著者
中井 三留 足立 俊明 岩下 弘一 上野 一男 山本 和広 戸田 暢茂
出版者
名古屋工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

理想境界の一般理論の構成を目指す本研究の第一段階として,本年度の研究目的とした,固有境界と空間及びその上の諸種の調和構造が特定の理想境界とどの様に係わるかを明らかにする間題に於て,特に理想境界をロイデン境界に取った場合に以下のような成果を得た.n次元ユークリッド空間R^n内の単位球B^nのpロイデン調和境界Δ_p(B^n)(1<p≦n)の連結性が,B^n上非定数のpディリクレ積分有限なp調和測度,或は更に一般の指数をpとするA調和測度,が存在しないと言うコンデンサー問題の否定的解決と同等となることを示した.ついでΔ_p(B^n)が連結となる必要十分条件は2≦p≦nであると言う決定的な結論を得た.1くp〈2の時Δ_p(B^n)の非連結の度合を,B^n上に常にpディリクレ積分無限なA調和測度が存在すると言う形で,最初はn=2に対し,ついで一般のn≧2について明らかにした.B^nを一般化してリーマン多様体Mをとるとき,その上の(n-1)次のドラムコホモロジーが0で,更にMがビルタネン性を持つならば、2≦p≦nのときΔ_pp(M)が連結となると言う形の一般化も行った.特にビルタネン性を詳しく調べ,B^nnの幾何学的形状の一般化を考察した、その結果,B^nを特別な場合として含むものとして,R^nの部分領域Gで,星型であるか,又はGの境界∂Gが連結で局所的にみてグラフ状曲面からなる場台にも,2≦p≦nであるならば,Δ_p(G)がまた連結となることが分かった.更に別の見地からの進展として,MをC^∞級の完閉境界∂Mを持つC^∞級のり-マン多様体とするとき,2≦p≦nの時かつその時に限り,M上の全ての指数pのA調和測度はMの閉包==MU∂M迄連続に拡張できて,∂Mの各連結成分の上で1又は0となると言う結果も得た.
著者
田舎中 真由美 山本 泰三 菅野 洋平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】骨盤底筋群,腹横筋,横隔膜,多裂筋はインナーユニットと総称され,腰痛症や尿失禁に対する運動療法の際に呼吸法と併用してトレーニングされている。臨床上,尿失禁や臓器下垂の症例や経産婦の呼吸は胸式呼吸が多い。骨盤底筋群に機能低下がある場合,吸気に骨盤底筋群を下方に押し下げることを避けるために胸式で呼吸すると考えられる。昨年の本学会で我々は意図的な腹圧上昇課題により腹壁が膨隆すると骨盤底部は下降し,腹横筋は伸張されることを報告した。しかし,呼吸時の腹壁の動きが骨盤底筋に与える報告はまだない。本研究の目的は,超音波画像診断装置及び3次元動作解析装置を用い,呼吸様式の違いが骨盤底筋に与える影響を評価することである。【方法】対象は胸腹部及び骨盤内臓器の手術歴の既往がない健常成人男性7名(平均年齢36.3±9.1歳)とした。呼吸様式は上部肋骨を上下させる上部胸式呼吸(以下,上部胸式),下部肋骨を広げる下部胸式呼吸(以下,下部胸式),腹式呼吸(以下,腹式)とし,それぞれの様式で安静呼吸と最大深呼吸させた。各呼吸課題は事前に練習した。胸郭と腹壁の動きは3次元動作解析装置(VICON社製)を用い,マーカーは第2肋骨,両肋骨下端,臍にマーカーを設置し測定した。各呼吸様式における胸郭及び腹壁の動きは安静呼気終末を基準として吸気時の各マーカーの変化量を算出した。骨盤底筋群の測定には超音波画像診断装置(Sono Site社製MicroMaxx)を用いた。骨盤底筋の変化はWhittakerらの手技に準じ,背臥位で恥骨結合の上部にプローブを当て,膀胱後面の動きを骨盤底筋の動きとし,安静呼気終末と吸気終末,最大呼気終末と最大吸気終末に測定した。安静及び最大呼気終末時の腹壁から膀胱後下面までの距離を基準として,各呼吸様式における安静及び最大吸気終末の膀胱後面の下降率(下方が正の数)を算出した。統計学的分析は分散分析後にポストホックテストした。各呼吸様式における第2肋骨,下部肋骨,臍点の変化量,及び各吸様式の臍点の変化量と膀胱後面の変化量の相関を求めた有意水準は5%未満とした。【結果】被験者の安静呼吸様式は上部胸式が6名,腹式が1名であった。安静呼吸における第2肋骨の矢状面の変化量は,上部胸式で1.0±1.3%,下部胸式で1.4±1.5%,腹式で1.0±1.5%であった。下部肋骨の前額面の変化量は,上部胸式で1.4±1.1%,下部胸式で2.7±2.5%,腹式で2.1±2.9%であった。安静呼吸の腹壁の矢状面の変化量は上部胸式で7.9±16.8%,下部胸式で36.6±86.8%,腹式で25.0±58.4%であった。最大深呼吸における下部肋骨の前額面の変化量は,上部胸式で3.6±2.7%,下部胸式で3.9±3.5%,腹式で4.5±4.5%であった。安静呼吸における膀胱の下降率は上部胸式で0.8±1.6%,下部胸式で0.4±1.0%,腹式で7.5±4.9%であり,安静腹式の下降率が下部胸式より有意あった。最大深呼吸における膀胱の下降率は,上部胸式で3.9±1.4%,下部胸式で0.3±1.9%,腹式で7.5±2.7%であり,最大深呼吸では腹式の下降率が上部胸式及び下部胸式より有意であった。各呼吸様式の腹部の矢上面の動きと膀胱下降率の相関は認められなかった。【考察】最大腹式呼吸における吸気では他の呼吸様式に比べて骨盤底筋を下降させることが分かった。骨盤底筋群の機能不全例では腹式呼吸を避け,胸式呼吸を行っていることが多い。これは骨盤底部に過剰な腹圧をかけないための逃避動作を裏付ける結果となった。上部胸式呼吸同様に下部胸郭を外側に広げる下部胸式呼吸では骨盤底筋は下降しにくいことが分かった。DeToroverらによると下部胸郭に対して吸気に抵抗をかけると次の呼気相において腹横筋が選択的に促通されるとの報告もある。臨床において骨盤底筋群の運動療法の際,腹式呼吸を併用させて吸気で腹部を膨らませ,呼気で骨盤底筋群の随意収縮を促すことが用いられている。しかし,本研究の結果から骨盤底筋群の運動療法を行う場合,初期段階では下部胸式呼吸は吸気に骨盤底筋に過負荷を与えることなく呼気で随意収縮を促しやすくなるため有効であると考える。今後症例数を増やし,呼吸様式の違いによる骨盤底筋群及び腹横筋の随意収縮への影響や腹圧変化を確認し,適切な体幹のスタビリティートレーニングを行うためのプロトコルを検討する。【理学療法学研究としての意義】腹式呼吸は他の呼吸様式に比べて骨盤底筋を下降させることから,骨盤底筋に機能不全がある場合,初期段階では吸気で骨盤底筋に負荷を与えにくい下部胸式呼吸を併用した運動療法を行うことが有効である。
著者
山本 眞一
出版者
島根大学教育学部
雑誌
島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学 (ISSN:02872501)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-29, 1977-12-25

生活の単位として,家族があり,血縁的・情愛的結合のもとに経済生活上の共同体として世帯を構成しているが,資本主義経済制度の発達に応じ彼等のもつ唯一の方法としての労働力の販売の実現が必要条件であり,それなくしては生活手段を持たないがゆえに飢える自由を意味する。このいわゆる二重の意味での自由な労働者は資本主義のもとにおける窮乏化の進行過程にあって,それは「資本が蓄積されるにつれて,労働者の状態は,彼の給与がどうあろうとも−高かろうと低かろうと−悪化せざるをえないということになる。最後に相対的過剰人口または産業予備軍をたえず蓄積の範囲および精力と均衡させる法則はヘファイストスの楔がプロメテウスを釘づけにしたよりも一層固く労働者を資本に釘づけにする。だから一方の極での富の蓄積は,その対極では,すなわち,自分自身の生産物を資本として生産する階級の側では,同時に貧困、労働苦,奴隷状態,無知,野生化および道徳的堕落,の蓄積である」とマルクス(K.Marx)がのべた窮乏化の貫徹の下におかれている。このいわゆる窮乏化の諸現象形態としての無知に関してみれば,知識の進歩についていけない状態としての相対的無知及び絶対的無知の蓄積があり、クチンスキー(J.Kuczynski)のいう「かってのギルドの徒弟や職人たちはすべて各自の手工業を学ぶほかに手工業の経営術も学んだのであった。ところが資本主義下の労働者たちは,その雇われている経営の内情についてはその全般を知り得る地位におかれていないし,しかもそういう地位からはますます遠ざけられつつある。」という形態での進行がある。それは今日資本の管理体制としての職務給の導入及びその細分,分断化に顕著にみられる所であるが,資本の剰余価値確保追求からなる必然的所産である。又,周知のように特殊な商品としての労働力を販売し,労働力の価格としての賃金をもって生活に要する生活財を購入する以外の方策を持たない彼等の上には相対的過剰人口の増大の下,賃金は労働力の価値以下への切り下げの圧力が貫徹する。現在も続く労働力の下降移動,最近特徴的といわれるパートタイマー,臨時工,日雇等顕著に証明される。それは労働者階級のおかれている以上のような状態にあって各々の家族一世帯間での競争,同様に家族内における,すなわち妻が,子供が「彼の生活時間を労働時間に転化させ,彼の妻子を資本のジャガノートの車輪のもとに投げ入れる」といわれる所の,すなわち夫の労働力と競争を余儀なくされ,一層賃金低下を加速させるということであり,結果として各々の労働者は労働力の販路,有利性を求めて個々的努力を志向する。それは精神的,肉体的諸能力の総体としての労働力を相対的に有利な立場に位置させようとする現象といえるであろう。その労働力の質的向上を促進するために有利な労働力販売条件を確保しようとする。では現実に彼の労働力の価値評価としての学歴が貧困としての賃金及び労働条件の格差とどのようにかかわっているのであろうか。又,一方で教育の機会均等が家計とどのようにかかわり就学保障という社会政策的な現実はどう位置づけられるか以下検討してみたい。 それはとりもなおさず前述した労働者家族の生活状態の経済的側面への考察といえよう。
著者
山口 麻里 山本 彩乃 安富 陽平 長尾 洋 大野 貴司 森 英樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.245-249, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

症例は70歳代,男性。眼の違和感に対し市販の点眼薬を使用開始したところ,眼囲に瘙痒を伴う紅斑,腫脹が出現した。点眼薬の使用を中止の上,ステロイド軟膏の外用を行い,数日間で症状は軽快した。パッチテストでは,点眼薬で陽性。成分パッチテストではアミノカプロン酸で陽性だった。アミノカプロン酸はかつては止血剤として使用されていた抗プラスミン剤だが,現在医療用剤は販売終了している。しかし,止血,抗アレルギー,抗炎症作用と様々な作用を有するため,現在でも医薬品や医薬部外品の成分・添加物として汎用されている。日常生活品にも多岐にわたって使用されており,アミノカプロン酸に対しアレルギーを有する患者は注意が必要である。 (皮膚の科学,17 : 245-249, 2018)
著者
岸原 悠貴 安田 英人 須崎 紳一郎 原田 尚重 原 俊輔 蕪木 友則 東 秀律 寺岡 麻梨 山本 浩大郎 鈴木 秀鷹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.643-650, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
9

目的:適切な入院先の選定を可能にすることで患者の予後を改善する目的から,重症化予測スコアリングモデルの検討を行う。方法:デザインは単施設後方視的コホート研究で, 2013年1月〜2015年12月に武蔵野赤十字病院救命救急センターに入院した急性医薬品中毒患者を対象とした。重症管理の有無を主要評価項目とし予測スコアリングモデルを複数作成,それらを統計学的に比較した。結果:171例を対象に解析を行い,重症管理群29例(17.0%),非重症管理群142例(83.0%)であった。予測スコアリングモデルを比較すると,ハイリスク薬剤内服の有無,内服薬の錠数151錠以上の有無,GCS 6未満の有無,心電図変化の有無を説明変数とすると妥当性がもっとも高かった(AIC=125.6)。結論:本予測スコアリングモデルによって急性医薬品中毒患者の重症管理予測の一助となる可能性がある。
著者
梅﨑 さゆり 中谷 敏昭 山本 大輔 中須賀 巧 橋元 真央
出版者
日本発育発達学会
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.59, pp.27-40, 2013 (Released:2013-07-23)
参考文献数
38
被引用文献数
1 3

This study investigated the effects of a coordination exercise program on quantitative and qualitative changes of throwing and catching ability with the subjects of 5 and 6-year-old 30 preschool children. A4-week control period and a 4-week exercise period were separately set. The exercise program was conducted for 40 minutes a day following the instruction guidance, during 8 days over 4 weeks. The subjects performed motion capacity tests (standing broad jump, side jump) and ball handling tests (control, catching,tennis ball handling) in each period. We evaluated the throwing and catching motions by using five typical developmental stages of motion patterns. As the results, we found a statistically significant increase in the side jump, catching, tennis ball handling and score evaluation for throwing and catching motions in the exercise period compared to the control period. The same results were obtained in both genders. These results suggested that, the coordination exercise program focused on basic ball handling technique may be beneficial to enhance the agility and ball handling capacity in preschool boys and girls aged 5-6, who need an adequate exercise instruction to improve their throwing and catching motions.
著者
多田 邦尚 西川 哲也 樽谷 賢治 山本 圭吾 一見 和彦 山口 一岩 本城 凡夫
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.39-47, 2014 (Released:2020-02-12)
参考文献数
24
被引用文献数
6

瀬戸内海東部海域における過去40年間の海水中の栄養塩濃度減少の検証とその低次生物生産過程への影響について,著者らのグループが得た知見を総合して考察した.瀬戸内海では過去,高度経済成長期には著しく富栄養化が進行していたが,1973年に施行された瀬戸内法により,P の発生負荷量は1980年以降,N は1990年後半以降削減された.しかし,播磨灘東部海域の海水中のTN,TP 濃度には直接反映されていない.一方,栄養塩濃度は1970年以降確実に低下しており,特にDIN 濃度は1990年以降も減少傾向にある.これは,主には瀬戸内法の効果と考えられるが,それだけでは説明できない.おそらく,海底堆積物からの栄養塩の溶出量の減少が大きく関与している可能性が考えられた.この栄養塩濃度減少に対する植物プランクトン群集の応答については,その生物量の低下傾向は認められないが,その種組成の変化が認められた.
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
遠藤 秀紀 九郎丸 正道 林 良博 大迫 誠一郎 松元 光春 西中川 駿 山本 英康 黒澤 弥悦 田中 一栄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.731-733, 1998-06
参考文献数
11
被引用文献数
4 8

徳之島リュウキュウイノシシ(Sus scrofa riukiuanus)の下顎骨7例を計測し, 奄美大島, 加計呂麻島, 沖縄島, 石垣島, 西表島産102例の既存の計測値と比較検討した.島嶼間で下顎サイズの統計学的検定を行うとともに, 主成分分析により, 各集団間の骨計測学的特徴を把握した.徳之島産資料は, 長径および幅径において, 奄美大島産と沖縄島産より有意に大きく, リュウキュウイノシシにおいて従来から提唱されてきたサイズクラインは, 成立していないことが明らかになった.主成分分析の結果, 下顎の大きさと形は, 特に雌で島嶼集団毎に明確に分離された.形の要素として第2主成分得点を見ると, 徳之島集団は沖縄島集団と類似し, その他の集団と区別できることが明らかとなった.今後蓄積される形態学的データを基に, 各島嶼集団における形態変異の適応的意義が検討され, 各集団間の進化学的相互関係が明確になることが期待される.
著者
三島 一仁 山本 祐吾
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_245-II_253, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
27
被引用文献数
4

本研究では,和歌山市をケーススタディの対象地として,清掃工場の焼却排熱を活用した下水汚泥のバイオオイル化システムを検討し,エネルギー消費量および温室効果ガス(GHG)排出量を定量的に評価した.その結果,清掃工場と下水処理場の両施設が余剰排熱(電力換算)を介して連携し,さらに下水処理場にバイオオイル化技術を導入するケースでは,それぞれの施設でのエネルギー消費量を上回る焼却排熱とバイオオイルが回収可能であり,エネルギー自立しうるポテンシャルを有することが明らかになった.また,同ケースでは,施設間の連携や新技術の導入を実施しないケースと比較して,GHG排出量が37.3%削減されることがわかった.
著者
秦野 甯世 山本 茂義 舘脇 洋
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.2016-0014, (Released:2016-12-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

水素原子のDirac方程式は厳密解が得られている.そのスピノルの形状を知ることは,重元素を含む分子での相対論効果を議論するうえで重要である.s, p, d, fの各スピノルは特徴のある形状をしているが,本論文の目的は電子密度の3D等値面図を図鑑にすることで各スピノルの特徴を一望できるようにすることにある.Schrödinger方程式の厳密解の図も併記しており,相対論では非相対論と比較して節が少なくなっていることが容易に見てとれる.Z = 100の<r > を計算し,その詳細を分析した.相対論的効果で<r > が減少するが,その効果は一様ではなく,s1/2とp1/2で大きい.描画と計算に用いたMathematicaノートブックは本論文とともに提供しており,改変可能な教材として利用できる.
著者
古賀 佳樹 山本 竜也 川島 大輔
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-33, 2020-06-16 (Released:2020-06-16)
参考文献数
8
被引用文献数
2

This study aimed to examine the effects of anhedonia and behavioral activation on game addiction. A sample of 248 game players completed a questionnaire that collected information regarding game addiction, anhedonia, and behavioral activation. The results of the causal mediation analysis showed that behavioral activation did not directly affect game addiction but, instead, had an indirect effect: anhedonia mediated the relationship between behavioral activation and game addiction. This finding suggests that behavioral activation could be one of the effective intervention strategies for compulsive game players with anhedonia.
著者
矢萩 幸一 宮地 悟史 春日 正男 山本 英雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.12, pp.19-24, 2002-02-07

近年、長寿化、少子化による社会の高齢化が進んでいる。将来4人に1人が高齢者と言われる超高齢化社会を迎えようとしている今、介護者の減少、介護者の高齢化に伴い、介護者の負担の軽減が一つの重要な課題である。そのような観点から本稿では、遠隔地からの介護支援システムヘの適用を目的とし、対象の肌色情報とブロックマッチング法による対象の動き情報を用いて被介護者の位置を検出し、注目する画像領域を切り出して高解像映像として遠隔地側に提供する"部分領域画質制御"を行う遠隔映像モニタリングシステムを提案し報告する。
著者
矢萩 幸一 宮地 悟史 長谷川 光司 春日 正男 山本 英雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.21, pp.19-24, 2001-03-01
被引用文献数
1

肢体不自由者の多くは生活の大部分を介護者に依存している。また、将来4人に1人といわれる超高齢化社会を迎えようとしている今、介護者の減少、介護者の高齢化に伴い、介護者の負担の軽減が大きな問題となっている。本稿では、被介護者の状態を遠隔地からモニタリングするシステムへの適用を目的として、受信側からの操作により、適応可変解像度符号化(デジタルズーム)を応用し、注目部分の映像を全体シーンから切り出してこれに符号化レートを集中させることにより、その部分映像をより鮮明に伝送表示する映像モニタリングシステムを検討し、特定の状況下であるがその画質評価結果を示す。
著者
友寄 英基 久保 四郎 村橋 護 小谷 勝 加藤 洋一 石川 信広 中條 英俊 高橋 孝二 山本 悦秀 小浜 源郁
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.2290-2296, 1985-10-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
17

From 1976 to 1984, 126 cases with angular fractures of the mandible were treated in Department of Oral Surgery, Sapporo Medical College Hospital. These were analysed clinicostatistically and the following results were obtained:1) Age of patients distributed widely with peak of second and first (74.6%).2) Fight injuries were the most frequent (32.5%) followed by traffic accidents (27.8%), athletic injuries (18.3%), work accidents (11.9%), and falls (9.5%).3) Wisdom teeth were 88.3% of the line of angular fractures of the mandible and the extraction of wisdom teeth in the line of angular fractures of the mandible were carried out in 46.0%.4) The procedure of wisdom teeth in the line of angular fractures of the mandible must be decided for each individual case, i. e., vitality, periodontal disease, luxation and positions of these teeth and degree of displacement of the bone fragment.