著者
吉村 彩 武藏 学 金子 壮朗 大西 俊介 折戸 智恵子 川原 由佳子 橋野 聡 森松 正美 今野 哲 有川 二郎 石井 哲也 澤村 正也 上田 一郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.1132-1139, 2014-09-01 (Released:2017-02-10)

【目的】北海道大学で発生したマウス咬傷によるアナフィラキシー事例を踏まえ,アレルギー予防対策の構築を目的として,動物実験を実施する学生及び職員の動物アレルギーの感作状況を調査した.【方法】齧歯類等の取扱者で同意を得た555名を対象に問診票と実験動物5種に対する特異的IgE抗体と好酸球数測定によるアレルギー健診を実施した.【結果】特異的IgE抗体陽性率(陽性者数/取扱者数)は,マウス14.1% (62/441名),ラット17.9% (50/279名),ハムスター18.8% (6/32名),モルモット17.4% (4/23名),ウサギ11.3% (12/106名)であった.マウス取扱者においては,動物に接触した時に何らかのアレルギー症状が現れる場合は,抗マウスIgE抗体陽性率が有意に高いことも判明した(38.1% vs 8.8%, p<0.01).【結論】動物取扱者の感作状況を把握するために,特異的IgE抗体検査を含む健診を実施することが有用であることが示された.
著者
森津 千尋
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.89-100, 2011-03-20 (Released:2016-09-13)
参考文献数
24

本稿では、文化政治期において、総督府機関紙であった『京城日報』が、その政治的立場から「内鮮融和」政策の一環としてスポーツ大会を開催し、また紙面でも統治者側の視点から大会を報じていた点について検討する。 『京城日報』は野球・庭球を中心とした全国大会を継続的に主催し、その大会には多数の朝鮮人選手が参加していた。さらに紙面では、試合に関連する記事はもちろん、その他関連イベントや祝広告が掲載され、朝鮮スポーツ界における大会の重要性が強調された。 また『京城日報』は、定期的に日本チームとの招聘試合も主催していた。主に6 大学野球のチームが招聘されたが、試合を報じる記事では、日本チームの技術・能力の高さが称えられ、朝鮮チームの「憧れ」「手本」として位置づけられていた。 このようにメディアの送り手として、『京城日報』が「内鮮融和」を推進する統治者側の立場からスポーツ大会を開催し、また紙面でも統治者側の視点から大会や試合について語っていたことが本稿では明らかになった。
著者
酒井 正俊 飯田 三郎 森下 愛文 吉田 健 橋口 治 赤星 玄夫 藤仙 重俊 相良 勝郎 佐藤 辰男
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.1238-1243, 1987-09-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

市販鎮痛剤の乱用によると考えられる劇症肝炎の39歳女性の1救命例を報告した.20歳頃より生理痛・頭痛のため,ブロム剤を20錠/日服用していた.36歳時,突然頭痛,全身痙攣を来たし,近医にて頭部CT上脳萎縮を指摘された.以後,セデスAを多い時で40錠/日服用するようになった.1週間来の全身倦怠感,頭痛,下痢に気付き,肝障害・prothrombin時間の延長あり,劇症肝炎を疑われ昭和60年8月18日当院に入院した.血漿交換,glucagon・insulin療法により救命し,第26病日の腹腔鏡下肝生検では急性肝炎再生像であった.しかし,第12病日よりJackson型の痙攣が出現し,第80病日の頭部CTで前頭葉の萎縮を認めた.劇症肝炎の成因として,IgM-HBc抗体およびIgM-HA抗体は共に陰性であることより,乱用していた鎮痛薬に含まれるacetaminophenの関与が推測された.脳萎縮はすでに3年前にみられており,稀であるがブロム剤によるものと思われた.
著者
栄 新江 森部 豊
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.121-151, 2011-04

This paper describes the current status of Sogdians research using archaeological epitaphic materials including the recently found stone inscriptions in China, and purpose research methods for such a study. First the excavated state of the new epigraphic materials is reported, and the current status of their classification with updated publications is also reported. Secondly, among the epigraphic materials investigated by the author, a survey report of the materials related to 翟曹明 (Zhai Caoming) is available. Thirdly, the four recently found historically important materials on the Sogdian study such as the 安備 (An Bei) epitaph, the stone inscription on the 史盤陀 (Shi Pantuo) rock, the 鄭岩 (Zheng Yan) epitaph,and 景教 (Jingjiao; Nestrian) stela text found at 洛陽 (Luoyang) have been evaluated and archaeologically assessed. Finally, future studies on the Sogdians are reviewed with comments and suggestions.
著者
森本 和滋
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.21-29, 2017 (Released:2020-08-09)

Frances Oldham was born on July 24, 1914 in the town of Cobble Hill on Vancouver Island, British Columbia, Canada. She passed away on August 7, 2015 at the age of 101. Frances attended Leinster Preparatory School in Shawnigan Lake and graduated at the age of 15. She then attended Victoria College and McGill University in Montreal, Canada, earning a Master's Degree in Science in 1935. In March 1936, Dr. Geiling opened a new laboratory of in the Pharmacology Department at the University of Chicago, USA, and Frances was fortunately accepted, creating her path to PhD studies. In September 1937, the sulfanilamide elixir tragedy involving the excipient diethylene glycol (DEG) occurred in the US, leading to 105 deaths. Dr. Geiling’s laboratory participated in the safety animal study, which involved the use of rats given DEG. Frances thought that, if by carefully work such animal studies, future tragedies could be avoided. In 1938, Frances earned a PhD with a thesis featuring the anatomy and pharmacology of the posterior pituitary gland of the nine-banded armadillo. In 1941, she started a new project entitled, The influence of pregnancy on the quinine oxidase of rabbit liver, which was carried out jointly with Dr. Fremont Ellis Kelsey. In 1943, the study was published in the Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, and Frances married Fremont the same year. In 1946, Frances entered a medical school at the University of Chicago and graduated in 1950.She moved to South Dakota with her husband with two daughters in 1952, and started her internship in early 1953 at the Sacred Heart Hospital at Yankton. In August 1960, De. Frances Kelsey was appointed the newest medical officer of the US Food and Drug Administration (FDA). On September 12 of the same year, William S. Merrel Company submitted a new drug application (NDA) for thalidomide to the US FDA. As a medical officer, Frances had the primary responsibility for evaluating the clinical reports submitted with the NDA, with particular emphasis on safety. Her steadfast refusal to approve the application saved the lives of thousands of US babies. In 1962, President John F. Kennedy presented Dr. Frances Kelsey with an award for Distinguished Federal Civilian Service for preventing thalidomide from being marketed in the US. In September 2010, the FDA honored her with an award named for her, and a promise from FDA Commissioner Margaret A. Hamburg, MD, that the agency will carry on Kelsey’s commitment to science and integrity. Beginning in 2010, some ethics education of training materials began being used to build a sense of mission and responsibility among Japanese pharmacy and medical students. Lessons learned from the lifetime of Dr. Frances Kelsey have received strong feedback from freshmen and sophomores taking related courses.
著者
松本 和也 河内 茉帆 森繁 優衣 品川 葵 沼田 美里 杉原 迅紀 吉村 耕一
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.137-143, 2019 (Released:2020-01-14)
参考文献数
27

本研究では、バーチャルリアリティ(VR)映像を用いて、周りに人が居る状況や屋外を散歩する状況を擬似的に体験することにより、ストレス緩和や気分状態改善が得られるか否かについて実験的に検証した。具体的には、被験者に暗算計算作業によるストレス負荷を課した後で、VR映像の視聴による介入を行い、緊張やリラックスの評価のための脳波測定と質問紙による気分状態評価を行った。その結果、周りに人が居る状況と独りの状況の比較実験では、VR視聴の介入中に脳波の緊張値の低下がみられた。気分状態評価による気分障害の程度には差を認めなかった。屋外の散歩と室内の比較実験では、VRによる散歩映像の介入終了後に、脳波の緊張値の低下とリラックス値の増加が認められた。また、室内のVRでみられた気分障害が散歩のVRではみられなかった。これらの結果から、VR映像の視聴(例えば、VR散歩)は、入院患者や自宅療養者の手軽なストレス緩和法として期待できる。

4 0 0 0 OA 飼鳥の栄養

著者
佐子田 嘉明 祐森 誠司 石橋 晃
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-39, 2015-04-10 (Released:2016-04-11)
参考文献数
11
著者
森永 弘司
出版者
同志社大学教育開発センター
雑誌
同志社大学教育開発センター年報 = Doshisha University annual report of Center for Faculty Development
巻号頁・発行日
no.2, pp.49-62, 2011-06-30

近年の大学でのリーディング授業は速読・多読主体の授業が主流になってきた。こうした多読・速読重視の英語教育のために、難度の高い英文に出くわすと、勘やフィ-リングに頼って誤読する学生が増えてきている。こうした誤読を矯正するためには、精読を主体とする授業も開講する必要があるといえる。本稿では、3つの大学で実施した精読の授業の結果を報告することで、大学での精読授業の必要性を論じてみた。
著者
笛木 賢治 大久保 力廣 谷田部 優 荒川 一郎 有田 正博 井野 智 金森 敏和 河相 安彦 川良 美佐雄 小見山 道 鈴木 哲也 永田 和裕 細木 真紀 鱒見 進一 山内 六男 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 玉置 勝司 松香 芳三 塚崎 弘明 藤澤 政紀 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.387-408, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
66
被引用文献数
4 6

本ポジションペーパーは,義歯床用の熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯の呼称と定義を提案し,臨床適用への指針を示すことを目的とした.(公社)日本補綴歯科学会会員から,熱可塑性樹脂を用いた部分床義歯の臨床経験を有するエキスパートパネル14名を選出した.パネル会議で検討した結果,「義歯の維持部を義歯床用の樹脂を用いて製作したパーシャルデンチャーの総称」をノンメタルクラスプデンチャー(non-metal clasp denture)と呼称することとした.ノンメタルクラスプデンチャーは,樹脂と人工歯のみで構成される剛性のない義歯と,金属構造を有する剛性のある義歯とに区分される.剛性のないノンメタルクラスプデンチャーは,金属アレルギー症例などの特別な症例を除き,現在の補綴臨床の原則に照らし合わせ最終義歯として推奨できない.剛性のあるノンメタルクラスプデンチャーは,審美領域にメタルクラスプが走行することを患者が受け入れられない場合に推奨できる.ノンメタルクラスプデンチャーの設計は,原則的にメタルクラスプを用いた部分床義歯の設計に則したものでなければならない.熱可塑性樹脂の物性は材料によって大きく異なるため,各材料の特性を考慮して臨床適用する必要がある.全般的な特徴としては,アクリルレジンよりも変色,面荒れしやすく,材料によっては破折しやすい.現時点では,樹脂の理工学的性質と義歯の治療効果と術後経過に関する研究が不十分であり,今後これらの知見が集積され本ポジションペーパーの改訂とガイドラインの策定が望まれる.
著者
原 采花 河野 健一 大下 裕世 矢部 広樹 長嶋 史子 名村 晋哉 一柳 浩志 森山 善文 西田 裕介 山田 哲也
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.207-214, 2020 (Released:2020-06-19)
参考文献数
27

【目的】維持血液透析患者の栄養状態,身体機能の代表値ならびにカットオフ値を下回る患者の割合を年代別に明らかにした。【方法】670 例の維持血液透析患者に対して,患者背景,Body Mass Index(BMI),Geriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI),握力,膝伸展筋力,通常歩行速度,Short Physical Performance Battery(以下,SPPB)を横断的に調査した。サンプルサイズの妥当性を確認し,代表値の算出とカットオフ値を下回る患者の割合を年代間で比較した。【結果】50 歳以上の年代では十分なサンプルサイズを設定できた。GNRI,握力,膝伸展筋力,歩行速度,SPPB はいずれも年代が高いほど低値で,80 歳代においてカットオフ値を下回る割合が高かった。【結論】維持血液透析患者の栄養状態,身体機能の年代別代表値と高齢患者における低下の実態を示すことができた。
著者
尼崎 光洋 森 和代
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.9-21, 2012-03-10 (Released:2013-09-06)
参考文献数
62
被引用文献数
2 3

Application of the Health Action Process Approach (HAPA) to condom use behavior in university students was investigated. University students (n = 230: 80 males and 150 females, Mean age 20.39 years, SD = 1.60) completed a questionnaire that inquired about demographic variables, including gender, marital status, sexual history, percentage of condom use, and planning for condom use, as well as social‒cognitive variables that included risk perception, outcome expectancies, preventive behavioral intentions, and action self-efficacy. Structural Equation Modeling with Amos 5 and the Maximum Likelihood estimation method was used to test HAPA. Results indicated that the model fit indices satisfied statistical requirements (GFI = .96, AGFI = .84, CFI = .95, RMSEA = .14). Each pass in HAPA was found to have a positive influence on each variable, whereas risk perception had a nonsignificant effect on intention. These results indicate that HAPA is a valid model for explaining condom use behavior among university students.
著者
島田 洋子 伊藤 慶彦 米田 稔 森澤 眞輔
出版者
一般社団法人日本リスク学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-32, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
37

Before the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident, radionuclide like 137Cs released from atmospheric nuclear detonation tests and the Chernobyl accident has been transported worldwide in the environment and finally taken up by humans through various pathways. In this research, dietary intake of 137Cs and the health risks caused by prolonged radioactive global environment contamination were evaluated age-dependently for the reference Japanese since 1945 until 2010 by using the mathematical model for the evaluation of global distribution of 137Cs with food ingestion and domestic and international food supply model. The model estimates were compared with the monitoring data of 137Cs in Japanese total diet and 137Cs concentration in food as an attempt at validation. The results of this evaluation would be useful for understanding the background situations without the Fukushima accident and give important information for the radiological health risk assessment of the accident.
著者
三浦 雄一郎 福島 秀晃 森原 徹 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.29-34, 2012 (Released:2012-12-27)
参考文献数
17
被引用文献数
5

The aim of this study was to clarify the function of the abdominal muscles in stabilizing the trunk during shoulder flexion. We used surface electromyographic (EMG) data from the rectus abdominis (RA) and external oblique abdominis (EO) muscles of 7 healthy male subjects (age 29.4 ± 4.7 years). Muscle activities of the right anterior deltoid, serratus anterior (SA), RA, and EO muscles were recorded while maintaining right shoulder flexion. The subjects held a plumb-bob of 5% of body weight. The angles of shoulder flexion were 30°, 60°, 90°, and 120°, and they were maintained for a full 5 s in each position. EMG activities of EO during shoulder flexion of 120° and 90° were significantly greater than that during shoulder flexion of 30° (p<0.05). EMG activity of SA during shoulder flexion of 120° was significantly greater than that during shoulder flexion of 30° (p<0.05). EMG activity of RA during shoulder flexion of 120° was significantly higher than those during shoulder flexion of 30° and 60° (p<0.05). The abdominal muscles are necessary to stabilize rotation of the trunk when the scapula is moved and rotated upward by concentric contraction of SA. Therefore, EO on the side of movement plays a major role in controlling trunk rotation toward the contralateral side. Although the activity level of RA was low, we consider that the finding that this muscle showed significantly greater EMG activity was due to its activity in efficiently fixing the rectus sheath while acting in concert with EO. In physical therapy evaluating motor function of the upper extremities, it is important to evaluate the abdominal muscles as well.
著者
吉本 信子 森田 昌行
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.211, 2011-04-01 (Released:2011-10-31)
参考文献数
36
著者
吉岡 徹朗 向山 政志 内藤 雅喜 中西 道郎 原 祐介 森 潔 笠原 正登 横井 秀基 澤井 一智 越川 真男 齋藤 陽子 小川 喜久 〓原 孝成 川上 利香 深津 敦司 田中 芳徳 原田 昌樹 菅原 照 中尾 一和
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.609-615, 2007-07-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

症例は, 39歳男性. 36歳時に硝子体出血を機に初めて糖尿病を指摘され, 以後当科で加療されていたが, 糖尿病性腎症によるネフローゼ症候群加療のため入退院を繰り返し, 次第に腎機能が低下した. 2005年5月に腸炎症状を契機に乏尿, 労作時息切れ, 下腿浮腫, 体重増加をきたし, 血清クレアチニン5.8→13.0mg/dLと急激に上昇したため, 血液透析導入目的で当科入院となった. 透析開始後, 積極的な除水にもかかわらず, 心胸比は縮小せず, 透析導入後第6病日以降血圧が低値となり, 第10病日には収縮期血圧で70mmHg前後にまで低下した. 心エコー検査にて心タンポナーデを認め, 心膜穿刺にて多量の血性心嚢液を吸引除去した. 臨床経過, 穿刺液の検査所見, 血清学的検査所見, 画像検査所見から, 尿毒症性心外膜炎と診断し, 心嚢腔の持続ドレナージと連日の血液濾過透析を行い軽快した.尿毒症性心外膜炎は, 透析治療が発達した今日ではまれであるが, 急性腎不全, 慢性腎不全の透析導入期, あるいは透析不足の維持透析患者において, 心嚢液貯留を認める場合, 溢水のほか, 悪性疾患や感染症, 膠原病とともに考慮する必要がある.
著者
森沢 知之 岩田 健太郎 上野 勝弘 北井 豪 福田 優子 高橋 哲也
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11070, (Released:2015-12-08)
参考文献数
14
被引用文献数
6

【目的】回復期リハビリテーション(リハ)病院における心臓リハ実施状況および実施にかかわる問題点を明らかにすること。【方法】全国の回復期リハ病院194施設に対し郵送法にてアンケート調査を実施した。【結果】アンケートの回収率は61.9%で,心臓リハ実施率は7.5%(9施設)であった。心臓リハ非実施の理由は「循環器専門医の不在」や「心臓リハ経験者の不在」など人的要因が半数以上を占めた。今後の心臓リハ拡大には「回復期リハ病棟入院対象者患者の基準緩和」,「心臓リハに関する卒後教育体制の充実」,「心臓リハ施設基準の緩和」が必要とする意見が多かった。【結論】回復期リハ病院での心臓リハ実施施設の増加のためには急性期-回復期病院の連携システムの構築,心臓リハにかかわるスタッフの教育体制の充実などが今後の課題であると思われた。
著者
高川 真一 難波 直愛 森鼻 英征 手塚 久男 前田 逸郎 重国 清 石黒 慎二
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
関西造船協会誌 216 (ISSN:03899101)
巻号頁・発行日
pp.201-207, 1991-09-25 (Released:2018-04-01)

Deep Submergence Research Vehicle "SHINKAI6500" is the latest manned research vehicle which can dive to the deepest existing in the world. The maneuverability of a submersible vehicle is highly dependent on its cofiguration. During the development of "SHINKAl6500" we have assumed great importance to its decending and ascending capability. "SHINKAI6500"'s configuration has been improved in various respects reflecting "SHINKAI2000"'s operation results, finally determined based on the results of twice wind tunnel tests and a tank test. In sea trials it is confirmed that hydrodynamics resistance of "SHINKAI6500" is remarkably reduced compared to that of "SHINKAI2000". This paper describes the outline of these model tests, sea trials and the process of the development of its streamlined cofigulation.