂隙部が上錐体静脈洞に位置していても,内側からアプローチできるので有用であった.本術式の方法や適応,術後成績について報告する.