著者
渡邊 勉
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

第一に1900年以降の階層構造について、戦前、戦中、戦後の不平等を兵役という観点から分析し、不平等の実態を明らかにした。具体的には、SSM調査の職歴データを利用し、徴集、召集のしやすさが学歴や職業によって異なることを明らかにした。また戦時の死亡リスクについても、階層の影響があることを確認した。第二に1900年以降のキャリアについて、職歴データから職業分布の変化と職工の転職行動について検討した。戦前と戦後では戦争によって職業分布の変化が断絶していることを明らかにした。また職工の分析を通じて、戦前の転職率はやや高いことを確認するとともに、戦時中に移動が爆発的に増加していることが明らかとなった。
著者
渡邊 慎吾 須賀 康平 小野 修 江川 廉 茂木 崇宏 櫻井 佳宏 小関 忠樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.66-73, 2018-09-01 (Released:2018-09-14)
参考文献数
27

脳卒中後の痙縮は,運動機能の回復を阻害する可能性を有することから,早期に痙縮発症の要因を同定することが重要であると考えられる。そこで,本レビューは脳卒中後早期の痙縮発症の予測因子を調査することを目的とし,論文レビューを実施した。データベースはPubMedを用いた。論文検索は,“spasticity”,“post stroke spasticity”の2つの用語に“stroke”,“cerebrovascular accident”,“CVA”,“predictors”,“risk factors”を組み合わせて実施した。すべての検索は2017年5月22日までに終了した。最終的に15編の論文が採用された。痙縮発症の予測因子は,運動機能に関する報告が最も多かった。その他に,感覚機能,疼痛,年齢等の患者属性,臨床経過および脳の損傷部位が挙げられた。痙縮発症の要因を早期に同定し,リハビリテーションおよび薬物治療を実施することは,さらなる運動機能の回復や介護負担の軽減および治療コスト削減をもたらす可能性がある。
著者
小林 誠 渡邊 定元
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.18, 2004 (Released:2004-07-30)

北海道の黒松内低地帯には,日本の冷温帯域の主要構成種であるブナ(Fagus crenata)の分布北限域が形成され,以北(以東)の冷温帯域には,ミズナラなどの温帯性広葉樹と針葉樹とからなる針広混交林が広く成立している。この現在のブナの分布域と分布可能領域との不一致については,様々な時間・空間スケール,生態学的・分布論的研究アプローチによってその説明が試みられてきている。 植生帯の境界域においてブナや針広混交林構成種には,どのような生態的特徴,個体群の維持機構が見られるのだろうか?植生帯の境界域におけるこれら構成種の種特性を明らかにすることは,植生帯の境界域形成機構の解明に際して,重要な知見を与えるだろう。これまで渡邊・芝野(1987),日浦(1990),北畠(2002)などによって,北限のブナ林における個体群・群集スケールの動態が明らかになりつつある。本研究ではこれら従来の知見を基礎とし,最北限の「ツバメの沢ブナ保護林」における調査によってブナとミズナラの動態を検討した。 ツバメの沢ブナ林においてブナ林は北西斜面に,ミズナラ林は尾根部に成立し,両者の間には混交林が成立している。1986年に設定された調査区の再測定と稚幼樹の分布調査から,(1)ブナとミズナラの加入・枯死傾向は大きく異なり,ブナは高い加入率と中程度の枯死率で位置づけられたが,ミズナラは加入・枯死率ともに小さかった。(2)ブナの稚幼樹はブナ林内・ミズナラ林内においても多数見られ,ブナのサイズ構造からも連続的な更新が示唆されたが,ミズナラの稚幼樹はほとんど見られなかった。(3)ブナは調査区内において分布範囲の拡大が見られたが,ミズナラには見られないことなどが明らかになった。これらのことは,分布最北限のブナ林においてブナは個体群を維持・拡大しているのに対し,ミズナラの更新は少なく,ブナに比べ16年間における個体群構造の変化は小さいことが明らかになった。
著者
鈴木 健太 三品 美夏 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.185-189, 2013-03-20 (Released:2013-06-15)
参考文献数
20

11歳齢,去勢雄の雑種猫が繰り返す高窒素血症を主訴に麻布大学附属動物病院に紹介来院した.各検査結果より左腎周囲への尿の漏出が疑われ試験開腹を実施した.開腹下において左腎腹側面の腎門部に欠損孔が存在し,同部位から尿の漏出が確認されたため腎盂破裂と診断した.治療は破裂部位を修復するため,膀胱壁の一部を利用し欠損孔に補塡した.術後1週間後に手術部位の近接部にて尿の漏出を認めたが,同手技にて再度修復を行ったところ再発は認めず良好な経過が得られている.
著者
佐藤 智 河島 尚志 渡邊 知愛子 五百井 寛明 長谷川 大輔 西亦 繁雄 柏木 保代 武隈 孝治 星加 明徳
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第33回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.44, 2005 (Released:2005-10-18)

HPSは多彩な臨床症状で発症する。今回我々は致死的経過を示したVAHSを4例経験したので報告する。症例1:SLEの19歳女性。発熱、咽頭痛を主訴に入院。EBV感染と診断した。解熱せず、肝脾腫、汎血球減少、肝機能障害、フェリチンの上昇を認めた。IVIG、mPLSパルス療法、CyA、血漿交換施行も効果なく入院72日目に死亡。症例2:2ヶ月男児。発熱、哺乳低下を主訴に入院。Combined immnunodeficiency with predominant T cell defectと診断した。CMV感染症を発症し、肝脾腫、汎血球減少、高フェリチン血症を認めた。IVIG、mPLSパルス療法、交換輸血施行も改善なく入院76日目に死亡。症例3:1歳4ヶ月男児。心肺停止にて当院に搬送され、入院20時間後に死亡。骨髄、肝組織からパラインフルエンザ2ウイルスを検出した。症例4:4ヶ月男児。心肺停止にて当院に搬送され、入院23時間後に死亡。髄液、肝組織からエンテロウイルスを検出した。考察:HPSは急激な経過を示し予後不良のことがある。症例1,2のように基礎疾患がある場合早期の治療介入が必要と考えられた。症例3,4ではHPSが乳幼児期では突然死との関連も示唆される可能性があった。4例とも高サイトカイン血症と病理所見から血球貪食像と多量のウイルスを認め、ウイルスの増殖の抑制ができないことが誘引と考えられた。
著者
渡邊 俊文 野尻 康史
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.549-553, 2019-09-20 (Released:2019-10-20)
参考文献数
11

腎疾患が疑われる犬62症例及び猫40症例において,血中クレアチニンとUP/C(尿蛋白/尿クレアチニン比)の間に弱い相関(相関係数:犬 0.11,猫 0.27)しか認められないことから,UP/Cは血中クレアチニンとは独立した指標であり,また血中クレアチニンが参考基準値(犬1.4mg/dl,猫1.6mg/dl )未満かつ蛋白尿を示す症例が犬で24症例(38.7%),猫で4症例(10.0%)あったことから,UP/Cは血中クレアチニンでは捉えられない早期かつ潜在的な腎疾患を検出できると考えられた.さらに,UP/Cに関して定量法とディップスティックを用いた半定量法との間に強い相関(1ランク以内の一致率:犬 95.2%,猫 90.0%)を示したことから,ディップスティック法の特長を生かした院内での迅速かつ簡便なUP/Cの測定が有効であると考えられた.
著者
渡邊 洋一
出版者
歴研
雑誌
歴史研究 (ISSN:02875403)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.72-75, 2019-04
著者
渡邊 暁 渡邊 洋子
出版者
近畿大学九州短期大学
雑誌
近畿大学九州短期大学研究紀要 (ISSN:09164383)
巻号頁・発行日
no.45, pp.53-68, 2015

[注記]著者専攻(渡邊): 相談援助 社会的養護
著者
金 相賢 盛川 浩志 三家 礼子 渡邊 克巳 河合 隆史
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.329-338, 2016-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
34

We evaluated the effects of disparity conditions such as degree of crossed/uncrossed disparity on the preference occurring during the cognitive process of preference judgment by using psychological and physiological indices. First, we performed paired comparisons of 20 novel shapes without disparity in order to select eight stimuli with minimum bias during preference judgment. Second, we investigated the effects of parallax characteristics on the feeling of preference by using 24 stimuli created by adding three disparity conditions (0.3°, -0.3° and -1.1°) to the eight previously determined stimuli. Moreover, psychological indices were determined by paired comparisons of preference judgment and physiological indices were determined by measurements of eye movement, eye fixation time, and view count during the process of preference judgment. The paired comparisons showed that the participants preferred higher crossed disparity and higher parallax angles. The eye movement measurements showed that eye fixation time and view count increased during conditions of crossed disparity rather than uncrossed disparity, and this increase was directly proportional to the degree of parallax angle. We argue that the reasons for this may be related to the attraction of the crossed disparity and the familiarity and novelty that complements the addition of parallax.
著者
松田 雅弘 渡邉 修 来間 弘展 村上 仁之 渡邊 塁 妹尾 淳史 米本 恭三
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.117-122, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
22
被引用文献数
8 5

〔目的〕脳卒中により利き手側の片麻痺を呈した場合,利き手交換練習を行うことが多い。そのため健常者における非利き手での箸操作の運動時,イメージ時,模倣時の脳神経活動を明らかにした。〔対象〕神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人5名(平均年齢20.7歳)とした。〔方法〕課題は,左手箸操作運動課題,左手箸操作イメージ課題,左手箸操作の映像をみながら箸操作運動課題(模倣課題)の3種類とし,その間の脳内活動を3.0T MRI装置にて撮像した。〔結果〕運動課題では左右感覚運動野・補足運動野・小脳・下頭頂小葉・基底核・右Brodmann area 44が賦活した。イメージ課題では,運動課題と比べ左感覚運動野・小脳の賦活が消失していた。模倣課題では,左右感覚運動野・補足運動野・上下頭頂小葉・Brodmann area 44が賦活した。〔結語〕イメージ課題と模倣課題には,運動課題時に賦活する領域を両課題とも補う傾向にあることから,箸操作訓練の際には運動課題のみではなく両者を取り入れて行う意味があることが示唆された。
著者
服部 友里 渡邊 伸行 鈴木 敦命
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
pp.38.6, (Released:2019-09-10)
参考文献数
52

It has recently been reported that a person’s face is perceived as more attractive when presented in a group than when presented alone. This phenomenon is called the cheerleader effect. To distinguish this effect from classical assimilation and contrast effects, this study examined if it was observable when similarly attractive faces were presented in a group. It also explored whether the cheerleader effect was modulated by the combination of the observer and face gender, considering that there are well-known gender differences in face processing. In each trial of the experiment, participants rated the physical attractiveness of a target face that was presented alone or together with two different faces. In the latter type of trial, the three faces were of the same gender and were of similar attractiveness. The cheerleader effect was successfully replicated in the present experimental setting, and the size of the effect was particularly large when female participants rated male faces. These findings indicate that the cheerleader effect may occur through mechanisms that are different from assimilation and contrast with surrounding faces, and that the effect is subject to modulation by both observer and face gender.
著者
本山 達男 尾川 貴洋 田村 裕昭 古江 幸博 永芳 郁文 川嶌 眞之 佐々木 聡明 渡邊 裕介 小杉 健二 川嶌 眞人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.254-257, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
7

膝外傷後の痛みで,単純X線で異常なくてもMRIで骨挫傷を認めることが散見される.靭帯損傷を伴わない骨挫傷単独例を,受傷機転,骨挫傷部位,疼痛が消失した時期,スポーツ復帰で検討した.対象と方法)対象は2011年11月より2013年12月まで,MRIで膝の骨挫傷単独例と診断し当院で加療を行った13例,13膝で平均年齢は19.6歳(13-36歳),男性10例,女性3例で,後ろ向きに調査を行った.結果)受傷機転はスポーツ中のもの6例,交通事故5例,子供のバットが当たったもの1例,不明1例であった.受傷部位は大腿骨内側顆10膝,大腿骨外側顆2膝,脛骨内側顆4膝,膝蓋骨1膝であった.疼痛の消失時期は受傷後より約3-7週で平均4.2週であった.考察)膝の単独の骨挫傷は診断にはMRIが必須で,予後は良好であるが,骨の外傷であり歩行時痛が消失するのは3週以上かかることが多く,スポーツ復帰は5週以上要した.
著者
佐野 梓 末次 王卓 秦 晃二郎 柊迫 美咲 片山 美幸 田中 瑠美 田島 壮一郎 グリム 理恵子 辻 敏和 渡邊 裕之 金谷 朗子 増田 智先
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.229-235, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
16
被引用文献数
4

We have disclosed 14 standardized laboratory data on out-of-hospital prescriptions since June 2015. In this study, we analyzed questions on out-of-hospital prescriptions related to laboratory data over 2 years. There were 229 prescription questions related to laboratory data (3.4% of the total prescription questions), and 79.5% of these were related to renal function. Among renal function-associated laboratory data, serum creatinine was used in most cases. The rate of prescription change after prescription questions was 66.5% for laboratory data associated with renal function, which was significantly higher (P < 0.001) than the 25.5% for other types of data. Furthermore, the clear description of dose reduction requirements on a package insert was confirmed to be one of the common factors for renal excretory drugs. Therefore, it is important to provide renal function laboratory data to facilitate the appropriate adjustment of out-of-hospital prescription doses. In addition, to enable appropriate dose adjustments using laboratory data, the description on the drug package insert should make it easy for pharmacists who are auditing prescriptions to make appropriate judgments.