著者
小林 博志
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.61-85, 2021-02-15 (Released:2022-03-10)
参考文献数
21

本稿では、農協婦人部の機関誌的存在である雑誌『家の光』を通し、第一次ベビーブームの親世代に着目して、高度経済成長期の農村社会における学歴アスピレーションの高まりについて考察する。一九五〇年代からの生活改善運動の展開と、一九六〇年代のテレビ普及を背景に、家族計画を一つの契機として教育への関心が高められ、その関心は子どもの成長と共に学歴取得へと向けられる。兼業化の加速による農外収入の増加と、テレビ普及による近代家族的価値観の浸透によって、工業製品の普及だけでなく、高卒という学歴も都市と同様に取得され、農村の都市化が進展する。これにより、消費財という「モノ」だけでなく、学歴という「経歴」も一般化していく。それは、都市と農村が共有しうる、「人並み」という生活水準意識の一端が形成されていく過程でもある。
著者
林 哲也 酒井 智彦 塩崎 忠彦 廣瀬 智也 村井 勝 大浜 誠一郎 上田 宜克 越智 聖一 大西 光雄 嶋津 岳士
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.527-531, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
9

救急活動における傷病者の観察では,経皮的血中酸素飽和度(pulse oximetric saturation,以下SpO2)が測定不能な場合がある。救急現場における脳内局所酸素飽和度(regional saturation of oxygen,以下脳内rSO2)の有用性の検討を開始したところ,状態の悪化がとらえられたと考えられる1 例を経験したので報告する。症例は40代女性。救急隊接触時,意識レベルJapan Coma Scale(JCS)-3,心拍数160回/ 分,SpO2は測定不能であった。 しかし,脳内rSO2は64%と低値を示し,病院到着時までに意識レベルがJCS-10に低下し,脳内rSO2も病院到着までに59%へ低下するのが確認できた。救急現場においてSpO2による傷病者のヘモグロビンの酸素飽和度を評価できない場合,脳組織のヘモグロビンの酸素飽和度を評価することは有用であると考えられた。
著者
中塚 武 木村 勝彦 箱崎 真隆 佐野 雅規 藤尾 慎一郎 小林 謙一 若林 邦彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

全国の埋蔵文化財調査機関と協力して、年輪酸素同位体比の標準年輪曲線の時空間的な拡張と気候変動の精密復元を行いながら、酸素同位体比年輪年代法による大量の出土材の年輪年代測定を進め、考古学の年代観の基本である土器編年に暦年代を導入して、気候変動との関係を中心に日本の先史時代像全体の再検討を行った。併せて、年輪酸素同位体比の標準年輪曲線(マスタ―クロノロジー)を国際的な学術データベースに公開すると共に、官民の関係者への酸素同位体比年輪年代法の技術一式の移転に取り組んだ。
著者
後藤 拓朗 村田 尚道 前川 享子 神田 ゆう子 小林 幸生 森 貴幸 宮脇 卓也 江草 正彦
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.209-216, 2013-12-31 (Released:2020-05-28)
参考文献数
29

【目的】カプサイシンは赤唐辛子に多く含まれる成分で,嚥下反射の促進効果が認められている.咽頭の知覚神経からサブスタンスP(以下SP)を粘膜中に放出させ,SP濃度が上昇することによって反射が惹起されやすくなるとされている.現在,嚥下障害のある患者が容易に摂取できるように,フィルム形状のオブラートにカプサイシンを含有させたカプサイシン含有フィルムが市販されている.しかし,摂取後の嚥下反射促進効果については,十分検討されていない.そこで,本研究では,カプサイシン含有フィルム摂取後の嚥下反射と咳嗽反射への効果,および唾液中SP 濃度への影響について検討した.【方法】対象は,20 歳から40 歳までの成人男性(17 名)とした.カプサイシン含有フィルム(カプサイシン含有量1.5 μg/枚)とプラセボフィルムを用い,クロスオーバー二重盲検法にて行った.フィルムを摂取する10 分前の安静時の値を基準として,摂取後10 分ごとに6 回の嚥下反射および咳嗽反射を評価した.嚥下反射の評価として,簡易嚥下誘発試験による嚥下潜時を測定した.咳嗽反射の評価は,1% クエン酸生理食塩水を用いて咳テストを行った.さらに,摂取前10 分,摂取後10,20 分に唾液を採取し,ELISAキットにて唾液中SP 濃度を測定した.プラセボフィルム摂取時の値をコントロール群,カプサイシン含有フィルム摂取時の値をカプサイシン群として,両群を比較した.統計学的分析はFriedman test およびWilcoxon の符号順位和検定を用いて行った.【結果】カプサイシン群では,摂取前と比較して摂取後40 分で嚥下潜時の短縮を認め,コントロール群では差は認められなかった.また,コントロール群と比較して,カプサイシン群は嚥下潜時が摂取後20,40 分で有意に低値を示していた.その他の時間および他の評価項目では,有意差を認めなかった.【結論】カプサイシン含有フィルム摂取により,嚥下反射の促進効果が,摂取後40 分に認められた.
著者
福田 美絵子 來村 昌紀 隅越 誠 小林 亨 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.204-211, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
9

麗澤通気湯は『蘭室秘蔵』収載の方剤で副鼻腔炎との関連が推測できる諸症状を改善する事が知られている。先にわれわれは,本方剤が奏功した常習頭痛,気管支喘息,気管支アミロイドーシスの3症例を報告した。本稿は副鼻腔炎を合併した,月経前症候群,頭痛,食欲不振,手指知覚障害,咳嗽を主訴とした5症例に対し,副鼻腔炎を目標に本方剤を単独,あるいは補助的方剤との併用を行い,本方剤の証を明確にすることを試みた症例の報告である。
著者
高林 裕 福井 亘 藤原 春奈
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.157-160, 2021-08-31 (Released:2021-12-29)
参考文献数
11

本稿では,様々な施設を内包する総合公園である京都市の梅小路公園を調査対象地として,様々な利用目的を持って訪れる利用者における公園の満足度や緑への関心を明らかにした。梅小路公園の無料区域内で対面でのアンケート調査を実施し,204の標本を得た。その結果,梅小路公園は京都市内のみならず市外の人々によっても利用され,「自然の豊かさ」や「広々とした空間」に関して満足度は高い結果が得られた。印象評価の結果,16形容詞対の平均値が全て正の値を示したことから,利用者が梅小路公園に比較的良い印象を持っており,利用者は施設の利用のみならず公園内の緑とのふれあいにも関心を持って訪れていることが明らかになった。
著者
岡田 美穂 林田 実
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.163, pp.48-63, 2016 (Released:2018-04-26)
参考文献数
16

本研究は,①「あの喫茶店にコーヒーを飲む」のような誤用がどのような用法の「に」と動作場所を表す「で」の混同によるものであるかに焦点を当て,日本語学習者の「に」と「で」の習得の様子を探ったものである。まず,①の「に」を用いるという中級レベルの中国語話者計47人に対し翻訳調査などの予備調査を実施した。次に,日本語能力試験のN2に合格している中国語話者49人に対し「あの食堂(に・で・を・から)食事する」のような格助詞選択テスト式の調査を行い,49人の内10人にフォローアップインタビューを行った。回帰分析の結果,①の「で」→「に」は移動先を表す「に」と動作場所を表す「で」の混同による可能性があることが分かった。日本語学習者の習得は「場所への移動がある」と判断された場合に①の「に」が産出されるという段階を経て,その後,移動先を表す「に」と動作場所を表す「で」を正しく用いる段階に至るのではないかと考えられた。
著者
林 真範 太田 郁
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-195, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
27
被引用文献数
4

【目的】屋内歩行自立が予測される脳卒中片麻痺患者の歩行自立までの期間を予測すること,および交差妥当性を検証し臨床応用が可能か検証すること。【方法】対象は脳卒中片麻痺患者60 名。回復期リハビリテーション病棟入棟時の評価項目を用い,病棟歩行自立までの期間を目的変数とする重回帰分析を行った。得られた重回帰式を用い,入棟時期が独立した脳卒中片麻痺患者19 名で歩行自立までの予測日数と実測日数の有意差を確認し,交差妥当性を検証した。【結果】重回帰式の説明変数として下肢12 段階片麻痺回復グレード,Motor Functional Independence Measure が採択された。入棟時期が独立した集団を用いて予測日数と実測日数を比較した結果,有意差を認めず高い相関を示したことから,当該病院の対象においての交差妥当性が支持された。【結論】当該病院における歩行自立までの重回帰式の構築と臨床応用は可能であることが示唆された。
著者
若林 宏保 中村 祐貴 徳山 美津恵 長尾 雅信
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.13-21, 2021-02-26 (Released:2021-02-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

人口減少に喘ぐ地方都市は,人々との関係性を育むためにブランド戦略の再構築が求められている。その基となるブランド力指標の多くは,都市の相対的な位置付けを把握するには適するものの,人々を引きつけるブランド・ストーリーを導くような意味構造の把握は難しい。本研究ではその課題解決のために,都市に対する行動意向と意味構造の調査を実施し次の分析を行った。まず,従来の地域ブランド指標に関係人口の概念を包含し,都市への行動意向の指標化を試みた。因子分析によって3つの行動意向(生活因子,体験因子,貢献因子)を導出した。次に3つの因子の平均因子得点から階層的クラスター分析を行い,都市のイメージ連想を4つに類型化した。それぞれリッチ・ストーリー型,ユニーク・ストーリー型,コモディティ・ストーリー型,ノン・ストーリー型と命名した。最後に各クラスターにおける意味構造の特徴を「ワードの数」「ワードの意味」「意味や文脈の構造」の3つの観点から捉え,戦略的示唆を提示した。研究の展望では,外的妥当性とブランディングの有効性を高める方途について言及した。
著者
小林 元樹
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.9-17, 2021 (Released:2022-07-26)
被引用文献数
1

ここ十年ほどで急速に進展した環形動物の高次系統に関する研究を,陸域の研究者向けに概説した.最近の研究か ら,環形動物門は初期に分岐したいくつかの系統と,遊在類および定在類(貧毛類やヒル類を含む)としてまとめられる系統からなることが分かっている.この系統関係は,既存の高次分類体系と合致せず,分類体系の大幅な見直しが必要であることが示されている.しかし,新しい分類体系はまだ提案されていない.環帯類内部についても,高次の系統関係について理解が進んできているが,分類体系の整理は今後の課題となっている.近い将来,環形動物の系統関係に関する最新の知見に基づいて,包括的な高次分類体系の整理が行われることが期待される.
著者
竹林 由武
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.145-154, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
24

シングルケース実験デザイン(single-case experimental design: SCED)は、個人や集団に実施した介入の有効性評価に用いられる研究デザインの一つである。本稿では、SCEDの代表的な有効性評価法である視覚分析の概要と信頼性に関する問題を述べたうえで、視覚分析を補助する代表的な方法を解説する。具体的には、視覚補助を用いて構造化された視覚分析手法と統計指標を用いた方法について述べる。個人内効果の統計指標は、重複率に基づくTau系指標、フェーズ間の平均値差や対数反応比、回帰モデルに基づく方法を紹介する。個人間効果の統計指標として、階層線形モデルに基づく個人間標準平均値差や個人内効果指標のメタ分析的な統合手法を紹介する。最後に多様な統計指標から適切なものを選択するための指針を議論し、視覚分析と統計指標を簡便に算出できるソフトウェアやウェブアプリを紹介する。
著者
内林 政夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.126, no.12, pp.1341-1349, 2006-12-01 (Released:2006-12-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

An overview is presented on the reports available so far on sweet potato, Ipomoea batatas, cultivated widely in Polynesia in the pre-Columbian era, with reference to possible ways and presumptive dates of transfer from the Americas to Polynesia, such as (1) Polynesian navigators' travel to Peru, (2) Peruvian fishermen's drift westward, (3) vessel drift, (4) seed drift, (5) root-tuber drift, and (6) transport by birds. The author supports the case (1) as most plausible. Ganshu or Ganchu described in the old Chinese herbal books is identified as Dioscorea esculenta. An introduction of the tuber to China and Japan is briefly mentioned.
著者
横山 広樹 竹林 崇 花田 恵介 鈴川 理沙
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.494-501, 2022-08-15 (Released:2022-08-15)
参考文献数
15

通所リハビリテーションを利用する脳卒中慢性期の重度上肢機能障害例に対し,ボツリヌス療法と,Constraint-induced movement therapy(以下,CI療法)に準じた課題指向型練習やTransfer packageを併用して介入した.1回20分の介入を週2回,約1年間継続したところ,麻痺手の運動機能や使用頻度,痙縮の程度がいずれも測定誤差を超えて改善した.加えて,ボツリヌス療法における施注量が減少し,定期であった施注間隔も長くなった.低頻度であっても適切な介入を実施することで,慢性期の重度上肢麻痺を改善できる可能性が示唆された.
著者
林 日出男
出版者
The Japan Association of College English Teachers
雑誌
大学英語教育学会紀要 (ISSN:02858673)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.39-55, 2020 (Released:2021-04-01)
参考文献数
43

Drawing on the distinction between societal and educational motivations in L2 learning suggested by Gardner (2010) and extending this duality to learners’ perceived needs for English (PNE), this study explores the causal relationship involving dual motivation types and dual senses of need for English with EFL learners. Data collection from Japanese and Korean college English learners followed by SEM analyses (with 310 Japanese and 330 Korean participants) found that intrinsic reasons for learning English and societal PNE impact both societal and educational motivations significantly across the two groups. Educational PNE, in contrast, showed only negligible impact on either type of motivation, casting doubt on the motivational effectiveness of classroom-generated need for English. A subsequent multi-group SEM analysis found that intrinsic reasons play a significantly greater motivational role with the Japanese than with the Korean participants. The Korean participants, on the other hand, demonstrated a greater role of societal PNE than the Japanese counterparts. These are discussed to reflect the enjoyment-based English learning and teaching in the Japanese university and the relatively large social demand for English competence in Korean culture.
著者
北村 亜也 田中 啓 松島 実穂 松澤 由記子 谷垣 伸治 小林 陽一
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.101-105, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
13

産科出血は妊産褥婦死亡の主要な原因を占め,速やかな対応を必要とする.近年,子宮動脈塞栓術(UAE)は産科出血に対する治療法として頻用されているが,生殖能への影響は十分に評価されていない.産科出血に対するUAEが月経再開,妊孕性,妊娠合併症に与える影響について後方視的に調査した.産科出血に対してUAEを行った78例のうち,追跡できた53例の月経再開率は98.1%(52/53例)であった.月経再開した52例中,挙児希望があった15例のうち,11例が妊娠成立し,8例が分娩に至った.そのうち3例が前置胎盤となり,その全例で癒着胎盤を認め帝王切開同時子宮全摘術を実施した.本検討により,UAEは月経再開や妊孕性には概ね影響を与えないが,妊娠例では癒着胎盤の発生率を高める可能性があることが明らかになった.UAE後の妊娠については,ハイリスク妊娠としての慎重な管理と十分な患者説明が必要である.
著者
町田 昌彦 岩田 亜矢子 山田 進 乙坂 重嘉 小林 卓也 船坂 英之 森田 貴己
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.J20.036, (Released:2022-01-26)
参考文献数
53
被引用文献数
4

We estimate the monthly discharge inventory of tritium from the port of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (1F) from Jun. 2013 to Mar. 2020 using the Voronoi tessellation scheme, following the tritium monitoring inside the port that started in Jun. 2013. As for the missing period from the initial month, Apr. 2011 to May 2013, we calculate the tritium discharge by utilizing the ratio of tritium concentration to 137Cs concentration in stagnant contaminant water during the initial direct run-off period to Jun. 2011 and the discharge inventory correlation between tritium and 137Cs for the next-unknown continuous-discharge period up to May 2013. From all the estimated results over 9 years, we found that the monthly discharge inventory sharply dropped immediately after closing the seaside impermeable wall in Oct. 2015 and subsequently coincided well with the sum of those of drainage and subdrain etc. By comparing the estimated results with those in the normal operation period before the accident, we point out that the discharge inventory from the 1F port after the accident is not very large. Even the estimation for the year 2011 is found to be comparable to the maximum of operating pressurized water reactors releasing relatively large inventories in the number of digits. In the national level, the total domestic release inventory in Japan significantly decreased after the accident owing to the operational shutdown of most plants. Furthermore, 1F and even the total Japanese discharge inventory are found to be minor compared with those of nuclear reprocessing plants and heavy-water reactors on a worldwide level. From the above, we suggest that various scenarios can be openly discussed regarding the management of tritium stored inside 1F with the help of the present estimated data and its comparison with the past discharge inventory.
著者
山口 浩一 林 輝美 諸岡 成徳 高畠 豊
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.1294-1300, 1993-11-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
12

心エコー図,心音図を施行した3,255例を対象とし楽音様雑音(M雑音)を呈した93例について,心障害の形態,雑音の性質,音源の検索を行い,心疾患別の頻度を求めた.出現時相は83%(77/93)が収縮期にあり,従来まれとされる拡張早期雑音は8例に認めた.音源は,大動脈弁由来43例のうち31例(72%)が弁石灰化で, その他疣贅, 術後変化, 弁逸脱であり,僧帽弁由来26例中17例(65%)が弁の逸脱, その他弁輪石灰化, 疣贅, 術後変化, 弁輪拡大であった.三尖弁由来10例中1例は弁石灰化で,2次性閉鎖不全5例,ペーシングリードによるもの4例で,肺動脈弁由来は1例のみであった.M雑音の持続の長い(>100msec) 群と短い群(<100sec)に分けると, 長い群の周波数は205.4±46.4H zで短い群の266.3±58.2Hzより低値であった.M雑音の頻度は,全体で2.9%(93/3255)で,主な心疾患では,大動脈弁狭窄症14.3%(6/42),大動脈弁閉鎖不全症8.7%(14/161),大動脈弁石灰化例5.0%(16/320),僧帽弁閉鎖不全症6.3%(19/301),連合弁膜症3.1%(3/97)で,僧帽弁狭窄症は1例も認めなかった.先天性心疾患は,心室中隔欠損症の4.7%(2/43)のみで,その他,肥大型心筋症5.1%(6/117),ペースメーカー植え込み例10.5% (4/38)であった.M雑音は症例頻度が少ないため,これまで臨床的,統計的な検討がほとんど行われていない.今回,多数例を対象としM雑音を認めた全症例にわたって詳細に検討し,上記の結果を得た.
著者
大井 裕子 小穴 正博 林 裕家 相河 明憲 山崎 章郎 石巻 静代 鈴木 道明 近藤 百合子 山本 美和
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.346-350, 2009 (Released:2009-12-30)
参考文献数
12
被引用文献数
13 5

緩和ケア領域で経験する頭頸部がんや各種がんの皮膚転移, 非切除乳がんなどの体表部悪性腫瘍の出血に対しては, 有用な方法がなく止血に難渋していた. 今回われわれは, 中咽頭がん再発病巣から出血を繰り返し, 1日に5回前後の包交を必要としていた患者に対して, Mohsペーストを使用することにより著明な止血効果と滲出液やにおいの軽減が認められた症例を経験したので報告する. Mohsペーストは, 安価な材料を用いて院内調製が可能であり, その作用機序は主成分の塩化亜鉛が潰瘍面の水分によりイオン化し, 亜鉛イオンのタンパク凝集作用によって腫瘍細胞や腫瘍血管, および二次感染した細菌の細胞膜が硬化することによる. 本症例においてMohsペーストは, 予後の限られた患者が出血や滲出液, においに悩まされることなくQOLを維持するために効果的であった. 今後, 製剤の安定性や使用方法が確立され, 本法が普及することが期待される. Palliat Care Res 2009; 4(2): 346-350