著者
小森 正博
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.219-222, 2012 (Released:2013-07-12)
参考文献数
19

一側性難聴をもつ私の体験を述べ、本邦では検討が少ない日常生活や学業上の不自由さ、心理的問題などについて考察する。患耳側からの聞き取りの困難さにより、私は学会発表時に時にマイクの音が聞き取れないことや、患耳側の方と話すときに不便さを感じ座る席に気を遣うこと、話が聞き取れずに時に会話に入るのを諦めることがある。これらは社会人には支障となるもので、心理的負担となり、何らかの支援を必要としている例があるかもしれない。両親からの支援や学校の配慮により私は特に問題がなく幼少期や小学期を過ごせたが、大学卒業時に手術を受けることは両親に反対された。家族から患者へ正しい情報が伝わるとは限らず、また、先天的な疾患をもつ患者は治療によって何が改善するのか十分認識できていない可能性もあるので、しかるべき時期に正しい情報を提供してあげる必要があると思われた。
著者
平山 直樹 吉野 幸一郎 糸山 克寿 森 信介 奥乃 博
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.1681-1694, 2014-07-15

本論文では,様々な方言の混合に対応する音声認識システムを構築する.まず,単一方言音声認識の言語モデルを,大規模共通語言語コーパスから擬似生成した方言言語コーパスで学習する.擬似生成には,共通語-方言対訳コーパスからWFST(重み付き有限状態トランスデューサ)によって学習されたルールを用いる.次に,構築された各方言言語モデルを混合し,発話ごとに最適な混合比を推定しながら認識を行う.これは,実際に話される方言が純粋な単一方言ではなく,人の移動やテレビ,ラジオなどの放送の影響を受けた様々な方言の混合であると考えられるからである.この推定には,音声認識用言語モデルにおける対数尤度の値を用いる.実験により,方言音声認識用言語モデルを用いて方言音声の認識精度が向上することを確認した.また,対数尤度と音声認識精度に強い相関があること,対数尤度を最大化する混合比を発話ごとに選択することで,固定混合比の場合と比較して音声認識精度が向上することを確認した.
著者
佐山 淳造 標葉 隆三郎 横田 憲一 平山 克 樋口 則男 大江 洋文 中野 達也 宮田 剛 菅原 浩 植田 治昌 西平 哲郎 森 昌造
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.841-848, 1994-04-01
被引用文献数
32

手術侵襲に対する過大な生体反応の制御を目的に,食道癌手術症例に対し手術開始2〜3時間前にmethylprednisolone 250mg/bodyを投与(B群:n=8)し,コントロール群(A群:n=9)と比較検討した.心係数・平均肺動脈圧・肺動脈楔入圧の変動に差はなかったが,体重・水分1次出納はB群で1日早く回復した.術後頻拍はB群で有意に制御され,不整脈の発生もB群で少ない傾向であった.A群で術後著増したIL-6やG-CSFはB群では有意に産生が抑制され,尿中カテコールアミン排泄量もB群で著減した.耐糖能異常・術後感染・縫合不全などステロイド剤の副作用は術後みられず,術後のリンパ球数減少もB群で抑えられた.したがって,術前ステロイド投与は食道癌手術侵襲に対する過大な生体反応を主に循環系の面で抑制し,不整脈などの合併症発生を減少させうることが示唆され,胸部食道癌手術後の患者管理において非常に有用と考えられた.
著者
森山 剛 小沢 慎治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.33-38, 2008-02-08
被引用文献数
1

自分の声で好みの歌唱様式を有した歌声を作るには,歌唱を訓練し,歌唱様式を学び,さらに歌声を発する恥ずかしさを克服しなければならず,非常に困難である.そこで,歌詞を朗読するだけで,その音声と楽譜を入力とし,ユーザの声の話者性を損なわずに,自由な歌唱様式を有した歌唱を合成する手法を提案する.本手法により,楽譜さえあれば,どんな曲でも,いつでもどこでも何度でも,自分の声で歌わせることができ,さらにリズムや旋律を工夫してジャズや演歌といったジャンルを演出したり,他人の歌い方を真似したり,音痴を修正したりできる.楽譜を編集する過程で,歌唱様式をどう実現すれば良いか学習でき,また自分が歌う前に,自分が歌った場合のイメージを掴むこともできる.聴取実験により,朗読音声の話者性や歌詞の音韻性を損なわず,歌唱様式の基本となる演奏記号を合成できることが示された.We propose a method of transforming reading speech of lyrics to singing voice. It is capable of realizing favorite style in the transformation, i.e., a specific genre and an expression. Generating singing voice by one's own voice requires the person to train singing, to learn how to realize singing styles, and to overcome hesitation in singing out. The proposed method only requires the user to read the lyrics. It then allows the user to generate singing voice of any music, anytime, anywhere, and any number of times. The user can edit the music for generating a specific singing style, mimicing other's style of singing, and correcting the problematic portion of his or her singing. The user can also learn how to realize a specific style in singing and hear how it sounds when he or she sings on his or her own. Experimental results demonstrated that the proposed method was able to synthesize a comprehensive set of basic indications such as crescendo in the synthesized singing holding the voice quality of the speaker.
著者
森田 泰弘 井元 隆行 徳留 真一郎 大塚 浩仁
出版者
一般社団法人日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.59, no.695, pp.371-377, 2011-12-05
被引用文献数
1

イプシロンロケットの目的は,小型衛星に対して即応性豊かな打ち上げシステム,すなわち自在性と機動性に富みユーザーフレンドリな輸送手段を構築,宇宙への敷居を下げて宇宙科学や宇宙利用の裾野を拡大することにある.一方,これを輸送系の視点でみると,打ち上げシステムの革新というひと言に尽きる.すなわち,今後のロケット開発にあたっては,射場設備と運用はもとより,製造プロセスから搭載系に至るまで,およそロケットの打ち上げに必要な設備や運用をとことんコンパクトで身軽なものにしていこう,それが未来への扉を開く鍵であるという理念である.イプシロンロケットでは,このような壮大なビジョンを実現する第一歩として,ロケットのインテリジェント化やモバイル管制などの超革新技術を開拓,これを世界に先駆けて実証するために,初号機を2013年度に打ち上げる計画である.
著者
神田 学 森脇 亮 高柳 百合子 横山 仁 浜田 崇
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.713-722, 1997-10-31
参考文献数
15
被引用文献数
31

明治神宮の気候緩和機能・大気浄化機能を熱収支・汚染物質吸収量の観点から定量的に把握することを目的として1996年8月に集中観測を行い, 以下の成果が得られた. 1) 神宮の森の放射収支・熱収支が算定された. 正味放射量の約7割は蒸発潜熱に変換されており, 日中に神宮の森が放出する水分量は, 1秒あたり約150kg (ペットボトル100本分) に達する. また都市域の熱収支 (神田ほか, 1997) と比較することにより, 神宮の森の気候緩和機能が定量的に把握された. 2) ポロメーターにより計測される1枚の葉の蒸散・気孔コンダクタンスは, 計測地点の局所的な気象条件の影響を大きく受けるため, そのままでは群落全体の蒸散量に換算できないことが示された. 3) 晴天日の夕方の一般風が弱まる時間帯において, 0.5ms^<-1>以下の弱い森林吹き出し風の存在が示された. 4) 林冠上における汚染物質の鉛直下向きフラックスを傾度法を用いて算定したところ, 日中の平均値として, O_3は約0.30ppb ms^<-1>, NO_2は約0.11PPb ms^<-1>となり, 神宮の森による汚染物質吸収量が定量的に把握された. 5) 神宮の森で測定した汚染物質の濃度変動特性を検討した結果, 物質によりその挙動が異なった. 特にSPM濃度の日変化は夜間にピークをもち, 近接市街地とは逆の傾向を示す. これは夜間森林上に形成される安定層の影響であることが推察された.
著者
森田 慎一郎
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.197-204, 2004-03-10

Recently, it has been claimed that Japanese style management needs to be reconstructed. In this article, in order to examine what part of Japanese style management ought to be reconstructed, the writer reviews researches on Japanese business employees'job satisfaction and attempts to reveal the structure of their working mind. Findings indicate that Japanese business employees'working mind consists of not only job satisfaction but also satisfaction in company. It is also indicated that Japanese business employees'voluntary individual turnover is more influenced by satisfaction in company than job satisfaction. The writer further proposes that future Japanese style management should attach greater importance to enhancing business employees'job satisfaction.
著者
河合 徳枝 仁科 エミ 森本 雅子 仁科 エミ 森本 雅子
出版者
国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ヨーロッパ多声合唱の源流といわれるグルジア伝統ポリフォニーの音響構造の特徴と、その生理的・心理的効果を検討した。グルジア伝統ポリフォニーは人間の可聴域上限を大幅にこえ非定常的に変化する超高周波成分を豊富に含むこと、その音律は12平均率とは異なる独特のものであること、そうした音響構造は聴取者の基幹脳活性と相関の高い脳波ポテンシャルを増大させ心理的な好感度を高けることに寄与していることが見出された。
著者
相川 充 吉森 護
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.63-72, 1995

Three studies were conducted to construct a scale to measure sensibilities to indebtedness and to examine the reliability and validity of the scale. In Study I, university students and adult non-students completed an original version of the Indebtedness Scale along with some other scales assessing tendencies theoretically correlated with sensibilities to indebtedness. Through item analyses, 18 items were selected as the final version of Indebtedness Scale (IS-18). The IS-18 showed a high internal consistency (α = .850) and a high test-retest reliability (r=.778). In Study I and Study II, significant correlations were observed between the IS-18 score and the measures of self-consciousness, formality ideology, social skills, and self-esteem. There was no correlation between the score and Social Desirability Scale. In Study III, university students placed themselves in the role of hypothetical students confronted with 7 different situations in which they had been helped from others. They answered a question regarding the magnitude of indebtedness in each situation. The total score of the magnitude of indebtedness in 7 situations was positively correlated with IS-18 score.
著者
安藤 太地 奥 俊信 森 傑
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集「学術研究論文発表会論文」
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.211-216, 2005

About 40% of all the elementary schools are linked to their neighboring parks in Sapporo city,and we think it is very effective to make use of the linking situation between elementary school and their neighboring park for the school education and local activities. The aim of this research is to analyze 1)the linking planning intention 2)characteristics of the linking patterns 3)the relation of the linking patterns and park usages. And we could find some characteristics of the linking situation as follws, 1)only Momijidai area have the linking planning intention in Sapporo. 2)the linking pattern varies in the scale of the urban park. 3)We find some relation of the linking patterns and usages between elementary schools and their neighboring parks.
著者
張 漢明 野呂 昌満 沢田 篤史 吉田 敦 蜂巣 吉成 横森 励士
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.11, pp.1-6, 2013-03-06

本研究の目的はソフトウェアアーキテクチャを中心とした実践的な記述法と検証法を確立することである.振舞い仕様と機能仕様及び詳細化関係に着目して,既存のモデル検査とテスティング技術を適切に適用するための検証モデルを提示する.本稿では単純な自動販売機を事例として,アーキテクチャ段階における仕様記述と検証例を示す.本検証モデルは,ソフトウェア開発者がアーキテクチャを記述及び検証するさいの実践的な指針となることを目指す.
著者
園田 茂 榊原 美紀 森 光代 山本 純子 岡島 康友 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.641-644, 1998-09-18
被引用文献数
2

サウンドスペースプロセッサRSS-10を用いたヘッドフォン方式の音方向覚検査の信頼性を検討した. 15名の難聴でない健常被験者を対象に, ホワイトノイズ(WN)および女声(FV)を正面と, 左右に30度, 60度, 90度の計7点より3回ずつ呈示した. 音は全試行とも方向覚を持って聞こえ, 平均正答率62%, 呈示音と回答とのずれの角度は5〜18度, 平均12度(SD=9) (WN), 1〜19度, 平均11度(SD=8) (FV)であった. WNを左から右, 右から左に被験者の前を通るように約10秒で移動させ, 正中を通過したと感じられる時点の位置の平均はそれぞれ正面から-11.1度(SD=8.0), 3.4度(SD=7.5)であった. RSS-10を用いた音方向覚検査は再現性が高く, 臨床上有用と考えられた.
著者
森本 泰貴 藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.177-180, 2008-12-10

インターネットを介した買い物や情報収集の際に有用なサービスとして,ユーザの行動履歴から推測したユーザの興味に合う情報等を推薦するリコメンドサービスがある.リコメンドサービスは行動履歴を得られる日常的な反復行為にも応用できると考えられる.我々はその一例として,衣服コーディネイトリコメンドシステムを開発した.本システムはベイジアンネットにより衣服コーディネイトをモデル化することで衣服コーディネイトの推薦を実現している.またシステムが推薦した衣服コーディネイトに対してユーザが評価を行い,その結果を反映してモデルを修正することで,各ユーザの嗜好に合わせた衣服コーディネイトの推薦が可能となっている.Recommendation services are useful for shopping or acquiring information on the internet. Such services provide appropriate contents from past actions. We think that recommendation can be applied to routine work, so we developed a system that recommends coordination of clothes. The system recommends coordination of clothes using bayesian network model. The system can recommend coordination subject to user preference with modification of the model reflecting user's evaluation of the coordination recommended by the system.