2 0 0 0 OA 顔と顔貌性

著者
井上 寛雄 清水 高志 米山 優
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第22回全国大会
巻号頁・発行日
pp.262-265, 2007 (Released:2010-01-22)

構造主義とシステム論という二つの立場は協調しうるだろうか。本発表では斎藤環によるラカン理論とべイトソンの学習理論を「顔」を介して架橋するオートポイエーシス・モデルを検討しながら、その問題点をドゥルーズ=ガタリの「顔貌性」の議論によって照射し、そこから横断的オートポイエーシスの可能性を模索する。
著者
清水 研
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-6, 2014 (Released:2014-04-17)
参考文献数
6

がん罹患に伴う精神的苦痛は大きく、患者がうつ病などの病的な状況に陥ることも少なくない。心のケアを含めた緩和ケアが推進される中、精神腫瘍医(精神腫瘍学の専門性を持ってがん患者の精神・心理面の症状緩和を担当する医師)への要請は大きい。精神腫瘍医は精神保健における専門性を持ちつつ、身体状態を十分理解したうえで他職種と十分に連携することで、全人的な医療の提供を可能にし、その仕事の内容はまさに心身医学が目指す方向性の延長線に存在する。
著者
堀 和明 清水 啓亮 谷口 知慎 野木 一輝
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.193-203, 2020-05-01 (Released:2023-02-19)
参考文献数
19

石狩川下流域には自然短絡で生じた小規模な三日月湖が多数分布する.本研究では調査者自身が容易に扱える,エレクトリックモーターを取り付けたゴムボートおよびGPS付き魚群探知機を用いて,5つの湖沼(ピラ沼,トイ沼,月沼,菱沼,伊藤沼)の測深をおこない,湖盆図を作成した.また,表層堆積物を採取し,底質分布を明らかにした.すべての湖沼で水深の大きい箇所は河道だった時期の曲率の大きな湾曲部付近にみられた.ピラ沼や菱沼,伊藤沼の湾曲部では内岸側に比べて外岸側の水深が大きく,蛇行流路の形態的特徴が保持されている.一方,トイ沼北部や月沼は最深部が外岸側に顕著に寄っておらず,全体的に水深や湖底の凹凸も小さい.このような特徴は埋積開始時期の違いを反映していると考えられる.すべての湖沼でシルトや粘土による埋積が進んでおり,特にピラ沼と菱沼の水深の大きな地点では有機物を多く含む細粒土砂が表層に堆積していた.
著者
清水 浩 戸谷 吉博
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.104-109, 2022 (Released:2022-05-25)
参考文献数
24

地球規模のCO2問題が叫ばれる中,光合成微生物による化学物質や燃料の環境調和型生産の重要性が注目されている.シミュレーション,代謝フラックス解析,進化工学といったシステムバイオロジーの手法による多様な光環境における藍藻(シアノバクテリア)の光合成システムに関する最近の研究成果を解説する.
著者
清水 長 山川 武
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-147, 1979-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
115

今日までに目本から知られているすべての種, 西太平洋産の2種, さらに日本産の1新種を含むイットウダイ亜科2属18種の分類学的研究を行い, 各種のシノニムを詳細に論じた.この亜科には, イットウダイ属Adioryxとウケグチイットウダイ属Flammeoの2属が知られ, 両者は背鰭第11棘の位置で区別される。この棘は, イットウダイ属では第10棘と背鰭第1軟条との中間に位置し, ウケグチイットウダイ属では背鰭第1軟条に極めて近く位置する。イットウダイ属の分類には計数的形質のほかに, 鼻骨後部の棘, 鼻孔の棘および第1眼下骨上縁の棘もしくは鋸歯の有無が有効な形質である.本属の日本産10種, ハナエビスA.furcatus, トガリエビスA.spinifer, クラカケエビス (新称) A.caudinaculatus, スミツキカノコA.cornutus, イットウダイA.spinosissimus, アヤメェビスA.ruber, ホシエビスA.lacteoguttatus, アオスジエビスA.tiere, ニジエビスA.diadena, テリエビスA.itiodaiおよび1新種バラエビスA.dorsomaculatusの記載が与えられた.この新種は鼻孔の後縁 (時には前縁にも) に小棘をもつ, 第1眼下骨上縁に鋸歯をもっ, 鼻骨後部は平滑で棘をもたない, 側線鱗数32-35, 体色は全体に赤色で背鰭第1棘から第3棘の問の鰭膜の下方部に黒斑をもつなどの特徴により他のいずれの既知の種とも区別される.日本以外からのスミレエビス (新称) A.violaceus, ヒメエビスA.microstomus, サクラエビス (新称) A.tiereoidesの3種を含めて, 西太平洋産イットウダイ属14種の実用的検索が作製された.ウケグチイットウダイ属4種は, 背鰭第11棘の長さ, 側線上方鱗数, 胸・臀鰭条数および背鰭棘部鰭膜上の黒色斑紋の有無と形により容易に識別される.これら4種の記載と検索が与えられた.
著者
清水 富士夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.182-185, 2002-02-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
15

物質波は急しゅんなポテンシャル変化に出合うと,インピーダンス不整合のために反射を起こす.中性原子が液体ヘリウム表面で受けるファンデルワールス引力による反射は十数年前より研究され,量子反射と呼ばれてきたが,最近,固体表面からの反射も観測された.この豊子反射は,通常の固体表面では微弱な現象であるが,表面近くの実効的な密度を減らすことで,実用的な反射型原子光学素子として使えるような高い反射率が得られることを示す.
著者
日野林 俊彦 赤井 誠生 金澤 忠博 大西 賢治 清水 真由子
出版者
藍野大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

初潮年齢は、個人の発達指標であるとともに、生活史理論から見ると進化発達的指標でもあり、発達の加速は進化における異時性の視点からも興味深い。近年、日本における平均初潮年齢は、低年齢化したままで変化は少ない。しかし、進化的傾向に逆行する、低年齢化の影響は、女性の発達に大きな影響を与えている。初潮年齢は、朝食や、睡眠時間のような健康習慣が悪化すると低い傾向が見られた。一方、性別受容は、既潮群の肯定率が低い。また、思春期前後では「保育士」ような、乳幼児に関わる職業が選択される傾向がみられるが、時代的に選択率が低下する傾向もみられ、思春期に子供への関心を高める効果が低下していることも考えられる。
著者
川本 直義 清水 裕之
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.74, no.643, pp.1985-1994, 2009-09-30 (Released:2010-01-22)
参考文献数
6

I investigated practice fields of city bands and grasped the state of a room in a performance, and considered problems about safekeeping and import of musical instruments to use for an exercise. It is necessary for depots of musical instrument cases besides performance area. Scale of an exercise room can think about 2.5 square meters per one person. In public cultural facilities and other institutions, it is necessary for safekeeping and an import method of large-sized musical instruments to be considered.

2 0 0 0 社会学講義

著者
清水 幾太郎
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
1952

博士論文
著者
清水 邦彦
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.107-130, 2018-09-30 (Released:2018-12-30)

明治時代初期において、地蔵像等の仏像が撤去・破壊された事例が全国に散見する。本稿では、地域を絞って、地蔵像等の仏像撤去・破壊の原因を解明することを目的とする。京都府・大阪府・滋賀県の三地域では、開化政策の一環として、路傍の地蔵像が撤去され、地蔵祭が禁止された。しかしながら、開化政策の一環であったためか、三地域いずれも明治時代中期には、地蔵像が再安置されている。加賀藩・富山藩では、当初、粛々と神仏分離が行われた。その後、富山藩では経済政策として寺院整理が行われ、仏像が鋳つぶされた。加賀藩を引き継いだ石川県は、水源確保を目的として白山より仏像を下山させ、時に仏像は破壊された。東京都御蔵島では、神道思想に基づき、寺が廃寺となり、地蔵像が破壊された。明治時代初期において、地蔵像等仏像が撤去・破壊された原因として、①開化政策、②神道思想に基づく廃仏毀釈の二つがあることが判明した。
著者
清水 里美 郷間 英世 船曳 康子 米澤 朋子
出版者
平安女学院大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

(1)1歳6ヵ月児健診、3歳児健診、および5歳児健診時における発達スクリーニングに適した項目と保護者向けの発達評価に関する問診項目を選定し、タブレットで反応を収集分析できるシステムを開発する(2)開発したタブレット版発達スクリーニング検査を各健診の該当年齢児に実施し、新版K式発達検査の2020年版の標準化データと比較する。また、タブレット版実施時に行動を直接観察評価し、タブレットによる取得情報と比較する。以上の分析を通じてタブレット版の有効性について検討する(3)クリニック等に協力を求め、臨床事例にタブレット版発達スクリーニング検査をおこない、適用可能性を検証する
著者
片山 一道 徳永 勝士 南川 雅男 口蔵 幸雄 関 雄二 小田 寛貴 上原 真人 清水 芳裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

南太平洋に住む人びとの祖先集団であり、ポリネシア人が生まれる直接の祖先となった先史ラピタ人の実態を解明するため、生物人類学、先史人類学、考古学、生態人類学、人類遺伝学、年代測定学、地球科学などの研究手法で多角的な研究を進めた。トンガ諸島のハアパイ・グループ、サモアのサワイイ島、フィジーのモツリキ島などで現地調査を実施して、それぞれの分野に関係する基礎資料類を収集するとともに、それらのデータ類を分析する作業を鋭意、前進させた。それと同時に、ラピタ人からポリネシア人が生まれる頃にくり広げられた南太平洋での古代の航海活動を検証すべく、ポリネシアから南アメリカの沿岸部に散らばる博物館資料を点検する調査を実施した。特記すべき研究成果は以下のごとくである。まずは、フィジーのモツリキ島にあるラピタ遺跡を発掘調査して古人骨(マナと命名)を発見し、フィジー政府の許可を得て日本に借り出し、形質人類学と分析考古学の方法で徹底的に解析することにより、古代ラピタ人の復顔模型を作成するに成功したことである。マナの骨格、ことに頭蓋骨は非常に良好な状態で遺残しており、これまでに発見されたラピタ人骨では唯一、詳細な復顔分析が可能な貴重な資料であったため、世界に先がけて古代ラピタ人の顔だちを解明することができた。それによって彼らがアジア人の特徴を有するとともに、併せて、現代のポリネシア人に相似する特徴も有することを実証できた。そのほか、一般にポリネシア人は非常に足が大きく、世界でも最大の大足グループであることを証明し、その性質がラピタ人の頃に芽生えたらしいことを推論できたこと、さらに、サモアのサワイイ島で考古学の発掘調査を実現できたこと、トンガ諸島で古代の漁労活動を類推する資料類を収集するとともに、現代人の遺伝的な関係を分析する血液試料を採集できたことなども大きな成果である。とりわけ世界で最初に復顔したラピタ人の等身模型は国内外に発信できる本研究の最大の研究実績であろう。
著者
清水 裕 中野 冠
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.237-245, 2018-06-15 (Released:2018-06-15)
参考文献数
25

国産のエネルギー資源に乏しい日本は,海外の資源に頼らざるをえない.エネルギー・セキュリティの面で,産油国から原油や天然ガスを輸入する際のシーレーン上のチョークポイントリスクは,欧米各国に比べて大きくて重要であるが,これまで十分な考慮がされていない.本稿では,エネルギー多様性指標を使用した資源集中リスク,およびカントリーリスクに加えて,チョークポイントリスクを加味したリスク指標を提案する.従来,エネルギーセキュリティを国別に比較をする際には,それぞれ異なった単位の指標を統合化する必要があるが,この提案する指標は,各国が抱える上記の3 つのリスクを,直接的に比較することができる.また応用例として,資源輸入相手国をリスクの少ない国にシフトした場合のエネルギーセキュリティ度の変化を,簡便に定量評価することが可能である.
著者
大谷 多加志 清水 里美 郷間 英世 大久保 純一郎 清水 寛之
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.142-152, 2019 (Released:2021-09-30)
参考文献数
17

じゃんけんは日常生活の中で,偶発的な結果に基づいて何らかの決定や選択を得るための一つの手段として広く用いられている。本研究は,子どもがどのような発達過程を経て,じゃんけん課題の遂行の基礎にある認知機能を獲得していくかを「三すくみ構造」の理解に関連づけて検討することを目的とした。対象者は,生後12ヵ月(1歳0ヵ月)超から84ヵ月(7歳0ヵ月)未満の幼児と児童569名であった。本研究におけるじゃんけん課題は,じゃんけんの「三すくみ構造」をもとに「手の形の理解課題」,「勝ち判断課題」,「負け判断課題」の3種類の下位課題から構成された。また,じゃんけん課題の成否と子どもの発達水準との関連を調べるために,対象者全員に『新版K式発達検査2001』が併せて実施された。本研究の結果,「手の形の理解課題」は2歳7ヵ月頃,「勝ち判断課題」は4歳9ヵ月頃,「負け判断課題」は5歳4ヵ月頃に平均的に達成されていくことが明らかとなった。また,「手の形の理解課題」,「勝ち判断課題」,「負け判断課題」の3種類のじゃんけん課題の成否および反応内容から評価したじゃんけんに関する知識や技能の獲得の段階(5段階)と『新版K式発達検査2001』の発達年齢との間で統計的に有意な相関が認められた。よって,本研究のじゃんけん課題は子どものじゃんけんの理解の段階を評価し,幼児の発達水準を査定するために有用であると考えられる。
著者
清水 幸雄 柚原 亜美 矢野 勝子 北川 佳奈子 飯田 純一 五十嵐 信智 伊藤 清美 落合 和 折井 孝男 杉山 清
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.31-36, 2010 (Released:2011-12-24)
参考文献数
17
被引用文献数
6 4

There is concern about the possibility of degradation of the active substance as a result of pH changes when making suspensions of several drugs together by the simple suspension method.However,this has been investigated by few researchers.In the present study,we focused our attention on aspirin since it is known to be hydrolyzed at high temperatures or with elevation in pH.In this study,a Bufferin® 81 mg Tablet was suspended alone or together with alkaline drugs by the simple suspension method,and its stability evaluated.When in the suspension alone,the Bufferin® 81 mg Tablet was stable for 5 hours and the amount of salicylic acid (hydrolyte of aspirin) produced was negligible.On the other hand,when it was suspended together with alkaline agents (magnesium oxide tablet/powder,or lithium carbonate tablet),the residual content of aspirin decreased to 77-84% in ten minutes.The pH of the suspensions containing both the Bufferin® 81 mg Tablet and alkaline agents ranged from about 9 to 10 showing that alkalinity had been enhanced as compared with the suspension of Bufferin alone whose pH was 4.It has been reported that in low-dose aspirin therapy,platelet aggregation inhibition is unstable if the daily aspirin dosage is reduced to less than 75 mg.However for Bufferin® 81 mg Tablet,the results of the present study suggested that the beneficial effect of low-dose aspirin therapy might not be fully achieved it were suspended together with alkaline agents by the simple suspension method.
著者
中村 祐介 吉富 秀幸 清水 宏明 大塚 将之 加藤 厚 古川 勝規 高屋敷 吏 久保木 知 高野 重紹 岡村 大樹 鈴木 大亮 酒井 望 賀川 真吾 宮崎 勝
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.258-264, 2015-04-20 (Released:2015-05-08)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

【目的】膵腺房細胞癌(以下ACC)は稀な膵腫瘍であり,その発生頻度は全膵腫瘍の約0.4%とされる.本疾患の臨床病理学的特徴には未だ不明な点も多く,自験例での検討を行った.【対象】2004年から2011年までに当教室で経験し,組織学的に確認し得たACC 4症例.【結果】平均年齢は68.2歳,全例男性で,CT検査画像では境界明瞭で内部不均一な低濃度腫瘤影を呈し,血液検査では血清エラスターゼ1,AFP値の上昇を認めた.治療は3例に根治的切除が施行され,切除不能例には5-FU+放射線照射併用療法が施行された.切除例全例に肝転移再発を認め,追加切除または全身化学療法を施行した.治療成績では追加切除例で68.4ヶ月,切除不能例で70.0ヶ月の長期生存例を経験した.【結論】今後も症例の集積により,再発・転移例に対する積極的な制癌治療を含む治療戦略の検討が必要と考えられた.