著者
野田 雅子 後藤 由貴
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-6, 2010-03-31

ウエディングケーキは,古代ローマを起源とする文化的な背景を持ち,宗教的,社会的な食文化を反映している特殊な位置付けの菓子である.日本にも西洋の風習の伝播と共に根付いたウエディングケーキではあるが,現在では日本独自のスタイルを持つウエディングケーキへと発展を遂げている.本稿では,文献調査に加え,日本をはじめ,イギリスとフランスでの現地調査も行ない,各国のウエディングケーキの考察を試みた.日本のウエディングケーキは宗教的意味はないが,披露宴の見せ場のひとつとしての役割を果たしている.結婚式とともに,新郎新婦たちの個性の表現としてウエディングケーキも多様化している.そして結婚産業の発展に伴って,ウエディングケーキを取り巻く人々は,新郎新婦やパティシエのみならず,結婚式のゲスト,新郎新婦の両親,ブライダル・コーディネーター,マスメディア,カメラマンに及び相互の連関を新たに生み出している.他方,イギリスではウエディングケーキがキリスト教的な儀礼文化と結びつき,ウエディングドレスと並んで結婚を象徴するものになっている.フランスでは儀礼的な側面はあまりなく,結婚の祝宴の中で供される食事のひとつとしての役割が大きい.
著者
後藤 亮平 渡邉 大貴 柳 久子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.62-66, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

目的:急性感染症で入院する高齢患者において,入院期間中の日常生活動作(Activities of daily living,以下ADL)能力の回復に関連する要因を明らかにすることとした.方法:急性感染症で入院し,リハビリが実施された65歳以上の患者を対象とした.ADL評価指標である機能的自立度評価法(Functional independence measure,以下FIM)を用い,FIM回復率を算出した.患者属性,在院日数等の期間,リハビリ開始時の身体機能(筋力,尿失禁の有無など)や精神機能(認知機能,うつ状態)のうち,FIM回復率に関連する要因を検討した.結果:対象者124例は,平均年齢82.5±7.7歳,女性68例(54.8%)であった.発症からリハビリ開始までの期間,尿失禁の有無,認知機能がFIM回復率に関連する要因として抽出された.結論:急性感染症で入院し,リハビリを実施した高齢患者のADL回復に関連する要因として,発症からリハビリ開始までの期間,尿失禁の有無,認知機能が挙げられた.
著者
後藤 英昭 新妻 共 大和 純一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.5, pp.584-594, 2017-05-01

国際的な学術系無線LANローミング基盤であるeduroamは,世界約80か国(地域)に普及しており,キャンパス無線LANのデファクトスタンダードになっている.日本では,欧州各国と比較して格段に多い約1,200の高等教育機関が存在することから,eduroamの早急な展開を行うために,国内のeduroam運用を行う組織の負担をできるだけ小さくすること,各機関のeduroam導入・運用コストを抑制すること,及び,スケーラブルで安定な認証連携基盤を構築することが課題としてあった.これらの課題に対処するため,我々は,各機関で行う利用者認証の処理を代行する集中型認証システムを開発し,2008年から国内の大学等に試験的にサービス提供してきた.この8年間の運用において,冗長化による可用性向上や,オンラインサインアップなどの機能拡張を行い,システムの改良を進めてきた.当システムは40以上の機関に利用されるに至り,当初の目的どおりにeduroam導入の敷居を下げるのに加えて,学会会場等におけるゲストアカウント発行など,新しいサービスの創成にも貢献した.
著者
後藤 嘉宏
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
新聞学評論 (ISSN:04886550)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-13,195-196, 1987-04-30

Voltaire has been generally regarded as an absolute defender of freedom of expression. But Peter Gay in his work "Voltaire's Politics"opposes this legendary image of Voltaire. I agree fundamentally with Gay's point of view bacause in "Traite sur la tolerance" Voltaire repeatedly insisted "Pas de tolerance pour les ennemies de tolerance (Never tolerate the enemies of toleration.)" In this context Voltaire can be seen as a situational defender of freedom of expression. Based on that suggestion of Gay's, I discussed Where Voltaire attempted to estabish the boundary between issues worthy of pubic discussion and those not worthy of public discussion. Further, I examined the tactical significance of Voltaire's relative idea of freedom of expression relating it to the historical situation in his day.'The enemies of toleration' in his "Traite sur la tolerance" were Catholics in authority. But French Catholics in those days were divided.The two most dominant sects were Jesuits and Jansenists. The former exerted influence on 'roi' (the court) and the latter on 'parlement'(court of justice). The court was further divided into two factions-the progressives who were on intimate terms with 'philosophes', and the conservatives who were influenced by Catholic authority. In other words, the political situation in France in the 18th cerltunry was char-acterized by critical divisions within the 'establishment'. Voltaire managed to avoid censorship by his use of rhetoric, which revealed and deepend such divisions within the establishment. I described his tactics, drawing on an example from "Traife sur la tolerance". What was intolerance for Voltaire? According to him, intolerance was caused by an insistence on a particular view of the world, specifically, the clergy regarding their particular or private view of the world as general imposed it on many people who did not have a chance to develop their own judgment. The clergy wasted their time on religious disputes, libels etc., issues not worthy of being discussed. So, Voltaire insisted that one should nerer tolerate the enemies of toleration. It is obvious from the above that Voltaire's idea of freedom of expression was not one of absolute freedom in as much as it denied freedom to libel or to conduct religious debates. But in the context of the censorship situation at the time, this idea of incomplete freedom of expression was extremely effective tactically because, according to the censorship policy of those days, which was more tolerant to books than to newspapers or pamphlets, Catholics in authority should, at least in a nominal sense, be punished more frequenthy than "philosophes".
著者
後藤 浩之
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

地震断層を伴うような地表断層地震と,地表断層を伴わない潜在断層地震では,同じ規模の地震の場合に潜在断層地震の方が強い地震動を生成する.本研究では,震源深さと地殻の地震発生層の下部深さの関係に着目し,潜在断層地震で強い地震動が生成される力学的な背景を明らかにした.潜在断層地震の場合にはパルス状の破壊,すなわち同じ地震規模でも短時間にエネルギーの集中した地震動を発生させる傾向にあることを,数値実験により示した.地震断層を伴うような地表断層地震と,地表断層を伴わない潜在断層地震では,同じ規模の地震の場合に潜在断層地震の方が強い地震動を生成する.本研究では,震源深さと地殻の地震発生層の下部深さの関係に着目し,潜在断層地震で強い地震動が生成される力学的な背景を明らかにした.潜在断層地震の場合にはパルス状の破壊,すなわち同じ地震規模でも短時間にエネルギーの集中した地震動を発生させる傾向にあることを,数値実験により示した.
著者
石川 重遠 後藤 吉郎 山本 政幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.256-257, 2009-06-20

This study is what it clarifies about the creation of the Japanese gothic typeface that was affected by the American gothic typeface. The three specialized researchers of the Latin alphabet typefaces or the typography wrestle with this study. Yamamoto does the study of American "Gothic". Goto does the study that American print technology builted the foundation of the Japanese modern print technology. Ishikawa does a study about the creation of the Japanese gothic typeface. Join these three studies together and want to gather it up as "The relevance study with the Japanese gothic typeface creation and the Latin alphabet typefaces". The theme of this presentation is creation of the first Japanese gothic typeface.
著者
後藤 博之 杉浦 敏文 原田 幸雄 数井 暉久
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.497-501, 1999-04-15 (Released:2010-10-28)
参考文献数
19

腕時計用に開発された自動発電機構がリードレスペースメーカー電源としてどの程度有効であるか, その可能性について検討した. SEIKO社製の腕時計から, 発電機構とキャパシタ (0.33F) を取り出して適宜固定し, ポリビニル製カプセルに納めた (AGS). AGSを2.0V (0.66J) に満充電して, 市販のCMOS-ICを使って製作したパルス発生回路の電源とした. 本回路は1.47mAのパルス (0.5rnsec, 1Hz) を510Ωの負荷抵抗に供給し続けた. この際のAGS電圧は, 加速度発生装置 (±1.7G, 2Hz) を使った発電により1.6Vに維持した. AGS (0.66J) は, パルス発生回路と麻酔下の雑種成犬の心筋に420mJを供給し, 140bpmのペーシングを60分間維持した. 右心室壁に固定したAGSは, 1心拍につき13μJの発電をした. 以上よりAGSは心臓を刺激する充分なエネルギーの供給を期待できると考えられる.
著者
後藤 真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1210-1216, 2002-11-15
被引用文献数
7

ユーザがある単語を一部しか思い出せずに断片だけを言って言い淀むと,計算機側がその残りを補って入力することを可能にする「音声補完」という音声インタフェース機能を紹介する.これにより,入力中に困って言い淀めば手助けが受けられる使いやすい音声入力が実現できた.音声補完の研究は,今後他の非言語情報も活用していくことで,さらに使いやすい音声インタフェースの構築を目指していこうというメッセージも持っている.
著者
松多 信尚 杉戸 信彦 後藤 秀昭 石黒 聡士 中田 高 渡辺 満久 宇根 寛 田村 賢哉 熊原 康博 堀 和明 廣内 大助 海津 正倫 碓井 照子 鈴木 康弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.214-224, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

広域災害のマッピングは災害直後の日本地理学会の貢献のあり方のひとつとして重要である.日本地理学会災害対応本部は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震直後に空中写真の詳細な実体視判読を行い,救援活動や復興計画の策定に資する津波被災マップを迅速に作成・公開した.このマップは実体視判読による津波の空間的挙動を考慮した精査,浸水範囲だけでなく激甚被災地域を特記,シームレスなweb公開を早期に実現した点に特徴があり,産学官民のさまざまな分野で利用された.作成を通じ得られた教訓は,(1)津波被災確認においては,地面が乾く前の被災直後の空中写真撮影の重要性と (2)クロスチェック可能な写真判読体制のほか,データ管理者・GIS数値情報化担当者・web掲載作業者間の役割分担の体制構築,地図情報の法的利用等,保証できる精度の範囲を超えた誤った情報利用が行われないようにするための対応体制の重要性である.
著者
中野倫靖 吉井和佳 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.1-7, 2013-08-24

本稿では、複数の歌声から得られる音響特徴量をトピックモデルによって分析することで、歌声の特性を説明する新しい手法を提案する。従来、歌手の特性 (性別や声種等)、歌い方の特性 (声区やF0軌跡のモデル化等)、聴取印象 (明るさ等)、楽曲の特性 (楽曲ジャンルや歌詞等) を分析・推定したりする研究はあったが、複数の歌声から分かるような潜在的な意味を分析する研究はなかった。本稿では、伴奏と歌声を含む音楽音響信号から、歌声の線形予測メルケプストラム係数 (LPMCC) と ΔF0 を特徴量として自動推定した後、潜在的ディリクレ配分法 (LDA) で分析を行う。LDA によって得られた潜在意味 (トピック) の混合比が歌手名同定にも適用可能であることを示し、声道長の正規化に相当する処理を導入することで、性別を超えた類似歌手検索を実現することも示す。また、トピックの混合比を用いて、各トピックにおいて支配的な曲の歌手名をタグクラウドのように提示することで、トピックや歌声の意味を可視化する方法を提案する。
著者
後藤 仁志 関野 秀男 墨 智成 市川 周一
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は大きく分けて(1)マルチ分子オブジェクト法のための分子計算プラットフォームの構築、(2)階層化分子シミュレーションのための分子計算技術の開発、(3)不均一計算タスクの負荷分散アルゴリズムの開発、の3つの部分からなる。それぞれに関する研究実績の概要を以下に示す。(1)マルチ分子オブジェクト法による並列化効率と計算精度の向上を目指し,大規模系の結晶シミュレーション技術の開発を行った。その結果,分子間相互作用エネルギー和で14桁までの精度保障を実現すると伴に,およそ4億原子で構成された直径0.1μmもの分子性結晶計算に成功した.また、実用化レベルで結晶多形間の相転移シミュレーションによる熱力学解析法の開発に成功した.(2)マルチウェーブレット基底を用いたTDHF/TDDFT時間依存シュレディンガー方程式の解法や超分極率の算定法などの開発を行なった.これらは,現時点では大規模系への適用は容易ではないが,今後,不均一系に対する密度汎関数理論の開発へ展開することが大いに期待できる結果となった.(3)分子シミュレーションの計算タスクに対して演算性能が不十分なヘテロ分散計算環境では,実践的な負荷分散アルゴリズムは困難であることが分かった.そこで,分子シミュレーションに利用されることが多いマルチコアCPUをクラスター化したヘテロ分散環境を想定し,マルチコア/マルチスレッドシステムの負荷分散アルゴリズムめ開発に着手した.