著者
石川 幸司 林 裕子 山本 道代
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.489-496, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
17

背景:看護師は実際の急変場面で落ち着いて実践することが困難であると指摘されている。目的:本研究の目的は,救急領域のジェネラリスト看護師を対象に急変対応時に生じる生理的・心理的な生体反応を明らかにすることである。方法:シミュレータで急変場面を再現し,急変対応時に生じる生体反応として自律神経活動,脳波,唾液アミラーゼ,バイタルサイン,心理的反応(STAI)を測定した。データは安静期,実践期間を急変に気づくまで,気づいてから終了までの期間に分類して比較検討した。結果:副交感神経活動HFは,安静期から実践期間,終了まで有意な変化は認められなかった。一方,交感神経活動LF/HFは安静期に比べ,実験開始0.9から急変に気づくまでの期間で3.6と有意に上昇し(p=0.003),急変に気づいてから1.2へ低下した。心理的反応に変化はなかった。結論:ジェネラリスト看護師の急変対応は,交感神経の活性化を認めたが,急変と認識した後も落ち着いて対応していた。
著者
森松 克哉 山中 直樹 林 昌孝 亀岡 宣久 横畑 和紀
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.2086-2090, 2018 (Released:2019-04-30)
参考文献数
13

症例は68歳,女性.19歳時に他院で潰瘍性大腸炎(以下UCと略記)に対し結腸全摘術,回腸直腸吻合術を施行された.術後49年目に当院内科を受診した際,高度の貧血を指摘され精査加療目的に入院となった.貧血の原因は特発性赤芽球癆と診断され,免疫抑制剤の投与により改善したが,貧血の精査目的に施行した下部消化管内視鏡検査で回腸直腸吻合部近傍の回腸に腫瘍性病変を認めた.生検の結果,印環細胞癌の診断で,回腸部分切除術を施行した.切除標本では筋層までの浸潤を認め,リンパ節転移を1個認めた.以前はUCに関連した小腸癌の発生はないとされていたが,近年,頻度は少ないが長期罹患UC患者に発生した回腸癌が報告されている.大腸全摘術施行後の長期罹患UC患者に対しては回腸癌の発生に対し留意し,定期的に回腸嚢の観察を行う必要があると考えられた.
著者
星 奈美子 迎 慎二 新澤 穣太郎 渡邊 茂 粕川 禮司 折笠 博史 小林 圭子 佐伯 武頼
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.492-497, 2002-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
6 6

1996年4月, 29歳時に発症した成人発症II型シトルリン血症の男性. 特殊ミルク (高アンモニア血症・シトルリン血症フォーミュラ®) の内服で3年間症状の改善が認められたが, 1999年に, 血清アンモニア値の上昇とともに脳症のコントロールが困難となった. そこで経口アルギニン製剤 (アルギU顆粒®) を投与したところ, アンモニア値の正常化と脳症の改善が認められた. しかし8カ月後の2001年3月に再びアンモニア値の上昇と脳症が出現し, 約5年の経過で死亡した.
著者
若林 幹夫
出版者
Japan Association for Urban Sociology
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27, pp.1-19, 2009 (Released:2011-10-07)
参考文献数
44

“Collective memory” has become one of the popular topics in sociological researchers in Japan since the 1990s. However, in Japanese urban sociology, the studies which focus on “collective memory” are still few. In this paper, I will examine why Japanese urban sociologist have not been interested in this topic, and then I will show the perspective for the study of local collective memory in urban society, especially in suburbia and new town. “Economics”, “politics” and “topography” of memory are the key points of this tentative perspective for the study of local collective memory in sociological urban studies. The condition of local memory in suburbia and new town is different either from the local memory in urban center or rural community. I will examine this suburban condition of local collective memory, and then try to propose some hypothesis about the characteristics of local memory in suburbia and new town. In suburbia and new town, there are discontinuities, segregations, isolation and homogenization of local memories. Under these sociological conditions of local collective memory, we can also find the process of the making of new local collective memories among the dwellers.
著者
飯塚 俊明 西尾 勘汰 阿部 圭典 川村 壮司 加藤 岳仁 賀来 将大 伴野 眞優 松島 純 小林 悠也 中村 健二郎 佐原 宏典
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校
雑誌
小山工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02882825)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.63-68, 2017-12-25 (Released:2019-01-28)

This paper reports fundamental study on performance degradation, caused by solid catalyst, of 60wt% hydrogen peroxide thruster for small satellites. The chemical in-space propulsion system, with 60wt% hydrogen peroxide, has been proposed and developed based on three policies, safety first, border free, and effective COTS. Platinum based metal honeycomb solid catalyst has been installed to BBM of thruster, and the solid catalyst is one of cause to limit lifetime of the thruster. In this study, to understand degradation, comparison between observation results of solid catalyst surface by FE-SEM/EDS and thruster performance has been conducted. Small cracks have been observed on upstream surface. The evident growth of cracks has not been found; however, instability of response time has been confirmed.
著者
栗林 千聡 武部 匡也 佐藤 寛
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.51-61, 2023-09-30 (Released:2023-11-11)
参考文献数
15

The purpose of this study was to develop and examine the preliminary effectiveness of a cognitive behavioral therapy program to address competitive anxiety among junior athletes. This cognitive behavioral therapy program for competitive anxiety in junior athletes was developed based on a cognitive behavioral therapy program for anxiety disorder in children and adolescents (Ishikawa, 2013). The goal of the program was not to eliminate competition anxiety itself, but to make athletesʼ interpretation of competition anxiety and cognition more flexible. A group of seven junior players (four males and three females) from a private tennis club were treated by a clinical psychologist once a week for a total of four sessions. This program was shown to increase their psychological performance selfefficacy post-intervention and at follow-up compared to pre-intervention. Interpretation of competitive anxiety and competitive positive self-statements showed a post-intervention increase compared to preintervention. Finally, the future effective practice of the program is discussed.
著者
君和田 友美 林 俊哲 白根 礼造 冨永 悌二
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.414-418, 2022 (Released:2023-01-30)
参考文献数
12

右中頭蓋窩くも膜のう胞破裂後に硬膜下血腫/水腫を来し,けいれん重積型(二相性)急性脳症に類似の病態であるinfantile traumatic brain injury with a biphasic clinical course and late reduced diffusion(TBIRD)を併発した1乳児例を報告した.新生児/乳幼児急性硬膜下血腫後に脳腫脹を来す一因として,我々脳神経外科医はTBIRDを十分理解しておく必要がある.
著者
林 宣宏
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

“HIVはその遺伝子産物であるNefによって、本来は感染宿主細胞(T細胞)が使用している弱い相互作用に介在して効果的に細胞機能を停止している”、という申請者の研究に基づく仮説と、独自の抗体ライブラリー技術を用いて、NefがT細胞の機能を停止するのを阻止することによる細胞機能の回復法を開発する。HIV-Nefの機能を制御するダイアボディ(2重特異性抗体)を近年新たに開発した抗ミリストイル基抗体と抗Nef抗体を使って作製し、エイズ治療のための分子標的薬プロトタイプを開発する。
著者
中込 博 古屋 一茂 大森 征人 井上 慎吾 飯野 善一郎 依田 芳起 小林 正史 飯塚 恒
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.185-190, 2012-06-20 (Released:2014-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

過去の受診歴より継時的に腫瘤径の比較測定が可能であった30例(腫瘤21例,石灰化病変9例)の患者を対象に,腫瘍倍加時間(DT; doubling time)を算出した。検診の検出限界を5mmと考えたとき,腫瘍径5mmの病変が発見できず2年後の検診では2cmになる乳癌の腫瘍倍加時間は120日と計算される。120日より早いDTを持つ乳癌は2年毎の検診では転移を生じる病変になる可能性が高いと考え,その特性を組織型およびホルモンレセプター(HR),Her2発現によるsubtype別に検討した。120日以下のDTを示す病変は腫瘤性病変43%(9/21),石灰化病変44%(4/9)に認められた。Subtype別には,HR陰性Her2陰性の乳癌3例においてDT 60日前後と非常に速い増殖速度を示した。化生を伴う乳癌が2例含まれていた。HR陰性Her2陽性およびHR陽性Her2陽性の乳癌で,DTは112±10日,128±48日と早いことが認められた。HR陽性Her2陰性の乳癌19例において,DT 867±679日とばらつきが認められた。120日以下の症例は5例(26%)に認められ,粘液癌が3例,通常型乳癌が2例が含まれていた。HR陽性Her2陰性の乳癌において,検診の間隔は2年が妥当であるが,HR陰性Her2陰性およびHer2陽性の乳癌においては,さらに短期間での検診が必要と思われた。
著者
金 守良 金 秀基 小林 久人 奥田 豊一 中井 敦史 藤井 友実 早雲 孝信 佐々木 素子 狛 雄一朗 朝井 章 西川 浩樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.575-582, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
18

症例は60歳代女性.X年2月乳癌の診断のもと,左乳房切除,病理所見は浸潤性小葉癌であった.同年3月に多発リンパ節,骨転移に対して薬物療法を開始したが,8月より肝障害が出現した.薬剤性肝障害を疑い,薬物治療を中止するも肝障害は増悪した.造影CT,EOB-MRIなどの画像診断で肝転移巣は認めなかったが,腫瘍マーカーCA15-3の上昇がみられた.10月に腹部超音波カラードップラー画像・ソナゾイド造影所見から類洞閉塞などによる門脈血流低下が示唆された.経頸静脈的肝生検を施行したところ,類洞内に浸潤性小葉癌転移と肝硬変様の高度線維化を認めた.
著者
林 光昭 都丸 裕司 川崎 聡 志村 隆 内海 政春
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.625-632, 2013 (Released:2015-07-23)
参考文献数
6
被引用文献数
6

In order to analyze a stability of the balancing mechanism for the axial thrust force in turbo-pumps, the simplified model expressing the essentials of dynamic behavior is shown. By the examination on that model, the dynamic characteristics in several working conditions are considered, it is shown that what kind of conditions determine the response and stability of the balancing mechanism.
著者
加藤 千津子 嶋田 淳子 林 邦彦
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.548-555, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

目的 総合病院に勤務する看護職の眠気の実態を調査し,職業性ストレス簡易調査票を用い眠気に関連する要因を検討する。方法 北海道の 5 つの総合病院に勤務する看護職1,997人を対象に,自記式調査票による横断調査を実施した。調査票は 1)属性,勤務状況および睡眠状況調査票,2)Japanese version of the Epworth Sleepiness Scale(JESS),3)職業性ストレス簡易調査票を用いた。回答調査票が返送された926人のうち,調査項目に欠損値のない有効回答例837人(平均年齢±標準偏差36.0±10.1歳)を解析対象とした。 統計解析は JMP8.02を用い,有意水準は 5%とした。結果 837人の JESS の合計得点の平均値±標準偏差は10.9±4.3点であり,21~29歳は11.7±4.3点で30~39歳および50~59歳より有意に高い結果であった(P=0.021, P=0.006)。看護職経験年数においては,5 年未満は 5 年以上より有意に高く(P=0.002),交代勤務経験年数は有意差がなかった。JESS の合計得点が11点以上の日中の過度な眠気(Excessive Daytime Sleepiness:EDS)の有症割合は52.0%の高値であった。EDS の有無で職業性ストレス調査の得点を比較したところ,ストレス要因の心理的な仕事の質的負担,仕事のコントロール度,仕事の適性度,働きがい,ストレス反応の全項目(活気,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつ感,身体愁訴),修飾要因の仕事や生活の満足度で,有意な差がみられた。EDS 有症との関連を検討した多重ロジスティック回帰分析では,職業性ストレス調査のストレス反応の疲労感,ストレス要因の職場環境によるストレスに有意な関連があった。結論 看護職の眠気は強く,EDS の有症割合が52%と高く,とくに30歳未満の若年者,看護職経験年数が 5 年未満の看護職で JESS スコアが高いことが示唆された。職業性ストレスの関連では,ストレス反応の疲労感が有意に高く EDS との関連が示され,医療の安全上重要な問題であり,憂慮すべき状況であることが示唆された。
著者
柿原 泰 藤岡 毅 山内 知也 濱岡 豊 高橋 博子 中原 聖乃 林 衛 徳永 恵美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究をもとにした放射線防護の体系(その理論、基本原則の考え方、諸概念等)がいかに形成されたのか、そして実際に社会的な場面で放射線防護の実践がいかになされたのか、その実態と問題点について、科学史・科学論的研究を基に明らかにしつつ、とくにこれまでの放射線防護に欠けていると考えられる市民的観点からの再検討を加え、あるべき姿を提示すべく調査研究を進める。
著者
小林 康子 田中 総一郎 大沼 晃
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.153-158, 2003-03-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2

“哺乳ビン依存状態” と考えられる発達障害児5例 (男児4, 女児1) (本症診断時年齢2.9±0.9歳) を検討した. 全例において中等度~重度発達遅滞 (DQ17~37: 本症診断時) を認めた. 全例, 口腔異常反射なく, 準備期, 口腔期, 咽頭期にも問題はなかった. 全例, 哺乳ビンからのミルク摂取は可能であるが, 離乳食に対しては強い拒否的反応を示し, 長期間離乳食を摂取していなかった. これらの症例に対し, 一時的に抑制して強制的に食べさせることを試みたところ, 予想に反して離乳食摂取は短期間で可能となった. 本症の拒否的反応は, 必ずしも離乳食摂取の拒否を意味していないと考えられた. 離乳食摂取時の強い拒否的反応を摂食拒否ととることが, 本症をつくる一因となるのかもしれない. また, 対策として摂食時の抑制と同時に, 哺乳ビンの中止も効果的であった. 本症では, 飲む, 食べる機能の切り換えがうまくいかない可能性も示唆された. 長期間離乳食が進まない発達障害児の場合, 本症も念頭において対応する必要があると思われた.
著者
小牧 元 小林 伸行 松林 直 玉井 一 野崎 剛弘 瀧井 正人
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近年、ストレスに対する生態防御の観点から、免疫系と視床下部-下垂体-副腎系との関連が注目されてきた。特にサイトカインの一種であるインターロイキン‐1β(IL-1β)がこの免疫系と中枢神経系を仲介する、主要な免疫メディエーターの一つであることが明らかになっている。このIL-1βの同系に対する賦活作用には、視床下部の室傍核(PVN)におけるCRFニューロンの活動が促される必要があるが、血中のIL-1βがいかにして同ニューロンを刺激するのか未だ確定した結論には到っていない。我々は視床下部の終板器官(OVLT)が、その血中のIL-1βが作用する主なゲートの一つである可能性を、同部位にIL-1レセプター・アンタゴニストを前処置することにより確認したところ、血中IL-1β投与によるACTHの上昇は有意に抑制された。一方、一酸化窒素(NO)が脳内でニューロトランスミッターとして働いていることが判明し、特に、NOがアストロサイトからのPGE2産生やCRFやLHRH分泌調節に直接かかわっている可能性がある。そこで、マイクロダイアリシスを用いて、同部位のNO産生との関わりをさぐるために、L‐Arginineをチューブ内に流し、IL-1βによるPGE2産生の変化を見たところ、有意な抑制傾向は認めなかった。しかし、フローベの長さの問題、L‐Arginineの濃度の問題もあり、容量依存生の確認、他の部位との比較まで至っておらず、結論は現在まで至っていない。今後、容量、他のNO産生関連の薬物投与も試みて、確認して行く予定である。
著者
陳 晨 今泉 祥子 青木 直和 小林 裕幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 2012 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
pp.7-7-1-_7-7-2_, 2012-08-29 (Released:2017-05-24)

It is known that preference of some photographs is improved by adding noise. We propose "Memory texture" as a reason for the improvement of preference by the noise addition. "Memory texture" is the texture reproduced when we imagine the object. We investigated differences between real texture and memory texture by subjective evaluation of images added noise. Except as to potato image, memory textures were always not smaller than the real texture. Preferred textures were very close to the short-term memory texture in most objects.
著者
鹿野 和彦 大口 健志 林 信太郎 宇都 浩三 檀原 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.373-396, 2002-11-29 (Released:2017-03-20)
参考文献数
82
被引用文献数
5

An alkali-rhyolite tuff-ring is newly identified in the western end of the Oga Peninsula and named as Toga volcano in this paper. The existence of this maar-type volcano at the Toga Bay has been suspected for a long time because of the elliptical embayment reminiscent of a maar and the distribution of the Toga Pumice localized along the bay coast. The Toga Pumice is cornposed mainly of pumice and non- to poorly-vesicular glass shards, but many pumices of lapilli size are rounded and fines are poor giving a sandy epiclastic appearance to the deposit. In our latest survey along the bay coast, the Toga Pumice is found to be in direct contact with the basement rocks. The contact steeply inclines at 40-50° and envelopes an elliptical area 2.0 km×2.4 km covering the bay and bay coast to form a funnel-shape structure. The basement rocks at the contact are brecciated to a depth of several tens of centimeters, or collapsed into fragments to be contained in the Toga Pumice. The beds inside the inferred crater incline toward the center of the crater at 10-30° or much smaller angles, presumably reflecting a shallow concave structure infilling the more steeply sided crater. The deposit is thinly to thickly bedded to be parallel- to wavy- or cross-stratified, inversely to normally graded with many furrows, rip-up clasts and load casts, and is sorted as well as fines-depleted pyroclastic flow deposits and/or pyroclastic surge deposits. These features are characterisitic to turbidites and indicate the place of emplacement was filled with water. Constituent glass shards are, however, commonly platy or blocky and likely to be phreatomagmatic in origin, and pumice lapilli are interpreted to have been originally angular but rounded by repeated entrainment and abrasion in multiple phreatomagmatic eruptions and succeeding emplacement in the crater lake. A pyroclastic surge deposit (Oga Pumice Tuff) correlative in composition and age to the Toga Pumice occurs at Anden and Wakimoto, 11 km and 15 km east of Toga, respectively. The juvenile pumice lapilli are angular to subrounded, in contrast with the pumice lapilli of the Toga Pumice.
著者
番匠谷 友紀 濱上 知宏 松井 大作 永嶋 太 小林 誠人
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.34.4_05, (Released:2020-09-18)
参考文献数
16

目的 : 四肢外傷に対する止血帯の適応は, 外傷性切断や血管損傷がある場合とされるが, 病院前診療で血管損傷の有無を評価することは容易ではない. 本研究はドクターヘリ (以下, DH) における止血帯の適応を明らかにすることを目的とした. 方法 : DHで止血帯を使用せず病院搬入後に止血帯を使用した症例を, 病院搬入時の創部出血の有無で搬入時出血群と搬入時止血群の2群にわけ, 救急車内でのバイタルサイン等を比較した. 体幹部外傷合併症例は除外した. 結果 : DHで止血帯を使用せず病院搬入した12例のうち6例で搬入時に創部出血を認めた. 搬入時出血群は, 搬入時止血群と比較し, 救急車内でのshock index (以下, SI) が有意に高く (1.40 vs.0.76 (p=0.03) (カットオフ値1)), 全例に血管損傷を認めた. 結語 : 救急車内でSI≧1の四肢外傷症例は血管損傷がある可能性が高く, DHで止血帯使用を考慮する必要がある.