著者
水書 稔治 ハラルド クライネ 片山 雅英 高山 和喜
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.79-86, 2002
被引用文献数
2

本論文は,実験室内で発生可能な微小爆発を利用した大規模爆発のアナログ実験手法開発に向けた基礎研究として,微小爆薬で発生させた衝撃波の初期伝播様態を可視化計測と数値解析を用いて検討し,球状衝撃波が得られるまでの伝播様態を詳細に明らかにした. 微小爆発は,アジ化銀ペレット(AgN<sub>3</sub>,直径1.5 mm,長さ1.5 mm,質量10 mg)のレーザ起爆で発生させた. 可視化手法は,方向指標型カラーシュリーレン法(Direction-Indicating Color Schlieren method: DICS)である. DICSは,従来型のカラーシュリーレン法と異なり,可視化面の密度こう配ベクトルを色分布として表現する特長を持つ. 起爆方法に関しては,光ファイバ経由でレーザ光を微小爆薬に伝達する方法と空中で直接照射する方法により計4種類の起爆様式を検討した. これらにより発生初期(起爆後180 μs)の衝撃波をそれぞれ計測した. その結果,ペレットから発生する爆発生成気体噴流が,衝撃波形状に強く影響を与えていることを確認した. そこで,噴流発生の支配要因としてペレット形状と起爆点に着目し,実験と数値解析で考察した. 実験は,10 mgペレットを砕いて作成した質量 500 μgの不定形アジ化銀微小片をレーザ起爆し,超高速フレームカメラを用いた連続撮影法で発生した衝撃波の伝播様態の可視化計測を行った. その結果,不定形アジ化銀の起爆では,噴流が衝撃波に影響を与えないことを確認した. 次に,起爆点の影響を衝撃解析コード(AUTODYN-2D)で評価した結果,衝撃波形状及び反応生成気体噴流形状など,可視化計測での観測結果とよく一致する結果を得た. さらに,衝撃波が受けた影響(形状の歪み等)は,伝播するにつれ小さくなり,中心から距離約120 mm 以遠では,完全な球状衝撃波を形成することを確認した.
著者
片山 富弘
出版者
中村学園大学
雑誌
中村学園大学・中村学園大学短期大学部研究紀要 (ISSN:13477331)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.69-75, 2005-03-15

日本三大朝市の一つの呼子朝市のある佐賀県呼子町に新商業施設を設ける場合を事例にして,修正ハフモデルを活用して商圏規模を測定した。その商圏測定プロセスと結果を通じての小売マネジメントからの有効性の検汁を行った結果,取扱品目によっていくつかの商圏規模が測定され,商圏規模の数値の取扱いに経営判断が要求されることが明らかになった。
著者
木坂 恭子 上野 智美 芦田 真由美 石川 佳代子 小川 千鶴 奥本 真史 片山 博恵 金永 千恵子 向井 恵子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.35-40, 2006 (Released:2006-07-11)
参考文献数
3

近年,早期母子接触の有効性が見直される中,母と子の双方に対する効果を期待し,出生直後の正常新生児にカンガルーケアを導入している。そこで,カンガルーケアが母親にどんな良い影響を与えるのかをあきらかにするためにこの研究に取り組んだ。 当院で分娩した母親への郵送アンケート調査や今回の出産で初めてカンガルーケアを行なった経産婦の感想を述べてもらった。その結果より,産んだ実感や感動は,より大きく,しかもカンガルーケアを始めてからは,分娩後早い時期から,また長い時間わが子とともにいたいと希望する母親が増えている。親子の相互作用により,安心感や信頼感が確立されると考えられる。今回の研究から,出生直後のカンガルーケアは母親の感情・行動に良い結果を与えることが分かった。
著者
片山 洋子
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.40-51, 1970-03-23

Since Boeckh pioneered in the study of liturgies in the nineteenth century, many works have been published on this subject. Yet except for incidental references, none of them have dealt thoroughly with the significance of the participation of metics in the liturgies. The liturgies originated in the period of the oligarchy and, in the democratic period, began to be performed not by noble families as in the earlier days but by wealthy citizens as honourable duties. A curious fact is that both citizens and non-citizens performed them in classical Athens where each category of population enjoyed a legal status distinct from the other. Here I want to discuss the problem of the participation of non-citizens in the liturgies and consider the significance of this fact. In the Panathenaic festival, metics performed a few fixed liturgies. Perhaps originally these accorded them honour; but, as the performer was restricted only to the metics who were humble in their social standing, the liturgies assigned to them also came to be looked upon as rather humble ones. Among the encyclic liturgies, we are certain that metics performed the choregia. However, they did so only in the Lenaean festival, which was held in winter, and for this reason they did not thrive. So the supposed honour may not have been held in common by both metics and citizens. Some scholars state that citizens alone performed the trierarchy but they do not enlarge any further upon this problem. However, as Kahrstedt has shown, the role of metics in the trierarchy was important. However, they did not become official trierarchs; there is a case of a metic embarking on behalf of a citizen trierarch. I think this cannot be the solitary example. Considering the original function of the trierarchy as a measure of naval defence substituting the naucracy, the embarkation was its most essential part. Nevertheless, in this case, a citizen trierarch bore only the financial part of his duties and transferred personal service required of him to a non-citizen. This is a parallel to the fact that citizens preferred to accept mercenaries in the army than to arm themselves. Apart from its importance in the scheme of national defence, the trierarchy had a secondary effect to promote its performers in society. The citizens wanted to monopolize the honour of bearing the title of litourgos. Therefore, when they allowed metics to take part in some liturgies, they restricted the latters' participation; when they entrusted metics the essential personal service in the trierarchy, they reserved the title of trierarch by bearing the financial part of his duties. This explains some passages in the writings of contemporaries as Aristotle, Demosthenes, Lysias etc., to the effect that, while the citizens maintained the position of litourgos to be an honourable one, in fact, they did not want to perform the liturgies by themselves, but only desired the position of litourgoi in order to win fame and they discharged the financial part of their duties for fear that they should harm their reputation by failing to perform the liturgies which they had undertaken. By the time of Aristotle, the liturgies had lost their original spirit and had become detached from their original purpose. However, as they were closely related to the democratic structure of Athenian society, they survived to the end of the democratic period.
著者
川島 永嗣 片山 順一 諸冨 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.612, pp.23-30, 2001-01-26

表情に注意を向けていない場合の表情処理の特性を検討するためにBruce & Young(1986)の顔認識モデルにおけるいくつかの段階に課題を設定し, 12名の被験者からERPを記録した.既知性判断課題, 及び男女判断課題ではERP上に表情による差は見られなかったが, 物・顔判断課題では表情による差が見られ, その差は快-不快次元に沿った形で生じた.よって, 全く表情に注意を向けていない場合にも, 快-不快次元に沿った形で自動的, 前注意的に表情の処理がなされており, 既知性判断や男女判断といった高次な認知処理段階ではなく初期知覚の段階に情動が関与することが示唆された.
著者
片山 めぐみ
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.771-777, 2010-03

2005年に北海道の知床半島が世界自然遺産に設録された。今回の登録は、登録地が住民の生活域を含む点においても注目されており、隣接する斜里町(人口約13,000人)と羅臼町(約6,500人)では、自宅の裏庭が自然遺産という状況も珍しくない。なかには個人や町の所有地も含まれる。登録に際しては、登録地周辺も含めた地域住民の日常生活に対する配慮が不可欠とされているだけでなく、当該自然環境での生活知識をもつ住民が自らの生活を通じて自然保護などの啓蒙普及の役割を担うこと、さらにはエコツーリズム等に必要なガイドの育成が推奨されている。登録に際し、住民の意識調査が実施され、観光に対する期待や観光客増加による環境・生活への影響についてアンケート結果が報告されているが、自然とかかわる日常的な活動や場所には注目しておらず、住民の自然に関する知識や経験、大切にしている場所の理解を通してそれらを活かす方法を検討する必要がある。図-1に見るように、斜里町と羅臼町は、東西わずか30km弱の距離にあるが、半島を南北に走る知床連山に隔てられ、知床横断道路が開通する近年まで互いに往来が少なく、世界自然遺産登録に際しての住民の反応や観光地化に対する意識が異なるという声がよく聞かれる。最近では、両地域とも登録域における漁業をはじめ、山歩きや山菜取りなどの自然と関わる生活行動が制限されるのではないかといった懸念の声が共通している。本研究は、世界自然遺産・知床の登録地内およびその周辺地域における、住民の自然とのかかわり方、および居住地に対する誇りの意識を明らかにし、地域資源の再発見という視点から今後の観光のあり方について考察することを目的とする。
著者
片山 学
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.13-24, 1998

Dans La correspondance des arts, Etienne Souriau a presente le schema circulaire dont le but etait considere comme la classification des arts. Mais je pense que Souriau ne l'ait pas eu pour premier but. Souriau, qui avait attache de l'importance a la methode du recherche comparative, a propose son theorie l'esthetique comparee. Comformement a lui, Souriau a fait correspondre deux especes d'arts mutuellement par leurs comparaison sous le point de vue de leurs structures. Au centre de schema, Souriau a pose "qualia sensible" qui fait une essence pure et une qualite absolue. Ce "qualia" est devise en sept regions (lignes, volumes, couleurs, luminosites, mouvements, sons articules, sons musicaux) quant a l'experience du cote du phenomene artistique et produit des arts. En plus Souriau a fait etat de "forme" et a institue deux degres, non-representatif ou representatif, sur des arts. Ainsi Souriau a constitue ce schema triplement et a fait diversifier l'art. Dans ce schema, Souriau a essaye de situer les arts ordonnement, en les disposant de facon a faire les correspondre mutullement.

2 0 0 0 OA 語録訳義

著者
木村 晟 片山 晴賢 片山 晴賢
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大學文學部研究紀要 (ISSN:04523636)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.130-234, 1988-03
著者
伊勢 雄也 萩原 研 齋藤 節生 本城 和義 宋 静香 加藤 あゆみ 片山 志郎 西澤 健司 平野 公晟 吉行 俊郎 木山 輝郎 三橋 恭子 亀井 美和子 白神 誠
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.11, pp.815-824, 2004-11-01
被引用文献数
1 1

米国では1983年よりMedicareの入院医療費の支払い方法として,医療費の診断群別定額支払い制度(Diagnosis Related Group/Prospective Payment System;DRG/PPS)が導入されているが,わが国でも平成15年4月より診断群分類(Diagnosis Procedure Combination;DPC)に基づく包括支払い制度が大学病院,国立がんセンター,国立循環器病センターなどの特定機能病院計82施設での入院医療において開始された.その結果,入院患者の在院期間の短縮と入院費用の削減並びに患者満足度の向上などを目的として,クリニカルパス(Clinical Pathway;CP)が日本の医療においてさらに注目されるようになった.日本医科大学付属病院(以下「当院」という)では1998年に「CP研究会」が設立され,患者ケアを医療スタッフがチームとなって行うシステムの構築を検討してきた.1)薬剤部では,その中でも胃癌の切除術患者CPに積極的に携わり,同CPに薬剤管理指導業務を導入することによる有用性並びにその費用対効果についての検討を行い,数多くの知見を得ている.
著者
片山 訓博 大倉 三洋 山﨑 裕司 重島 晃史 酒井 寿美 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮﨑 登美子 柏 智之 藤本 哲也 藤原 孝之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.357-361, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕常圧低酸素環境における低強度運動時の呼吸循環代謝応答を測定し,エネルギー代謝に与える影響について検討した.〔対象〕健常成人男性13名.〔方法〕通常酸素濃度条件(1.0 atm,酸素濃度20.9%)と常圧低酸素条件(1.0 atm,酸素濃度14.5%)を設定した.両条件下でATポイントの70%負荷による自転車エルゴメータ運動を行った.実験中,酸素飽和度,心拍数,呼気ガスデータを測定した.〔結果〕低酸素条件では,通常酸素条件に比べ,運動時心拍数,分時換気量が有意に高値を示した.低酸素条件は,通常酸素条件に比べ,脂肪酸化率は有意に低かった.逆に,ブドウ糖酸化率は有意に高く,エネルギー代謝は亢進していた.〔結語〕常圧低酸素環境下の運動によって,糖質利用が促進される可能性が示唆された.
著者
成瀬 尚志 崎山 直樹 児島 功和 笠木 雅史 髙橋 亮介 片山 悠樹 井頭 昌彦
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、ライティング教育においてはこれまでほとんど重視されてこなかったレポート論題の重要性を、インターネットなどからの剽窃を防ぎ、思考を促すという観点から研究した。第一に、剽窃を防ぐ論題の類型を分析し、剽窃を防ぐための具体的な論題案を開発することができた。第二に、アンダーソンらによる改訂版タキソノミー(教育目標の分類学)に対応させた「レポート論題タキソノミー」を開発し、授業設計と論題を関連付ける枠組みを提示した。
著者
片山 一道 豊 増翼 松本 秀雄
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.83-94, 1978-04-15 (Released:2008-02-26)
参考文献数
19

三重県鳥羽市の離島地域の隔離集団の1つのモデルとして,神島集団の人口構造と婚姻構造,すなわち集団構造を明らかにするとともに,その集団遺伝学的な解析を試みた。その結果,神島集団の遺伝的構成はrandom genetic driftの強い影響を受けていることが推測された。そして,このことは,第一報で報告された血清学的多型性形質から得られ た,神島集団の遺伝的特性によく反映していることがわかった。
著者
片山 泰久
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.738-744, 1965-08-20

Heisenbergの非線型場の理論についての紹介は、私自身も何度かやらされましたし、また、林さん、喜多さんなどの紹介もありますので、ここでは詳しいことを除いて、どこに問題点があるかを骨組みだけ示すことにとどめます。
著者
片山 雅一 橋本 信一郎 渡邊 理 細川 みえ 御領 政信 伊藤 裕和
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.275-284, 2013-02-25
参考文献数
33

1992年4月から食鳥検査が施行されている。また2003年5月には食鳥検査法が改正され,食鳥検査の対象疾病が,家畜伝染病予防法の規定する監視伝染病に改められた。これにより対象疾病が拡大され,より厳密な食鳥検査の必要性が高まった。一方,食鳥検査を振り返ると,マレック病,原虫性疾患等大きく減少したが,細菌性疾病が急増している。また,食鳥肉を介したカンピロバクターによる食中毒は減少せず,公衆衛生上大きな問題となっている。これらの課題を解決していくには各自治体で公衆衛生部局と農林部局の連携が必要であると考え,食鳥検査の実態を紹介するとともに連携事例について検討した。その結果,両者が連携することにより(1),伝染病の摘発,清浄化(2),農場の生産性向上(3),処理場での廃棄率減少(4),食中毒菌の汚染状況把握(5),正確な診断,法的措置等の成果がみられていた。食鳥検査の課題を解決するためには,今後も両者のより一層の連携が必要不可欠であると考えられた。