著者
坪根 斉 松浦 春樹
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-12, 1995-04-15
被引用文献数
8

柔軟性という言葉は文字通り現在の流行語であり, 企業が市場の競争下で対処するための重要な鍵として認識されている.本文は文献を通して以下のことを明らかにする.(1)主に製造/技術の分野から生起したいろいろな柔軟性の概念を調査する.(2)いろいろな観点から柔軟性のタイプを分類する.(3)環境の不確かさと柔軟性のニーズとの相互関係を明らかにする.(4)柔軟性の高い生産システムを計画・設計・実施するための概念的な方向付けを行う.
著者
吉川 由希子 松浦 和代 三上 智子
出版者
札幌市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北海道内に居住している障がい児の在宅ケア支援の社会資源は、小児を受け入れている訪問看護ステーションや介護事業所、レスパイト施設などは都市部に集中していた。また、家族からの聞き取り調査では、自治体によって在宅ケア支援への対応が異なっていた。今回の研究期間では実態調査とモデルの検討段階にとどまったため、継続して地域の特性を生かした在宅ケア支援ネットワークモデルを展開していく。
著者
佐藤 博信 松浦 尚志 都築 尊 松永 興昌 片渕 三千綱 生山 隆
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

老年性骨粗鬆症モデルマウス(SAMP6)の下顎骨が骨粗鬆症様の骨の性質を有する可能性を組織学的および生化学的に検証した.コントロールマウス(SAMR1)と比べると,SAMP6の下顎骨は骨形態計測学的に骨量が少なく,骨基質の透過型電子顕微鏡像で明らかなコラーゲン線維の狭小化が認められた.両マウスの下顎骨の骨基質の生化学分析によると,その大部分はI型コラーゲンであった.SAMP6の下顎骨は,SAMR1に比べ,基質中のコラーゲン量が少なく,またコラーゲンの翻訳後修飾の一つであるハイドロキシリシンの量が多く認められた.リシンのハイドロキシル化が亢進するとコラーゲン線維の狭小化が起こることが報告されており,SAMP6の下顎骨のコラーゲンに認められるコラーゲン線維の狭小化はおそらくリシンのハイドロキシル化の亢進が関与しているものと推察された.リシンのハイドロキシル化の亢進は,同マウスおよび骨粗鬆症患者の大腿骨でも認められることが報告されており,骨粗霧症の骨質に大きく関与するコラーゲン性状に,コラーゲン翻訳後修飾の一つであるリシンのハイドロキシル化が寄与している可能性が示唆された.本研究の結果から,老年性骨粗鬆症モデルマウスの下顎骨は骨量的にも骨質的にも骨粗鬆症様の性質を有していることが明らかとなった.骨粗鬆症患者の顎骨も量的のみならず質的に低下している可能性が考えられ,今後の臨床研究により骨粗鬆症患者での傾向を明らかにしていくとともに,ゲノム解析による骨質診断法の確立とそれに対応した歯科治療の開発へと発展させていける可能性が見出せた.
著者
松浦 正孝 SKABELUND A.H
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

第二次世界大戦後、日本では、軍隊の役割及び「兵士」の意味が大きく変わった。「平和憲法」の制定、教育改革、また強い平和精神の定着により軍への支持は薄れていった。軍隊及び軍隊の理念は、20世紀の後半、世界中で、大きな不信感を持たれるようになったが、日本ほどこの傾向が強く、また永続的だった国はない。この研究は、「日本軍」の戦後の社会史に着目するにあたり、3つのテーマを提示する。第一に、帝国軍と自衛隊の間の組織的、思想的な連続性と断絶性である。第二に、米軍と自衛隊の対等でない同盟関係である。第三に、自衛隊と社会の関係である。自衛隊において目に見える大きな組織的な変化と目に見えない人事的あるいは思想的な連続性が存在したという視点は、今まで論じられてきた日本戦後の政治史と経済史とは異なった新たな歴史的文脈を提示するものと考えている。本研究実績として、自衛隊と米軍と地域社会との関係を探るために次の二つの研究手段をとった。第一に、自衛隊と米軍のやりとりを回顧録、口述歴史、また基地周辺地域でのインタビューによって見直した。この米軍のプレゼンスこそが、自衛隊の存在が不透明である理由の一つであると考えるからである。第二に、地域社会との関係を探る為に、北海道や他の地域で資料収集や隊員および自衛隊関係者とのインタビューを行った。半世紀の間、自衛隊は社会から敵意を受けることなく、関心を持たれず、殆ど尊敬されなかったのが実情であった。組織として、それに対して自衛隊はどういう対策を取ってきたか、また隊員はどういう経験をしてきたか調べた結果、特に災害援助と地域社会への貢献(札幌雪祭りなど)の経過に注目した。
著者
廣嶋 伸章 戸田 浩之 松浦 由美子 片岡 良治
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.33-45, 2010-09-28

Web 検索において,あるクエリが入力された際に,そのクエリの種別を知ることができれば,それに応じてシステムの応答を変化させることが可能となり,適切な検索結果を提示することができる.たとえば,あるクエリの種別が 「グルメ」 であることが分かれば,レシピ検索とブログ検索の結果を提示することができる.このようなシステムの応答を変化させるための条件であるクエリの種別をクエリタイプと呼ぶことにする.クエリの属するクエリタイプを知ることで,上で述べたような利便性の高い検索サービスが実現できる.そこで本論文では,様々なクエリに対してクエリタイプを判定する手法を提案する.提案手法では,単語に対してその単語の分野を表す概念ベクトルが付与された概念ベースを参照して,クエリに関する文書から得られたクエリ分野ベクトルと各クエリタイプ分野ベクトルとのコサイン距離に基づきクエリタイプを判定する.実験では,27 のクエリタイプに対し,提案手法単独で 64.6%,Wikipedia などの情報を利用した手法を組み合わせることにより 77.1% の精度で判定を行うことができた.
著者
竹元 伸之 小檜山 律 松浦 克彦 岡野 良 倉富 雄四郎
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.79-83, 1996-01-25

肺癌の気管支形成術後の吻合部狭窄に対し, バルーン拡張とNd-YAGレーザーを併用し良好な結果を得た。症例は57歳, 男性。左上大区入口部の扁平上皮癌に対し, ほぼ4/5周にわたる気管支楔状切除を伴う左上葉切除術を施行。術後46日目に吻合部が屈曲と肉芽増生および分泌物貯留によるほぼ完全な閉塞を来たし, それによる肺膿瘍・無気肺のため緊急入院となった。理学療法・抗生剤治療後, 高耐圧の血管拡張用バルーンを用いた拡張術を2回, その後Nd-YAGレーザーによる肉芽焼灼を3回(計3669J)施行し気道の開存をはかった。1ヵ月で肺膿瘍・無気肺は軽快し現在(術後18ヵ月)に至っており, 両者の併用は非常に有効であった。
著者
上野 孝 湊 賢一 松浦 俊彦
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

約300nmと1nmに粒子径を制御したイカ墨を用いる色素増感太陽電池の研究を行った。特に大きい粒子の利用について検討した。スクリーン印刷法を用いて、酸化チタンペーストにイカ墨粒子を混合したペーストを透明電極上に積層して、450℃で焼成すると白色の酸化チタン電極に変化し、イカ墨粒子が分解蒸発した。それと同時に、酸化チタン電極の表面粗さが増大した。これはイカ墨粒子が酸化チタン電極の多孔性を高める増進剤として効果があることを示唆していた。
著者
尾崎 雅彦 南浦 純一 太田 真 佐々木 裕一 松浦 正己
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
no.3, pp.87-95, 2006-06

Ocean storage of the captured CO_2 from fossil-fuel burning is a possible option for mitigating the increase of CO_2 concentration in the atmosphere. Moving-ship type of CO_2 ocean storage is a concept whereby captured and liquefied CO_2 is delivered by ship to a site and injected into the deep ocean by means of a pipe suspended beneath a ship as it slowly moves through the water. In case of bad weather conditions, CO_2 marine transport and operation on the sea should be adjourned although CO_2 would be captured at the plant every day. It is, therefore, required that the system would have the buffer storage at the port and the extra shipping ability to recover the delay of schedule. Since the large scale of such spare capability might lead to the increase in cost, it is needed to investigate how to plan the system allowed for weather conditions reasonably. In this study, a time series model of sea state through one year is generated for a hypothetical ocean storage site, based on the wind data observed with satellite remote sensing, and simulations of CO_2 marine transport and operation on the sea are carried out considering the operational limit of sea state. In this approach, the continuing bad weather days or the frequent occurrences of rough sea condition during the specific season are counted automatically. In order to pursue higher efficiency of the operation, side-by-side type and tandem type of moorings are applied for the simulations and compared. Finally, cost assessments under the several assumptions are carried out to see the relative merits among that the number of ships would be increased, that the loading capacity of a ship would be increased, and that the storage capacity at the port would grow, which are generally in trade-off relationships.
著者
冨永 悌二 井小萩 利明 高山 和喜 牧志 渉 松浦 祐司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

衝撃波損傷ラットモデルでは10-15MPa以上で照射側に脳内出血・壊死が認められた。その周囲では脳梁を介して反対側におよぶ広範囲で色素漏出とmatrix metalloproteinase発現増加が認められ、血管透過性亢進を示唆する所見と考えられた。対側には神経細胞の紡錘化を認め、頭蓋模擬モデル実験から頭蓋骨に反射した反射波とキャビテーションの発生が部位特有の損傷に関与するものと考えられた。グリオーマ細胞株への照射により種々の薬剤のうち、ブレオマイシンのみが照射回数依存的に細胞増殖能抑制効果を示した。
著者
松浦 義昌 清水 教永 眞来 省二 浜口 雅行 坪内 伸司 田中 良晴
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、身体障害者個々の疾患レベルに適した運動処方の実際について、3年間の継続運動が身体障害者にどのような影響をもたらすのかについて検討した。対象者は、骨形成不全、頸髄損傷、脳性麻痺の障害を有する3名の身体障害者で、年齢は35歳〜43歳の範囲である。1週間から10日に一度の頻度で、それぞれの疾患に適した運動処方を3年間継続して行った。運動処方実施中は、心拍数、酸素摂取量、主観的運動強度(RPE)、脳酸素飽和度(StO2)及びヘモグロビン量(Hb量)を連続記録し、運動前後には血圧、血中乳酸及び内省報告を記録した。いずれの被検者についても、運動処方3年目に心拍数-酸素摂取量の高い相関関係が認められた。心拍数とRPEの関係についても心拍数-酸素摂取量の関係同様に、運動処方3年目に高い相関関係が認められた。StO2及びHb量については、運動前安静時、運動中及び運動後のいずれの状態においても顕著な変化は認められなかった。運動前後の血圧は、運動後に拡張期、収縮期ともに高くなる傾向が認められた。血中乳酸は、運動前に比べ運動後におよそ4〜5mmol/mlの増加が認められた。運動後の内省報告では、いずれの対象者についても気持ちが良い等の報告を受けた。以上のことから、身体障害者における3年間の運動処方は、健常者の場合とは一部異なるものの身体障害者の生理心理に種々な影響を与え運動の習慣化という生活習慣の改善および呼吸循環器系機能の改善の可能性を示した。よって本研究で用いた運動処方は、身体障害者の生活習慣病予防やより積極的な健康生活の向上のための有益な処方の一つであると考えられる。
著者
鈴木 直義 松浦 博 湯瀬 裕昭 池田 哲夫 渡邉 貴之 武藤 伸明 岡本 恵理 佐藤 智子 福田 宏 柴田 義孝 橋本 浩二 青山 知靖 葛岡 英明 高橋 勇
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

看護師のフィジカル・アセスメントスキル学習や書道の学習など、動作を伴う学習の遠隔指導支援を目的として、(1)学習時の各種の動作に伴う圧力などの客観的フィードバック情報を学習者や指導者に効果的に提供する方法、(2)打診音を自動識別し実習者に指標を提示するeラーニングシステム構築のための検討、(3)概念モデリングを学習者自身に行わせる方法の熟練者育成へ導入、などの研究成果を得た。
著者
西岡 伯 石井 徳味 植村 匡志 国方 聖司 神田 英憲 金子 茂男 松浦 健 秋山 隆弘 栗田 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.907-911, 1987-05-20

前報において確立された超音波Bモード・パルスドップラー複合装置を用いた移植腎血流測定法の臨床応用を目的とし,腎移植31症例において,本法を施行した.その際,移植腎血流の良否を判定する為に,拡張期血流を重視した,IからIV型のパターンに分類した.その結果,血流パターンのみでは,その病態を正確に把握することは困難であるが,同一症例の同一部位における血流パターンの推移は,有用な情報をもたらす事が判明した.また,本法は腎移植後無尿期に発生する急性拒絶反応をも診断可能であった.他方,腎機能との対比においては,腎実質部血流パターンが,腎門部血流パターンに比し良好な相関が得られた.本法による血流測定は,腎移植の術後管理に簡便でかつ有用な方法である事を報告した.
著者
気賀沢 保規 肥田 路美 高橋 継男 手島 一真 松浦 典弘 高瀬 奈津子 櫻井 智美 江川 式部 江川 式部
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、魏晋南北朝隋唐時代の本質が「仏教社会」であるとの認識に立って、その社会の構造や特質を、仏教石刻(主に文字資料)を通じて明らかすることにある。本研究では、(1)房山石経、(2)山西・河北仏教石刻、(3)四川仏教石経、(4)華北仏教石刻の4本の柱を立て、現地調査や資料整理と考察を進めた。(1)では4千点以上の隋唐石経の所在状況と題記を整理し、(2)では山西長治地区の仏教に焦点を当て、(3)では洛陽の石刻資料の把握に努め、(4)では四川灌県の仏教石経の所在に迫った。当時の仏教社会の基層を浮き彫りにするにはなお研究の深化が必要となるが、多くの成果により基礎的作業はほぼ終了したと考える。