著者
松村 明 山本 哲哉 熊田 博明 中井 啓 磯部 智範 成相 直
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

神経膠芽腫に対するホウ素中性子捕捉療法の臨床的有用性を証明するための臨床研究を行った。初発神経膠腫例では、無病再発期間14か月、生存期間21か月を得た。再発悪性脳腫瘍、膠芽腫1例、悪性髄膜腫1例の治療を行った。再発膠芽腫はBNCT治療後2年を経て放射線壊死、皮膚壊死あるも腫瘍再発なく生存, 家庭内軽介助。髄膜腫症例は再発の兆候なくKPS90%を維持し2年経過と良好な結果を得ているが、原子炉の利用が制限され、症例の蓄積による分析は中断された。
著者
加藤 佑佳 中野 明子 山本 愛 岡村 香織 小海 宏之 吉田 麻美 園田 薫 安藤 悦子 岸川 雄介 寺嶋 繁典
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.721-730, 2011-08-01

2型糖尿病者を対象にProblem Areas in Diabetes(PAID)scaleを実施し,フロア効果がある6項目を除いて因子分析を行ったところ単因子構造が確認された.このPAID尺度とProfile of Mood States(POMS),Tokyo University Egogram New version(TEG)との関連を検証した結果,PAID尺度はPOMSの「Tension-Anxiety」「Depression-Dejection」「Fatigue」との有意な関連がある一方,TEGとは関連がみられなかった.よって,PAIDとPOMSを併せて用いることは,糖尿病の負担感と関連する心理的状態をより詳細に把握することができ,各人に応じた心理的援助を提供する際に有効であると考えられる.
著者
小久保 秀之 高木 治 小山 悟史 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-46, 2011-03-01

ヒーリング中の人体近傍のヒーリングパワー(J値)の空間分布を、生体センサ(白いぼキュウリの切片)を用いてガス測定法にて定量測定した。被験者は中国人超能力者2名、一般公募によるヒーラー5名であった。各被験者は眼前の生体センサに30分間の非接触ヒーリングを2試行ずつ行い、また、ヒーラーの前後・左右に50cmまたは25cm間隔で生体センサを配置してJ値の空間分布を測定した。結果、パワーが大きければ一般のヒーラーのJ値分布の形は超能力者の場合と同様の波型分布となった。波型分布は人体近傍に不可視の層構造が形成されることを意味すると考えられた。また、近傍分布の様子から、ヒーラーが制御に失敗してヒーリング作用を標的センサに集中させられなかった場合と、元々強いパワーを持っていなかった場合とを識別できる可能性が見出された。制御に失敗した場合のポテンシャル分布は、1次元調和振動子の波動関数で近似できることから、ヒーリングは成功したときだけでなく、失敗したときも一定の物理法則に従っており、さらに、その基礎方程式が2階の微分方程式である可能性が示唆された。
著者
山本 盤男
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

連邦国家インドで財政赤字削減と消費課税改革を目的に導入が目指されている財・サービス税(GST)の課税形態について、中央GSTと州GSTの詳細な制度設計を提示できたが、導入は中央と州政府間の同意が成立していないため遅れている。中央と州政府間の財源配分を中心とする連邦財政システムの改革は、第13次財政委員会の勧告が現状維持的であったため、第14次財政委員会が担うことになった。財政整理での公共支出改革の重要性が増した。
著者
山本 哲史
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

冬尺蛾は冬季に繁殖活動を行うが、著しい低温や積雪のある場所では、真冬期に活動せず、環境の穏やかな初冬期や晩冬期に繁殖する。極東アジア地域で多様化した冬尺蛾の1属Inurois属は12種を含み、それぞれの種は温暖地では真冬期を中心に成虫が出現するが、寒冷地では初冬か晩冬だけに活動する。Inurois属の1種クロテンフユシヤクでは、このような種間に見られる成虫出現時期の変異が種内に見られる。これらの状況から申請者は「寒冷地における真冬の寒さが、時間的生殖隔離を引き起こしている」と仮説を立て、クロテンフユシャクを材料として検証を行った。以後、温暖地の個体を温暖地型、寒冷地で厳冬の前と後に出現する個体をそれぞれ初冬型、晩冬型と呼ぶ。まず、寒冷地である仙台、小淵沢、岐阜の3地点で、同所的な初冬集団と晩冬集団を採集し、AFLP(増幅断片長多型)とミトコンドリアDNA(以降、mtDNA)をマーカーに用いて固定指数(Fst)を算出し、遺伝的分化を検討した。その結果、仙台、小淵沢、岐阜の全てで同所的な初冬集団と晩冬集団は有意に遺伝的に分化していることがわかった。次に、寒冷地と温暖地の比較研究のために京都と岐阜では1週間置きにサンプリングを行い、1週間おきの分集団間での遺伝的隔離を調べた。その結果、岐阜の初冬集団内、晩冬集団内、そして京都の集団のように連続して成虫が出現する場合には遺伝的に隔離されないが、岐阜の初冬-晩冬集団間のように成虫の出現が2つの時期に分離している場合には遺伝的に隔離されることがわかった。また、11週間連続という長期にわたって成虫が出現する京都では出現時期が離れるほど遺伝的隔離の程度が大きくなる傾向も見られた。以上のことからクロテンフユシャクは寒冷地において初冬型と晩冬型は時間的に隔離されていることが明らかとなった。この時間隔離は冬の寒さによって引き起こされていると考えられ、本種は真冬の寒さによって種分化の初期段階にあると考えられた。
著者
川田 和男 長松 正康 山本 透
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.2_33-2_39, 2010 (Released:2010-03-31)
参考文献数
9

The rescue robot contest for junior high school students was created to give students an opportunity to design a robot to rescue the victims under large scale disasters. The activity was not only intended as an humanitarian project but also aiming at students to : (1) take the role of victims and imagining the situation from his or her perspective, (2) enhance thinking skills, creativity through the problem solving processes and, (3) work cooperatively in groups. From results of questionnaire for the participated students, important factors for further implementation as curriculum of technology education are implied.
著者
岩月 啓氏 辻 和英 山本 剛伸 山崎 修
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.EBウイルス関連NK/T細胞増多症の疾患スペクトラム:本症の診断拠点施設としての役割を担ってきた。集積例の解析からそのスペクトラムを明確にし、悪性転化群の特徴を明らかにした(Arch Dermatol 2006,Eur J Dermatol 2006).皮膚リンパ腫登録制度を発足させ、EBウイルス関連リンパ腫の実態把握を開始。2.非侵襲的診断法および細胞内遺伝子発現解析:痂皮を用いた非侵襲的EBウイルス潜伏感染診断法を開発し(J Microbiol Methods 2007),国際特許申請中(PCT/JP2006/317851)。他のヘルペスウイルス感染にも応用し、ウイルス遺伝子産物とともに細胞内シグナルを解析(Eur J Dermatol投稿中)。3.ウイルス再活性化の証明と潜伏感染パターン変化:重症型では、病変内におけるEBウイルス再活性化シグナル(BZLF-1 mRNA)が明らかになった。一方、軽症の種痘様水疱症では、再活性化ではなく、皮膚病変内での潜伏感染IIへの移行がみられた。4.EBウイルス感染細胞株解析:樹立EBウイルス感染NK/T細胞株にて,PMAおよびある種のサイトカインによって潜伏感染から溶解感染への誘導ができた(論文準備中)。5.宿主免疫応答解析:ウイルス遺伝子発現と反応性CTLを解析して本症の主たる病態を明らかにした。6.治療への取り組み:腫瘍抗原に対する免疫応答誘導を確認し(Int J Cancer 2007),同時に免疫機構からの回避現象を解析した(Cancer Immunol Immunother 2008).EBウイルス感染細胞がHDAC阻害薬に感受性があることを見出した。EBウイルス関連疾患における免疫・薬物療法展開にとって貴重なデータを得た。7.EBウイルス関連リンパ腫を含めた診療ガイドラインを作成した。
著者
山本 清洋
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究の目的は、学校週5日制が施行された前後2ヶ年間の子どもの生活構造と余暇や生活に関する意識の変容を分析し、学校週5日制の課題を明らかにすることである。子どもの生活構造の変容を分析するためには、生活時間調査を用いた。この研究で明らかになった諸点は、次のようなものである。(1).ほとんどの子どもが学校週5日制を好意的に評価し、施行1年後には、普通の休みと同じ感覚で受け入れている。(2).日常生活に対する子どもの満足感は、学校生活に関係が深いので学校のカリキュラムや学校生活を、学校週5日制と関連させて検討することが肝要である。(3).約50%の子どもが、学校と社会教育機関が準備した地域の諸行事へ参加していることが、施行後の最も大きな生活変容である。従って、今後は、この地域の諸行事を子どもの余暇活動として定着させることが課題となる。(4).子どもは、余暇で何をし、どうすればいいかという能力を有していることから、子どもを地域行事の企画か運営に参加させることが必要である。そうすることによって、子どもが自立して余暇を過す能力が育ち、同時に学校週5日制が社会に位置づくことになる。
著者
山本 俊一 中臺 一博 辻野 広司 奥乃 博
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 = Journal of Robotics Society of Japan (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.743-751, 2005-09-15
被引用文献数
12

Robot audition is a critical technology in creating an intelligent robot operating in daily environments. To realize such a robot audition system, we have designed a missing feature theory based interface between sound source separation and automatic speech recognition (ASR) . In this interface, features distorted by speech separation are detected from input speech as missing features. The detected missing features are masked on recognition to avoid severe deterioration of recognition performance. By using the interface, we developed the robot audition system which recognizes multiple simultaneous speech. We also assess its general applicability by implementing it on three different humanoids, i.e., Honda ASIMO, SIG2, and Replie of Kyoto University. By using three simultaneous speeches as benchmarks, its general applicability was confirmed. When triphone is used and a size of vocabulary is 200 words, the average word correct of three simultaneous speech are 79.7%, 78.7%, and 82.7% for ASIMO, SIG2, and Replie, respectively.
著者
小林 義行 山本 修司 徳永 健伸 田中 穂積
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.47, pp.1-8, 1994-05-27
被引用文献数
3

複合名詞の解析は、実用的な自然言語解析システムの実現において、解決しなければならない困難な問題の1つである。本論文では、語の共起の統計的な情報とシソーラスを用いて日本語複合名詞の構造を解析する方法について述べる。語の共起関係は16万語の4文字熟語から獲得した。新聞、用語集から抽出した平均4.9の漢字からなる複合名詞を解析し、最終的に約80%の精度で解析することができた。Analyzing compound nouns is one of the crucial issues for natural language processing systems, in particular for the systems that aim wide coverage of domains. In this paper, we propose a method to analyze structures of Japanese compound nouns by using both statistics of word collocations and thesauruses. An experiment is conducted in which 160,000 word collocations are used to analyze compound nouns of which average length is 4.9. Finally, the accuracy of the method is about 80%.
著者
寺島 幹彦 白谷 文行 山本 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.1280-1290, 1996-07-25
被引用文献数
28

Kohonenの自己組織化特徴マップを用いて教師なしクラスタ分類を行う従来の方法の多くは, 既知のクラスタ数にSOMの素子数を一致させる限定方法であるため, クラスタ数が未知の分類には適用できない. また, それと既存のクラスタ分類法との比較が不十分であり, 自己組織化特徴マップを用いることの優位性が明確にされていない. 本論文ではクラスタ数が未知のデータにも適用できるクラスタ分類法を提案している. まずクラスタ数より多い素子数を有する自己組織化特徴マップから, クラスタの集積度を表すヒストグラムを作成する. 次にその山と谷を分割することによってクラスタ数を推定し, かつデータを分類する. いくつかのデータに適用し, k-means法とも比較しながら本手法の有効性を立証している.
著者
竹森 幸一 山本 春江 浅田 豊
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、大学における新たな教育方法、すなわち学生がある事例をもとにしたシナリオに基づいて、自主的、自立的に学習し、学生間で相互に助け合いながら学習するという教育方法であるPBL (Problem Based Learning)の手法を、地域住民の生活習慣改善に応用した新しい教育モデルを開発することである。平成15,16年度は青森県N町、17年度は青森県T町で減塩を中心とした食生活改善教室を開催しながら、新教育モデルの開発を行った。教室参加住民は、開発したTYA方式の主特徴であるシナリオを基盤として、チューターによるサポートを受けて、減塩を中心とする生活習慣改善のための知識やスキルを習得することができた。各年度のグループワークの質的分析の結果、前半の学習では(1)自分の減塩行動・工夫点の振り返り、(2)自分の食生活の振り返り等の学習過程、後半では(1)確実かつ長期的に実行可能な目標の導出・再構築、(2)生活習慣全体に関わる健康行動の重要性の理解等の学習過程を経た。参加住民同士が、お互いの生活経験を学習資源とした自由な討議を行なうことが減塩に関する行動変容・実践につながったと捉えられる。N町教室終了後の追跡において、教室参加群は教室終了後の低下した食塩レベルを維持していたグループ(維持群)とリバウンドがみられた群(戻り群)に分けられた。維持群の喫煙、飲酒、運動などの健康習慣レベルが戻り群や検査群のレベルより高かった。このことから食習慣は他の生活習慣と関連しあっており、生活習慣改善を目指す健康教育は主目的とする生活習慣と共に他の生活習慣の改善も組み込んだプログラムが効果的であると考えた。
著者
吉川 枝里 米田 美里 岩永 史子 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.191-201, 2009-10-31

オオバヤドリギ(Scurrula yadoriki(Sieb.)Danser)の寄生機構解明を目的として野外調査により宿主選択特性を検討した.さらに種子接種実験を行い,発芽と成長からオオバヤドリギの寄生特性を検討した.また接種したメタセコイアとヤマモミジの若木を用いて,解剖学的手法により着生部の組織を観察し,発達初期の吸器構造を明らかにした.この結果,本種は針葉樹,広葉樹,あるいは常緑樹,落葉樹を問わず多くの樹種に寄生することを確認した.吸器構造については宿主枝内部で楔状に発達した後,突起の発達した一次吸器と,着生部から軸方向に発達する二次吸器を確認した.吸器は宿主樹種によってやや異なる形態を示した.着生部における宿主の二次木部の過剰形成は,吸器の発達に対する宿主の抵抗反応によって引き起こされていることが示唆された.また,宿主二次木部内から樹皮方向へ突起状構造を拡大することにより,常に通水機能を有する新しい宿主木部との接触が可能になっていることが推察された.