著者
琴浦 毅 森屋 陽一 関本 恒浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_959-I_964, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
10
被引用文献数
4

海上作業を伴う海洋工事では,高度化されつつある気象モデル,波浪推算モデルを用いた予測結果が作業可否判断に利用され始めている.しかし,波浪推算モデルの推算精度に関しては,外洋部での高波浪に着目して検討されたものが多く,海上作業の可否判断である波高1m程度の精度の検討は多くない.また,瀬戸内海は多くの島嶼が存在し,波周期が短いことから高精度モデルでの検討が望まれるが,高精度モデルは計算時間が多くかかり,作業可否判断予測に活用するには実務的とは言えない. 本研究では瀬戸内海を対象として,気象庁GPV海上風データを入力とし,波浪推算モデルとしてWAMモデルを用いた波浪予測を実施するとともに,海上作業可否に着目して風・波浪の予測精度を検討し,実務的に妥当な予測精度を得るために必要な条件を明らかにした.
著者
森 大毅 有本 泰子 能勢 隆 永田 智洋
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1) 叫び声を誘発しやすいオンラインゲームをプレイする状況のコーパスを開発した。このコーパスには既存コーパスの10倍以上の頻度で叫び声が含まれている。叫び声の音響分析により、通常語彙や感動詞との音響的特性の違いを明らかにした。(2) 感情表出系感動詞の形態を分類し、多様な形態を持つ「あ」を合成した。合成音声を用いた知覚実験により、形態とパラ言語情報との関係を明らかにした。(3) 自然対話コーパスから笑い声の構成要素の変動要因を明らかにするとともに、コーパスベース音声合成を応用した多様な笑い声合成を実現した。知覚実験により、定義した変動要因を考慮することにより自然性が向上することがわかった。
著者
岩本 直子 領家 美奈 中森 義輝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.279-286, 1997
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

東京都の環境に関係する物理的・客観的データから住民による環境の主観的評価を予測するモデルを構築する。モデルは2つの階層からなり, 第1層は, 物理的・客観的データから住民の環境に対する衛生, 快適などの個別主観評価値を予測する線形回帰モデルである。第2層は, 予測した個別評価値を統合するショケ積分モデルである。ただし, 線形回帰モデルでは個別評価値のモードを予測する。また, 主観評価データの地域性を考慮して, 数本のショケ積分モデルを構築し, それらをif-then型ファジィモデルとして統合する。各ショケ積分モデルを構築するための部分データセットは, 物理的・客観的データに基づく地域のクラスタリングにより決定する。ファジィ測度の同定は凸2次計画法による。また, ファジィモデルの前件部を多次元メンバシップ関数を用いて表現し, メンバシップ関数のチューニングにより予測モデルの精度を高める。一方, 得られたファジィ測度により地域の個性を分析し, 同定されたファジィ測度の妥当性を検討する。すなわち, 本研究のねらいは, 総合評価の予測精度を高めるとともに, 納得できるモデル構造・ファジィ測度を得ることである。
著者
成田 喜一郎 赤羽 寿夫 石川 直美 松井 孝夫 秋森 久美子 福泉 悦也
雑誌
研究集録/東京学芸大学附属大泉中学校 (ISSN:02856433)
巻号頁・発行日
no.40, pp.145-156, 1999

はじめに/1. 相互交流・相互啓発学習としての「卒業研究」/(1)事前指導/(2)各教科・各教官との連絡・調製及び促進指導/(3)事後指導/2. 「卒業研究」テーマ分析/(1)各教科・各教官から提案されたテーマ/(2)生徒が選択・決定したテーマ/(3)生徒のテーマ選択・決定の結果に関する分析/1)選択・決定の経緯/2)教科別の生徒数の割合/3)生徒の興味・関心が集中する傾向にあるテーマ/3. 相互交流・相互啓発の様相~「卒業研究・卒業制作 全体発表会」後の相互評価活動に見る~/[将来の夢につながったYR君の卒業研究・「エンジンの研究」,夢の大切さ]/[犯罪・非日常と日常とのギャップとつながりへの気づきと学びの共有化を引き起こした卒業研究]/[普段,直接目に触れることない内臓,その実物大模型によって事実への接近を深めた卒業研究]/[「文字のない絵本」という発想の新鮮さに驚かされた卒業研究]/[50期生の卒業研究への総括的コメント]/[自らの卒業研究との比較]/結びにかえて
著者
古屋 英治 森山 朝正 片山 憲史 宮本 俊和 室伏 由佳
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.141-154, 2014 (Released:2014-12-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1

「スポーツ鍼灸」 は鍼灸治療によって選手が訴える身体の不調を緩和し、スポーツの質の向上に寄与するものである。鍼灸治療の疼痛緩和作用はスポーツ障害に対してよく用いられてきたが、最近では障害の予防、コンディション調整もしくは体調管理にも応用されている。しかしスポーツ鍼灸の定義は明確ではなく、スポーツ選手を対象とした鍼灸治療のガイドラインも整備されていない。 2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に今日までのスポーツ鍼灸の研究成果を総括することにした。その内容はスポーツ分野における鍼灸の位置づけ、筋痛・筋疲労・筋萎縮及びスポーツ障害と鍼灸に関する研究である。さらに選手が競技生活において鍼灸との関わりを選手自身の言葉として添えていただいた。これらの成果は次なる目標である選手の求めに応じたスポーツ鍼灸を作り出すことに繋がるものである。
著者
高薮 出 花崎 直太 塩竈 秀夫 石川 洋一 江守 正多 嶋田 知英 杉崎 宏哉 高橋 潔 仲江川 敏之 中北 英一 西森 基貴 橋爪 真弘 初鹿 宏壮 松井 哲哉 山野 博哉 横木 裕宗 渡部 雅浩
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.377-385, 2021-11-05 (Released:2021-11-20)
参考文献数
11
被引用文献数
3

過去20余年にわたり,気候変動とその社会への影響に関する膨大な予測情報や知見が創出されてきた.しかし,これらの予測情報や知見が国・地方公共団体や事業者などに広く利活用されるようになるまでにはまだ様々な課題が残っている.そこで,気候予測と影響評価に関する研究に長く携わってきた著者らが現在見られる各種の障害や,解決の糸口について議論した.その結果,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティーにはそれぞれ業務の前提と他コミュニティーへの期待があり,それらの間にずれが生じていることが浮かび上がった.解決のためには,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティー間の協働が重要である.具体的には,予測情報や知見が創出される前の段階での相互の情報交換やすり合わせによるギャップの解消や,その実現のための制度や設備の整備が必要であることが示された.
著者
森田 忠夫
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.297-302, 2012-07-20 (Released:2012-10-20)
参考文献数
1

静電粉体塗装は通常の溶剤塗装と比較した場合,厚塗りしやすいため,塗装膜耐久性の向上が計れる。また塗着しなかった粉体塗料を95%以上回収再利用できるため,ランニングコスト面においても大きなメリットがある。この静電粉体塗装装置は,スチール家具,冷蔵庫やエアコンなどの家電製品,ワイパーやアルミホイールなどの自動車部品,蛍光灯の反射板,自動販売機の筐体など,多種多様な金属製品の塗装に使用されている。以下に静電粉体塗装機器の基礎知識について述べる。
著者
古森 雄一 大野 和則 竹内 栄二朗 田所 諭
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp._1P2-I06_1-_1P2-I06_4, 2014

Search and rescue (SAR) dogs show the typical motions when they find victims. The authors aimed to develop the measurement methods of the SAR dog's motions which suggest the victim locations. It can be used for making investigation maps with victim locations. The authors focused on barking and tail's wagging, and digging as the motion. We used IMU for measurement. The sensors were put on the vest for dogs, and We use no additional clothes by preference. We evaluated their locations and whether it is possible to detect the motions. For example, we can detect wagging motion by IMU directly on the tail.
著者
森 麟 杉本 隆男 田代 郁夫 田中 禎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.454, pp.113-122, 1992

矢板壁の引き抜きに伴う地表面沈下の発生機構を確かめ, 最大沈下量と沈下範囲の推定法を提案する目的で, 軟らかい粘性土地盤を想定した模型実験を行った. 矢板壁の長さ, 厚さ, 設置位置, 枚数を変えて引き抜き試験を行い, ゼロ伸びひずみ曲線によるすべり面の検討から, 空隙の閉塞機構を検討した. そして, 問題の多い沖積粘性土地盤での小規模掘削の場合, 地表面の最大沈下量と沈下範囲は, 空隙の閉塞率, 初期空隙厚さ, 安定数から推定できることを示した.
著者
森永 由紀
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2010年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.167, 2010 (Released:2010-11-22)

1.はじめに モンゴル国はユーラシア大陸の東部の内陸の高原上(平均標高1580m)にあり、寒冷・乾燥という厳しい環境のもとで現在も遊牧が基幹産業として営まれている。ペレストロイカの影響で1990年に社会主義体制から民主主義市場経済体制に急速に移行したが、国有企業の崩壊、ネグデルの崩壊、失業者の増加、貧困問題の発生というような社会の混乱に伴い様々な環境問題が起きている。1950年代以降に旧ソ連によって整備された各種設備の老朽化も環境破壊につながる。今後は、鉱山の乱開発の影響が心配される。 2.モンゴルの環境問題 2-1草原と土壌の荒廃 社会主義体制の崩壊後、家畜所有の自由化により頭数が増加した。ネグデルの崩壊により都市と幹線道路ぞいに人と家畜が集中し、過放牧による土壌荒廃が起きてダストの発生にもつながっているとみられる。耕作放棄地の土壌荒廃も問題である。特に注目すべきは、近年加速する鉱山の乱開発による植生破壊と、土壌・水汚染である。金、銀、銅、鉄、ウラン、モリブデン、石炭をはじめ多種の地下資源が開発されつつある。「忍者」とよばれる素人による小規模な採掘活動も急増し、影響が無視できない。2007年にはダルハンのホンゴル・ソムで違法な精錬が引き起こした水質汚染による家畜の死亡および近隣住民の健康被害が、ニュースで大きく報じられた。 2-2 森林の荒廃 燃料や建築資材としての利用が多く、都市周辺部では違法伐採が目立つ。林業の伐採技術の老朽化も資源の浪費を引き起こす。森林火災、害虫の発生も問題である。植林よりも乱伐の防止こそが重要である。 2-3 水資源の枯渇 西側の山岳氷河の縮小、永久凍土の融解、および各地の表層水や地下水の枯渇など、貴重な水資源の将来を憂う報告が相次いでいる。 2-4 温暖化 モンゴル全土の60地点の観測所データから求めた地上気温の年平均値は1940年からの62年間で1.66℃上昇しており、他地域よりもはるかに上昇幅が大きい。冬に顕著で、高山での上昇幅が大きい。雪氷の減少、水資源の枯渇やゾド(寒雪害)の原因となる干ばつとの関わりが指摘されている。[文献1] 2-5 自然災害 1999年から3年間続いたゾドで家畜が計770万頭死亡し、世界的にも注目を集めた。今冬の状況はさらに厳しく、5月までに全家畜の17%にあたる780万頭が死亡した。背景に夏場の気温上昇と降水量の減少で、干ばつ傾向が続いていることがある。移行後の牧畜を支える各種サービスの劣化や、経験不足の牧民の技術の未熟さが家畜の健康を損ねているという指摘もある。ゾドが都市部への人口集中および地方(特に国土の西側)の過疎化を加速している。 2-6 生物多様性の喪失 草原の植物の種の多様性はほどほどの放牧圧のもとで最大になるという説もあり単純ではないが[文献2]、前述の問題の多くは生息環境の悪化を通じて多様性の喪失につながる。レッドデータブックにある動植物の数の減少も懸念されている[文献3]。 2-7 都市環境問題 首都ウランバートルでは人口集中が起き、都市環境問題は発展途上国に共通した特徴を備えているが、中でも大気汚染が注目を集める。石炭の利用、とくに環境対策の未整備な街の周辺に発達したゲル地区からの煙が主因とされるが、劣悪な交通環境(車の排ガス・渋滞など)も影響する。水質汚染、土壌汚染、ゴミ問題も深刻化しており、最近は住民の健康問題への関心が高まっている。 3.おわりに モンゴルには環境関連の30の法律と220の規制があり14の国際条約の締約国であるが、運用が十分でないのが問題である。また、国内の環境対策の優先順位は高くない。2007年の自然環境省の予算は省庁の中でもっとも少なく国家予算の6.2%相当であった[文献3]。 参考文献: [1]Batima, P. et al.: Observed climate change in Mongolia. AIACC Working Paper No.12,2003. [2]Green Star Project: Mongolian Nature and Environment Assessment, Fall 2006 & Spring 2007 Parliamentary Sessions,2008. [3]藤田昇:草原植物の生態と遊牧地の持続的利用.モンゴル:環境立国の行方、科学vol.73,N0.5,岩波書店、2003.
著者
鳥海 重喜 大森 紘
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.443-450, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

近年,生鮮食料品店にアクセスすることが難しい買い物弱者が増えている.この問題はフードデザート問題と呼ばれている.フードデザート問題を解決する方法の一つに移動スーパーがある.本研究では,まず茨城県日立市で実施されている移動スーパーの実施調査を行う.次に,道路勾配を考慮した代謝的換算距離を用いてフードデザート地域を分析する.そして,移動スーパーの効率的な巡回経路を数理モデルによって求める.計算した結果,1週間で総移動距離を30km弱短縮できることが明らかになった.本研究の成果は,移動スーパー事業継続への施策や,営業場所を検討する際に活用することができ,高齢者にとっての豊かな生活環境の構築に貢献できると考える.
著者
三森 甲宇 中川 照彦
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.821-823, 2013 (Released:2014-04-03)
参考文献数
9

Background: We reported that transverse cervical artery had various forms in the cadaver. The purpose of this study was to examine patients with neck and shoulder pain from vascular resistance of the transverse cervical artery.Methods: The subjects consisted of 54 patients with neck and shoulder pain (group P) and 20 normal volunteers (group N). They were all females, and their mean age was 67.2 in group P and 70.4 in group N.Firstly isometric exercise around the neck and back was performed on all subjects in the sitting position. Patients were only asked whether the pain had changed before and after exercise. The transverse cervical artery was identified by color doppler ultrasonography, and pulsatility index (PI) was measured by pulsed doppler imaging. PI was compared between group P and group N, and was compared with the effects of exercise in group P.Results: After exercise, the pain was the same in 16 patients, improved partially in 27 patients and disappeared in 11 patients. PI of the deep branch in the group P was significantly larger than that in group N. PI of the deep branch in the 11 patients whose pain disappeared, tended to be smaller than that of the other patients.Conclusion: We suppose that high vascular resistance of the deep branch of the transverse cervical artery is a characteristic seen widely in patients with neck and shoulder pain.
著者
矢田 浩紀 安部 博史 大森 久光 石田 康 加藤 貴彦
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.293-303, 2009
被引用文献数
1 8

精神科の看護者のストレス要因を明らかにし, 精神科急性期病棟と精神療養病棟の看護者のストレスの質と量の違いを比較することを目的とした. 調査には, 職業性ストレス簡易調査票と精神科看護師の特有のストレス項目およびストレスに暴露される時間量に関する質問票について精神科の看護師・准看護師36名(A病院精神科急性期病棟11名とB病院精神科療養病棟25名)から回答を得た. 各下位尺度で因子分析を行い, 因子得点と項目得点にて2要因分散分析を行った結果, 職業性ストレス簡易調査票における「仕事のストレス要因」の下位尺度「雰囲気」の因子得点と「精神科におけるストレス要因」における全因子「看護における知識と技術」「実際のケア」「暴力への恐れ」「仕事の方向性」の因子得点は, 急性期病棟より療養病棟の看護者の方が有意に高くストレスが高かった.
著者
上野 和広 森山 翼 森 充広 川邉 翔平 石井 将幸
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.I_333-I_341, 2021 (Released:2021-11-09)
参考文献数
25

コンクリート水利構造物で生じるカルシウム(Ca)溶脱と,コンクリート中のモルタル部分が先行的に摩耗され,粗骨材が露出する選択的摩耗が,無機系補修材料とのせん断付着強度へ及ぼす影響を評価した.その結果,コンクリート表面の算術平均粗さが大きいほどせん断付着強度が高くなること,コンクリートからのCa溶脱によってせん断付着強度が低下すること,が明らかとなった.このせん断付着強度の低下は,コンクリートの表面が平滑な状態でCa溶脱した時に顕著であり,極端に低いせん断付着強度が得られた.ただし,Ca溶脱が進行するにもかかわらず,摩耗がほとんど進行しないこのような条件は,実際の構造物では生じにくいと考えられる.一方,骨材が露出する条件では,Ca溶脱の影響によってせん断付着強度が低下したとしても,比較的高いせん断付着強度を有することが明らかとなった.
著者
松森 邦昭 別府 俊男 中山 賢司 斉藤 元良 青木 伸夫 田中 柳水 平 孝臣
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.33-37, 1986-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

脳神経外科治療過程で合併症としての糖尿病性昏睡を経験した. 2例は高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡, 1例は高浸透圧性非ケトン性昏睡と糖尿病性ケトアシドーシスの移行形, 1例は糖尿病性ケトアシドーシスであつた. この病態の相違は主に患者側が持つ耐糖能の異常の程度により生じたと考えられた. 脳神経外科治療上の糖尿病性昏睡促進因子として, 1) 原疾患, 及び手術侵襲によるストレス, 2) ステロイド剤, 減圧剤, 3) 経管栄養などがあげられる. これらの薬剤, 治療は脳神経外科治療上不可欠のものであり, 意識障害患者に重複して行われる. このため糖尿病性昏睡の発見が遅れ, 問題となる. この対策として, 脳神経外科の治療上, 糖尿病性昏睡の発生を念頭に置き, 少しでも疑いがあれば頻回に電解質, 血糖値, 血漿浸透圧, 酸塩基平衡を測定すべきである.