著者
森 晃爾 永田 智久 永田 昌子 岡原 伸太郎 小田上 公法 森 貴大 髙橋 宏典
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.165, 2020 (Released:2020-09-01)

同じように健康増進プログラムを提供しても、成果が上がる組織と上がらない組織が存在する。その背景として、経営トップのリーダーシップ等の組織要因の重要性が指摘されている。そのような組織要因が整えられると、健康増進プログラムの継続によって、健康風土・文化が醸成されることになり、さらなる健康投資がより高い成果に結びつく。そのような組織では、人間中心的な経営理念のもと組織運営が行われているはずである。
著者
白井 章代 森下 章司 東村 純子
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

古代日本において最も高貴な色とされた紫染について、絶滅危惧種に指定されている日本原産ムラサキの栽培実験、『延喜式』ほか史料や紫根関係木簡に記された素材と量の意味の検討、条件を変えて染色サンプルを作成する各種実験、それらを総合して一疋の「深紫」を再現する染色実験を行った。実験過程において、『延喜式』や出土木簡に記された素材の役割や量の意味を検証し、紫根染めに必要な素材の条件や技術を確認した。紫根栽培の管理と移送法、素材の確保、各種工程の必要条件など、古代国家管理において成立しえた紫根染生産の特質を明らかにした。
著者
森 義忠
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.423-428, 1983-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
17

ホップの品種改良をすすめるとき, まずビールにとって望ましいホップとは如何なるものかということを考慮しなくてはならない。本稿はホップ以外の酒類原料の品種改良を実施するうえでも示唆される点が多い。
著者
大森 鑑能 細井 栄嗣
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.239-247, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
38

ブナ科堅果類は様々な野生動物の秋冬季の重要な食物資源であることが知られているが,被食防止物質としてタンニンを含んでいる.タンニンによる収斂性を測定し,その強さが異なるコナラ属のコナラ(Quercus serrata),クヌギ(Q. acutissima),アラカシ(Q. glauca)及びシイ属のツブラジイ(Castanopsis cuspidata)の4種を用いて,野生の哺乳類を対象にカフェテリア試験を行った.その結果,データ数が少なく断片的であるものの,タヌキ(Nyctereutes procyonoides)は収斂性の比較的強いコナラ属堅果よりも収斂性の弱いツブラジイの採食時間が有意に長かった.タンニンに対して唾液タンパク質などの生理学的な対応策を持つ堅果類消費者も報告されているため,タヌキをはじめとした中大型哺乳類に関しても,生理学的な研究を展開することが望まれる.
著者
福井 昌則 黒田 昌克 野村 新平 山下 義史 森山 潤
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-11, 2022 (Released:2023-09-24)

本研究の目的は,若者(高校生,大学生)のデジタルゲームに対するイメージ尺度を開発し,その信頼性と妥当性 を検討することである.予備調査として,デジタルゲーム開発を専門とする大学生 112 名に予備調査を行い,デジタルゲ ームに対するイメージを測定する項目として 115 項目を抽出した.その 115 項目を用いて,関西圏の高校生,大学生 360名を対象に調査を実施した.その結果,デジタルゲームに対するイメージとして,「個人的・社会的悪印象」,「特別体験・肯定的印象」,「スキル向上」,「広範的コミュニケーション」,「健康被害・依存誘発」,「思想的悪影響」,「運動不足」の 7因子(74 項目)が抽出された.
著者
町田 昌彦 岩田 亜矢子 山田 進 乙坂 重嘉 小林 卓也 船坂 英之 森田 貴己
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.J20.036, (Released:2022-01-26)
参考文献数
53
被引用文献数
4

We estimate the monthly discharge inventory of tritium from the port of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (1F) from Jun. 2013 to Mar. 2020 using the Voronoi tessellation scheme, following the tritium monitoring inside the port that started in Jun. 2013. As for the missing period from the initial month, Apr. 2011 to May 2013, we calculate the tritium discharge by utilizing the ratio of tritium concentration to 137Cs concentration in stagnant contaminant water during the initial direct run-off period to Jun. 2011 and the discharge inventory correlation between tritium and 137Cs for the next-unknown continuous-discharge period up to May 2013. From all the estimated results over 9 years, we found that the monthly discharge inventory sharply dropped immediately after closing the seaside impermeable wall in Oct. 2015 and subsequently coincided well with the sum of those of drainage and subdrain etc. By comparing the estimated results with those in the normal operation period before the accident, we point out that the discharge inventory from the 1F port after the accident is not very large. Even the estimation for the year 2011 is found to be comparable to the maximum of operating pressurized water reactors releasing relatively large inventories in the number of digits. In the national level, the total domestic release inventory in Japan significantly decreased after the accident owing to the operational shutdown of most plants. Furthermore, 1F and even the total Japanese discharge inventory are found to be minor compared with those of nuclear reprocessing plants and heavy-water reactors on a worldwide level. From the above, we suggest that various scenarios can be openly discussed regarding the management of tritium stored inside 1F with the help of the present estimated data and its comparison with the past discharge inventory.
著者
森川 洋
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1, 2021 (Released:2023-09-19)

日本とドイツの比較地理においてとくに注目されるのは,一極集中型の日本と多極分散型のドイツである.これと関連した対照的現象には,大都市人口比率や都市システム,地帯構造,企業本社立地,大学立地,国土政策などの差異が挙げられる.また高度経済成長期に対する対応の差異は両国の都市システムにも影響する.ドイツでは日本とは違って,大都市人口が少なく,企業本社も州立大学も全国的に分散的に立地し,大都市を中心とする全国的な地帯性はみられない.これに対して,日本では今日まで東京の成長が著しく,東京を中心とした地帯構造が形成されている.国土政策ではドイツにおいては「同等の生活条件」の確立が基本とされてきたが,最近になって成長目標が重視され,11のメトロポール地域も設定されている.日本の全国総合開発計画では「国土の均衡ある発展」が謳われ,東京一極集中の是正について考えられてきたが,大企業本社も大学も東京に集中しており,日本経済の牽引車として東京の機能を低下させるような厳しい措置が講じられることはこれまでになく,一極集中の是正策が十分な成果を収めたことはなかった.日本では東京圏と地方圏,そしてその両者を結ぶ地方大都市からなる地域社会が形成されている.地帯性の下では狭い国土が十分に活用されないし,東京圏では自然災害の危険性も強く,ドイツと比較するとき,東京一極集中は日本の社会経済の発展に真に役立つかどうか疑問に思われる.
著者
古山 準一 高木 秀雄 森園 竜太郎 水尾 仁志 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.430-436, 2023-09-01 (Released:2023-09-11)
参考文献数
23

60歳台,男性.X-12日から全身掻痒感を自覚.X-10日 某皮膚科受診しエピナスチン塩酸塩,ジフルコルトロン吉草酸クリームを処方された.X-8日 前医内科受診しAST 217 U/L,ALT 400 U/Lと肝機能異常を認め,IgA-HEV抗体(-)だった.X-1日 同院再診し肝障害の増悪を認め,X日 当科入院.IgA-HEV抗体は入院時未施行でX+7日に施行したIgA-HEV抗体が(+)と判明した.保存血清による精査の結果,IgG,IgM,IgA-HEV抗体およびHEV-RNAは,各々,X-8日(-),(-),(-),(+:subgenotype 4c)であり,X+2日(+),(+),(+),(+)であった.発症早期ではIgA-HEV抗体が陰性となることが稀にあり他の原因が否定的で肉などの喫食状況によってはIgA-HEV抗体の再検,HEV-RNAの検査を施行すべきであると考えられた.
著者
田所 智子 谷 丈二 琢磨 慧 中原 麻衣 大浦 杏子 藤田 浩二 三村 志麻 小野 正文 森下 朝洋 正木 勉
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.107-119, 2022-03-01 (Released:2022-03-08)
参考文献数
27

免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitors;ICI)による免疫関連有害事象(immune-related Adverse Events;irAE)では従来の化学療法と異なるマネジメントが要求され,特に肝障害においてはステロイドや免疫抑制剤の開始時期や難治例への対応など様々な問題がある.当院においてICIを投与された370症例を対象としirAE特にirAE関連肝障害の臨床的特徴について検討した.全irAEの頻度は41.1%,Grade2以上のirAE関連肝障害の頻度は5.1%で,良好な腫瘍縮小効果を認め,他のirAEを合併した症例が多かった.ガイドラインに準拠した治療にて多くの症例が軽快したが,死亡例および難治例もあり,これらの治療過程ではサイトメガロウイルス感染症が問題となっていた.難治例について症例提示し,当院での治療方針について報告する.
著者
森田 敏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-12, 2008 (Released:2008-02-08)
参考文献数
121
被引用文献数
57 72

近年, 登熟期の高温により米の品質や玄米1粒重が低下する, いわゆる高温登熟障害が頻発していることが指摘されている. 地球的規模の温暖化の進行にともない今後の被害の拡大と甚大化が懸念される. このため高温登熟障害の克服に向けて, メカニズムの解明と対策技術の開発が喫緊の課題である. 本稿では, イネの高温登熟障害の実態, 背景を示すとともに, 主な症状である白未熟粒, 充実不足, 胴割れ粒の発生と玄米1粒重の低下, 食味の低下のメカニズム, 耐性品種など発生回避技術の開発に関する知見を整理し, 今後の研究方向を論じる.
著者
森 まり子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.58, pp.71-105, 2023-03

本稿はウッドロウ・ウィルソンと18~19世紀英米の政治思想との関連を考察するものである。以下要約に代えて目次を掲げる。はじめに一 本稿の問題意識とウィルソンの青年期の思考の概観(一)ウィルソンの知的経歴 ―概略(二)ダヴィドソン・カレッジとプリンストン・カレッジ時代に吸収した思想(三) ギリシア古典に影響されたウィルソンの「民主主義」像とオスマン帝国観 ―概略二 民主主義と専制に対するウィルソンの考え方 ―フランス革命観三 古代ギリシアの勉強がウィルソンに与えた影響 ―民主主義と専制への考え方(一)ヘロドトスの『歴史』 ①民主制の特色 ②自由・平等・民主制の価値と自由を守る戦い ③ヨーロッパとアジアの二分法(二)ウィリアム・スミスの『ギリシア史』 ①古代ギリシアの民主主義と愛国主義(スミス執筆部分) ② コンスタンティノープル陥落、オスマン帝国治下のギリシア、ギリシア独立戦争(フェルトン執筆部分) (ⅰ)コンスタンティノープルの陥落 (ⅱ)オスマン帝国治下のギリシア (ⅲ)ギリシア独立戦争四 ウィルソンとオスマン帝国 ―東方問題とグラッドストンの人権外交をめぐって(一)ウィルソンのグラッドストンへの傾倒(二)グラッドストン「ブルガリアの恐怖と東方問題」の概要終わりに
著者
浪方 悠 大屋 聖郎 森野 杏子 竹下 諒 水野 廉 植地 貴弘 入福浜 由奈 柏 健一郎 三田 直人 中森 知毅 木下 弘壽
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.274-276, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
15

今回われわれはカルシウム拮抗薬, アンジオテンシン II 受容体拮抗薬, ベンゾジアゼピン系抗不安薬中毒によるショック状態に陥った症例を経験したので報告する。症例は61歳, 女性。ショック状態にて当院へ搬送された。聴取した病歴からカルシウム拮抗薬中毒が主病態であることが推測された。輸液に対する循環動態の改善に乏しく, ノルアドレナリンに加え, グルカゴン, グルコン酸カルシウムによる治療が奏功した。カルシウム拮抗薬中毒は徐脈, 低血圧の遷延によりしばしば致死的となり得る。薬剤の作用機序と疾患特異的な治療法を習熟し治療を行う重要性が示唆された症例である。
著者
森住 誠 本間 暢 石原 美加 松田 光弘 浦田 元樹 辻本 雅之
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.363-370, 2020 (Released:2021-02-13)
参考文献数
13

スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠 (ST合剤)は、ニューモシスチス肺炎 (PCP)予防の第一選択薬である。ST合剤は、尿細管上皮細胞のトランスポーターを阻害し、Scr値および血清カリウム (K)値を上昇させることが知られている。しかしながら、これらの検査値が、腎機能低下患者において、どのように変動するかを調査した報告はない。そこで、本研究では、腎機能低下患者へのST合剤予防投与による有害事象評価の基準を明らかにすることを目的として、PCP予防目的のST合剤投与後のScr値および血清K値の変動と投与開始時の腎機能との関連性について検討した。2016年4月から2018年3月に、ステロイド治療におけるPCP予防目的でST合剤が開始された患者をeGFR(mL/min/1.73m2)により、腎機能正常群(eGFR≧60, n=34)、中等度腎機能低下群(30≦eGFR<60, n=23)、高度腎機能低下群(eGFR<30, n=9)に群分けし、投与開始日(day1)と13-15日目 (day14)のScr値および血清K値の変化量を調査した。さらに、重回帰分析により、それぞれの変化量に影響する因子を検討した。ST合剤の予防投与は、腎機能正常群でScr値および血清K値を有意に上昇させたが、高度腎機能低下群では有意な変動を示さなかった。また、ST合剤投与によるScr値の変化量は投与前のeGFR(mL/min/1.73m2)に正の影響を受け、血清K値の変化量はeGFRに影響を受けなかった。さらに、重回帰分析により、Scr値変化量に対してeGFR(β=0.16)、ST合剤の週あたりの投与量 (β=0.24)、並びにレニン—アンジオテンシン—アルドステロン系(RAAS)阻害薬の併用 (β=0.12)が、血清K値変化量に対しては腎疾患 (β=0.20)並びにRAAS阻害薬の併用 (β=0.23)がそれぞれ有意な因子として検出された。以上の結果から、Scr値の上昇は、腎機能低下患者において極めて軽微(むしろ低下傾向)であることが示された。ただし、Scr値や血清K値の変動は、ST合剤の投与量、原疾患や併用薬の複合的要因に大きく影響されるため、ST合剤の予防投与時は腎機能によらず腎障害や高K血症の出現に留意する必要があると考えられた。