著者
松本 健 小野 健吉 青木 繁夫 大井 邦明 川西 宏幸 藤井 英夫
出版者
国士館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

近年の海外における日本の考古学的、人類学的、民俗学的調査研究はめざましいものがある。また同時に海外の文化遺産の保存・修復事業も盛んに行われるようになり、日本も国際貢献の立場からその協力を求められている。国際協力にはその地域の文化遺産を中心とした基層文化を研究し、また保存修復に関わる法律の整備、環境の調査や技術的研究が必要である。さらに各地域において長期に渡って調査研究に携わっている各分野の専門家による調査研究で、文化遺産を護る現在の経済的、政治的、文化的要因や環境が地域によって極めて異なることが明らかになった。従って文化遺産に対する画一的な経済的、技術的協力ではむしろ問題を残す結果となる。また従来のように、学術的調査研究や保存修復研究だけでは真の文化遺産の研究とは言いがたい。今後は各地域の文化遺産の学術的研究特に人文科学的研究を推進するとともに、保存科学や分析などを中心とした自然科学的研究、そしてさらに学術的価値の高い文化遺産を単に保存修復するだけでなく、それらを未来へ活かす研究、すなわちその地域における現在の政治、経済、宗教、社会教育、地域などと文化遺産の関わりを調査研究する社会科学的研究を実施していくことが不可欠となる。
著者
柴田 幸子 藤野 祐司 辰田 一郎 金岡 靖 石河 修 梅咲 直彦 荻田 幸雄 恩田 博 松本 雅彦 日高 敦夫 山本 啓司 宮崎 晶夫 西村 淳一 迫 久男 島本 雅典 濱田 和孝 田中 文平 田村 俊次 中村 哲生 須川 倍
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.6-11, 1996-01-01 (Released:2010-09-27)
参考文献数
11

子宮筋腫に対する薬物療法に関してさまざまな試みがなされているが,なかでもGnRHアナログ(プセレリン)の使用が注目されている.今回,われわれは,子宮筋腫患者80例に対してプセレリンを900μ9/日,16週間投与し,その子宮筋腫に対する効果を検討した.対象は27歳から52歳(80症例)の過多月経などの症状を有する子宮筋腫患者で,超音波断層法にて計測し,平均65.4%の縮小率が得られた.また,子宮サイズの縮小とともに子宮筋腫にもとつく症状が軽快していくことが認められた.しかしながら,子宮筋腫発生部位別にみると筋層内筋腫,漿膜下筋腫に比べ,粘膜下筋腫において十分な縮小効果が得られず,筋腫発生部位により薬剤の効果に差があることが認められた.結果として,子宮筋腫患者に対する有用な治療法であると考えるが,子宮筋腫の発生部位別にGnRHアナログ療法の適応症例の選択を考慮する必要があると考えられた.〔産婦の進歩48(1)6--11,1996(平成8年1月)〕
著者
松本 富士男 谷田部 奈生
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.72, pp."128-1"-140, 1999

Between April 1998 and October 1999,Nao Yatabe visited some Orthodox Church in Japan for research on the state of the iconostases of these churches. First, she classified the churches by the date of establishment and did the iconostases by district where they were painted. Then, she make reference to the distinctive iconostasis of Osaka Orthodox Church and Sapporo Orthodox Church ; the former was made in Russia to commemorate fallen soldiers of the Russo-Japanese War, the later was made in Japan, and the number has been increased with development of the church. On the bese of this date we (Professor Fujio Matsumoto and Nao Yatabe) intend to add more examination of her research from the point of iconographical view.
著者
橋本 明記 井上 康夫 松本 英之 方田 勲 上田 和也 市川 鋼一 佐藤 彰 柴田 豊 石原 友和 太田 陽介 野崎 秀人 北之園 展 斉藤 知弘 筋誡 久 小島 政明 鈴木 陽一 田中 祥次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.357, pp.1-6, 2008-12-11
参考文献数
8
被引用文献数
5

2011年7月のBSアナログ放送の終了により解放される3チャンネルと2000年の世界無線会議(WRC-2000)で新たに追加割り当てされた4チャンネルが新たなデジタル放送に利用可能となる。これらのチャンネルでは従来のISDB-Sに加え、2008年7,月に情報通信審議会から答申された高度衛星デジタル放送方式も利用可能となる。本方式では、LDPC符号と低ロールオフ率0.1を採用し、伝送容量をISDB-Sに比べ30%以上拡大できる。ARIBでは本方式の審議の過程で機能と性能を確認するため、擬似中継器と放送衛星を用いた実証実験を行った。本稿ではこの実証実験の詳細について報告する。
著者
池田 和史 柳原 正 松本 一則 滝嶋 康弘
出版者
FIT(電子情報通信学会・情報処理学会)運営委員会
雑誌
情報科学技術フォーラム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.13-18, 2009-08-20

ブログ上の文書には口語的な表現や特有の表記などのくだけた表現が多数含まれるため、一般の形態素解析器を用いても十分な解析精度を得ることはできない。くだけた表現は人手により辞書登録されることが一般的であるが、人的コストの大きさや専門的な知識を必要とすることが課題である。本稿ではくだけた表現を文語的な表現に修正するための教師なし学習手法を提案する。提案手法ではくだけた表現の修正候補文字列をくだけた表現の少ない文書から自動的に検索し、修正ルールを生成する。生成した多数の修正ルールから文脈に適した修正ルールを選択的に適用するために、検索結果における修正候補文字列の出現頻度、修正前後の文字列間における編集距離、修正前後の文の形態素解析結果の比較、を用いて修正ルールをスコアリングする手法を合わせて提案する。提案手法を実装し、従来手法との性能比較評価実験を行った。各手法を利用したときの未知語の出現率や文節区切りの正確さ、修正前後の文の意味変化を定量的に評価した。提案手法では従来手法と同程度の文節区切りの正確さを維持しながら、対象文書の未知語出現数を30.3%減少させることに成功した。これは従来手法における未知語減少数の2倍以上である。
著者
松本 有記雄
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

雄の配偶成功は性的二型などの質に依存するが、その質の差に関係なく配偶成功に極端な偏りが生じることがある。この原因の1つが雌の非独立型配偶者選択(以下、コピー戦術)である。コピー戦術を採用する雌は、他個体の配偶者選択を真似て同じ雄を選ぶため、通常の選択の基盤となる遺伝的な好みとは逆の特徴を持つ雄さえ選ぶことがある。このように、コピー戦術は既存の性淘汰の概念を覆すような重要な現象であるが、過去の研究の多くがコピー戦術か否かの報告に留まっており、その適応的意義まで実証した例は皆無である。昨年度までの研究で、ロウソクギンポ雌のコピー戦術には配偶者探索時の移動コストや捕食リスクを軽減する機能は無いことが示された。そこで、多くの種で観察される全卵食行動、すなわち保護卵が少ない場合に(ロウソクギンポでは1000個末満)、卵を保護する雄がそれらの卵を孵化まで保護せずに全て食べる行動に注目した。本種雌の場合、雌1個体の産卵数は最大でも500個程度なので、雌はすでに他の雌の卵がある巣に卵を追加産卵しなければ、自身の卵が全卵食される可能性が高い。ところが、雌が卵を確認するために、巣内に入ると雄に産卵するまで巣内に閉じ込められるリスクが生じていることが実験的に示された。コピー雌の卵が無い巣への産卵頻度は通常選択を採用した雌よりも低く、実際に孵化まで保護されるケースが多かったことから、コピー戦術には、卵を保護していない雄に強制産卵させられるリスクを回避して、自身の卵の生残率を上げる機能があると考えられた。
著者
牛田 貴之 折田 憲治 松本 達也 緒方 広明 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.697, pp.43-48, 2003-02-28
被引用文献数
1 3

近年の携帯端末の普及・発展により,それらは我々にとって身近になった.それにともない学習者はいつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになり,インターネットと携帯端末による,新たな学習の形態も現れはじめている.しかし,現状は個人学習に携帯端末を用いることにしか使われておらず,他の学習者と協調的に学習を進める,という形態は取られていない.そこで我々は,他の学習者と協力して学習を進めるためのワイヤレス・モバイル端末を用いたユビキタス協調学習環境を提案する.
著者
井垣 宏 中村 匡秀 玉田 春昭 松本 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.314-326, 2005-02-15
参考文献数
26
被引用文献数
11

ホームネットワークに接続された家電機器を連携制御しユーザの快適性・利便性を高める,家電機器連携サービスの一実現手法を提案する.既存の機器連携システムでは,ホームサーバが家電機器を中央集権的に制御する方式が一般的である.しかしながら,家電機器の多様化・高性能化により,ホームサーバへの負荷集中や信頼性・相互接続性の低下が問題となる.そこで我々は,サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づいた新たな連携サービス実現方式を提案する.提案手法では,各機器が自己の機能をサービスとしてネットワークに公開し,他の機器が公開するサービスを互いに実行することで連携を行う.これにより,各機器はサービスを介して疎結合され,ホームサーバも不要となる.したがって,より柔軟で障害や負荷に強い連携サービスの実現が可能となる.本稿では,SOAに基づいて連携サービスを設計・実装するための枠組みを示し,Webサービスを用いたプロトタイプ開発を行う.また,連携サービスの評価尺度として,信頼性,負荷,結合度を定義し,従来システムと提案システムの定量的な比較評価を行う.This paper presents a method to implement the integrated services of networked home electric appliances, which provide more convenient and comfortable living for home users. The conventional methods generally employ a home server to achieve the integrated services. The server controls all the networked appliances in a centralized manner. However, as the number of sophisticated appliances increases, the centralized server suffers from the concentration of load, as well as a decline in the reliability and interoperability. To cope with this problem, we adopt the service-oriented architecture (SOA) for the implementation of the integrated services. In the proposed framework, each appliance exports own features as a service. The appliances autonomously execute the exported services one another to achieve the integrated services. Thus, the appliances are loosely coupled via the exported services, without the centralized home server. This enables more flexible, balanced and reliable integrated services. In this paper, we present a framework to design and implement the integrated services based on the SOA, and illustrate a prototype system developed with Web services. We also define three kinds of metrics (i.e., reliability, workload, and coupling) and conduct a comparative evaluation between the proposed and the previous systems.
著者
鈴木 祥之 小松 幸平 下川 雄一 中尾 方人 北守 顕久 秦 正徳 中治 弘行 森 拓郎 須田 達 松本 慎也 向坊 恭介 向井 洋一 山田 耕司 後藤 正美 斎藤 幸雄 斎藤 幸雄 棚橋 秀光
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

伝統構法木造建築物では、仕口・接合部や耐力壁など構造ディテールの性能評価を含めた総合的かつ合理的な構造設計法は、いまだ確立されていない。本研究では、木材のめり込みなどによる仕口・接合部の耐力発現のメカニズムおよび土塗り壁や木造軸組の力学特性や破壊性状を実験的かつ解析的に解明するとともに、構造ディテールに基づく伝統木造建築物の設計法に適用するための評価手法を開発した。
著者
松本 尚子
出版者
国立天文台
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、高精度天体位置計測のための望遠鏡VERAを用いた位相補償VLBI観測により、銀河系中心から約3kpcまでの領域の晩期型星および星形成領域に付随するメーザー源の絶対3次元運動を高精度で計測し、その測定結果と銀河系の動力学的な理論モデルとを比較することで、銀河系のバーポテンシャルの深さ・太陽系に対するバーの傾斜角など、銀河系の棒状構造に制限をつける事である。特に、運動学的に議論可能な精度で銀河系内のガスの絶対3次元運動を得るには、現時点において星形成領域に付随するメーザー源を用いた位相補償VLBI観測が唯一であり、運動学的な観点からのアプローチの一つとして重要な意味を持つ。この目的のために、昨年度は国内初の試みである6.7GHz帯メタノールメーザー源を用いた位相補償観測の試験として、もっとも明るい6.7GHz帯メタノールメーザー源の一つである大質量星形成領域W3(OH)に付随するメーザー源の年周視差・固有運動を得た。本年度はその成果をPASJから出版し、国内外の研究会でも成果発表を行った。本成果には、まだ観測例の少ない6.7GHz帯メタノールメーザー源の内部固有運動の検出も含まれており、大質量星形成領域の周辺環境を探るという観点でも重要な意味を持つ成果である。上記の経験を元に、2009年11月よりVERAを用いて、銀河系バー周辺領域の6.7GHz帯メタノールメーザー源を10天体観測してきた。2011年秋までの時点で、10天体中6天体の絶対3次元固有運動を3σ以上の精度で求めることができた。これらのデータ解析結果から得られた3次元運動と銀河の棒状構造モデル等と照らし合わせて非円運動成分を導き、これまでの銀河系に関する研究結果と矛盾しないバーの傾斜角~35°が得られ、棒状構造の存在が3次元運動からも示唆される事を、国内外の研究会にて発表した。