著者
蓮尾 昌裕 赤池 孝章 湯浅 英哉 有本 博一 鈴川 和己 進士 忠彦 片山 紀生 見延 庄士郎
出版者
京都大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2004

日本の科学研究費補助金(科研費)制度の効率的な運用のため、新たなプログラムオフィサー(PO)制度の構築に向けた以下の調査研究成果を得た。1 海外の競争的研究資金配分機関におけるPO制度運営状況の調査研究米国MH, NSF、英国RC、シンガポールA^*STAR、台湾NSC、韓国KRF、日本・北米・欧州HFSP、EU ESF、独国DFG等の競争的研究資金制度およびそのPO制度の現地調査を行い、それぞれの競争的研究資金制度の概要・特徴とその中でのPOの位置付け・役割を整理した。2 国内の競争的研究資金配分機関におけるPO制度運営状況の調査研究科研費(文部科学省・研究振興局)、科研費(日本学術振興会)、科学技術振興調整費(科学技術振興機構)、産業技術研究助成事業(NEDO技術開発機構)、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業・民間結集型アグリビジネス創出技術開発事業(農林水産省・農林水産技術会議事務局)の競争的研究資金制度およびそのPO制度を調査・分析し、比較一覧表を作成した。3 文科省科研費担当学術調査官制度やPO制度に関するアンケート調査審査部会各系委員会委員、採択課題・領域の研究代表者、および学術調査官所属機関に対し、学術調査官の業務や構成、PO像やそのキャリアパス等についてアンケート調査を行い、意識・意見・要望を分析した。4 科研費応募者に対する科研費制度とPO制度の啓発活動、および応募者の意識・要望の調査研究本科研費の企画提案等により、日本化学会第85春季年会企画講演「より身近な科研費制度を目指して-プログラムオフィサーに求められる役割-」、日本機械学会2005年次大会特別企画「変わりつつある科学研究費制度-研究者自身に求められる役割-」、第78回日本生化学会大会シンポジウムパネルディスカッション「ポトムアップ型競争的研究資金、科研費制度の改善に向けて-アカデミアとプログラムオフィサーの役割-」を実施した。さらに会場でのアンケート調査により、科研費応募者の意識・要望を分析し、このような企画の効果を検証した。
著者
片山 平 寺尾 寛行 井之上 準 陳 進利
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.333-340, 1982-12-01
被引用文献数
1

イネの Aus, Aman, Boro, Bulu, Tjereh の5生態型および日本品種を供試して,酸性フォスファターゼ・アイソザイム,フェノール反応,粒型,吸水速度,メンコティール伸長の高温反応(40℃),酸素吸収量などについて比較検討した。えられた結果から,5生態'型のうち,Buluのもつ諸特性と日本品種のそれらとの間には,高い類似性のあることが認められ,日本品種の成立にBuluの影響も無視できないことが示唆された。 Buluのもつ遺伝子の日本までにたどった道筋として,ジャワ-フィリピン-台湾-琉球-日本のルートと,シャワ-中国大陸-日本のルートの2つが考えられる。
著者
片山 昇
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.324-333, 2007

相利共生とは、相互に関係する生物種が互いに相手から利益を受ける関係であり、あらゆる生態系にみられる。しかし、相利共生は状況に応じて変化し、時として解消される。相利共生は多様な生物種を生み出してきた大きな要因であるため、相利共生の動態を解明することは生態学や進化学の重要な課題となってきた。アリとアブラムシの関係は、アブラムシが甘露を提供するかわりに、アリがアブラムシの天敵を排除するという、良く知られた相利共生の一つである。しかし、アリ-アブラムシの関係は生態的あるいは進化的に変化しやすく、相利から片利、さらには敵対にいたるまで多様な形態が存在する。このようなアリ-アブラムシ系における関係の変異の創出や相利共生の維持機構について、これまでの研究ではアブラムシがアリに随伴されることに対するコストと利益を考慮した最適化理論が用いられてきたが、その範疇に収まらない例が多い。一方で、(1)アブラムシの内部共生細菌は宿主の形質を変化させる、(2)アリは局所的な昆虫の群集構造を決める、ということが明らかにされてきた。そこで本稿では、アリ-アブラムシ系を複数の生物が関わる相互作用として捉え直し、相利共生の動態について議論する。特に、(1)アリ-アブラムシ-内部共生細菌による複合共生系の存在と、(2)アリ-アブラムシの相利共生とアブラムシ天敵の群集動態とのフィードバックについて仮説を提唱する。
著者
西森 大地 山崎 裕司 中屋 久長 山本 双一 平賀 康嗣 片山 訓博 重島 晃史 高地 正音
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-61, 2011-03-31

下肢伸展運動を課題として,徒手による他動的誘導(以下,他動誘導)と徒手抵抗による誘導(以下,抵抗誘導)のいずれが運動再現性の点で優れているかを比較検討した.対象は,健常成人24名の右脚である.12名は靴ベラ式短下肢装具装着下(以下,装着群)で,残り12名は非装着下(以下,非装着群)で実験を行った.仰臥位,右膝関節最大屈曲位を開始肢位とし,他動誘導,抵抗誘導のいずれかのガイドによって開始肢位から再現させる屈曲角度(膝関節90°と60゜)まで誘導し,その運動を記憶するよう指示した.開始肢位に戻した後,自動運動によって運動を再現させ,誤差を求めた.膝関節60°の非装着群における誤差は,他動誘導,抵抗誘導の順に2.49cm,1.54cmであった。装着群では3.68cm,1.57cmであった.両群ともに抵抗誘導において誤差は小さかった(p<0.05 ).膝関節90°では非装着群において有意差を認めなかったが,装着群では抵抗誘導において誤差は小さかった(p<0.05 ).以上のことから,徒手抵抗を加えて運動を誘導する方法が正確に運動を指導することができるものと考えられた.
著者
片岡 喜代徳 梅川 徹 片山 孔一 石川 泰章 児玉 光正 高村 知諭 高田 昌彦 加藤 良成 郡 健二郎 井口 正典 栗田 学
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.799-803, 1991-05-20
被引用文献数
1

上部尿路結石患者と健常人の尿中の蓚酸カルシウム結晶量と尿中諸物質濃度を測定し,重回帰分析することによりそれらの影響力を検討した.1.結石患者の尿では説明変数としては蓚酸,ナトリウム, カルシウム,尿酸,マグネシウムが採択されそれぞれの偏相関係数は0.67,0.28,0.18,0.18,-0.10であった.CaOx結晶量の回帰式はCaOx Crystal量(×10^6μm^3/ml)=3.59×10^2Ox(mM/ι)+4.72×10^<-3> Ca(mM/ι)+4.52x10^<-3>Na(mM/ι)+2.51×10^<-4>UA(mM/ι)-2.39x10^<-2>Mg(mM/ι)-1.65で,重相関係数は0.759であった.結石患者の尿では結晶形成は蓚酸濃度に最も依存し,ナトリウム,カルシウム,尿酸が結晶形成促進因子として働き,マグネシウムが阻止因子として作用していた.2.健常人の尿では説明変数として蓚酸と無機燐が採択されそれぞれの偏相関係数はO.51,-0.24であった.CaOx結晶量の回帰式はCaOx Crystal量 (×10^6μm^3/ml)=1.91×10^<-2>Ox(mM/ι)-3,43x10^<-4>P(mM/ι)+0.29で,重相関係数は0.525であった健常人の尿でも結晶形成は蔭酸濃度に依存していたが,他に促進因子 は明らかではなかった.阻止因子としての作用は無機燐に認められた.健常人では結石愚老に比べ重相関係数も低く,結晶形成に他の不明の多くの諸物質の関与が推察された.
著者
藤村 宜史 片山 信久 武田 麗華 永尾 進 中塩 仁士 藤井 和代 山本 陽介
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-8, 2009
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】本調査の目的は,地域連携パス(以下連携パス)のバリアンスや転帰から目標在院日数の妥当性や運用上の対策を検討することである。【方法】呉市の連携パス参加機関のうち連携パスの運用実績のある8施設において連携パスを適応された大腿骨頚部骨折(以下頚部骨折)16例と大腿骨転子部骨折(以下転子部骨折)19例を対象とした。この8施設に所属する理学療法士の協力を得て,手術日から急性期病院を転院するまでの日数(以下在院日数I),手術日から連携病院を退院するまでの日数(以下在院日数II)の目標設定からの逸脱をバリアンスとして,その有無と原因を調査した。【結果】在院日数Iにおける負のバリアンス発生率は頚部骨折50.0%,転子部骨折36.8%であり,その理由は主に転院マネージメント,インフォームドコンセントなど情報に関する要因であった。在院日数IIにおける負のバリアンス発生率は頚部骨折12.5%,転子部骨折47.4%で,理由は主に歩行能力の獲得遷延,術後疼痛など患者の身体的な要因であった。【考察】急性期病院では,短い在院日数において職種・施設間で円滑な情報伝達を図り,適切なインフォームドコンセントにより患者や家族の理解を得ることが求められ,また連携病院ではバリアンス分析により目標在院日数を見直し,介護保険への連携を構築することが今後の課題と考えられる。
著者
山崎 文雄 副島 紀代 目黒 公郎 片山 恒雄
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.171-179, 1994-08

都市社会の電力依存の高まりとともに,停電によって都市社会が受ける障害の形態も変化しつつある.1991年の台風19号の際には,全国で700万件もの停電が発生し,構造的被害よりも停電によるライフラインの機能損失・機能的被害波及が大きな問題となった.停電による都市生活への影響は,その地域に住む人々の生活様式や産業形態によって大きく異なり,しかも季節・天候などの自然条件と,停電の発生時刻・継続時間などの影響を強く受ける.これは地域別の電力需要特性が,上記のような様々な要因で決定されるためである.したがって本研究では,都市停電の定量的影響度評価への第1ステップとして,電力需要特性から都市部の地域特性の評価を試みた.東京23区を例としてとりあげ,電力需要と地域特性のデータベースを構築するとともに,電力需要から見た都市部の地域特性評価と分類を行った.その結果,都市の電力需要量は地域や時刻,季節などにより様々に変化するが,配電エリア別に見るとその電力消費曲線の特徴により,住宅・オフィス・工場・店舗/飲食店がそれぞれ卓越する,4通りの地域に分類できることがわかった.そしてどのエリアの電力需要も,この4つの構成要素の重ね合わせとして表現できると仮定し,各構成要素の1件当たりの電力需要曲線を回帰分析によって求めた.さらに地域特性と電力需要特性を関連づけるために,寄与率という概念を用いて,そのエリア全体の電力需要量に占める各構成要素の電力需要の割合を求めた.その結果を地図上に示すと,電力需要から求められた,住宅地・オフィス街・工場地帯・繁華街,またこれらの混合地域が,実際とよく一致し,電力の寄与率を用いて地域特性を評価できることが示された.
著者
片山 富弘
出版者
中村学園大学
雑誌
中村学園大学流通科学研究所報 (ISSN:18818226)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.39-41, 2008-01

今回の中国・青島における調査目的は、成長著しい中国・青島において、マクネア(MacNair)の「小売の輪」が回る状態にあるのかどうかについての実地見学をすること、また、青島大学主催でのシンポジウムでの報告を実施することであった。調査期間は、2007年8月24日〜27日で、調査メンバーは、片山富弘、朴晟材、宗謙の3人である。
著者
成田 宏和 太田 学 片山 薫 石川 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.375-382, 2002-07-18
被引用文献数
2

Web上で必要な情報へのアクセス手段として、中心的な役割を担っているのがgoogle goo Lycosなどに代表されるロボット型Web検索エンジンである。これらの検索エンジンが日々変化し続けるWebに対応していく為には、新しいページの収集、更新チェックなど多大なメンテナンスを必要とする。一方で、検索結果があまりに膨大すぎて必要な情報を探すのに困難を伴う場合もあるし、全ての検索エンジンが同一の情報を収集しているわけではないので、或る検索エンジンでは存在しなかった情報も別の検索エンジンを利用すると発見できる場合もある。本稿では、検索能力の強化と発見しにくい情報へのアクセス支援を目的に、複数の検索エンジンを併用し、検索結果を階層的にクラスタリングしてユーザに提供するシステムであるMETALを提案する。It is search engines represented by google, goo, Lycos, and so on that shoulders a leading role as an access means to the necessary information on the Web. A lot of maintenance, such as collection of new Web pages and renewal check, is necessary for these search engines to cope with the Web changing continually. On the other hand, sometimes, it is difficult to find necessary information because of enormous search results. One search engine may be able to find what another can't because different search engines collect different kinds of information. In this paper, we propose a meta search engine which uses more than one search engine at the same time for improving recall, and cluster search results for supporting users to find their necessary information more easily.
著者
上柳 豊寿 益田 智 江本 博章 奥村 基範 柿 雄介 濱嵜 陽司 片山 仁志
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

本研究では, モータの代わりに人工筋肉の特性を持つワイヤーを脚の駆動用アクチュエータに利用した小型六足歩行ロボットを作製した。このロボットは, 小型でありモータを用いていないことから軽量である。そこでロボットの脚と接地面との摩擦抵抗を大きくし, ロボットの前進, 後退及び旋回を滑らかに行う歩行パターンの開発を行った。
著者
榎田 修一 林 豊洋 久保 登 北島 創 片山 硬 江島 俊朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.58, pp.35-40, 2007-05-17
被引用文献数
3

本論文ではパーティクルフィルタを用いたドライブレコーダ記録動画像中の先行車追跡手法を提案する.動画像中から先行車両の全体が捉えられた任意の1フレームを抜き出し,オペレータにより先行車両の外接矩形(追跡参照領域)を指定した後,他フレームについても先行車両の外接矩形(追跡対象領域)を自動的に抽出する.特に,パーティクルフィルタにおける幾何モデルの設計に注目し,テクスチャに基づく幾何モデル,ならびにHaar-Like特徴に基づく幾何モデルを比較検討する.結果,2つの幾何モデルから算出される尤度を組み合わせることで隠れが発生した際の追跡精度向上が確認された.
著者
古川 全太郎 笠間 清伸 片山 遥平 秋本 哲平 上野 一彦 堤 彩人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.23-00105, 2023 (Released:2023-12-20)
参考文献数
29

本論文では,浸透固化処理した砂質土を対象に実施された非排水中空ねじりせん断試験結果をもとに,地震時の液状化による構造物被害予測プログラム(FLIP)を用いて地震応答解析を行う際に必要な液状化パラメータを,浸透固化処理土の一軸圧縮強さから適切に設定する方法を示した.加えて,浸透固化処理工法で背後地盤を液状化対策した岸壁を対象にモンテカルロシミュレーションを行い,浸透固化処理部の一軸圧縮強さの空間的ばらつきが岸壁の地震時残留変位に与える影響を確率統計的に分析した.さらに,解析結果を浸透固化処理後の地盤調査に活用することを目的として,調査数に依存して生じる統計的推定誤差を考慮し,岸壁の地震時残留水平変位について信頼性水準に従って要求性能を照査する手法を提案した.