著者
田中 健 外山 史 東海林 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.82, pp.43-48, 2001-08-04
被引用文献数
2

本論文では、作曲を、データベースにある曲のリズムと音高パターンの最適な組合わせを見つける最適化問題とみなし、これを遺伝的アルゴリズム(GA )を用いて解く手法を提案する。データベースには、起承転結のような構造の分かりやすい曲(童謡、唱歌など)を格納した。そして、別々の曲のリズムと音高パターンを小節ごとに組み合わせてできた曲をGA の評価対象とした。提案した手法により曲を生成した実験結果を示す。In this paper, we regard an automatic composition as an optimization problem which finds an optimum combination of rhythm and pitch transition patterns in the database. We selected the pieces of music that are simple in structure from the children's songs, the ministry of education songs, etc., and we stored them into the database. The fitness function of a GA evaluates the composed pieces of music that are sequences of the combination of rhythm patterns and pitch transition ones taken from the database in each measure. The pieces of music composed by the proposed method are shown.
著者
長松 康子 田代 順子 菱沼 典子 松谷 美和子 及川 郁子 麻原 きよみ 平林 優子 大森 純子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.62-67, 2007-06

ボランティア活動の一領域である海外ボランティアに焦点をあて,サービスラーニングカリキュラム作成に必要な情報と支援策について資料を得るため,タイ国でのボランティア活動に参加する看護学生が直面する困難と,その解決のために有効な情報や支援,および,海外ボランティア受け入れ担当者が望む情報・支援について調査を行った。調査は,タイ国ボランティア活動に参加したA看護大学4年生8名に対し,活動終了後にフォーカスグループディスカッションを,タイ国B大学看護学担当教員4名に英語によるアンケートを実施した。ボランティア活動は,タイ中心部のスラム地区の小学校スクールナース活動,在宅ケア,デング熱キャンペーン,ナースクリニック,孤児院で実施された。事前準備として,タイの文化・習慣・宗教,ヘルスシステムや健康問題,基本的なタイ語挨拶などを実施し,それらは概ね役立った。しかし,それでも学生は(1)文化・言語:道に放置されるゴミや野犬,スタッフの説明が理解できない,(2)ボランティアとしての参加の仕方:見学だけか,ケアしてもよいのか,(3)心理面:孤児との別れの辛さ,異文化生活における精神的疲労,(4)看護ケア:日本と異なる方法,などの困難を経験していた。これらに対しては現地で,日々の振り返り,学生同士のディスカッション,教員やスタッフによるスーパーバイズなどの支援を行い,有効であった。一方,現地担当者は,スケジュールや食事に対する学生の要望や学生の看護知識・技術についての情報を求めていた。さらに,事前学習の指導や現地での学生の支援を日本の教員に期待していた。これらは,サービスラーニングで提供する海外ボランティア活動の情報に反映することが可能であると考える。
著者
小林 邦和 大林 正直 呉本 尭
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,先ず他者の状態や行動の予測を行う状態・行動予測モデル,他者の行動政策の推定を行う政策推定モデル,他者の行動意図の推定を行う意図推定モデル,複数の感覚刺激の中から特定の刺激のみに着目する注意生成モデル,ヒトの情動を模倣した情動生成モデルをそれぞれ構築した.次に,それらのモデルと学習・推論システムを統合し,マルチエージェントシステムにおける協調行動の創発を指向した脳情報処理模倣型統合システムを開発した.同時に計算機シミュレーションとロボット実験により,本システムの性能評価を行った.なお,成果は,学術論文23編,学会発表(国際会議,国内会議)69編,図書6冊として公表した.
著者
栗林 一彦
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

III-V族化合物半導体の溶液成長過程においてしばしば見られる巨大ステップ(マクロステップ)はドーパントの偏析をもたらす等により、結晶の品質を著しく損なうことが指摘されている。本研究は、赤外線を観察光とする顕微干渉計を用い、III-V族半導体であるGaPの溶液成長過程をリアルタイムで観察し、マクロステップの形成に関する液相中の温度勾配、流れ等の影響から、成長面形態の安定性に関する知見を得ることを目的としている。本年度は、上記リアルタイム観察から求めたマクロステップ間隔λを拡散支配モデル及び濃度境界層モデルによる計算と比較し、液相中の流れによる撹拌の影響の検討を行なった。西永らによる拡散律速型の界面安定性理論を、液相中の流れの効果を取り入れた濃度境界層モデルに拡張すると、λは2π√<DC_<e0>τ_D/C_sR(t)><^^-λ<^^-2π√<3DC_<e0>τ_D/C_sR(t)>で与えられる。ここでC_<e0>は曲率が0の時の液相中の平衡溶質濃度、C_sは固相中の溶質濃度、τ_Dはキャピラリー定数、Dは拡散係数、R(t)は成長速度である。λ、R(t)はそれぞれ明視野像、干渉縞像から求めた。これらの実測値は上記の関係を満たした。このことは、マクロステップの拳動は西永らの界面安定性理論でかなり良く説明できることせ示すものといえよう。また上部を冷却、下部を加熱すること等により液相中に積極的に流れを生じさせた場合、λは小さくなること、さらには、ステップクーリング及びニアクーリング法のいずれの場合もマクロステップが発生・発達したのは対照的に、適当な正の温度勾配がマクロステップの発生を抑制することが確認された。この結果は、温度勾配の付加が流れの抑制及び界面の安定化をもたらすことを示すものである。
著者
小林 喜雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7-8, pp.376-382, 1957-11-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Some specimens of the sablefish, Anaplopoma fimbria (PALLAS), were collected by a larva net, from aboard the training ship “Oshoro Maru” of Hokkaido University, in 1955 and 1956. The results obtained from observations on these samples revealed the following facts. 1. Sixteen specimens of larvae and youngs of the sablefish were collected from nine stations of the sea off the Aleutian Islands. 2. These specimens were collected from July 8th to August 13 th, in two successive years. They were 11.3-30.2mm in total length. The minimum specimen of 11.3mm was collected on-July 8th, and the maximum one of 30.2mm on August 13 th. 3. The rate of increase of head is about 0.3mm to 1mm in total length. Head length is about 24% of total length in the specimen of about 20mm overall length. Anus takes the place nearly in the middle of body, and the increase of the distance from the tip of snout to anus is about 0.5mm to 1mm in total length. 4. The minimum specimen of 11.3mm in total length has larval fin form, but in the speci-men of about 18mm in total length, fin rays have developed in the second dorsal and anal. At the stage of ca. 22mm in total length, fin rays are developing in the first dorsal fin, and number of fin rays of the second dorsal, anal and pectoral fins have reached their full number. The ventral fin developed when specimen reached about 18mm, rays were ascertained at ca 25mm, and their full number was attained at about 30mm in total length, respectively. Fin rays of the first dorsal reach the full number at maximal total length of 30.2mm, but they are of unfinished form. 5. Body color is blackish-brown, and becomes darker as the specimen grows older. Espe-cially, the latter half of pectoral fin turns jet-black; this is a distinguishing trait.
著者
赤瀬 信吾 田中 登 藤本 孝一 鈴木 元 小林 一彦 岸本 香織
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

冷泉家時雨亭文庫の蔵書のうち冷泉家時雨亭叢書(朝日新聞社刊)未収録のもの約500点を詳細に調査した。そのうち77点については『新古今和歌集 打曇表紙本 風雅和歌集 春夏』をはじめとする16巻に分けて刊行した(現在も刊行中)。また、特に注目される擬定家本私家集(定家書写本の様式をまねて作成された写本群)については、和歌文学会関西例会においてシンポジウムを催した。これは、鎌倉時代中期から後期にかけての歌書が、どのように作成されていったのかを克明に研究する方法とその意義とを明確にする画期的なシンポジウムとなった。
著者
奥田 泰雄 桂 順治 藤井 健 林 泰一
出版者
Japan Association for Wind Engineering
雑誌
日本風工学会論文集 (ISSN:13493507)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.69-80, 2000-01-31
被引用文献数
2

Meteorological elements on the Tyhoon 9807(Vicki) were investigated with the weather observation network at fire stations in the Kinki and Chubu districts. There were 4 areas in Wakayama, Nara and Mie, where the daily maximum instantaneous wind velocities exceeded 50m/sec. At Tanabe City in Wakayama the daily maximum instantaneous wind velocity was measured almost simultaneously with the minimum atmospheric pressure. In the other areas the max instantaneous wind velocity was measured almost one-hour after the daily minimum atmospheric pressure occurred. The other meteorological elements on the ground in Typhoon 9807, temperature, humidity, precipitation and pressure, were measured in detail with the weather observation network at fire stations.
著者
松本 淳 久保田 尚之 藤部 文昭 林 泰一 山本 晴彦 財城 真寿美 寺尾 徹 村田 文絵 高橋 幸弘 山下 幸三 赤坂 郁美 遠藤 伸彦 森 修一 釜堀 弘隆 高橋 洋 山根 悠介 大塚 道子 遠藤 洋和
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本を含むアジア諸国における紙媒体や画像での日降水量データや台風経路等をデジタル化したデータセットを作成し、モンスーンアジア域における降雨強度の長期変化を解析した。その結果、日本では1930年以降、東北日本を中心に降雨強度が大きくなっていた。フィリピンでは1950年以降の夏季には強雨の増加傾向が、冬季には西海岸で乾燥の強化傾向がみられた。1940年代以前の傾向はこれらとは異なり、近年の変化傾向は数十年スケールでの変動の一部とみられる事、エルニーニョと地球温暖化の影響の両方の影響を受けている可能性が高い事がわかった。中部ベトナムでも近年の傾向と1940年以前の傾向に違いがみられた。
著者
林 誓雄
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.63, pp.249-263_L14, 2012 (Released:2012-10-16)
参考文献数
16

Hume insists that the rules of justice are established by a convention, that is, ‘a general sense of common interest’, not by our ‘promise’ or ‘consent’ as the social contract theory advocates. Nonetheless, Hume's theory is sometimes regarded as a kind of social contract theory. Furthermore, Hume is often interpreted as a kind of utilitarian, since he says that utility is the chief foundation of justice. One of the reasons why such interpretations arise, in my view, is that Hume uses the words ‘interest’ or ‘utility’ very ambiguously in his arguments. Because of this ambiguous usage, it is difficult for us to understand clearly the specific contents of such phrases as ‘common interest’, ‘public interest’, and ‘public utility’. As the result, the readers of Hume's works are put into confusion. In this paper, I attempt to clarify what Hume means by these terms in order to resolve this problem. First, considering the relation of ‘common interest’ and ‘public interest’, I maintain that they are different kinds of interest. Second, I turn to consider what Hume means by ‘public interest’. In considering ‘public interest’, I draw attention to the distinction of societies which Hume makes: the distinction between a small society (such as the family) and a large one. Given this distinction, we will see that there are two kinds of ‘public interest’: one applicable to a small society and the other to a large one. Finally, I show that what Hume means by ‘public utility’ is not ‘public interest’ but ‘the common interest’ by which we human beings establish the rules of justice.
著者
小林 幹男
出版者
長野女子短期大学出版会
雑誌
長野女子短期大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.11-30, 1999-12-21

五街道宿駅の役割は、公用通行者に人馬を提供し、継ぎ立てを行うこと、および幕府などの公用通行者や参勤交代の諸大名、公家・公卿などの貴人らに休息・宿泊の施設を提供することであった。江戸時代の宿駅の負担は、幕末期に向かって年々増加するが、助郷村の負担もこれに伴って必然的に増加し、宿駅と助郷村との紛争も各地で頻発した。幕末期に街道通行が増加した原因は、幕府などの公用旅行者の増加と経済の発達に伴う商品流通の拡大であったと考えられる。文久元年(1861)の皇女和宮下向の大行列と文久2年の幕政改革に伴う翌3年の通行量の増加は、幕末期の宿駅と助郷村の負担の増加の中でも特筆に値する。「和宮様の御通行」といわれる大行列は、京方1万人、江戸方1万5千人といわれ、文久元年10月20日辰刻に京の桂宮邸を出発し、11月14日に板橋宿に到着して、翌15日に無事江戸に入った。和宮下向の大行列の特色は、きわめて短期間に8万人もの人馬・調度が街道を通行し、宿駅と助郷村に大きな負担を課したことである。また、文久3年の人馬の通行は、長久保宿の場合、文久元年の人足総数が22,693人、馬8,412疋であったのに対して、文久3年の通行は、大名家の妻子などが国許に帰るものが多く、人足総数47,507人、馬9,439疋を数え、春から秋にわたって街道を通っている。和宮下向の人馬・調度の継ぎ立てのために、中山道八幡宿に動員された助郷村は、定助郷佐久郡28か村、当分助郷小県郡14か村、更級郡14か村、埴科郡8か村、新規当分助郷佐久郡4か村、小県郡6か村、遠国新規当分助郷甲州八代郡72か村、越後国蒲原郡64か村と記され、合計120か村(清水岩夫1998 史料16)の村々に助郷が割当てられている。このとき八幡宿と塩名田宿は、岩村田宿・小田井宿と合宿(組合)になって和宮の大行列を次の宿泊地である沓掛宿まで継ぎ通しを命ぜられた。また、下水内郡栄村の市川家に伝わる文書(現在県立歴史館に寄託)によれば、北信濃の高井19か村が岩村田・小田井両宿に助郷を命ぜられている。この奥信濃ともいわれる村々から追分宿へは、飯山・迫分間がおよそ100キロである。この距離に飯山から奥信濃の各村々への道程を加えれば、少なくとも片道2泊3日以上の行程になるであろう。また、「野沢温泉村史」によれば高井郡37か村が、追分・沓掛・軽井沢の浅間3宿に助郷を命ぜられたと記されている。この北信濃関係の調査は、まだ不十分であるが、その実態を探ることは、和宮下向と北信濃の農村の助郷問題を考え上で重要である。本稿では和宮の下向と北信濃の高井郡各村の助郷問題と共に、近世における奥信濃の街道交通の問題も合せて推考し、遠隔地の助郷に関連する助郷村と農民の負担の問題も考察することにした。
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.243-248, 1995-02-10
被引用文献数
3

播種日の違いがイチビの開花と種子生産に及ぼす影響を調査するため,1993年に,熊本県西合志町の九州農業試験場の圃場において試験を行った。試験区は,播種直前に化成肥料でN,P_2O_5,K_2Oをそれぞれ1kg/a施肥し,試験区内に畦を長さ50cm, 畦間50cmで3本設け,4月21日,5月19日,6月21日,7月13日,8月23日,9月16日10月19日および11月23日に,イチビ種子を10cm間隔で播種深度1cmで10粒ずつ播種した。種子は,4月播種区から10月播種区までが出芽し,4月から8月播種区は播種2日または3日後には速やかに出芽した。これらのイチビ実生を播種4週後に15個体/区,さらに播種8週後に9個体/区の密度に間引きし,この15または9個体の開花と種子生産を調査し,播種月ごとに比較した。1)供試個体は,4月播種区から8月播種区までが開花し,播種から開花までに要した日数は,4月播種区で88.0日で最大となった。以後,播種期を遅らせるのに伴い減少し,7月播種区が44.6日で最小となったが,8月播種区ではやや増加した。また,開花開始時の草丈および葉齢は,4月播種区が最大であり,播種区を遅らせるのに伴い減少し,8月播種区で最小となった。このように,イチビの開花は強い短日性を示した。2)供試個体は,4月播種区から7月播種区までが種子を生産した。播種から種子生産開始までに要した日数は,4月播種区が97.0日で最大となり,播種日を遅らせるのに伴い減少し,7月播種区が63.4日で最小となった。種子生産量は,4月播種区が2,214個/個体で,他区に比較して著しく大となり,7月播種区が424個/個体で最小となった。種子100粒重は866mgから993mgの範囲となり,4月および7月播種区では,5月および6月播種区より大であった。3)これらの結果から,九州では,春から初夏にかけて出芽したイチビは,開花の短日性により種子を効率的に生産することが明らかになった。
著者
小林 昭博
出版者
関西学院大学
雑誌
神學研究 (ISSN:05598478)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1-14, 2006-03-20