著者
森田 啓 西林 賢武
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.37-43, 2007-03-15

1990年代以降,大学で体育を行うことの根拠が問われている.本研究は,大学体育のFDに関する取り組みのひとつであり,オープンキャンパスにおいて,参加者および学内の他領域教員や職員に本学の体育のさまざまな試みを紹介することを目的とした体育科目の体験コーナーを設けたことにより,得られた成果を参加者の意識調査の結果を中心に検討したものである.オープンキャンパス参加者の意識調査は,本学オープンキャンパス参加者の中で,体育のブースを訪れてくれた人を対象に,アンケート用紙を用いて行った.ブースを訪れてくれた人には,フライングディスクの的あてを体験してもらい,体育の授業を紹介したパネルを読んでもらった.調査の結果,大学でも体育の授業があることを知らない者が60%いたが,大学でも必要と考える者は約90%いた.他領域の教員や職員に対する本学の体育紹介については,体育のブースを通りかかった教職員に声をかけて紹介を行った.オープンキャンパスに来ている教職員は,皆担当があって忙しくしていたため,感想を聞くことができた人はわずかであったが,多くの教職員にとって,大学の体育は「単に何かのスポーツを行っているだけ」「高校の繰り返しのような内容」と思われていたようで,本学の体育で取り組んでいるいくつかの新しい試みに興味・関心を示してくれる教職員もいた.今後も,本学で新しく試みた成果をきちんと公表し,さらに新しい試みを開始し,大学体育の必要性,重要性を提示していきたい.
著者
城戸 照彦 小林 悦子 能川 浩二
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

バブル経済崩壊後、輸出産業である自動車や電気製品製造業に従事していた日系人労働者は再契約されず、各職場からその存在はほぼ消失した。一方、安定した国内市場を有する食品製造業においては、平成2年以降、今日に至るまで雇用が継続している。今回、調査対象とした事業所は従業員約2000名を有するが、そのうち平均30〜50名の日系ブラジル人を雇用している。契約期間は平均2〜3年で、満期になると大半は一時帰国する。日本で蓄えた金額は、住居の新築等に当てられ、住環境も改善され、ブラジルにおける充実した生活の糧となっている。5年間の雇用を通じて、新規の者は減り、再来日した者が主な労働力となっている。その結果、初期に問題となった結核等の感染者は、現在は発見されていない。また、食品製造業の性格上、入国後、約2週間は消化器系伝染病の保菌者の有無を確認し、その上で就労を開始しているので、入国時のトラブルも特に見られない。人事面でも、勤勉な労働者が再雇用され、生活習慣もより健康的な方向に向かっている。ただし、食習慣については、ブラジルとほぼ同様な食料品の入手が日本国内でも可能であり、その結果として、初期に指摘された、日本人に比べ、高度肥満が多い傾向は変わっていない。それと共に、高脂血症をはじめとした成人病対策は、日本人同様必要である。Zungの抑うつ尺度を用いた調査は、当事業所の定期健康診断が春期に実施されている関係上、今後、調査を開始する予定である。
著者
大家 寛 大林 辰蔵
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.959-972, 1966-07

ジャイロ周波数およびプラズマ周波数を含む周波数範囲でプラズマインピーダンスを掃引測定する新しいプラズマプローブとしてジャイロプラズマプローブを開発した.理論的に電子ジャイロ共鳴,シース共鳴およびハイブリッド共鳴の存在を予測していたが,まず1965年7月27日1210 JSTに発射されたK-9M-13号ロケットによる実験でシース共鳴とハイブリッド共鳴を含むジャイロプラズマプローブのデータが得られ,理論を一部実証した.特にハイブリッド共鳴周波数から正確な電子密度分布が得られた.続いて1965年10月4日に発射されたK-9M-14号ロケットによる実験では測定周波数を1.15Mcと5.01Mcの二つに固定して,共鳴の基本的な性質を観測した.その結果ジャイロ共鳴の存在を実証するとともに,ハイブリッド共鳴がイオンシースの存在およびプローブの磁場となす姿勢に無関係に定まることがわかり,これを電子密度測定に応用した場合に精度の高い結果が得られることが確認された.
著者
杉林 信義
出版者
日本大学法学部法学研究所
雑誌
法学紀要 (ISSN:02870665)
巻号頁・発行日
no.7, pp.147-203, 1965-08
著者
佐竹 純二 小林 亮博 平山 高嗣 川嶋 宏彰 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.491, pp.137-142, 2008-02-14
被引用文献数
7

本研究では,大型ディスプレイを用いた情報提示システムにおいて,ユーザの顔や視線の方向を推定し,ユーザの興味や反応を認識することで,コンテンツをインタラクティブに制御することを目指している.カメラ画像のみを用いた視線推定法では,視線を虹彩中心と眼球中心を結ぶ直線として求める方法が一般的であるが,目領域の解像度が低いために誤差の影響が大きかった.そこで,高解像度カメラ(UXGA 30fps)を導入し,角膜による屈折を考慮した詳細な虹彩形状モデルを用いて,より高精度に視線を推定する方法を報告する.
著者
小林 尚司 西口 真嗣 大塩 哲視
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告 農業編 (ISSN:13477722)
巻号頁・発行日
no.57, pp.37-43, 2009-03

レタスビッグベイン病の防除対策として耐病性品種や開発した各種の防除技術について、どの程度の被害軽減効果があるかを表すため、階級別収量から求めた粗収益に基づく評価を試みた。1.試験1.耐病性品種の評価。2007年10月2日に播種し、育苗した苗を10月31日に現地汚染圃場に定植し、2008年2月13日に収穫調査を行った。発病株率は、慣行品種の「サントス2号」が90%以上の高い値を示す中、「T-0570」、「05-218」、「安濃2号」、「A608」、「TE-236」、「パシフィック」は30%未満の値を示し耐病性が強かった。球の肥大性は、「T-0570」、「TE-236」、「UC-021」、「YL219」、「安濃2号」、「A608」で球重が400g以上、推定体積が1,400cm3以上と優れた。球の形状では、「T-0571」、「LE293」、「05-218」が秀品率70%以上と高かった。収穫物を出荷基準により品質・大きさ別に分類し、市況より求めた各階級別の単価を乗じ算出した粗収益は、「YL219」が50.7万円、「TE-236」が44.6万円、「05-218」が38.6万円、「安濃2号」が37.0万円であった。2.試験2.防除技術の組合せの評価。「サントス2号」の慣行栽培では発病株率98.9%、収穫株率76.7%、結球重383gとなり粗収益は30.3万円であるのに対し、定植時のチオファネートメチル水和剤処理では発病株率73.0%、収穫株率90.0%、結球重416gとなり粗収益は40.2万円と約10万円増加し、定植前にカーバムナトリウム塩液剤処理を行うと発病株率0%、収穫株率100%、結球重533gと優れ、粗収益は64.1万円と最も高くなった。3.以上より、粗収益に基づく評価法は、耐病性品種では、実用性の高い品種の選定が可能となり、防除技術の組合せでは、投入した資材費に対する効果の比較が可能となり、開発した技術の普及性の評価に有効であると考えられる。
著者
小林 博仁 熊谷 仁平 大野 俊一 酒井 真人 平野 美和 手島 伸一 井上 滋彦 河村 毅
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.462-465, 2005-03-20
参考文献数
14

症例は81歳男性.1999年1月14日に排尿困難を主訴に当科受診.経直腸的超音波検査上, 前立腺に接して長径4cmの多房性嚢胞を認めたが, 本人精査希望せず放置していた.2002年8月頃より排尿困難が悪化, 尿閉となり精査目的に9月10日入院となる.RUG, DIPで膀胱, 前立腺部尿道の左側への圧排を認め, CTでは骨盤内に径12×7cmの多房性嚢胞を認めた.その他に骨盤MRI, リンパ管シンチ, 精管造影, 注腸造影等施行するも, 骨盤内嚢胞の由来は確定できなかった.PSA 3.7ng/ml, CEA 1.2ng/mlと正常であったが, CA19-9は111.4U/mlと高値であった.排尿状態改善のため10月1日骨盤内嚢胞摘除術施行.病理組織診断は前立腺嚢胞性腺腫であった.術後排尿状態は良好となり, 現在外来経過観察中である.
著者
小川 純平 林田 亘平 中山 雅人 森勢 将雅 西浦 敬信 山下 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.47, pp.167-172, 2012-05-17
参考文献数
10

近年,高齢者を狙う悪質犯罪の増加に伴い,家族が遠隔地から高齢者の危機的状況を確認するために環境音を利用した異常検出システムが注目されている.従来,環境音識別において,環境音を音の種類ごとに分類して音響モデルを構築し,その音響モデルにより環境音を識別する手法が用いられてきた.従来法では,非日常音に対しても日常音と同様に個々に音響モデルを構築している.しかしながら,非日常音は,観測可能なサンプル数が少ないため,音響モデルの学習が不十分だという問題と類似音の識別が困難であるという問題が存在する.また,従来法では残響の存在しない音(ドライソース)を学習環境音として用いていたため,残響下の環境音を頑健に識別することが困難であった.そこで本研究では,非日常音を高精度に識別するためにマルチステージ非日常音識別法を,残響下の環境音を高精度に識別するために模擬インパルス応答を用いた残響マルチコンディションモデルを提案する.
著者
中野 泰志 佐島 毅 小林 秀之 氏間 和仁 永井 伸幸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

拡大教科書を選定するための評価方法は確立されておらず、適切な教科書の選択がなされていない。そこで、拡大教科書を利用する際の諸条件が読書の効率に及ぼす影響を明らかにした上で、拡大教科書選定支援のための検査バッテリーを試作した。また、試作した検査バッテリーの有効性を検討するために、試用調査を実施した。さらに、本検査バッテリーを非専門家が簡便に利用できるようにするためのマニュアルを作成し、拡大教科書を利用している弱視児童生徒の担任教員に配布した。
著者
井上 吉世 石津 日出子 伊藤 知子 大鹿 淳子 梶本 五郎 竹井 よう子 高村 仁知 中原 満子 西池 珠子 林 淑美 原 知子 深見 良子 福井 広子 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 夜久 富美子 湯川 夏子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.299-304, 2003-08-20
参考文献数
17
被引用文献数
3

A collaborative study was designed to examine the applicability of a sensory evaluation to determine the life span of frying oil. Soybean oil was heated at 170℃ in an electric fryer. Two types of food, chicken fillet and potato, were deep-fried with or without breaded batter every 15 min. Frying was continued until the flavor score of the oil had dropped to 3. A sensory evaluation of the frying oil and each fried food was then carried out. The life span of the frying oil to reach the flavor score of 3 was slightly longer with breaded batter than without using the batter coating. The color of the frying oil did not exhibit any degradation, especially when potato was fried. It was difficult to judge the degradation by the appearance of each fried food coated with breaded batter. However, the flavor score of the frying oil corresponded to the flavor score of the fried foods coated with breaded batter. The flavor and taste of the foods fried in the oil with a flavor score of 3 were not good. These results suggest that the flavor score of frying oil is useful to determine the life span of frying oil when a breaded batter coating is used.
著者
高元 政典 山田 直之 小林 康弘 野中 久典 大越 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.2075-2082, 1994-10-25
参考文献数
12
被引用文献数
4

工業プラントの建設工程計画作成では,各作業単位に必要な資源量から算出する毎日の必要総資源量の変動やピークはできるだけ小さい方が望ましい.縦軸に必要総資源量を,横軸に時間をとり,必要資源を山積みで表すと,必要総資源量の変動やピークの最小化はその山積みの平準化に相当する.この山積みの平準化には,平準化に伴い単調増加または減少する関数を目的関数として各作業単位の開始日を決定する最適化問題を効率的に求解する必要がある.しかし,工業プラントの建設は,作業単位が100以上,建設に要する全期間が1,000日以上と大規模な場合が多く,上記最適化問題の大域的最適解の求解は困難である.また近似解法であってもその求解効率が問題となる.そこで,本研究では,必要資源量の山積みの平準化を目的とした大規模最適化問題に対し,近似解を高速に求解するアルゴリズムを開発した.本アルゴリズムは,最適化問題を定式化した0-12次計画問題に対し,平準化のために設けたピボット変数選択規則によるピボット操作を繰り返して準最適解を高速求解する.本アルゴリズムを実際の工業プラントと同規模の例題へ適用した結果,よい近似解を数分(計算機性能:28MIPS)で得るこができ,アルゴリズムの有効性を確認した.