著者
戸ヶ里 泰典 山崎 喜比古 小出 昭太郎 宮田 あや子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.51-57, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
14
被引用文献数
5

目的 地域や職場等の保健計画において,能力面の評価指標として Perceived Health Competence Scale (PHCS)が期待されている。そこで PHCS 日本語版のワーディングを修正した修正版 PHCS 日本語版の信頼性および妥当性を検討することを本研究の目的とする。方法 日本国民全体より層化二段抽出した男女3,000人に対し,面接法を行い1,910人より回答を得た(回収率63.7%)。信頼性分析として,Cronbach α(以下 α)係数による内的一貫性の確認と,Item-Total 相関分析,および項目削除時の α 係数を算出した。妥当性の検討として,PHCS スコアと性,年齢,慢性疾患の有無,18歳時の慢性疾患の有無の 4 つの属性特性との関連性について,および健康関連ライフスタイルの各指標との関連について一般線形モデル(General linear model; GLM)による分散分析を行い,内容妥当性および構成概念妥当性の検討を行った。成績 α 係数は.869と十分な値となった。また,Item-Total 相関,項目削除時の α 係数では異常値はみられず一定の信頼性が確保された。一方,年齢に関しては60歳以上と未満とで差がみられた。慢性疾患をもつ人,および18歳時に慢性疾患をもっていた人のほうが低い PHCS スコアであることが明らかとなった。また,性,年齢,慢性疾患の有無,18歳時の慢性疾患によらず,PHCS スコアは,喫煙,運動,食習慣と大きく関連が見られたが,飲酒,健診受診頻度とは関連がみられなかった。結論 修正版 PHCS 日本語版の信頼性,妥当性は概ね示された。修正版 PHCS 日本語版は使用可能であると考えられる。また,縦断研究による PHCS の予測妥当性の検討のほか,形成要因・介入方法の検討が望まれる。
著者
伊賀 博紀 澤田 辰徳 藤田 佳男 内野 まどか 山崎 彩音
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.616-624, 2021-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
27

本研究の目的は脳損傷者の自動車運転評価の合否判断を元にVFITのカットオフ値を算出することである.対象は運転評価を受けた65歳以下の脳損傷患者104名であった.医療記録から検査結果及び最終判断結果(運転可/不可)を抽出し,VFITの各項目に対してReceiver Operating Characteristic曲線およびArea Under the Curveを求めた.その結果,Go/no go課題検査のカットオフ値は98%であった.二重課題検査の各Stageのカットオフ値はStageⅠはカットオフ値が60.5%,StageⅡは66.5%,StageⅢは64.5%,StageⅣは54.5%であった.VFITのカットオフ値は今後の自動車運転支援の一助となる可能性が示唆された.
著者
広瀬 保夫 畑 耕治郎 本多 拓 山崎 芳彦 堀 寧 大関 暢
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.125-129, 2001
被引用文献数
3

This report describes 7 victims of sodium azide poisoning caused by drinking poisoned water. Ten employees at the poisoning site developed symptoms immediately after ingesting coffee or tea made from hot water contained in a thermos bottle. Symptoms included altered consciousness, faintness, blackout, palpitation, nausea, and paresthesia of both hands and feet. Seven patients were transferred to our institution by ambulance. We assumed symptoms were caused by acute poisoning but the causative agent was unknown. We could not rule out cyanide poisoning because of the rapid emergence of symptoms suggesting circulatory failure, so we administered amyl nitrate, sodium nitrate, and sodium thiosulfate. Symptoms rapidly subsided. The causative agent was identified the next day as sodium azide. While the victims were being treated at the emergency room, 2 doctors, 3 nurses, and 1 pharmacist complained of faintness, headache, nausea, sensations of dyspnea and eye pain. These medical staff members had all either conducted gastric lavage or treated gastric contents. This strongly suggests that symptoms were caused by hydrazoic acid formed in a chemical reaction between sodium azide and gastric acid. Our experience underscores the potential hazard from hydrazoic acid faced by medical staff treating patients with oral sodium azide intoxication.
著者
山崎 康男 増田 昭夫
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.218-226, 1982-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
36
被引用文献数
2 5

Carbonylations of benzyl alcohol and its related compounds are introduced from synthetical and mechanistic viewpoints in conformity with the authors' investigation. Benzyl alcohol is easily carbonylated to form phenylacetic acid in the presence of rhodium chloride and methyl iodide, and the introduction of an electrodonating group into phenyl ring of the alcohol accelerates the reaction. A mechanistic discussion of the reaction is evolved with reference to the oxidative addition of benzylic halides to palladium complexes. In the reaction of benzyl acetate catalyzed by rhodium chloride and methyl iodide phenylacetic acid is unexpectedly formed as the main product, and a mechanistic proposal for the phenonenon is drawn.
著者
石束 友輝 橋本 雅至 井上 直人 古川 博章 山崎 岳志 河野 詩織 吉川 晋矢 木下 和昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2220, 2011

【目的】<BR> 我々は、高校サッカー選手における運動時腰痛の軽減を目的にメディカルチェックと体幹筋トレーニング指導を行っている。体幹筋機能検査として、Kraus-Weber test 変法大阪市大方式(以下、KW)と Side Bridge test(以下、SB)を用いている。KWは体幹筋機能検査として有用性が数多く報告されている。また、我々はSBの体幹筋機能と運動時腰痛との関連性を報告した。先行研究において体幹筋トレーニングを継続した結果、SBやKWの点数の向上に伴い運動時腰痛が軽減したことを報告した。しかし、腰痛が残存する選手も認められた。本研究では初回メディカルチェック時のKW 、SBの点数から低値である選手、高値である選手に分類しトレーニングを継続したことによるそれぞれの点数の変化と運動時腰痛の関連を調査した。<BR>【方法】<BR> 対象は某高校男子サッカー部員で、平成19年度の1年生10名(身長169.0±4.2cm、体重56.9±5.7kg)と、平成20年度の1年生14名 (身長167.6±6.4cm、体重56.8±5.6kg)の計24名。メディカルチェックにおいてKW 、SBの測定と腰痛に関する問診を実施した。KWは大阪市大方式に準じた。SBは姿勢保持の時間を最大60秒とし片側6点満点、左右で12点満点とした。KW、SB共に負荷量は体重の10%の重錘負荷とした。メディカルチェックは初回、中間時(以下、2回目)と約1年後(以下、3回目)に実施し、体幹筋トレーニングは初回メディカルチェック終了後より開始した。<BR> 平成19年度、平成20年度の初回のKWの点数を合計し、平均点を算出した。平均点が中間群に含まれるよう上位群、中間群、下位群の3群に分類した。SBも同様に3群に分類した。今回は上位群、下位群におけるKW、 SBの点数と運動時腰痛の保有者の変化を調査した。<BR> 統計処理は、多重比較検定にTukey-Kramer法を用い、有意水準を5%未満とした。<BR><BR>【説明と同意】<BR> ヘルシンキ宣言及び、個人情報保護法の趣旨に則り、被験者に研究の趣旨や内容、データの取り扱い方法について十分に説明し、研究への参加の同意を得た。<BR>【結果】<BR> KWは下位群9名、上位群8名であり、SBは下位群8名、上位群8名であった。<BR> KW下位群は初回15.1±2.4点、2回目18.0±6.8点、3回目22.3±7.4点であり、初回と3回目(p<0.05)において有意な増加が認められた。運動時腰痛の保有者は初回5名、2回目3名、3回目4名であった。KW上位群は初回24.6±2.4点、2回目26.8±5.3点、3回目27.0±5.4点であり有意な変化は認められなかった。運動時腰痛の保有者は初回7名、2回目5名、3回目4名であった。<BR> SB下位群は初回3.8±1.7点、2回目7.5±2.4点、3回目8.9±3.3点であり、初回と2回目(p<0.05)、初回と3回目 (p<0.01)において有意な増加が認められた。運動時腰痛の保有者は初回7名、2回目4名、3回目5名であった。SB上位群は初回11.3±0.9点、2回目8.9±3.0点、3回目10.9±2.1点であり有意な変化は認められなかった。運動時腰痛の保有者は初回4名、2回目2名、3回目4名であった。<BR><BR>【考察】<BR> 今回の結果からKW、SB下位群では点数向上に伴い運動時腰痛の保有者が減少した。初回メディカルチェック時の体幹筋機能検査において点数が低値である選手は、体幹筋機能の向上に伴い運動時腰痛の保有者が軽減したと考えられる。<BR> 一方KW、SB上位群では点数に有意な変化は認められなかった。KW上位群では運動時腰痛の保有者は減少したが、SB上位群では運動時腰痛の保有者に変化はなかった。我々は先行研究においてKW 、SB共に点数が高値でかつその点数を一定の期間維持することが、運動時腰痛改善の一要因となる可能性があると報告した。今回の結果からも、KW上位群では点数を一定の期間維持できたことで運動時腰痛の保有者が減少したと考えられる。しかしSB上位群では有意差が認められなかったものの点数を一定の期間維持できていないため運動時腰痛の保有者に変化はなかったと考えられる。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 腰痛に対する体幹筋トレーニングの効果と体幹筋機能の客観的な評価や腰痛改善との関連性についての報告は少ない。そこで、我々は体幹筋機能を客観的に評価し、運動時腰痛との関連性について経時的に調査することで運動時腰痛発生の要因を検討してきた。本研究では初回メディカルチェック時の体幹筋機能の評価結果から、運動時腰痛の予防や改善のための具体的な方針を決定しうることが示唆された。
著者
村田 伸 甲斐 義浩 田中 真一 溝田 勝彦 山崎 先也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.341-344, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
12
被引用文献数
8 3

本研究の目的は,健常成人男性15名(左右30肢)と地域在住高齢者男性21名(左右42肢)を対象に,足把持力や足把持力の最大値到達時間などを測定し,その測定値を比較することによって足把持機能の加齢による影響について検討することである。その結果,高齢者の足把持力は健常成人の48.3%,最大値到達時間は214.3%であり,握力は71.2%であった。これらの成績から,足把持力や最大値到達時間などの足把持機能は,握力に比べ加齢の影響を受けやすいことが示唆された。また,高齢者の転倒との関連性が指摘されている足把持力のみならず,最大値到達時間を加味した足把持機能が転倒を引き起こす可能性について,科学的に探究する意義と重要性が示唆された。
著者
入交 眞巳 中西 コスモ 渡辺 宏 松浦 晶央 山崎 淳 大西 良雄 甫立 孝一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.721-727, 2011-09-20
参考文献数
11

本研究はペットとして飼われている犬の飼育者に対して,犬飼育に関する意識調査をアンケート方式において行った.青森県内に住む犬飼育者を対象に29の設問のアンケート用紙を動物フェスティバルや動物病院で配布し,471名の犬飼育者から回答を得た.回答者の7割は女性で,年齢は30~40代が多く,家族とともに暮らしている人が9割を占めた.犬飼育の理由としては,自分か家族が動物好きだからが5割以上を占めた.不妊去勢手術に対し75%が賛成しているが,実際に処置している飼育者は4割弱であった.飼い犬に所有者明示をしている人は3割できわめて少なかった.獣医師会や環境省の啓発にもかかわらず,不妊去勢手術実施や所有者明示の割合が少なかったことから,獣医師は地域社会に対しこれまで以上に正しい犬飼育の教育と啓発を行っていくべきである.
著者
大塚 雄一郎 久満 美奈子 根本 俊光 松山 浩之 堀内 菜都子 福本 一郎 山崎 一樹 米倉 修二 花澤 豊行
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.903-909, 2021-06-20 (Released:2021-07-01)
参考文献数
14

鼻口蓋管嚢胞は鼻口蓋管の胎生期の遺残上皮から発生する. 近年では低侵襲な内視鏡下の開窓術の報告が増えているが, 鼻口蓋神経や上歯槽神経を損傷するリスクがある. 開窓術による鼻口蓋神経の損傷が疑われた1例を経験した. 症例は55歳女性, 硬口蓋前方が膨隆し鼻中隔が前下方で左右に膨隆していた. CT・MRI で鼻腔内に進展する鼻口蓋管嚢胞を認めた. 全身麻酔下に鼻中隔粘膜を切開し嚢胞壁を切除して鼻口蓋管嚢胞を両側鼻腔内に開窓した. 術後に嚢胞は消失したが, 両側上顎の第1, 2, 3歯の違和感を訴え, 術後3年後も両側上顎第1歯の歯肉部の違和感がある. 開窓時の鼻口蓋神経の損傷が原因と考えた.
著者
佐藤 時幸 佐藤 伸明 山崎 誠 小川 由梨子 金子 光好
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.62-73, 2012
被引用文献数
1 8

新しく定義された新第三紀/第四紀境界を,石灰質ナンノ化石層序に基づいて秋田地域の大菅生沢および男鹿半島に詳細に追跡した.その結果,ピアセンジアン階/ジェラシアン階境界は大菅生沢ルートの笹岡層下部に,ジェラシアン階/カラブリアン階境界は,男鹿半島北浦層下部に位置することを明らかにした.石灰質ナンノ化石対比基準面に基づいて,日本海側地域の金沢,新潟,秋田地域の鮮新統-更新統を対比した上で,日本海側地域の代表的貝化石群の"大桑・万願寺動物群"産出層準の問題点を述べ,"Climate Crash"と呼ばれる2.75 Maに発生した北極域の大規模な寒冷化の日本海側地域への影響について整理した.さらに,地下断面に微化石年代層序を適用させ,北由利衝上断層群の活動が3.85 Maから1.71 Ma間であること,および秋田平野部の浅海化が北由利衝上断層群の活動と2.75 Maでの汎地球的な寒冷化(Climate Crash)の影響を強く受けていることを明らかにした.
著者
藤井 昌和 喜岡 新 山崎 俊嗣 沖野 郷子 田村 千織 関 宰 野木 義史 奥野 淳一 石輪 健樹 大藪 幾美
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

中央海嶺における火成活動は、固体地球から海洋へ熱・物質を供給する重要なプロセスであり、潜在的に全球の気候変動にも影響を与えている。海底拡大に伴う定常的なCO2放出量は2×1012 mol/yr(~0.041 ppmv)程度と考えられてきた(Resing et al., 2004)が、近年指摘され始めた海水準変動(海底での荷重変動)に伴う間欠的な海底マグマ噴出現象(Tolstoy, 2015, Crowley et al., 2015)が正しければ、中央海嶺からの一時的なCO2放出量はアイスコアや海底堆積物から復元される数百ppmの大気中CO2濃度と比較しても無視できないほど大きくなる可能性がある。これまでの古気候復元や将来予測では考慮されてこなかった中央海嶺火成活動の寄与を検証するため、中央海嶺からのCO2放出量を定量的に評価できる観測証拠の取得が望まれる。 そこで我々の研究グループは、全球気候変動における中央海嶺マグマ活動の役割を明らかにするため、学術研究船「白鳳丸」の次期3カ年航海へ新たな研究計画を提案した。本研究では、世界初の試みとなる長大測線の深海磁気異常と海底地形データの解析、および新たに開発する海底拡大–火成活動モデルに基づき、過去430万年間の中央海嶺のマグマ噴出量とそれに伴うCO2排出量の定量的推定を目指す。中央海嶺の拡大軸近傍において船上マルチビーム音響測深機によって海底地形を観測して海底地形の短波長変動を捉え、海底近傍での高分解能磁場変動を観測してグローバルな古地磁気強度変動と比較することで海底に詳細な年代軸を挿入する。研究対象は、南極大陸を囲むように分布する中央海嶺のなかでも、高いメルト生産量を持つ南太平洋の高速拡大海嶺およびインド洋–南大洋の低速–中速拡大海嶺とした。海水準変動に対するマグマレスポンスを海底地形記録から検出することに加えて、海水準変動の振幅が小さいと考えられている340万年以前の変動を捉えることを通して、”本当に海水準変動が中央海嶺メルトの噴出に直接的に作用し栓抜きのような役割を担っているのか?”を検証する。 本講演では、我々の観測計画の概要とこれまでに得られている知見を紹介するとともに、全球気候変動の理解における中央海嶺研究の意義を述べる。
著者
藤本 東 小川 徹 山本 和慶 松井 勇佑 山崎 俊彦 相澤 清晴
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 41.05 マルチメディアストレージ/コンシューマエレクトロニクス/ヒューマンインフォメーション/メディア工学/映像表現&コンピューターグラフィックス (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.35-40, 2017 (Released:2021-05-12)
参考文献数
6

我々は Manga109という 109冊分の漫画画像を収めた学術利用可能なデータセットを構築した.このデータセットは高品質かつ多様な漫画画像を含んでいるが,メタデータを持たないため機械学習や手法間の比較等の用途にそのまま使うことができなかった.本研究では「コマ」「テキスト」「キャラクター」の 3つの要素についてメタデータを構築する.さらにこのメタデータについての解析を行い,著者やジャンル等について特徴を抽出できる可能性があることを示す.
著者
山崎 明宏
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.356-364, 2018 (Released:2020-05-26)
参考文献数
5

銀塩写真からデジタル素子による撮影が主流となった現在,惑星撮像は飛躍的な進化を遂げた.高感度・低ノイズの撮像 素子による動画撮影と,その動画から高解像度の画像を抽出するフリーのソフトウェアが普及することで,1970年代の探査機なみの画像を,アマチュアが使用する望遠鏡でも撮影できるようなった.この記事では,アマチュアにおける惑星撮像技術を紹介するとともに,今後期待できる技術とその可能性について解説する.
著者
森沢 弘和 宇多川 隆 山崎 晤弘
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.205-216, 1981-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
56
被引用文献数
1

In this article, the syntheses of nucleoside by chemical or enzymatic transglycosylation method are reviewed. Particularly, the synthesis of purine arabinosides and purine 2'-amino-2'-deoxyribosides by combination of chemical reaction and enzymatic transglycosylation reaction is reported.
著者
森川 眞介 内田 啓一 米森 重明 小田 吉男 山崎 晤弘 森沢 弘和
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2185-2190, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2

オロト酸をフッ素ガスを用いて直接フッ素化し,ついで得られたトフルオロオロト酸を脱炭酸する二段反応工程からなる5-フルオロウラシルの新規合成法にっいて検討した。フッ素化反応を効率よく行なうには,溶媒は重要な役割を果すので,これについて検討した。その結果,それ自体還元性の物質でありフッ素ガスのような強い酸化力を有するフッ素化剤を用いる反応の溶媒として用いられた例のないギ酸が溶媒としてもっとも有効であることを見いだした.また反応を円滑に行なうには7~15wt%の水を含むギ酸を使用することが必要であることがわかった。本溶媒中,-5~10℃の反応温度でオロト酸とフッ素ガスを反応させることにより5-フルオロ-6-ヒドロキシ-5,6-ジヒドロオロト酸が生成し,これは100℃で加熱することによりほぼ定量的に水を脱離して5-フルオロオロト酸に変換され,その収率は70%以上であることがわかった。フッ素化反応で得られた5-フルオロオロト酸の脱炭酸方法について検討した結果,水中で5~7atmの加圧下に150℃ 以上で加熱することにより90%の収率で5-フルオロウラシルが得られることがわかった。
著者
山崎 孝 滝田 健一 石川 延男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2131-2139, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
10

トリフルオロメチル基を有する化合物の中でもっとも入手しやすいトリフルオロ酢酸エチルおよび,これから2段階で容易に合成できるトリフルオロアセトアルデヒドを原料として,[2-(トリフルオロメチル)アリル]トリメチルシラン,[2-(トリフルオロメチル)-1-(t-ブトキシカルポニル)ビニル]トリメチルシランをそれぞれ合成した。これらとアルデヒドやケトンとが触媒量のフッ化物イオンを用いることにより,良好な収率で付加体を与え,さらに他の求電子試薬との反応やMichael付加反応においても良好な結果を与えた。
著者
岸岡 正伸 柿野 純 井上 隆彦 多賀 茂 和西 昭仁 白木 信彦 山崎 康裕 小野里 坦 國森 拓也 宮後 富博 齋藤 秀郎 鹿野 陽介
出版者
山口県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-45, 2016 (Released:2016-10-20)

2011~2013年度にかけて,山口市秋穂湾の遊休化したクルマエビ養殖池(50×100m,面積0.5ha)を用い,池に施肥することで餌料生物を増殖させながらアサリを大量育成する手法を開発するため,年間300~600万個のアサリ人工種苗(殻長2mm)を池内に収容し,実証レベルの試験を行った。研究初年度は,施肥を行った直後からアオサの急激な増殖が見られ,2ヶ月の間に池の大半を覆った。このため移植した種苗の成長,生残とも極めて低かった。また,攪水機によって流速4cm/sec. 以上になる場所が成育場所として適していると考えられた。2年目以降,種苗池入れ前に池内の大型藻類や食害生物を可能な限り除去するとともに,日常管理として週3~4回,小型の底びき網で池全体を引き回し,夾雑物を排除しながら海底を攪拌した。3~7月にかけて,毎週200kg(海水トンあたり27g)の半有機肥料を池に散布することで,栄養塩の供給と微細藻類の増殖を維持することができた。この結果,2年目以降は池内での大型藻類の繁茂が抑制され,3月に平均殻長2mmで移植した種苗は60%以上の高い生残率で急速に成長し,7月に殻長20mmに達した。施肥した試験区と施肥しない試験区を設けてアサリの成長及び生残状況を比較した。その結果,施肥による成長促進効果は,無施肥による場合と比較すると6月以降に顕著に現れた。試験期間中に,魚類の卵稚仔や甲殻類の幼生などが多数侵入・成育したが,アサリを回収するまでの間,これらの魚介類がアサリを食害した痕跡はほとんど見られなかった。最終年度は,11ヶ月の育成期間中に,1m2あたり平均3kg(500万個,15.7トン)のアサリが成育し,事業として実施するのに十分な高い生産能力を有することを確認した。生産した20~25mm貝を県内のアサリ漁場に保護放流したところ,調査を実施した3箇所の干潟で成長や生残に違いが見られたものの,母集団としての機能は果たしていると考えられた。また,試験池で生産したアサリは,肥満度の上昇する4月~6月であれば,自然浜のアサリとほぼ同じ一般成分,コハク酸,遊離アミノ酸を含有していた。
著者
山崎 武彦 Takehiko Yamazaki
雑誌
盛岡大学紀要 = The journal of Morioka University (ISSN:02860643)
巻号頁・発行日
no.12, pp.95-102, 1993-03-15

1)青年期に,高いといわれる不安は青年期が深まるにつれて減少していくことは事実なのか,もし事実であるとすれば,不安の要因のどの部分を減少させていくのかを検討し,青年期の不安の特徴について明らかにすることを目的とした。2)対象は青年期前期である中学生,中期である高校生,後期である大学生とし,CAS不安診断検査,およびSTAI不安検査を施行した。3)CASとSTAI両テストの結果から,青年期が深まるにつれて,不安は減少していくことが確認された。4)CASの結果で目立つのは,女子が高校から大学にかけて不安を減少させる傾向が大きいこと。特にL因子,つまり疑い深さやパラノイド傾向から生ずる不安,およびQ_4因子,つまり欲求不満や衝動による緊迫感から生ずる不安を減少させていくことであった。5)STAIの結果では,男子は,状態不安を中学から高校にかけて大きく減少させていくのに対して,女子は,特性不安を中学から大学にかけて平均的に減少させていく傾向がみられた。6)これらの諸結果について,青年がおかれている現在の心理的,社会的状況や発達特性等いくつかの面から考察をおこなった。