著者
宮崎 和光 吉田 望 森 利枝
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.142, no.2, pp.117-128, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)
参考文献数
32

In 2017, it became mandatory for universities in Japan to disclose their policies in degree granting (Diploma Policy: DP, hereafter) that state standards to confer degrees. Meanwhile, since 1991, nomenclature of major fields that appear in diplomas has been the responsibility of individual universities, instead of the national regulation. This study examines whether the former reasonably evokes the latter, given that both of them are deemed to represent the learning outcomes that the graduate has obtained. In order to do so, we compared the ability of humans and that of a deep-learning system (which is based on the Character-level CNN), to match DPs and major fields that are randomly given. In the examination of human ability, which was implemented with a large enough number of participants to obtain statistically significant results, we found there were a certain number of DPs that the majority of people failed to match with major fields. Given this fact, we analyzed such DPs to demonstrate that the deep learning system shows a high success rate in sorting out the DPs that poorly evoke major fields.
著者
森本 あんり
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (キリスト教と文化) = Humanities: Christianity and Culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.42, pp.165-186, 2011-03-31

ニューイングランド社会は、本国で既存の体制に対する異議申立者だった人々がみずから体制の建設者となったという点で、またその建設の課題が政治体制と宗教体制との両方であったという点で、特筆すべき歴史的実験であった。その建設の途上では、バプテストやクエーカーに対する不寛容な一面が見られた。彼らの不寛容を現代の倫理感覚で批判することはたやすいが、本稿ではその不寛容に内在する論理を尋ね、これを本来の文脈の中で理解することを試みた。 アメリカにわたったピューリタンは、教会の設立ばかりでなく市民社会の設立に際しても、参加者全員による契約を求めた。コトンやウィリアムズは、世俗的であれ宗教的であれ権力はすべて民衆に由来すると論じており、ウィンスロップや植民地政府の特許状は、この原則に基づいて建設される社会が「閉じた集団」であることを明記している。地縁血縁を脱して自発的意志による社会を構成するというヴォランタリー・アソシエーションの原理は、ひとまずは閉鎖的な私的共同体を結果する。 さらにここには、中世的な寛容理解が前提されている。中世後期の教会法によれば、寛容とは相手を否定的に評価した上で「是認はしないが容認する」という態度を取ることであった。寛容は善でも徳でもなく、その対象は「より小さな悪」に他ならない。中世社会でこの意味における寛容の典型的な対象となったのは、売春とユダヤ教であった。 ニューイングランドでもこの理解が踏襲されている。教会と社会を自己の理念に則って新たに建設するという課題を前にした彼らは、異なる思想をもつ人々を受け入れる必要がなかったので、比較考量の上で当然のごとく不寛容になった。必要に迫られていないのに寛容になることは、真理への無関心であり誤謬の奨励である、と考えられていたからである。かくして中世社会とニューイングランド社会は、同じ中世的な寛容理解の評価軸に沿って、一方は寛容に、他方は不寛容になった。 だが、やがて変化が訪れる。1681 年にインクリース・マザーは、寛容が「必要な義務」ではあるが、「大きな船をバラストするのに必要なものは小さな船を沈没させてしまう」と記している。この発言には、なお消極的な態度ながら、実利を越えた原理的な善としての寛容理解が芽生えている。かかる変化の背景には、王政復古後の本国からの圧力という外在的な原因と、彼ら自身の世代交代という内在的な原因があった。かくして、「ゼクテ」として出発したニューイングランド社会は、ひとたび断念した普遍性を再び志向するようになり、人々の公的な社会参加を求める「共和国」となっていった。やがてアメリカは、寛容でなく万人に平等な権利としての「信教の自由」を新国家建設の基盤に据えて出発することになる。
著者
宇都宮 俊徳 森 秀樹 厨 平 奥 保彦 青井 渉 橋場 邦武 持永 俊一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.73-78, 1987-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

先天性左側全心膜欠損症の胸部X線写真,心電図,心エコー図の体位による変化を定量的に検討した報告はみられない.我々は,本症7例を正常対照と比較した.左側臥位での胸部X線写真の心胸郭比と心横径の増加や,心電図のRV5の変動幅は,本症で大であるが正常対照と重なりをみた.新しい指標の∑|δR|/∑R(|δR|は,胸部6誘導R波高の体位変動の絶対値, Rは仰臥位のR波高)は,本症と対照を鑑別できた.心エコー図の心室中隔奇異性運動は左側臥位で増強したが,正常対照や他の疾患では増強はなく,左側臥位での心室中隔の奇異性運動の増強は本症の診断に有用な所見と思われた.また,奇異性運動の程度(振幅)は,左室後壁の振幅と相関した.
著者
森田 浩之
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-48, 2012

本稿は、東日本大震災後にメディアに表れたスポーツにからむ「物語(ナラティブ)」を検証し、その功罪を検討する。<br> 「未曾有の国難」に沈む日本と被災地を、スポーツとトップアスリートが元気づける──そうした動きと思想は、まずヨーロッパでプレイするサッカー選手3人が出演するACジャパンの公共CMにみられた。「日本の強さは団結力です」「日本がひとつのチームなんです」という選手たちのせりふは何げないものに聞こえるが、そこには日本のメディアスポーツが語りつづけてきた物語が詰まっていた。<br> メディアが大震災と最も強く結びつけた大ニュースが、「なでしこジャパン」の愛称で知られるサッカー日本女子代表のワールドカップ優勝だった。ひとつは国家的悲劇であり、もうひとつは国民的慶事と、対照的にみえるふたつの出来事が、メディアによって強く接合された。なでしこジャパンは被災地から「元気」をもらったとされ、なでしこが世界一になったことで被災地も「元気」をもらったとされた。それらの物語はどのメディアをとっても均質的、類型的であり、東北出身の選手や東京電力に勤務したことのある選手には特別な役回りを担わせていた。しかもメディアが意図したかどうかにかかわらず、「あきらめない心」や「粘り強さ」といったなでしこジャパンの特徴とされるものは、3.11後の「日本人」に求められる心性と重なっていた。<br> このような均一化された物語の過剰は、「絆」ということばが3.11後のキーワードになることに加担した。被災地との「絆」がつねにあるかのように語られることで、現実には存在する非・被災地との分断が覆い隠されるおそれもある。
著者
森下 孟 谷塚 光典 東原 義訓
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.145-148, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

教育学部生の情報モラルを指導する力を育成するため,全国の保護者や教員,児童生徒にネット利用の啓発活動を行っている専任講師をゲストに招き,情報モラル教育実施のための実践的な指導法を考える授業を実践した.ゲスト講師による講演は,ネット上の様々なトラブルとその対策を議論することを通じて,学校教員を目指す受講生自らの情報モラルを振り返るきっかけとなり,受講生自身の意識の向上につながった.多くの受講生は,将来子ども達に情報モラルを指導するにあたってゲスト講師の講演が役立つだろうと評価した.そして,情報モラルに関する指導力を向上させ,情報モラルを指導することへの自信を持たせることにつながった.
著者
森山 一郎
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.101-118, 2016 (Released:2017-05-25)
参考文献数
21

小売業者主導の垂直的流通システムについては、これまで資本統合を伴わない管理型を中心に検討が進められてきた。しかし、実際には、小売業者が生産段階の垂直統合に乗り出す例は少なくない。このような企業型と呼ぶべき生産段階への関与は、小売業者主導の垂直的流通システムに関して看過されてきた嫌いがある。そこで本稿では、その最も初期的な事例であり、かつ長期にわたる取り組みを経て品質面での競争優位を獲得したダイエーの牛肉事業を取り上げ、その展開プロセスとそれが成果を生むに至った要因を検討した。本稿における検討の結果、ダイエーの牛肉事業が垂直統合を通じて競争優位を獲得することができたのは、それが牛肉という漸進的な技術・品質改善が有効な商品分野であったこと、垂直統合の継続性が担保されたこと、過度に物量を追求しなかったことによるものであることが示唆された。このような検討結果は、小売業者主導の垂直的流通システムに関して、垂直統合の観点も含め、さらに詳しく検討する余地があることを示している。
著者
加藤 和夫 森川 満隆 田上 道弘 山田 眞二 武田 徹
出版者
Japan Society of Powder and Powder Metallurgy
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1057-1061, 2003-12-15
参考文献数
5

In the previous paper, we reported the densification of the bronze matrix was promoted by the diffusion of Cr under solid state sintering at 1030 K. In the present work, effects of V addition on sintering properties and microstructures of the bronze matrix were investigated, and compared with Cr. Mixed powders were prepared from pulverized V powders and atomized 90Cu-10Sn powders, of which particle sizes were 106-150μm and 1-38μm respectively. Compacts pressed at 390 MPa were sintered at 670-1030 K for 0.3-180 ks in H2. V diffuses preferentially into the surface and grain boundary of the bronze powder. With increasing sintering time at 1030 K, pores of matrix decrease rapidly. This indicates that the densification of the bronze is promoted by the diffusion of V as same as the case of Cr. However, some pores are observed on the matrix and the grain size is bigger than the case of Cr after 180ks sintering at 1030 K. From these results, it is assumed the effects of densification by V addition is slightly smaller than Cr.
著者
森下 孟 東原 義訓
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.181-184, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
11

本研究では,CMSによって管理職が発信する学校Webサイトの特徴を明らかにするために,更新状況と発信された情報の種類を分析した.CMSにより,容易に発信を開始でき,日常的に発信されること,また,管理職が発信することで,児童・生徒の日々の様子,教員・保護者の活躍,管理職の考えが発信されるようになるという特徴が明らかになった.
著者
森泉 純 山澤 弘実 飯田 孝夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.960, 2008

航空機による冬期の日本海上空のラドン222濃度鉛直分布の観測により、アジア大陸から北西太平洋へのラドン222の長距離大気輸送現象の鉛直構造の解析を試みた。加えて、大陸-海洋間長距離大気輸送の数値計算モデルの検証を行った。
著者
山本 圭吾 松島 健 吉川 慎 井上 寛之 手操 佳子 園田 忠臣 波岸 彩子 堀田 耕平 市村 美沙 森田 花織 小池 碧 古賀 勇輝 渡邉 早姫 大倉 敬宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

平成26年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」における課題「桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究」の一環として,昨年度に引き続き,2017年11月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告し,2016年11月に実施した前回測量以降の桜島火山の地盤上下変動について議論する. 水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線である.路線総延長は約24 kmであった.これらの路線を,2017年11月1日~13日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.近年の水準儀は測量精度も向上しており,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてともに±0.22 mm/km,水準環閉合差はハルタ山登山路線において時計回りに0.9 mm(許容誤差7.6 mm)となり,高精度の一等水準測量を行うことができた. 桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2016年11月に行われた測量結果(山本・他,2017)と比較することで,2016年11月から2017年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した. 計算された地盤上下変動量から,桜島北部付近の水準点において,地盤隆起(最大で4.5 mm)が生じていることが確認された.前々回から前回測量までの2015年8月・9月から2016年11月の期間においては,1年2~3ヶ月間と多少1年間よりも期間が長いものの,北岳路線のこの付近の水準点において15 mm程度の地盤隆起が測定されていた.このことを考えると,2017年11月までの1年間の桜島北部付近の隆起速度は,それ以前の1年間に比べて減少していると考えられる.一方で,桜島中央部付近においては,若干の地盤沈降(最大で-2.6 mm)が認められる. 茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,桜島北方の姶良カルデラの地下約10 kmの深さに増圧源が,また南岳地下の浅部に減圧源が推定された.2016年11月~2017年11月の期間,姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて引き続きマグマの貯留が進行していることを示していると考えられる.一方で,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向が示唆される.
著者
本谷 亮 松岡 紘史 小林 理奈 森若 文雄 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.13-20, 2011-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、緊張型頭痛患者を対象として、痛みの臨床症状と心理的要因である痛みに対する認知的要因・感情的要因が、緊張型頭痛患者の抱える生活支障度の身体的側面、社会的側面、精神的側面をそれぞれどの程度予測しているか明らかにすることであった。成人の緊張型頭痛患者73名を対象に質問紙調査を行い、重回帰分析を用いて、緊張型頭痛の生活支障度の各側面に対する予測要因を検討した。その結果、生活支障度の中でも身体的側面に関する生活支障度に対しては痛みの臨床症状が予測しているが、社会的側面や精神的側面に関する生活支障度に対しては、痛みに対する破局的思考や逃避・回避行動といった痛みに対する認知的要因・感情的要因が強く予測していることが明らかとなった。キーワード:緊張型頭痛頭痛症状痛みに対する破局的思考逃避・回避行動生活支障度
著者
竹村 静夫 菅森 義晃 鈴木 茂之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.Supplement, pp.S123-S137, 2009 (Released:2012-01-26)
参考文献数
47
被引用文献数
3

岡山県東部から兵庫県西南部には舞鶴帯と超丹波帯を構成する地層・岩石が広く分布する.舞鶴帯の主体をなすペルム系舞鶴層群は,その岩相と層序から付加体とみなすことは難しいが,地理的にはペルム紀の付加体と解釈される秋吉帯と超丹波帯の構成岩類に挟まれて分布している.このように中国地方東部から近畿地方北部の西南日本内帯には,ほぼ同年代でかつ性格の異なる地帯が狭い地域内に並列して分布する.この見学コースでは,ともにペルム紀の陸源砕屑岩を主体とする舞鶴層群と超丹波帯の上月層,舞鶴層群を不整合に覆う三畳系福本層群など,舞鶴・超丹波両帯に属する地質体の岩相や地質構造等を観察する.そして,それらが堆積・形成されたテクトニクスの重要性を再確認したい.
著者
黒住 旭 岡田 洋右 西田 啓子 山本 直 森 博子 新生 忠司 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.353-361, 2012-12-01 (Released:2013-02-28)
参考文献数
20

症例は49歳男性.43歳時より動作時に動悸,冷汗,虚脱感が突然生じるようになり,低血糖発作(血糖50~60 mg/dl)を疑われ当科紹介.75 g経口糖負荷試験で5時間後に血糖56 mg/dlまで低下したが,無治療で血糖は回復.48時間絶食試験終了直前,排尿後の立位時に気分不良となり冷汗,頻呼吸を生じた.その際装着していたホルター心電図で140台の洞性頻脈を認めた.頻脈は日中活動時のみ出現し,起立時に再現性がありhead-up tilt試験を施行.起立時に血圧低下なしに心拍数上昇を認め,経過から体位性起立頻脈症候群の可能性が高いと判断した.β遮断薬開始後に発作は出現せず,1ヵ月後に再検したhead-up tilt試験では起立時の心拍数増加も消失を認めた.一般的に体位性起立頻脈症候群は洞性頻脈,不適切洞性頻脈,洞房結節リエントリー性頻拍といった頻脈性不整脈や神経調節性失神との鑑別が困難なことも多いが,本症例においては低血糖発作との鑑別として考慮すべき疾患と考えたため報告する.
著者
栄 新江 森部 豊
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
no.44, pp.121-151, 2011-04

This paper describes the current status of Sogdians research using archaeological epitaphic materials including the recently found stone inscriptions in China, and purpose research methods for such a study. First the excavated state of the new epigraphic materials is reported, and the current status of their classification with updated publications is also reported. Secondly, among the epigraphic materials investigated by the author, a survey report of the materials related to 翟曹明 (Zhai Caoming) is available. Thirdly, the four recently found historically important materials on the Sogdian study such as the 安備 (An Bei) epitaph, the stone inscription on the 史盤陀 (Shi Pantuo) rock, the 鄭岩 (Zheng Yan) epitaph,and 景教 (Jingjiao; Nestrian) stela text found at 洛陽 (Luoyang) have been evaluated and archaeologically assessed. Finally, future studies on the Sogdians are reviewed with comments and suggestions.原著:栄新江翻訳:森部豊
著者
森谷 裕美子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. 文学研究篇 = The bulletin of the National Institute of Japanese Literature. 人間文化研究機構国文学研究資料館 編 (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.45, pp.183-200, 2019-03

狐は歌舞伎と浄瑠璃によく登場する動物である。近世演劇において、狐はどのように登場し、どのような役割を果たしているのであろうか。拙稿では元禄期(宝永期を含む)を中心として、狐の関わる作品を概観しその特徴を考察する。狐の登場する作品は、元禄期を通じて頻繁に舞台にかけられている。作品を概観すると狂言の「釣狐」系統の作品が多いことに気づく。「釣狐」は、観客にとっても馴染み深く、話の筋にもあまり影響をもたらさずに一場面に取り入れることができ、利用しやすかったのではないか。役者評判記の評文を見ると、狐は滑稽な場面によく登場している。所作、軽業で演じられることも特徴の一つである。そして、日本古来の狐ではない「殺生石」以外においては、悪い狐は少ない。歌舞伎役者、大和屋甚兵衛は、狐の演者として評価が高く、甚兵衛により、狐の演技の基盤が作られたと言えるかもしれない。一方、浄瑠璃作品においては、善狐が多いものの、滑稽な場面が少ない。「丹州千年狐」、「天鼓」においては、狐の親子の情愛が描かれ、それは人間の感情とは変わることがない。神の使いでもあり動物でもある狐は、聖俗の両面があり、観客はいろいろな狐の姿を楽しんだ。The Fox is an animal that often appears in Kabuki and Jōruri plays. How fox appears in the early modern theater and what kind of roles did he played?In this article, we stepped back and looked at the big picture of works performed in the Genroku period (including the Hōei period) in which fox appeared. The works in which fox appeared were frequently performed during the Genroku period. We noted that Tsuri-gitsune (one of the works of Kyōgen) have been adopted in many works. Tsuri-Gitsune would had been easy to use perhaps because the work could be incorporated into a scene without affecting the story and since the audiences back then were familiar with the work. According to a review in the Yakusha-hyoban-ki (Reputation notes of Kabuki actors), foxes are commonly appearing in ridiculous scenes. They are also characterized by poses and movements almost danced as well as acrobatics. The bad foxes are few, except Sessho-seki which is not an ancient Japanese fox. A kabuki actor, Yamatoya Jinbee had a high reputation as actor playing a fox. Jinbee might had laid the groundwork of the fox's acting.On the other hand, in Jōruri works, there are many good foxes, but there are less ridiculous scenes. In Tanshu-sennen-gitsune and Tenko, the affections of the fox parent and child are depicted which no difference from human sentiments.Since fox had double sides as a secular animal and as a holy creature, the audiences must had enjoyed the various appearances of the fox in those days.