著者
森 巍 金岡 毅 関場 香
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.265-273, 1973-04

Prostaglandin F_<2α> は新しい子宮収縮剤として, 又学問的にも極めて興味ある薬剤として最近注目をあびている. しかしながらその産科学的な評価については未だ明確に確立されてはいない. そこで私達は私達の病院に入院した陣痛未発来の妊娠末期婦人185例について, これを Pg F_<2α> 8.3μg/min 注入群, Pg F_<2α> 16.7μg/min 注入群, Oxytocin 8-20 mU/min 注入群の三群にわけ, Balloon 法又は Open-tip 法による子宮内計測により次の観察結果を得た. (1) 陣痛発来効果は Pg の方が Oxytocin よりもややすぐれている. (2) しかし児娩出効果は Oxytocin が Pg に比しすぐれている. (3) Bishop の頚管成熟度別に注入開始から分娩迄の時間をみると, Oxytocin がはるかに Pg よりもすぐれている. (4) 子宮収縮曲線において Pg により誘発される収縮は振幅がやや低く, 収縮時間が長く, 頻度の多いものが多く, Oxytocin は初めから規則的な子宮内圧の大きい, 収縮時間の比較的短かい子宮収縮がみられる. しかし Pg を 16.7/min とすると Alexandria unit でみた子宮活動は Pg も Oxytocin も ほゞ同様となる. (5) しかしながら子宮活動がこの様に高まり, 子宮内圧が高まつてきても, 子宮頚管の開大度や頚管の成熟度の改善率は Oxytocin と比較して Pg ははるかに劣つており, 子宮活動が高まつても分娩を積極的に進行させる効果は Oxytocin がすぐれているものと考えられた. (6) Pg の投与は子宮筋の Oxytocin に対する感受性を増加させ, Pg をあらかじめ投与することにより Oxytocin の priming effect を生ずることが in vivo, in vitro 両方の実験で判明した. (7) Pg の陣痛既発来例に対する陣痛促進効果は Oxytocin より劣つていた. (8) 児の Apgar 指数, 体重減少率, 母体の分娩時出血量は Pg, Oxytocin ほゞ同様である. 以上から, Pg は Oxytocin と比較して, 特にすぐれた陣痛誘発剤とはいえないが, Oxytocin 感受性の低い妊婦, 頚管未熟妊婦, 緩徐な陣痛発来を期待したい妊婦などにはその価値が認められる.
著者
森岡 渉 岡部 篤行 貞広 幸雄
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.115-131, 2019-09-30 (Released:2020-04-02)
参考文献数
13

店の出店や閉店の戦略をたてる立地マーケティングにおいて,地域の店の盛衰状況動向を分析することは基本的な分析である.そこで,本研究では,盛衰動向状況の基礎的分析として,ジニ係数を活用した地域内の店舗立地集中度測定法を提案する.その方法は,基本的にジニ係数を踏襲しているが,新たに,順序統計量を用いて店舗の空間偏在度を統計的に検定する方法と,ジニ係数を求める際に用いるローレンツ曲線を活かして,店舗が集中している「ホットスポット」を検出する方法を開発した.それらの方法を,電話帳から得られる東京都渋谷区内の各4分の1地域メッシュ(250~mメッシュ)に含まれる各種店舗数データに適用し,渋谷区における店舗施設立地の全体的な集積度と局所的な集積度を測定し,方法の有効性を確認した.
著者
生田 健太郎 大谷 喜永 増子 孝則 森 ゆうこ 中野 兼一 小原 嘉昭
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告. 畜産編 (ISSN:13477730)
巻号頁・発行日
no.50, pp.15-22, 2014-03

周産期の経産牛10頭を供試し,乳生産と生理性状に対するプロピオン酸菌製剤(PB)と乳酸菌発酵副産物(LB)の投与効果を観察する実験を行った。分娩予定3週前から分娩後4週までの間,1日1頭当たりPB20g(プロピオン酸菌量5×10 10cfuを含有)とLB10gを飼料添加する投与区と無添加の対照区へ5頭ずつ配置し,分娩予定3週前から分娩後12週まで飼養試験を行った結果,以下に示す実験結果が得られた。1 乾物摂取量は分娩後6週以降投与区で多く推移し,8~12週にかけて有意差が認められた。2 乳量は2週以降投与区が多く推移し,5~12週にかけて有意差が認められた。乳脂率は4週以降投与区が高く推移し,4と6週で有意差が認められた。乳蛋白質率は投与区で低く推移し,4から12週にかけて有意差が認められた。無脂固形率は投与区で4週以降低く推移し,4週に有意差が認められた。3 体重には差が見られなかったが,ボディ・コンディション・スコアは投与区で分娩後4週以降低く推移し,8週で有意差が認められた。4 第一胃液pHは両区間に差が見られなかった。アンモニア態窒素濃度は投与区で分娩後6週以降低く推移した。総揮発性脂肪酸(VFA)濃度は両区間に差が見られなかったが,VFA中の酢酸割合は投与区で分娩前1週から高く推移し,分娩後4週に有意差が認められた。逆に,プロピオン酸割合は投与区で低く推移し,分娩後4と12週に有意差が認められた。5 血液のヘマトクリット値(Ht)とβヒドロキシ酪酸(BHB)は投与区で高く推移し,Htでは分娩後2,6,8及び12週に,BHBでは分娩後8及び12週にそれぞれ有意差が認められた。以上の結果より,周産期の経産牛へのPBとLBの混合投与は第一胃内での窒素同化の促進や酢酸型発酵への誘導を介した乳生産向上効果が期待できる。
著者
高瀬 幸子 森本 絢美 志村 二三夫 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.309-317, 1975-10-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10

比較的生活環境の類似している女子大生343名の対象について, 不定愁訴と食生活との関連ならびにそれらをとりまく諸要因との関連を観察した。1) よく眠れない者, あるいは睡眠時間の短い者, 長い者, 夢を多くみる者に愁訴数が多かった。また, 現在の生活に満足していない者, 生きることに対し退屈感をもつ者に愁訴数が多かった。 喫煙者や鎮静剤などを常用する者にも愁訴数は多かった。2) 欠食回数の多い者, 夕食時刻の一定でない者, さらに, 食事の不規則な者に愁訴数が多かった。 しかしながら, 目的があって欠食している者には, そのような傾向は比較的みられなかった。3) 食事摂取の規則性とこれに関連する睡眠, 生活状態, 居住条件などとの相互関連について考察した。 これらの諸要因は, 食事の不規則性との関連を示しながら不定愁訴の発現とも関連していた。以上の結果から, 目的意識をもって規則的な日常生活ならびに食生活をおくるものには愁訴は少なかった。
著者
森浦,俊次
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, 1993-06-20

著者らは生薬・マムシ(Agkistrodon blomhoffii blomhoffii BOIEの全身を乾燥したもの)の滋養強壮作用を薬理学的に検討し,その50%エ夕ノールエキスに抗胃潰傷作用,初期免疫増強作用を見い出し報告した.本報ではマムシや腹蛇(中国産マムシAgkistrodon blomhoffii brevicaudusで日本産マムシの亜種)の効能に解毒作用など肝臓機能の亢進作用を示すような記載が古くからあることから,実験的肝障害に対する作用を検討した.
著者
森本 正昭
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.761-762, 1956

The number of the rhythmical heart beats of the 29 abortives from 6 to 21 mm long early human embryos were in a first minute after birth 40-49 by 9 (31.3%), 20-29 by 6 (20.6%), the mean of all 29 embryos 41.5 per minute.
著者
福塚 康三郎 森 正明 岩尾 雄四郎 黒木 貴一 大成 和明
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.341-346, 2006-02-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
15

本研究では, 佐賀平野北西部の標高10m以下の低地において, 地形と土地利用の変遷を明らかにし, 既存の文献資料を用いてクリークと表層地盤との関係を検討した. その結果, 軟弱地盤とクリークの分布はおおむね一致することが指摘され, クリークは表層地盤の推定可能な地形要素の一つであることが示された. さらに, クリークの一部は農地整備や都市化に伴い, 改変もしくは埋め戻されているケースがあるため, 旧地形情報による地形判読の重要性を指摘した.道路計画を検討するうえで, 新旧地形情報を活用して表層地盤を推定することは, 概略設計段階における有効的な地盤評価手法である. とくに, 旧地形情報は, コスト縮減やPI (パブリックインボルブメント) におけるコミュニケーション資料として活用することも可能である.
著者
森口 次郎
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.447-451, 2012

企業で行われる労働安全衛生法に基づく健康診断は、適正配置の実施など安全配慮義務を果たすことを第一の目的としている。産業医選任の法的義務がない50人未満規模の事業場など中小企業では産業医の関与が乏しいことが多く、その義務が果たされていないことがある。健診実施機関には、中小企業に対して就業措置要否の判断の際に参考となる資料の提出などの支援が期待され、当会では高負荷業務や危険業務に対する就業制限検討の助言を提供することを検討している。<br> 健康診断後の保健指導や受診勧奨は健診を有益なものとする。健診実施機関は、指導スタッフの確保および資質向上に努めることが望まれ、当会においては特定保健指導担当スタッフに対して産業医大産業医実務研修センターと連携して品質管理の取り組みを実践し、一定の成果をあげている。<br> 企業でがん検診を行う場合、集団対策型と考えられるため、エビデンスレベルの高い検診(大腸、胃、子宮頸部、乳房、肺)を中心とすべきである。がん検診などとして実施する法定外の検査については社内の衛生委員会で目的や情報の保管・利用などについて協議し、包括的同意を得た上で行うべきであるため、このような課題に対しても企業健診の実施機関には適切に助言が出来るスタッフが在籍することが望ましい。また上記のエビデンスレベルの高いがん検診の受診率は総じてまだ低率であり、特に女性特有のがんの受診率向上のためにさらなる取り組みが必要と考える。
著者
井上 佳代 鍔本 浩志 金澤 理一郎 堀内 功 小森 慎二 田端 千春 中野 孝司 塚本 吉胤 廣田 誠一
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.106-111, 2011

悪性腹膜中皮腫(malignant peritoneal mesothelioma:MPM)と原発性腹膜癌(primary peritoneal carcinoma:PPC)は同じ腹膜中皮細胞由来であるが,病態や治療方針が異なり早期に鑑別する必要がある.またMPMはPPCに比してまれで本邦の年間女性死亡者数は30人に満たず,肉眼的に大網に限局した早期のMPMの報告は海外を含めて数件が報告されているのみである.今回経腟的腹水穿刺を行い,腹水細胞診を免疫染色することでMPMを診断し,MPMに適応した術式が選択できた症例を経験したので報告する.症例は32歳,経産婦.月経不順にて前医を受診し腹水貯留を指摘されたため当科紹介となった.血清CA125は129 IU/ml,経腟超音波検査にて両側付属器およびダグラス窩腹膜は正常で,腹部造影CT検査にて肥厚した大網の脂肪組織が淡く造影された.消化管内視鏡検査にて異常なく,PET/CT検査にて18F-fluorodeoxygrucose (FDG)の有意な集積は認めなかった.ダグラス窩穿刺により淡褐色粘性腹水を採取し細胞診に提出したところ,重積性を示すマリモ状細胞集塊を認め,calretinin,CK5/6,D2-40による免疫化学染色法にていずれも陽性であった.これよりMPMと診断し腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ,黄褐色で不整に肥厚した大網以外に異常を認めず大網生検を行った.生検組織によりMPMと確定診断した後に肉眼的完全摘出を目標として大網亜全切除術を行った.術後に化学療法を勧めたが拒否され, 6ヵ月後に全身倦怠感を認めPET/CT検査を施行したところ腹腔内に多発腫瘍を認めた.現在,pemetrexedとcisplatinによる全身化学療法を行っている.〔産婦の進歩63(2):106-111,2011(平成23年5月)〕
著者
中尾 俊一 森田 十誉子 安井 利一 田中 園治 小野沢 裕彦 田中 入 大高 義文 菅沼 信夫 徳光 史彦 山本 瑞哉
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.643-653, 1991
被引用文献数
6 4

The purpose of this study was to investigate the clinical effect of dentifrice R containing 0.05% tranexamic acid and 0.05% dipotassium glycyrrhizinate on the improvement of periodontal disease compared with dentifrice T containing 0.05% tranexamic acid.<BR>Subjects were 148 adults who had no serious oral or systemic diseases. They were divided into two groups equally and performed toothbrushing twice a day for four weeks with dentifrice R or T.<BR>The PMA index, redness, swelling, and plaque score were selected as indices for clinical evaluation of periodontal condition.<BR>The results obtained were as follows.<BR>1) Dentifrice R was significantly superior to dentifrice T in the improvement of PMA index (p<0.01), redness (p<0.01) and swelling (p<0.05). There was no significant difference in the improvement of plaque score between dentifrices R and T.<BR>2) The mean improvement rates of dentifrice R and dentifrice T were 37.0% and 26.3% in PMA index, 40.7% and 25.2% in redness, and 36.7% and 29.9% in swelling, respectively.<BR>3) No particular side effects were observed during this clinical study.
著者
茂木 眞希雄 森田 あや美 尾関 伸明
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は, ヒト骨格筋幹細胞由来高純度間葉系細胞の脱細胞化した間葉系細胞擬態マトリックス上にマウスiPS細胞を播種し, 間葉系細胞の再細胞化の効率について生化学的手法を用いて基礎的検討を行うことを目的とした.ヒト骨格筋幹細胞由来高純度間葉系細胞(象牙芽細胞, 骨芽細胞, 軟骨細胞)を培養後に界面活性剤を灌流して, 間葉系細胞由来の脱細胞化した細胞外マトリックス3種類を作成し, ヒト骨格筋幹細胞を用いて間葉組織の再細胞化の効率と適正条件を検討する. 平成28年度研究計画の中で根幹となる実験の大半は,以下のように進展している. ヒト骨格筋幹細胞由来高純度象牙芽細胞,骨芽細胞, 軟骨細胞3種の分化誘導系ならびに培養条件を確立した. 3種の分化細胞に界面活性剤(Triton-X)を灌流することで, 脱細胞化細胞外マトリックス3種類を作成を試み,作成ならびに精製条件を確立した.これら擬態マトリックス3種とヒト骨格筋由来幹細胞を組み合わせて培養する事で,擬態マトリック ス3種は、コラーゲンtype1、ファイブロネクチン、ラミニンの組成が各々異なる特異パターンを示す事を明示した。3種擬態マト リックス上にヒト骨格筋由来幹細胞を播種し, 培養した結果, 象牙芽細胞由来擬態マトリックス にて培養した場合は象牙芽細胞, 骨芽細胞由来擬態マトリックスでは骨芽細胞、軟骨細胞由来擬態マトリックスでは軟骨細胞が高頻度で得られる事を確認した.擬態マトリックスにより得られた分化細胞は、各々の骨関連分化マーカーの検討(一部)により,象牙芽細胞,骨芽細胞,軟骨細 胞である事を,ほぼ確認した.細胞表層タンパクintegrinの発現をフローサイトメーターを用いて観察したところ,象牙芽細胞ではα 1integrin, 骨芽細胞はα2integrin,軟骨細胞ではα5integrinの特異的発現を確認した.
著者
茂木 眞希雄 森田 あや美
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

目的1) in vivo研究としてヒト歯肉溝滲出液(GCF)中ならびに顎関節症滑液中の骨代謝関連因子の探求、とくにRANKLとの関連性が強い破骨細胞由来Cathepsin-Kの定量2)in vitro病態モデル(炎症性サイトカイン処理マウス骨芽細胞)により、惹起されるRANKLならびにアポトーシスを誘導するcaspaseを中心としたシグナルカスケードの分子機構の解明3)病態モデル(炎症性サイトカイン処理マウス骨芽細胞ならびにストローマ細胞)により、惹起されるOPG産生抑制シグナルカスケードの分子機構の解明4)骨芽細胞の分化・増殖におけるosteoprotegerin(OPG)の新規な生理的役割について詳細な基礎的な検討を行い、新たな歯周関連疾患治療戦略の構築をめざすことを目的とした。結果1) 健常者、顎関節症のdisk displacement with reduction, disk displacement without reduction, osteoarthritisの4群から滑液を得てRANKL, OPG, RANKL/OPG ratioを測定した。ヒト顎関節症、とくにosteoarthritis患者滑液中にRANKLが存在し、OPG量が健常者と比較して統計的有差を持って低下を示し、有意にRANKL/OPG ratioが亢進することを初めて明示した。Osteoarthritis患者滑液がin vitroでヒト末梢単球からの破骨細胞形成ならびに活性化能を持つことを確認し、Osteoarthritisの骨破壊の機序にRANKL/OPGが関わる可能性を初めて明示した(Wakita, Mogi et al., J. Dent. Res.)2) 健常者GCFとの比較から、ヒト歯肉溝滲出液GCF中の破骨細胞由来と考えられるプロテアーゼCathepsin-Kと破骨細胞分化誘導因子RANKL濃度が歯周病の進行・ステージにより上昇変動が見られ、両者とも統計的有意な増加ならびに相互に相関を認めた(Mogi, M. et al., Archs Oral Biol., 2007)。3) マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞において, 炎症性サイトカイン誘導アポトーシスシグナルは, mitogen-activated protein(MAP)キナーゼの活性化を伴うことを明らかに、iNOS依存性アポトーシス細胞死システムの誘導を調節する上でp38MAPキナーゼカスケードが, 重要な役割を担うことを明示した(Kuzushima, Mogi et al., Archs Oral Biol).4) OPG-knockout mouseにおける血中RANKLおよびOPGの変化と骨代謝異常の関連性について精査し、OPG-knockout mouse血中RANKL濃度の顕著な増大を発見した。本実験結果はOPGの新規な生理的役割として膜結合型RANKLの可溶性型RANKLへの移行を調節するユニークな作用を持つことを初めて明示した(Nakamichi et al., J. Immunol., 2007)。5) ヒトgingivitis患者歯肉溝滲出液(GCF)中のサイトカインの変動を健常者GCFサンプルとの比較探索を行ない、EGF superfamily のtransformng growth factor-αが特異的にgingivitis群において低下している事を明らかにした(Mogi et al., J. Immunoassay Immunochem., 2009)
著者
庄司 浩一 谷森 文彦 中山 和明 川村 恒夫 小林 伸哉 堀尾 尚志
出版者
Japanese Society of Farm Work Research
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.73-78, 2003-06-19 (Released:2010-02-09)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

The fluctuation of the surface, or relative depth of water within a paddy field, was related to yield and quality of the rice. A 0.5ha-transplanted paddy field having the fluctuation of elevation of about 100mm was used, and the level of water was monitored at several points of observation in the field. Following conclusions were obtained based upon these measurements for two years.1) There was a slight tendency of greater yields at lower elevations, although it was not statistically significant. The yield components varied among the elevations; at the lower elevations, the number of panicles per hill-plant and the number of grains per panicle were greater, and vice versa the weight of kernel and the percentage of ripened grains.2) The protein content in the kernel was significantly greater at lower elevations, which can be related to the smaller weight of the kernel and percentage of ripened grains mentioned above. The greater protein content could be also ascribed to continuous intake of nitrogen, as a result of continuous submergence of water on the soil.3) There was a case that at poorly drained intermediate elevations in the middle of the field, the protein content was as high as at lower elevations. This implied that the management of the water level or drainage was essential as well as the leveling of the paddy field, so as to produce the rice of as uniform and low protein content as possible within the field.
著者
小松 侯子 森田 雅之 山本 道子 桜井 磐 吉田 正樹 松本 文夫 高橋 京子 三浦 香苗 関根 優子 石田 政子 辻原 佳人 国分 勝弥 高橋 孝行 白井 裕二
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.41-48, 1995

病院給食は, 食事療法を目的とした患者に細心の注意を払い, 安全かつ衛生的に食事を提供しなければならない. そこで医療機関における配膳車および食器類の衛生管理運営状況についてのアンケート調査を実施した. またこの調査を基に, 当院の給食用配膳車および食器類の細菌汚染調査を行った.<BR>1. アンケート調査結果から細菌調査を実施した医療機関は74%あり, その内訳は手指培養試験が21%, まな板無菌試験が21%, 厨房室内汚染菌調査が19%などであった.<BR>2.病院給食の配膳および食事介助者は病棟看護婦, 病棟婦で76%を占めていた. その時の手洗い励行率は67%, マスク着用率は15%であった.<BR>3. 当院の給食用配膳車の配膳前, 下膳後の細菌汚染調査では, 配膳前と比べて下膳後に<I>Staphylococcus aureus (S. aureus), Staphylococcus epidermidis (S. epidermidis)</I> および腸内細菌群が多く検出された.<BR>4.配膳車の天蓋, 棚, 手スリ, タイヤの細菌汚染調査で, タイヤから<I>S. aureus, S. epidermidis</I>および腸内細菌群が多く検出された. また, 配膳搬送専用エレベータ床, 配膳室床からも配膳車のタイヤと同様の菌が検出された.<BR>5.独食患者および介助必要患者の病院給食用食器, トレーからは, 下膳後に<I>S. aureus, S. epidermidis</I>, 腸内細菌群が検出された.<BR>以上, 今回の細菌汚染調査結果から, 定期的な配膳車のタイヤ汚染調査は院内の環境汚染状況を把握する一つの方法とも考えられた. また食器類は患者個人専用ではないため, 感染防止上, 使用後は十分に洗浄消毒する必要がある. さらに患者給食の配膳は病棟看護婦, 病棟婦の大部分が携わっていることから, 手洗いの励行を徹底することが改めて認識された.
著者
森下 覚
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, 2020-10-30

本研究の目的は全国の教員養成系大学・学部を調査対象にして、学校体験活動の基礎データを集め、データ間の関連を検討することで、学校体験活動の現状と課題について明らかにすることであった。調査内容は、「実施の有無」「単位認定の有無」「名称」「参加学生数」「活動内容」「課題」についてであった。分析の結果、今回の調査対象となった大学・学部における学校体験活動の現状として、「インターンシップ」の語を含んだ名称で多く実施されており、参加学生の多くが小学校に参加し、教師の業務全般に関わる活動や子どもとの関わりがある活動に従事していることが示唆された。また、基礎データ間の関連を検討した結果、「私立大学の参加学生数の多い学校体験活動において、学校現場との連携上の課題が存在すること」や「学校体験活動に参加するための時間を確保の難しさが参加学生の確保を難しくしていること」、「国公立大学の学校体験活動において、活動上の課題や運営管理上の課題が存在すること」といった現状と課題の関連が示唆された。本論文は「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.7, No.1(2020/10)に査読を経て受理された。