著者
ト部 晋平 浜村 亮次 藤野 有弘 田中 弘之 宮國 泰明
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.174-181, 1995-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

マスキングなしの気導域値に左右差があるとき, オーバーマスキング (OM) の可能性がない最高のノイズを用いる骨導聴力検査のマスキング法を考案した. 本法の手順はA BC法やABCI法よりも単純であり, 理論的に最も能率的なマスキング法である. さらに, 非検耳の気導骨導差 (A-B gap) が気導音の両耳間移行減衰量 (IaA) に等しい場合でも, プラトー法を応用することによつて, 検耳の真の骨導域値を推定できる場合があることを述べた. A-B gapとIaAの関係式は, マスキング法を理論的に解析する上で最も重要な式である.
著者
田中 一成
出版者
早稲田大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2021

ニューラルネットワークは世界的に利用が進んでいる機械学習のベースとなる構造で、関数近似手法としても注目されています。本研究では反応拡散モデルと呼ばれる微分方程式を主な対象として、その効率的な精度保証法の開発にニューラルネットワークをベースとした手法で挑みます。これを通じてLearn and Verifyという新スタンダードを創出し、精度保証付きニューラルネットワーク数値計算としての普及を目指します。
著者
田中 彌太郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.165-170, 1980-12-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

ホッキガイ稚貝の耐高温性に関する実験観察の結果から, 本州中部暖海砂浜域に放流されたホッキガイ稚貝生存の可能性が示唆された。福島県産母貝から採卵し, 水温20℃下で人工飼育して得た平均殻長1~3mmのホッキガイ稚貝は水温25℃の10l水槽内で正常に生活し, 生長する。生長度は22.5℃において最も大であった。また, 夏季屋外流水タンクに収容された3mmサイズ稚貝の3週後における生残率は88%であった。一定条件下で得られた材料およびその温度条件の範囲内で, ホッキガイ種苗の現地試験が望まれる。
著者
上條 信彦 宇田津 徹朗 高瀬 克範 田中 克典 米田 穣 宮田 佳樹 田崎 博之
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、環境激変に脆弱な北日本に導入されたイネの自然環境に対する適応過程および文化的な選抜過程を品種と栽培・加工技術の観点から生物学的・考古学的に解明することを目的とする。具体的には、出土イネ品種に関する本研究独自の分析技術を駆使して炭化米の形態・DNA分析、脂質・炭素窒素同位体分析、および本州最北端における水稲農耕開始期の遺跡発掘調査を通じて、これまで不明確であった本州最北端の水稲導入後の文化変容を探るとともに、品種の歴史的展開と、耕起や施肥、調理などの技術的革新の時期や内容を明らかにし、日本列島の稲作展開モデルの構築を目指す。
著者
田中 厚吏 石﨑 直彦 宮地 隆史 栢下 淳
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.34-43, 2023-04-30 (Released:2023-09-10)
参考文献数
25

【目的】神経筋疾患患者の嚥下造影検査を後方視的に調査し,ゼリー・とろみ付き液体における物性の差異による誤嚥や咽頭残留との関連を調査した. 【方法】対象者は,嚥下造影検査(VF)を実施した神経筋疾患患者で診療録から後方視的に調査した.調査項目は基本情報としてVF 実施時点の年齢,身長,体重,BMI,摂食状況,食事形態を調査した.VF 側面像から固さ5,000 N/m2 および8,500 N/m2 の異なるゼリー,薄いとろみ(粘度116.6 mPa・s)および中間のとろみ(粘度276.8 mPa・s)の検査食を用い,誤嚥の有無,咽頭残留の有無を調査した.統計解析は,検査食の誤嚥・咽頭残留の比較にはχ2検定,Fisher の正確確率検定を用いた.また,誤嚥・咽頭残留の有無における年齢・BMI の比較にはt 検定を用いた. 【結果】期間中にVF を実施した65 名(男性:28 名,女性:37 名)を解析対象とした.誤嚥は検査食間で有意な差は認めなかった.喉頭蓋谷残留は,ゼリー5,000 N/m2 に比べ薄いとろみのほうが有意に少なく(p<0.05),ゼリー8,500 N/m2 では,中間のとろみおよび薄いとろみのほうが有意に残留が少なかった(p<0.05,p<0.01).梨状窩残留は,ゼリー5,000 N/m2 に比べ,薄いとろみのほうが有意に少なかったが(p<0.05),その他の物性間で差はみられなかった. 【結論】神経筋疾患患者における食品物性の違いによる誤嚥・咽頭残留との関連を調査した結果,咽頭残留の観点からは薄いとろみ程度の液体が適切である可能性が示唆された.
著者
埴原 和郎 増田 哲男 田中 武史
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.107-112, 1975 (Released:2008-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
6 7

切歯のシャベル型についてはHRDLICKA(1920)が最初に記載していらい,とくにモンゴロイドに高い頻度で現われ,人種特徴を示す形質として注目されてきた。この形質に関する遺伝学的研究も多く,強い遺伝子支配をうけていることは多くの研究者が一致する点である。しかしその遺伝様式については,常染色体性単純優性遺伝説,劣性遺伝説,複対立遺伝子説,polygene説などがあり,研究者の意見はまちまちである。従来,多くの研究者はHRDLICKAの分類にしたがって,シャベル型を発達の程度に応じていくつかのカテゴリーにわけ,これを非連続形質であるかのようにとりあつかってきた。しかし実際には,シャベル型の程度は連続的に変化するものであり,量的形質を非連続形質として分析しようとしたところに無理があったものと思われる。私ども(HANIHARA et al.,1970)は,さきにDAHLBERG and MIKKELSEN (1947)が試みたように,切歯舌側面窩の深さを計測したところ,この形質はほとんど完全に正規分布曲線に一致して連続的に変化することを知った。また同時に,肉眼によるシャベル型の分類がこの計測値の大小ときわめてよく一致することから,舌側面窩の深さをもってシャベル型の発達の程度を代表させることが可能であることがたしかめられー。てのような点から,従来非連続形質としてシャベル型を分類し,その資料から遺伝様式を分析しようとした試みは,理論的に無理であったといえる。今回の研究はこのような観点から,上顎中切歯の舌側面窩の深さを資料として遺伝学的分析を試みたものである。したがって研究の中心はシャベル型の遺伝様式よりも,家族内における遺伝率(heritability)の推定におかれた。まず日本人の一般集団におけるこの計測の平均値は,男性•女性ともに約1mmであり(男女合計の平均値は1.00mm),この値はPima Indian の 1.2mmよりは浅いが,米白人の0.42mmならびに米黒人の0.49mmよりははるかに深く,モンゴロイドの特徴をよく現わしている。また日本人双生児での値もほぼ同様である(Table1)。注目すべきことは,一卵性双生児間の相関係数がきわめて高く,二卵性双生児間ではやや低くなるが,なお高度に有意である点である。このことは,従来いわれていたように,シャベル型に対する遺伝子支配がきわめて強いことを示している。家族内の比較のための資料は日本人41家族よりえられたが,親と子との相関は,母•娘の組合せを除いてきわあて高く,遺伝性の強いことを示している。父•息子,母•息子および父•娘の組合せでは,遺伝率はいずれも0.8をこえる。田中克己(1960)によると,日本人集団では智能の遺伝率は約0.5,身長のそれは0.52-0.67であるというが,これらの形質に比較して,シャベル型の遺伝率はきわめて高いといえる。また試みに,両親間の相関係数を計算すると0に近いので,今回推定した遺伝率の信頼性は高いと考えられる。母•娘間の遺伝率が低い理由はよくわからないが,兄弟間に比して異性同胞間ならびに姉妹間の相関係数がやや低いことと関係しているかもしれない。しかしこの形質が性染色体上の遺伝子に連関をもっているかどうかという問題については,さらに資料を加え,詳細に分析する必要がある。
著者
田中 厚子 松下 希和 赤澤 真理
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.1-12, 2022 (Released:2022-05-10)

日本の住宅の近代化における女性の役割に関する研究の一端として,戦間期に女性が施主となった住宅6件を対象に,婦人雑誌というメディアを通した近代化への貢献および憧れの醸成について分析した。住まいの外観は,海外渡航の有無によって和風と国際様式に二分し,起居様式は床座,椅子座,混合に三分した。それらの平面計画は一例を除き伝統的な座敷などの家父長制の名残はなく,自立した女性としての要望を満たしていた。室内には布地と色彩へのこだわりがあった。憧れには施主の交友関係における住まいへの憧れと,一般読者の憧れの二重構造があり,婦人雑誌の記事では,本人が住まいの写真に写ることで憧れを呼び,共同の意識を生み出した。
著者
玉木 昌幸 田中 勤 田中 秀之 村上 宏 熊谷 謙
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.27-31, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
8

背景:病院実習中の救急救命士(以下,研修者)が,生体への静脈路確保(以下, IV)に失敗する理由は共通しており,失敗理由に特化した対策が必要と考えた。目的:IV技術向上のために自作IV訓練モデルを使用し,その効果を検証すること。方法:研修者に共通のIV失敗理由に特化した自作IV訓練モデルでシミュレーション訓練を実施後,病院実習での生体へのIV成功率をモデル未使用者および過去の研修者の成績と比較した。また,モデル使用者にアンケートを実施し,結果を検討した。結果:IV成功率はモデル使用群86.2%,モデル未使用群81.0%であり,使用群が有意に高かった(p<0.05)。また,過去4年間の研修者の成績との比較でもいずれよりも有意に高かった(p<0.05)。アンケート結果もモデルを使った訓練への肯定的意見が多かった。結論:モデル使用群は有意にIV成功率が高く,アンケートでも好評であり,IV成功率向上に有効であることが示唆された。
著者
田中 修平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.401-405, 2012-05-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
12

ガラス内部の物性,例えば屈折率をフェムト秒レーザー光の照射により変化させ,照射部に機能をもたせる試みがなされている.その一例として,光導波路デバイスが挙げられる.これらの加工には,レンズによる集光点を逐次移動させながら加工する逐次加工法が使用されてきたが作製時間が長く,世の中に普及するに至っていない.本稿では,ホログラムを通してレーザー光を照射し,結像した3次元実像でデバイスを一括で短時間に作製できる加工技術と,本技術により試作した具体的なデバイスの概要を紹介する.
著者
藤木 大介 田中 瑠音
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PL-007, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

近年,小中学校の教科書などにも見られる文章形式として,複数の人物の会話の様子を記したものがある。学生向けの概論書等ではそれを読み進めることで新たな知識が得られるようになっているものもある。こういった対話型のテキストに関し,これまでにも少ないながらもその有用性が検討されてきたが,必ずしもポジティブな結果は得られていない。そこで本研究では,読解を促進する方略の使用を促す発話を多く含んだ対話型テキストを作成し,その有効性を検討した。その結果,通常の形式の説明的文章を読んだ群と比較して,これまでの研究で用いられてきたのと同等の方法で作成された対話型テキストを読んだ群の読解成績が劣ったが,方略を多く含んだ対話型テキストは劣らない成績となり,かつこれらの2つの対話型テキストは通常の文章と比較して読みやすさ等の主観的評定に優れるという結果であった。従来の対話型テキストの成績が劣るのは,対話という親しみやすい表現により結束性等の過大評価が起こり,それに伴って能動的な推論の低下が起こったことが考えられるが,読解方略を多く含めることでこれも抑えられ,主観的にも受け入れやすい文章となることが示唆された。
著者
田中 育太 友兼 毅 門田 美由香 小田 修治 野田 和克 佐藤 康史 六車 直樹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.473-479, 2021-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
25

症例は60歳代,男性.精神科病院に長期入院中,発熱,嘔吐を認め,救急搬送された.炎症反応上昇,溶血所見,急性腎障害がみられ,CTで胸腹水と,直腸壁外の浮腫状変化,air densityを認めた.搬送前日に施行された浣腸による直腸損傷と限局性腹膜炎,グリセリン血管内流入にともなう溶血と急性腎障害と診断した.グリセリン浣腸は,直腸損傷および溶血尿をきたした報告が本邦でも散見され,留意する必要がある.
著者
浅枝 隆 田中 規夫 谷本 勝利 Tilak PRIYADARSHANA Jagath MANATUNGE
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.670, pp.73-82, 2001-02-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23

水生植物は被捕食者に対し捕食者からの隠れ場を提供し, 捕食者の行動に影響を与えるため, 動物プランクトン食魚 (モツゴ) の捕食ならびに遊泳行動を, 餌 (ミジンコ) の密度変化 (0.5, 1, 2, 5, 10, 25 prey・1-1) と沈水型人工植生の密度変化 (350, 700, 1400, 2100, 2800 stems・m-2) のもとで, 実験により調べた. 遊泳速度は抱腹の程度に大きく関係し, かつ餌の密度が増えると減少する, 最大捕食率は平均餌間隔に大きく依存し, それとともに変化する. 植生密度が徐々に増加すると, 植生がない場合に比べて捕食者の捕食効率が減少する. 捕食率と遊泳速度は平均植生間隔と魚の体長の比で良く表現できる. 捕食ならびに遊泳活動は, 魚の1回の移動距離である体長の0.7倍付近で急激に減少することが判明した.
著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-24, 2022-02-20 (Released:2022-03-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では,若年労働者の思考のモデリングが,経験学習と職場における能力向上に与える影響と,思考のモデリングの実態を調査した.インターネット調査で取得したデータをもとに構造方程式モデリングを用い,仮説を検証した結果,思考のモデリングは経験学習の具体的経験,および職場における能力向上に正の影響を与えることが明らかになった.また,若年労働者は上司や先輩から,主に仕事や業務の仕方や方法や進め方,過去のものを含む資料といった対象に注目し,見る・聞く・読むことで思考のモデリングをしていることが示された.さらに,職場における能力向上の上位群では,仕事相手を含む対象まで観察できていたり,見る・聞く・読むことに加えて,分析することで,より深い思考を学んでいることが示された.