著者
松浦 弘幸 久保田 怜 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.83-87, 2012-05-30

ポラリトンが近似的にはシュレディンガー方程式に従う.我々は状態ベクトルを用いて量子ネットワーク系を組み立て,複雑な系の特性を解析する有力な手段の一つとして摂動法を提案した.さらに,ポラリトンの量子力学的方程式を基礎として,古典的ニューラルネット理論を量子神経回路に書き換えを行った.元来,量子力学の基礎となる"重ね合わせの原理は,古典的ニューロネット理論と類似点も多く,両者の間に対応関係が成立する.しかし,量子神経回路理論の入出力は複素数であるが,他方,古典論の入出力は実数であり,このために神経細胞間での量子干渉効果は存在しない.ポラリトンを用いた量子ベイズ形式の表現を与えた後,第1層,第2層の状態ベクトルと伝播確率振幅の規則を定義した.この一連の規定により,多段的な量子神経回路や多様な形態の回路網への適応が可能となった.
著者
安武 繁 蔵本 美代子 松浦 幸重 森岡 久美子 平井 ひとみ 武田 由美子 桐山 美紀子
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.83-90, 2006-03

近年,10代の性感染症や人工妊娠中絶の増加が思春期保健の緊急課題となっている。そこで,学校保健と地域保健が連携した「生と性の健康教育」推進システムを構築した。まず,学校を対象として「生と性の健康教育」に関する実態調査を行い,関係機関から成る検討委員会を開催した。次に,保健所管内3地域で年齢段階に応じた「生と性の健康教育」のモデル事業を実施した。尾道地域では,保育所で保育士による健康教育と保護者との座談会を行った。三原・世羅地域では,小学校で養護教諭による健康教育や,高等学校で大学生のピアエデュケーションの手法による健康教育を行った。このようなモデル事業の成果をもとに,効果的な健康教育を推進するためのマニュアルを作成し,関係機関に配布した。「生と性の健康教育」を推進するためには,学校保健と地域保健が連携し,ライフサイクルの発達段階に応じた教育内容を工夫することが重要であり,さらに関係機関が協働し,健康教育の企画・実施・評価機能を持つことが必要である。
著者
浅井 智子 奥野 哲郎 松浦 一穂
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.843-849, 1986-12-25
被引用文献数
1 3

いもち病菌胞子からのプロトプラストはザイモリアーゼと β-グルクロニダーゼを, また, 菌糸からのプロトプラストはドリセラーゼとセルラーゼを用いることにより効率よく分離できた。胞子及び菌糸プロトプラストは細胞壁を再生後, 直接菌糸復帰する場合とイースト様に出芽する場合が認められた。培養時の pHが高い (pH 7.0) 場合は液体中で大半のプロトプラストは直接菌糸復帰したが, pH が低い (pH 5.0) 場合は大半が出芽様発芽をした。pHが低い場合でも寒天中 (1%以上)で培養すると直接菌糸復帰する細胞が増大した。カルコフロールホワイトで染色すると, 細胞壁再生細胞と出芽様細胞の螢光強度は培養液の pH が高くなるに従って増大したが, 復帰菌糸のそれは pH に影響されなかった。このことは細胞壁再生過程が pH により影響を受けること, また, その結果, 発芽形態の差となって表れる可能性を示唆している。
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-96, 2012-05-30
参考文献数
9

神経軸索で興奮伝導や量子干渉を伝える媒体として,準粒子・ポラリトンの存在を考えた.ポラリトンは神経軸索膜で活動電位に伴って発生する分極が量子的波動として,軸索上や軸索間に伝搬して行く状態を分極ベクトルの回転として量子モデル化したものである.量子的分極波がエファプスやシナプス干渉,興奮の伝導の媒介等,ミクロな視点からの神経電気現象を担い,この分極ベクトルの変動の伝播・ポラリトンが神経的電磁気現象を伝える情報担体である.準粒子としてのポラリトン質量は約10^<-25>Kg,スピン1の質量を持つ光子として表現される.裸のポラリトンの質量は,電子質量の1〜10倍程度(6.7×10^<-30>Kg)である.通常は,熱ノイズの擾乱に耐えるために,水和した状態で存在する.高々,10個程度の水分子が,裸のポラリトンに引き寄せられて準粒子を形成する.神経伝導のポラリトンが持つ基底状態の波長は1μmを中心に10μ〜0.6μmに存在する.ポラリトンは,シュレディンガー方程式やクライン・ゴルドン方程式に従う.Na+,K+の膜の内外への流入・流出が伝導原因のカレントを形成し,その効果を軸索方向や軸索外に伝搬するのが,媒介粒子ポラリトンの役割である.
著者
松浦 晃子 鈴木 真二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, no.15, pp.245-248, 2006-12-13

This paper presents an on-line navigation and adaptive flight control for waypoint tracking and course tracking of an Unmanned Aerial Vehicle (UAV) using neural network (NN). The UAV learns to fly above the designated points and course. This system consists of a navigation guidance part for making rolling angle command from the relative position of the aircraft and the target or the course, and the Feedback Error Learning (FEL) part for rolling angle control. For waypoint tracking, the rotation rate of the line of sight is needed, and for course tracking, the relative position of the aircraft is needed. FEL is a learning scheme of NN proposed by Kawato et al. The NN controller is included in a conventional feedback (CFB) controller. By minimizing CFB signals through a learning process in FEL, the NN obtains inverse feedforward dynamics of a nonlinear plant, in this case the aileron-rolling angle system. A numerical simulation using this method is performed to show the effectiveness of the method. It is considered that this system is appropriate for small UAVs whose computer resources and measurement hardware are restricted.
著者
金 憲経 松浦 義行 田中 喜代次 稲垣 敦
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.548-558, 1992
被引用文献数
4 1

Excess body fat has generally been considered to influence physical fitness and motor ability in obese boys. However, very few studies have been done on the relationships of percent body fat (%fat), body fat and fat-free mass with physical fitness and motor ability. The purpose of this study was to clarify the relationships between body composition and selected physical fitness and motor ability elements in obese boys. The subjects were three hundreds and five boys aged 12-14 years. Eighteen physical fitness and motor ability elements were tested and skinfold thickness was measured at six sites using an Eiken-type caliper. Impedance (Z) was measured using a tetrapolar bioelectrical impedance plethysmograph (Selco SIF-891) . Body density was calculated from the formula of Kim et al. Variables which represented muscular power and endurance were negatively affected by %fat, while muscular strength was positively related to %fat. Flexibility variables were found not to be affected by %fat. In order to further examine the effects of %fat on physical fitness and motor ability, the subjects were categorized into three groups according to %fat: lean= less than 12% (n=64), average=12-20% (n=192), and obese=greater than 20% (n=49) . The results of comparison among groups clearly indicated that the obese group was significantly poorer in muscular power and endurance but was better in muscular strength than the other groups. To analyze the factorial structure in obese boys, principal factor analysis was applied to the correlation matrix which was calculated with 18 variables, and then six factors were extracted. The differentiation and integration of factorial structure was investigated from the hierarchical factor model. Two factors (muscular power and speed, and flexibility) were extracted at a lower level of rotation. The body fat was found to be one important factor that affects many physical fitness and motor ability elements. The relationships between physical fitness, motor ability and degree of fatness seem to be rather complicated, and a great deal of data should be accumulated for analysis of influence of body fatness in the obese.
著者
小林 弘明 井上 欣三 新井 康夫 藤井 照久 遠藤 真 松浦 由次 遠藤 政利 阪口 泰弘
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.119-125, 1997
被引用文献数
20

When the training of shiphandling techniques is provided, we always have the problems that the objective of the training is ambiguous and that the effect of the training is not clear. To imporve the above problems, authors make a proposal of a new concept that the shiphandling techniques consist of elemental techniques and verify the concept by experiments. As a result, the reasonability of the proposed concept is confirmed. Consequently, the proposed concept is found to be contribution to the efficiency and the evaluation of effectiveness of the future training.
著者
小原 孝雄 中川 光二 慶松 元興 伊藤 宜人 国田 晴彦 嘉手納 成之 畑 俊一 大滝 幸哉 鈴木 邦治 中川 昌一 深津 亮 松浦 侯夫 大橋 晃
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.906-912, 1976

"Periodic hormonogenesis"を示し,ヒステリー発作を契機に寛解したGushing病,およびreserpine投与下でのmetyrapone試験直後より,急性副腎不全症状を呈し,寛解に到つたCushing病の2症例を報告する.症例1. 16才,女性.軽度の肥満・頬部紅潮・〓瘡・皮膚線条を認めた.尿中17-OHCSは, 4~46mg/日の間を約10日間の周期で変動し,血中corticosteroidsもこれに並行. ACTHには明らかな過剩反応を示したが,他の負荷試験は変動のため判定困難.副腎シンチグラムでは両側過形成像,頭部X線検査でトルコ鞍正常,他臓器に異常なく, periodic hormonogenesisを示すCushing病と診断した.この周期性変動はdexamethasone 8mg/日18日間投与で抑制された.経過中ヒステリー発作を生じ,その直後から尿中17-OHCSは3~8mg/日となり,周期性も消失.その後はACTHには過剰反応を示したが,抑制試験・metyrapone試験は正常となつた.症例2. 21才,女性.無月経で,中心性肥満・満月様顔貌・〓瘡・皮膚線条・高血圧を認めた.尿中17-OHCSは20~40mg/日で血中corticosteridsも高値.抑制試験は少量では非抑制, 8mg/日4日間投与で抑制された. metyraponeには過剩反応,副腎シンチグラムでは両側過形成像. reserpine投与下でのmetyrapone試験直後より副腎不全症状を呈し,尿中17-OHCSは1~5mg/日となり, Cushing病の諸症状改善.寛解後は, ACTHに過剩反応, metyraponeには無反応であつたが,他のホルモン系には障害はなかつた.
著者
井上 寛司 山岸 常人 小林 准士 平 雅行 久留島 典子 関根 俊一 淺湫 毅 松浦 清 大橋 泰夫 小椋 純一 和田 嘉宥 的野 克之 田中 哲雄 松本 岩雄 鳥谷 芳雄 花谷 浩 山内 靖喜 野坂 俊之 石原 聡
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

天台宗の古刹である浮浪山鰐淵寺は、中世出雲国一宮出雲大社の本寺として創建され、極めて重要な役割を果たした。本研究は、鰐淵寺に対する初めての本格的な総合学術調査であり、鰐淵寺の基本骨格や特徴、あるいは歴史的性格などについて、多面的な考察を加え、その全容解明を進めた。
著者
松浦 司
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011-03-23

新制・課程博士
著者
河辺 祐嗣 軽部 勲夫 杉山 正幸 松浦 敦士
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-11, 2008-01-31

茨城県内の58年生のヒノキ人工林内において,直径約40mの楕円形状に集団枯損被害が発生しているのが見つかった.枯損被害の原因は,突発的に,一斉に,集団で発生しているという被害状況から落雷と判断された.落雷以外の原因についても検討したが,該当するものはなかった.集団枯損被害は落雷の発生した翌年4月頃に葉枯れを示して顕在化した.被害が顕在化した当初における被害木集団の範囲は,時間の経過とともに外側に拡大することはなかった.しかし,被害木集団の範囲内では,被害が顕在化した当初には枝枯れまたは半枯れの部分枯れであったものが,時間の経過とともに全枯れに移行する場合があることが明らかになった.全枯れへの移行は穿孔性害虫の加害が原因になったと推測された.落雷によるヒノキ林の集団枯損被害の状況は,既存の報告におけるスギやアカマツの場合と良く合致した.集団枯損被害地に落雷が発生したことが気象データにより確かめられた.気象データおよび被害実態をもとに落雷発生日が特定された.
著者
松浦 章
出版者
関西大学
雑誌
関西大学図書館フォーラム (ISSN:13420828)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.28-30, 2001-06-30

虫ぼし抄
著者
西牟田 敏之 渡邊 博子 佐藤 一樹 根津 櫻子 松浦 朋子 鈴木 修一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 = The Japanese journal of pediatric allergy and clinical immunology (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.135-145, 2008-03-10
被引用文献数
12 20

<B>【目的】</B>喘息ガイドラインの治療管理が適確に遂行されるために,重症度とコントロール状態の両方を簡単に判定できる JPAC 設問票を開発し,有用性を検討した.<BR><B>【方法】</B>JPAC 設問票は,喘息症状,呼吸困難,日常生活障害に関する3設問から重症度を判定し,これに運動誘発喘息と β<SUB>2</SUB> 刺激薬使用頻度を加えた全5設問からコントロール状態を判定する.下志津病院受診中の5歳から19歳の喘息患者225名を対象に,JPAC 点数と重症度,呼吸機能検査との関係を検討した.<BR><B>【結果】</B>重症度増加と JPAC 点数減少は,Jonckheere-Terpstra 検定によって p<0.0001と有意な関連性を示した.症状と頻度から判定した各重症度におけるJPAC点数のmean±S.D.は,寛解15±0,間欠型14.9±0.3,軽症持続型13±1.2,中等症持続型9.2±1.0,重症持続型7±2.4であり,完全15点,良好12~14,不良11点以下と設定したコントロール基準と整合性があった.JPAC 点数と呼吸機能検査の関係は,%FEV<SUB>1.0</SUB>,%MMF,%V'<SUB>50</SUB>において p<0.0001と有意な相関を認めた.<BR><B>【結語】</B>JPAC は,患者の重症度とコントロール状態を判断するのに適しており,ガイドライン治療の普及に役立つ.
著者
志賀 朋子 松浦 幹人 関口 麻衣子 伊從 慶太 井手 香織 岩﨑 利郎 西藤 公司
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.107-110, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本稿では,犬種および症状から無菌性脂肪織炎が考慮されたものの,病変部の切除生検により異物肉芽腫と診断されたミニチュア・ダックスフンドの3例を経験したので報告する。いずれの症例でも臨床的に皮下結節が認められ,病変部の切除により症例1では病巣から針葉樹の葉が,症例2では竹串が,症例3では縫合糸が摘出された。病理組織学的には,3症例ともに異物を取り囲む化膿性肉芽腫性炎が認められた。犬に皮下結節を認めた場合,異物肉芽腫などの類症鑑別を常に考慮に入れ,切除生検を実施する必要があると考えられた。