著者
宮脇 昇 山本 隆司 横田 匡紀 清水 直樹 西出 崇 後藤 玲子 藤井 禎介 玉井 雅隆 山本 武彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「やらせ」の政治的演出は情報の不完備性に依拠している。「やらせ」を命じる政治的演出者と「やらせ」を見る観客の双方に共通知識があたかも(as if)存在するかのごとく演出されるが、現実には観客の有する情報は限定的・選択的でしかない。被操作者は必ずしも完全な知識を有さない。情報の不完備性・非対称性が政治的演出としての「やらせ」を可能にし、公共政策の政策過程の循環を演出者の意図にそって進行させる。また非民主主義国では「やらせ」を内在化した情報操作が権力維持のために恒常化している。しかし世界的な民主化の波、インターネットの普及、情報公開制度の拡大により、成功的演出の条件が困難になった。
著者
富田 昌平 小坂 圭子 古賀 美幸 清水 聡子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.124-135, 2003-08-15

本研究では,Harris, Brown, Marriott, Whittall, & Harmer (1991)の空箱課題を用いて,幼児の想像の現実性判断における状況の迫真性,実在性認識,感情喚起の影響について検討した。2つの実験において,実験者は被験児に2つの空箱を見せ,どちらか一方の箱の中に怪物を想像するように要求した。その際,実験者は披験児に怪物の絵を見せ,その実在性の判断を尋ねた。想像した内容についての言語的判断と実際的行動を求めた後,実験者は被験児を部屋に一人で残し,その間の行動を隠しカメラで記録した。最後に,実験者は被験児に想像した内容についての言語的判断と感情報告を求めた。状況の迫真性の影響は,実験者が事前に怪物のお話を問かせる例話条件,実験者が魔女の扮装をしている扮装条件,それらの操作を行わない統制条件との比較によって検討した。実在性認識と感情喚起は,それらの質問に対する回答と他の測度での反応との関連から検討した。以上の結果,(1)状況の迫真性の影響は場面限定的であること,(2)実在性認識の影響は言語的判断における信念の揺らぎに見られること, (3)感情喚起の影響は部屋に一人で残されたときの自発的な行動において見られることが示された。

3 0 0 0 OA 万葉集

著者
清水浜臣
出版者
巻号頁・発行日
vol.[5],
著者
清水 貞夫 玉村 公二彦
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 = Bulletin of Nara University of Education. 奈良教育大学 編 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.41-54, 2015-11

In this article we analyzed the sociological labeling theory, especially focusing on Jane R. Mercer and also including the social climate of 1960s. According to Mercer, there are two perspectives in which mental retardation can be considered: (1) the clinical perspective and (2) the social system perspective. The clinical perspective is characterized by the simultaneous use of a medical model and a statistical model though these two models are frequently confused. She contends it is not appropriate to apply a medical model to mild mental retardation, but it is more appropriate to adopt a social system model for analyzing problems that people with mild retardation would meet in a community. She argues that from a social system perspective, mental retardation is a sociocultural phenomenon, That means that mental retardation is an achieved status in a social system and persons holding that status plays the social role designated by the social system. From Mercer's researches at Riversides, she found that there were a disproportionately large number of black persons and Mexican American persons labeled by community agencies. She also discovered that the schools were the chief labelers. From these and other findings Mercer came to three major conclusions. The first one is that clinicians and psychologists in the community were not measuring adaptive behavior only because there were no adaptive scales available for them to use. This meant that they judged persons as persons with mental retardation almost entirely on the basis of an IQ test score. The second one is that the cut-off point of an IQ score should be lowered to 2SD below, though public schools were using the cut-off point of IQ 79 or below. Third one is that tremendous cultural biases exists in the IQ test and the test is not appropriate when used with lower class persons who do not share the same cultural traditions as the dominant Anglo American society. These conclusions lead her to develop an improved assessment test called the System of Multicultural Pluralistic Assessment (SOMPA). SOMPA includes an extensive battery of measures. SOMPA has extensively reviewed and debated, so it has not recognized as a valid assessment tool for children yet. Mercer's social system approach, however, provides us with the new perspective about intellectual disability. According to Mercer intellectual disability is not mental defect or deficiency, but a kind of devalued deviancy which is determined to be deviant by other people in the social system.
著者
清水 昌人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-100, 2017 (Released:2017-07-27)
参考文献数
22
被引用文献数
5

本稿では2014年と2015年の住民基本台帳のデータを用い,外国人の社会増加が日本人の社会減少を量的にある程度以上補っている市区町村を観察した.筆者らは先の論稿で2014年の転出入を分析したが,集計値等を再検討すると,外国人の出国の多くが「その他」の職権消除に分類されていると推測されるため,本稿では転出入に「その他」の記載・消除(国籍変更等除く)を含めて社会増加・減少を分析した.その結果,外国人の社会増加が日本人の社会減少を完全に補う地域は,転出入のみで社会増加・減少を見た前稿に比べて大幅に減った.ただし完全にではないが,前者が後者を半分以上カバーし,かなりの程度補っている地域を加えた数は,2015年には少ないながら一定数にのぼる.2014年と2015年の比較では,これら市区町村の増加は三大都市圏から離れた地域等で小さいこと,かなりの程度以上補われている状態への移行やそこからの離脱は頻繁に起きること等を示した.
著者
清水 展
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第45回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.22, 2011 (Released:2011-05-20)

私の最初のフィールドワークは、友達の紹介をとおした偶然の出会いに導かれ、当初の予定とは別の地域・民族の村で行った。民族誌を上梓した直後、1991年にピナトゥボ火山が大爆発したとき、たまたまフィリピンにいた私は、噴火被災者の救援とその後の復興を支援活動に関わった。この10年は、世界遺産のイフガオ棚田村の住民主導の植林運動の同伴者として、日本のNGOとの連携に尽力している。自身の経験から人類学と支援について考える。
著者
清水 謙一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.655-658, 1998-08-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
27
著者
古橋 忠晃 津田 均 小川 豊昭 鈴木 國文 清水 美佐子 北中 淳子 照山 絢子 堀口 佐知子 清水 克修 後岡 亜由子 Figueiredo Cristina Pionné-Dax Nancy Tajan Nicolas Vellut Natacha Singly François de Pierrot Alain Castel Pierre-Henri Furuhashi Tadaaki Tsuda Hitoshi Ogawa Toyoaki Suzuki Kunifumi Shimizu Misako Kitanaka Junko Teruyama Junko Horiguchi Sachiko Shimizu Katsunobu Sedooka Ayuko
出版者
名古屋大学総合保健体育科学センター
雑誌
総合保健体育科学 (ISSN:02895412)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.29-33, 2011-03-31 (Released:2014-06-11)

In recent years the hikikomori (social withdrawal) phenomenon described in Japan has also come to be seen in Europe, particularly France. Despite the high level of interest in hikikomori in France, it has not been clearly defined and there is no clear overall understanding of the phenomenon. Our Japanese-French research team, supported by a Grant-in-Aid for Scientific Research (B) (overseas surveys), compared hikikomori youths in France and Japan from the perspectives of researchers in various fields. The aim of this study was to investigate the kinds of people to whom the concept of hikikomori is applied in France and Japan. A clinical conference was held in Paris in September 2010 to discuss cases considered to be hikikomori in the two countries. This article is an interim report from research in the first year of a series of international joint studies, and describes the commonalities and differences in the state of hikikomori in Japan and France.
著者
清水 千弘
出版者
Institute of Economic Research, Hitotsubashi University
巻号頁・発行日
2017-01-06

空き家対策における空き家調査,空き家バンクの運用は極めて重要な施策であるが,依然として確立した調査方法や運用方法が確立されていない状況にある。一般に,経済統計を作成していくうえでは,その作成のためのガイドラインを作成されたうえで,統計調査が実施される。本稿は,空き家調査をどのような情報源を用いて,どのように実施していくのか,そのためには,どのようなフィルターで定義をしていくのかを整理することを第一の目的とした。さらに,このように調査された空き家をどのように対応していくのかといったことは,運用面における動態的な視点が求められる。そこで,調査・分類された空き家を継続的にどのように捕捉し,どのような政策的な対応が求められるのかを,官民連携の可能性と併せて整理することを第二の目的とした。空き家対策においては,行政だけでの対応が困難なステージへと発展してきていることから,民間との協業が不可欠である。ただし,そのような協業の形は,地域ごとに直面している状況が多様であることから,これといった処方箋があるわけではない。そこで,現在における課題整理を行い,どのような政策転換が必要かということを私案として政策提言としてまとめた。 基盤研究(S) = Grants-in-Aid for Scientific Research (S)
著者
佐藤 伊織 戸村 ひかり 藤村 一美 清水 準一 清水 陽一 竹内 文乃 山崎 喜比古
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.39-49, 2004

我々は、不妊治療と出生前診断について、一般市民の知識・信念・態度を、自記式調査票により調査した。東京都N区の住民基本台帳から30代〜50代の者179名を無作為抽出し、そのうち住所の明らかな169名を対象とし、99の有効回答を得た。各調査項目と属性間、一部項目間の二変量の関係についてPearsonのx2検定を行った。不妊治療の知識やそれへの態度については、男女に明確な差は認められなかった。しかし、女性の方が不妊治療をよりシビアにとらえる傾向が見られた。市民の中には、不妊を夫婦双方の問題として取り組む姿勢も見られ、これからは実際に男性からも積極的に不妊治療に参加できる環境を整えることが望まれる。出生前診断や中絶に関する態度は、その人の年代・子どもの有無によって違いが見られた。出生前診断が必ずしも優生思想や障害者差別に結びつくものではないという点について特に、認識の普及が必要である。
著者
清水 邦夫
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.127-150, 2008-01-31
被引用文献数
1

方向統計学における主に2000年以降の文献に基づいて本分野の発展を概観する.円周上および球,トーラス,シリンダー,円盤上の分布の生成と応用例について述べる.その他,回帰と確率過程,推定と検定,ソフトウェアの現状について報告する.